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地震調査研究推進本部の関連記事一覧
 
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初めに
 
 原発の耐震性、津波の問題について問われるとき、推進側の評価と、地震調査研究推進本部の地震調査委員会が行う活断層、海溝型の地震の長期評価と、大きく食い違うことが多々あります。地震の専門家の中には、金科玉条に受け取らないようにとくぎを刺す人から、どんか小さな確率でも、注意しないといけないという人、根本的な問題があると指摘する人など、様々な意見があるのも事実です。私は地震の専門家ではありませんから、どれが正しいとかわからないのではありますが。この長期評価の成り立ちは、1995年の阪神大震災に対する反省から始まっているということですから、まずは、1995年から現在(2008年2月)まで、地震調査研究推進本部関連の記事を時系列に辿ることから始めたいと思います。よろしかったらご覧ください。

 
<目次>
 
下記リンクをクリックすると該当ケ所にジャンプします。
 
(1)1995/01/17 阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)(M7.3)発生
(2)1999/06/16 地震防災対策特別措置法により総理府に地震調査研究推進本部が発足
(5)2002/07/31 地震調査研究推進本部が三陸沖から房総沖にかけての長期評価を発表
(13)2004/05/31 原子力安全委 原発の耐震基準見直しへ
(17)2004/10/23 新潟で震度6強 震源浅く 重力超す1500ガル 小千谷観測
(27)2005/03/21 福岡沖玄海地震 未知の活断層動く 警固断層との関連指摘も
(31)2005/08/17 宮城南部地震 本命「宮城沖」か見解二分 想定より小さい規模
(37)2006/03/24 志賀原発 運転差し止め 金沢地裁命令 「地震の想定、過小」
(42)2006/08/20 地震に甘い電力会社 国想定の30分の1も 15断層を過小評価
(44)2007/07/16 新潟県中越沖地震(M6.8)発生
(45)2007/07/17 ひずみ集中帯で多発 「中越は活動期」証明 海底断層調査は不十分
(62)2008/06/14 岩手・宮城内陸地震(M7.2)発生
(70)2011/03/11 東日本大震災(M9.0)発生
(72)2011/04/06 「東北に巨大地震」予測していた 地震調査本部 福島県に説明直前
(73)2011/04/28 日本の地震学、改革の時 ロバート・ゲラー
(74)2011/05/07 浜岡原発 全面停止へ 首相、中部電に要請
(76)2011/05/10 浜岡だけが特別なのか 福島は0.0〜0.8% 「他の原発心配ない」は暴論
(83)2011/08/24 10メートル超の津波想定 08年試算 震災4日前に保安院へ報告
(91)2011/11/10 未熟な地震学
(99)2012/02/26 巨大津波警戒の報告書 電力側「ご配慮を」 貞観地震に神経とがらせ
(108)2013/04/16 淡路島地震「未知の断層」 「伊方」近く超巨大断層
(114)2015/01/14 阪神大震災20年 地震学 東大教授 古村孝志 防災に生かす研究重要
(120)2015/08/09 「原子力ムラ」を生きた東電・吉田昌郎の功罪
(125)2016/04/14 熊本地震(2016年)(前震)(M6.5)発生
(129)2016/04/16 熊本地震(2016年)(本震)(M7.3)発生
(141)2016/04/28 国の地震予測地図はアテにならない
(160)2016/08/30 原発揺れ想定の計算 規制委に異議 地震調査委側「過小評価」指摘
(163)2016/10/21 鳥取県中部地震(M6.6)発生
(167)2016/11/22 福島県沖地震(M7.4)発生
(171)2017/03/17 原発事故で国の責任認定 前橋地裁「津波は予見できた」



 
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(2)1999/06/16 地震防災対策特別措置法により総理府に地震調査研究推進本部が発足
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はじめに 阪神・淡路大震災を契機として地震防災対策特別措置法(平成7年6月16日 法律第111号)が議員立法により成立し、同法に基づき総理府に地震調査研究推進本部(以下、「推進本部」という。)が発足した。推進本部は、その主要な任務のひとつとして、地震に関する観測、測量、調査及び研究(以下、「地震調査研究」という。)の推進について総合的かつ基本的な施策を立案することとされている。
 この総合的かつ基本的な施策は重要な施策であるので、慎重かつ十分な検討を経て、その策定に取り組むこととした。今般、意見募集に寄せられた意見も踏まえてとりまとめられた本施策は、地震調査研究推進の基本となるとともに、推進本部の活動の指針となるものである。 (参照元)

 
(3)2000/10/06 鳥取県西部地震(M7.3)発生
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(4)2000/11/27 宮城県沖地震が海溝型地震長期評価の一例目となる。
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 宮城県の沖合から日本海溝までの海域では、ここを震源域として大地震が繰り返し発生していることが知られている。また、この海域では、陸寄り及び日本海溝寄りの2つの海域それぞれを震源域として発生する地震が知られている。ここでは、このうち、1978年に宮城県沖で発生したマグニチュード(M)7.4の地震に代表される、陸寄りの海域を震源域として繰り返し発生する大地震(以下「宮城県沖地震」という。)に関して、長期的な観点で次のように評価した。評価に当っては、同海域に発生した地震について行われた調査研究の成果を参考にした。
 
宮城県沖地震の長期評価 総理府  2000/11/27

 
(5)2002/07/31 地震調査研究推進本部が三陸沖から房総沖にかけての長期評価を発表
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(2)三陸沖北部から房総沖の海溝寄りのプレート間大地震(津波地震)
 三陸沖北部から房総沖の海溝寄りの領域については、過去にM8クラスの地震が幾つか知られている。そのうち1933年の三陸沖のものはプレート内で発生した正断層型の地震であり性質が異なるため次の項目で扱うこととし、ここではそれ以外の大地震を評価した。
 日本海溝付近のプレート間で発生したM8クラスの地震は17世紀以降では、1611年の三陸沖、1677年11月の房総沖、明治三陸地震と称される1896年の三陸沖(中部海溝寄り)が知られており、津波等により大きな被害をもたらした。よって、三陸沖北部〜房総沖全体では同様の地震が約400年に3回発生しているとすると、133年に1回程度、M8クラスの地震が起こったと考えられる。これらの地震は、同じ場所で繰り返し発生しているとは言いがたいため、固有地震としては扱わなかった。三陸沖北部から房総沖の海溝寄りのプレート間大地震の発生領域、震源域の形態、発生間隔等は表3−2にまとめた。

表4−2 三陸沖北部から房総沖の海溝寄りのプレート間大地震(津波地震)の発生確率等
 次の地震の規模 Mt8.0前後
 
三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について 総理府  2002/07/31

 
(6)2003/02/12 地震調査委員会が中央構造線断層帯の長期評価を発表
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M8の地震確率5% 政府調査委が評価 紀伊半島で今後30年間に 福井新聞  2003/02/13

 
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(8)2003/06/14 宮城沖地震 40年周期、警戒の時期
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 5月26日、宮城県の沖合でマグニチュード(M)7.0の強い地震が起きました。周囲の海域では「宮城沖地震」と呼ばれるM7.5級の地震が30年以内に99%の確率で起きるとされています。(中略)
 注目された理由はもう一つありました。78年の宮城沖地震の4カ月前に、M6.4の地震が起きているからです。今回の地震も"前触れ"ではないかというのです。
 地震調査委員会の津村建四朗委員長は「前々回は(前触れ的な地震が)記録されていない。1回1回違う」として、単純に前触れと考えることはできない、との見解を示しています。(後略)
 
宮城沖地震 40年周期、警戒の時期 中日新聞  2003/06/14

 
(9)2003/06/20 地震調査委員会が日本海東縁部地震の長期評価を発表
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日本海東縁部地震の長期評価 地震調査研究推進本部 2003/06/20

 
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(11)2003/07/26 今回も「宮城県沖」とは別 気象庁が関連否定
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 宮城北部で26日起きた震度6強の地震について、気象庁は同日、発生が懸念されている大地震「宮城沖地震」とは違うメカニズムの地震と断定した。宮城県や岩手県などでは5月26日にも最大震度6弱の三陸南地震に見舞われたばかりだが、この地震も「宮城県沖」とは別とされた。政府の地震調査委員会が2000年「30年以内に98%の確率で発生する」と予想した宮城沖地震が近い将来起きる可能性は依然残っている。(後略)
 
今回も「宮城県沖」とは別 気象庁が関連否定 内陸震源 異なる仕組み 中日新聞  2003/07/26

 
(12)2004/01/13 調査委 44の活断層中 16活断層に30年以内に地震可能性と発表
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 95年の阪神大震災をきっかけに、国内の主要な98活断層を調査している国の地震調査研究推進本部は、近い将来に地震を起こす可能性が高いと判定された活断層の調査・観測態勢を強化することを決めた。断層の地下構造や周辺の地殻変動などを詳細を調べ、精度の高い発生予測に結びつける。
 全体の調査結果は来年度末にまとまるが、これまでに44の活断層の調査が終わった。今後30年以内に地震を起こす可能性が高い(発生確率が3%以上)とされた活断層は16カ所あった。(後略)
 
16活断層 30年以内に地震可能性 調査研究推進本部 観測を強化 毎日新聞  2004/01/13

 
(13)2004/05/31 原子力安全委 原発の耐震基準見直しへ
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 原子力安全委員会(松浦祥次郎委員長)は原子力関連施設の耐震基準を23年ぶりに見直す。地震研究の最新成果を踏まえ、潜在的な危険性を確率で表す。既存の原子力発電所にも適用し施設ごとに補強の是非を判定していく方針。秋までに指針としてまとめる。(中略)
 これにより、例えば原発の耐用年数内に施設の装置が壊れて放射性廃棄物が外に漏れる確率よりも地震発生確率が大幅に低いと見なせる施設では、基準の適用を柔軟にするなどの措置を講じる。新基準を国の地震調査研究推進本部のデータなどと合わせて既存の原発にも適用し、耐震性を洗い直す。(後略)
 
原発の耐震基準見直し 安全委、直下型も対象に 日経新聞  2004/05/31

 
(14)2004/06/18 列島覆う大地震の危険性 迫られる備え
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 「東海地震の切迫性は極めて高い」。中央防災会議の専門家たちは、このところ、こう力説している。迫っているのは東海地震だけではない。首都直下型、南海、東南海なども、専門家が「あす起きても不思議はない」と警鐘をならす巨大地震だ。1995年の阪神大震災を受け、国の地震調査研究推進本部が調査し続けている大地震の発生確率を見れば、日本列島が、たびたび暴れる大ナマズの背中に乗っている恐ろしさが一目でわかる。(東京本社科学部、大阪本社地方部)
 「30年以内にマグニチュード7.5前後の地震が発生する確率は99%」
 昨年6月、同推進本部が宮城県沖地震の危険度を発表すると、宮城県庁には重苦しい雰囲気が広がった。その翌月、震度6クラスの地震に相次いで襲われた県民は「30年ではなく、明日くるのでは」との切迫感を持ったという。(中略)
 
列島覆う大地震の危険性 意外に怖い確率1% 津波怖い海溝型 読売新聞  2004/06/18

 
(15)2004/08/24 南関東 30年以内の大地震 M7級70% M8級0.8%
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 阪神大震災を教訓に、各地で想定される大地震の規模と発生確率を評価してきた政府の地震調査委員会は23日、相模トラフ(海底の細いくぼみ)沿いで発生する地震について、南関東で30年以内にマグニチュード(M)6.7〜7.2程度の大地震が発生する確率は70%、関東大震災(M7.9)級の確率は最大0.8%と発表した。
 
南関東 30年以内の大地震 M7級70% M8級0.8% 政府調査委 朝日新聞  2004/08/24

 
(16)2004/10/23 新潟県中越地震(M6.8)発生
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(17)2004/10/23 新潟で震度6強 震源浅く 重力超す1500ガル 小千谷観測
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 新潟県中越地方をマグニチュード(M)6.8の強い地震が襲った。小千谷市では、余震も含めて震度6強の揺れが連続した。震度6強は03年の宮城沖県北部地震以来。気象庁は今後も震度6強の揺れが続く可能性があるとして、警戒を呼び掛けている。(中略)
 この地震について、国の地震調査委員の島崎邦彦・東京大教授は「地表近くまできている地下の断層が割れて起きた」とみる。
 震源の西側にある「長岡平野西縁断層帯」について、国の地震調査研究推進本部は13日、今後30年以内にM8クラスの地震が起きる確率は2%と予測していた。震源とこの断層帯は近くにあり、島崎教授は「地震を起こしたのがこの断層の一部かどうか、調べなければならない」と指摘する。(後略)
 
新潟で震度6強 震源浅く 重力超す1500ガル 小千谷観測 毎日新聞  2004/10/24

 
(18)2004/10/24 「64年新潟」以来の規模
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 新潟県を中心とする地震に首相官邸は発生直後の午後6時に対策室(室長・野田健内閣危機管理監)を置き、自衛隊、警察、消防など緊急体制を敷きフル動員しての初動対応にあたった。(中略)
 政府の地震調査研究推進本部によると、新潟県では主に、北米プレート(岩板)と大陸のユーラシアプレートがぶつかる境界で起きる地震と、プレート内部での震源が浅い地震とがある。北から朝日山地、越後山脈、三国山脈が南北に連なり、東西方向に押される力が加わっている地形だ。(後略)
 
M7.5 死者26人、家屋全壊2000戸 「64年新潟」以来の規模 毎日新聞  2004/10/24

 
(19)2004/10/24 新幹線脱線 揺らぐ"安全神話" 防災対策の練り直し急務
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 新潟を中心に23日夕、各地を襲った強い地震は、震度6を短時間に4回も観測。新幹線が開業以来初めて脱線する異常事態を招き「地震が来ても大丈夫」とされてきた"安全神話"が大きく揺らいだ。阪神大震災から来年で10年。地震列島に防災面の課題を突きつけた。(中略)
 全国の活断層で地震が起きる確率を評価している政府の地震調査委員会は13日、今回地震が起きた地域を含む「長岡平野西縁断層帯」の発生確率を発表したばかり。
 新潟市沖合から同県小千谷市にかけて南北に延びる複数の断層で構成される断層帯全体が活動した場合、マグニチュード(M)8程度の地震となるとし、発生確率は今後30年以内に2%以下と指摘。一見、少ない確率の様だが、国内の活断層の中では「やや高い」と結論付けられた。(後略)
 
新幹線脱線 揺らぐ"安全神話" 防災対策の練り直し急務 脱線は想定外 デリ東北  2004/10/24

 
(20)2004/10/25 分析 新潟中越地震 地震に強い社会作りを 専門家に聞く
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 新潟県中越地震は、95年の阪神大震災に起こった国内の地震としては、最大の被害をもたらした。中越地震は活断層が多く存在し、マグニチュード(M)7クラスの地震が発生する可能性も指摘されていた。阪神大震災の経験は防災対策に生かされたのか。今後の対応はどうあるべきか。地震学や災害対策の専門家に聞いた。(中略)

大竹政和・地震予知連絡会会長
要注意の空白域で発生
(中略) 東北大などのグループが02年、日本海東縁の断層を詳しく調べ、「ギャップD」と呼ばれる今回の地域を含む4つの空白域を、「近い将来に地震が起こる可能性が高い」と指摘していた。
 しかも、プレート境界で大地震が起こる間隔がだんだん短くなってきていた。地震調査委員会でも日本海東縁の地震を検討したが、やや過小評価だったのではないか。
 ギャップDでは最大M7.3程度の大地震が起こると予想していたが、今回は最高でもM6.8だったので、まだエネルギーが残っている可能性が高い。(後略)
 
新潟中越地震 地震に強い社会作りを 専門家に聞く 毎日新聞  2004/10/25

 
(21)2004/11/02 地震終息まで停止を 柏崎原発に反対派申し入れ
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 地元反原発三団体は2日、東京電力柏崎刈羽原発に対し、地震終息まで運転を停止するよう申し入れた。(中略)
 また、三団体側は、政府の地震調査委員会が10月13日の発表で、新潟市沖の日本海からの長岡平野西縁断層帯(約83キロ)でマグニチュード8の地震発生の可能性が30年間で2%と警告したことを重視。東電の耐震設計が気比の宮断層(中之島町から長岡市雲出町)でマグニチュード6.9の地震発生を前提としていることについて、「この前提は30年前のもので、国の見解で否定された」と追及した。
 
地震終息まで停止を 柏崎原発に反対派申し入れ 柏崎日報  2004/11/02

 
(22)2004/11/03 直下型 脅威まざまざ ひずみ集中、断層ずれ 発生間隔長く詳細不明
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 土砂崩れや家屋の倒壊により多くの死傷者を出した新潟県中越地震は、直下型地震の恐ろしさをあらためて見せつけた。発生の場所と周期が推定できる「海溝型」と違い、どこで起きるか分からず発生間隔も1000年単位はざらだ。1995年の阪神大震災以来、最大の被害となった今回の地震は、どうして起きたのか。(中略)
 いつ、どこで起きてもおかしくない直下型に備えてもらおうと、政府の地震調査委員会は、全国98の主な断層帯が地震を起こす確率を算出し、どの程度の揺れが襲うかを一枚で表す地図づくりを進めている。
 
直下型 脅威まざまざ ひずみ集中、断層ずれ 発生間隔長く詳細不明 福井新聞  2004/11/03

 
(23)2004/11/29 北海道釧路沖でM7.1の地震発生 最大震度5強
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(24)2004/11/29 プレート境界型 予測された地震
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 29日未明に震度5強の地震が発生した北海道東部では、沖合の太平洋に千島海溝があり、太平洋プレート(岩板)が北米プレートに沈み込んで、ひずみがたまりやすい。今回の地震は、2枚のプレートが接する部分でずれた「プレート境界型地震」だ。千島海溝沿いは普段から地震活動が活発で、政府の地震調査委員会は、今回の震源域で今回並みの規模(マグニチュード=M=7.1)の地震が「10年以内に40%」の確率で起きると予測していた。(後略)
 
プレート境界型 予測された地震 毎日新聞  2004/11/29

 
(25)2004/12/15 新潟県中越地震 現実に合わない原発の安全審査 武本和幸
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 新潟県中部地震が起きた10月23日から40日余りが過ぎた。大地が波打ち、地形が変わり、甚大な被害をもたらした。震源地から33キロの地点にある世界最大の原発・柏崎刈羽原子力発電所(東京電力)が、余震の続く中も運転が続けられ、地元の不安を倍加させている。(中略)
 地震発生10日前、政府の地震調査委員会は、「新潟市沖の日本海から、今回の地震の地域(厳密には若干西側)までの83キロを長岡平野西縁断層帯でM8の地震が発生する確率が30年間で2%であり、わが国の活断層の中ではやや高いグループに属する」と警告を発しました。(中略)
 長岡平野西縁断層帯がM8の地震を起こし、震源が調査地点の長岡市宮本町の地下10キロだとすれば、原発の揺れは1000ガルを越えます。柏崎刈羽原発は耐えられません。このことは30年前に原発を建設するために用いられた耐震設計や安全審査の誤りを示しています。(後略)
 
新潟県中越地震 現実に合わない原発の安全審査 武本和幸 ふえみん  2004/12/15

 
(26)2005/03/20 福岡県西方沖地震(福岡沖玄海地震)M7.0発生
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(27)2005/03/21 福岡沖玄海地震 未知の活断層動く 警固断層との関連指摘も
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 福岡沖玄海地震は、「地震が少ない」とされてきた九州北部ではまれな大地震となった。地震の規模を示すマグニチュード(M)7.0は新潟県中越地震(M6.8)を上回り、最大震度「6弱」という揺れは、01年3月の芸予地震に匹敵する。地震大国・日本に「安全地帯」はないことが改めて浮き彫りになった。(後略)
 海底の場合、掘削調査ができないため、どこに断層があるかは分かっていない。独立行政法人・防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の岡田義光企画部長は「この断層は、博多湾を隔てて内陸の警固断層の延長線上にあり、両者は関係があるかもしれない。21日に開かれる政府の地震調査委員会で検討したい」と話す。
 
福岡沖玄海地震 列島に「安全地帯」なく 未知の活断層動く 警固断層との関連指摘も 毎日新聞  2005/03/21

 
(28)2004/04/05 "想定外"の大地震 対策は? 短期の予知はまだ困難 大竹政和氏
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 新潟県中越地震、福岡県西方沖地震など「想定外」の大地震が続く。地震発生確率予測地図も公表され、「いつでも、どこでも」と専門家は口にする。それにふさわしい研究や対策は行われているのか。(中略)

大竹政和氏 日本地震学会会長
(中略)
−全国の地震発生確率予測地図がまとまった。予知がでる可能性もなく、どこでも起こると言われると、国民の不安は増すばかりだ。
大竹
 あの予測地図は、精度の高いものとそうでないものとのばらつきがある。参考にするのは結構だが、金科玉条にしないことが必要だ。防災面から言えば無関心が一番怖い。確率が低いとされた地域の人たちが安心してしまうことを懸念する。一方、宮城県沖時で30年以内にマグニチュード7.5以上が発生する確率が99%というのはかなり信用できる。宮城県沖は、平均すると37年に一回大きな地震が起きている。(中略)
 
"想定外"の大地震 対策は? 「揺れ予測」減災に生かせ 入倉孝次郎氏 短期の予知はまだ困難 大竹政和氏 読売新聞  2005/04/05

 
(29)2005/04/15 琵琶湖西岸断層帯 30年以内地震確率最大9%
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 滋賀県は14日、琵琶湖西岸断層帯で地震が起きた場合、県内で最大死者1300人、負傷者約1万200人、建物の全半壊は約10万棟に上るとした被害想定を発表した。(中略)
 同断層帯は政府の地震調査委員会が、今後30年以内の地震発生確率が最大9%と、国内の主要活断層では高いグループの結果、南北に延びる断層帯の南部が震源の場合、大津市の一部などで震度7を記録、早朝に発生の場合が被害最大となる。(後略)
 
琵琶湖西岸断層帯 30年以内地震確率最大9% 滋賀で1300人死亡も 県試算 大津など震度7 福井新聞  2005/04/15

 
(30)2005/08/16 宮城地震(8.16宮城地震)M7.2 発生
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(31)2005/08/17 宮城南部地震 本命「宮城沖」か見解二分 想定より小さい規模
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 宮城県で震度6弱を記録した16日の地震は、政府が「30年以内の発生確率99%」とする宮城県沖地震だったのか。それとも、今回を上回る規模の宮城県沖地震がこれから襲ってくるのか。予想よりもやや小規模だっために専門家の間で見方が割れている。(中略)
 政府の地震調査委員会では17日に臨時会を開いて、想定する宮城県沖地震にあたるかどうか検討する予定だ。(後略)
 
宮城南部地震 本命「宮城沖」か見解二分 想定より小さい規模 小刻みの揺れ 被害軽く 揺れ14秒前に速報 中日新聞  2005/08/17

 
(32)2005/08/18 宮城県沖地震 早まる危険性
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 国の地震調査委員会は17日、最大震度6弱を記録した16日の地震は「宮城県沖地震」ではないとの見解をまとめた。(後略)
 
宮城県沖地震 早まる危険性 毎日新聞  2005/08/18

 
(33)2005/08/18 16日の震度6弱 想定の宮城沖地震と別 政府の調査委が結論
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 宮城県南部で震度6弱を記録した16日の地震について、政府の地震調査委員会は17日、臨時会を開いて検討し、「想定していた宮城県沖地震ではない」とする見解をまとめた。今後、想定していた地震が起こりやすくなった可能性もあるとして、引き続き警戒が必要だと発表した。(後略)
 
想定の宮城沖地震と別 16日の震度6弱 政府の調査委が結論 朝日新聞  2005/08/18

 
(34)2005/11/26 女川原発 基準地震動見直さず「耐震安全性は十分」
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 東北電力は25日、8.16宮城地震の発生時、女川原発(宮城県女川町、石巻市)で設計用に想定した理論上の最大地震を上回る揺れの強さが確認された問題で、要因の分析と耐震安全性の詳細評価の結果をまとめた。要因では、周期の短い揺れが強い地域特性によると分析。最新の研究成果も踏まえて基準地震動より大きいマグニチュード(M)8.2の「安全確認地震動」を設定し、2号機の安全上重要な建屋や機器にかかる力を解析し、「耐震安全性が十分確保されている」と結論づけた。(中略)
 今回の検討では、政府の地震調査研究推進本部のモデルも使い、近い将来発生が予想される宮城県沖地震や、短周期の成分が強い限界的な安全確認地震動(最大加速度580ガル)を想定した。(後略)
 
女川原発 基準地震動見直さず「耐震安全性は十分」 北から南  2005/11/26

 
(35)2006/01/19 女川原発の耐震設計に関する公開質問状
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(2)設置変更許可申請を行って想定宮城県沖地震AをS1に追加するのであれば、推本の断層モデルのパラメータを修正すべきである。。
 東北電力の11月報告によれば、「統計的グリーン関数によって策定した今回(2005年8月16日)の宮城県沖プレート境界地震断層モデル(アスペリティのみを考慮したモデル)」のアスペリティは2つあり、その面積は64km2と24km2で非常に小さく、実効応力(応力降下量にほぼ等しい)は38.9MPa、89.8MPaと極めて大きい。地震調査研究推進本部(以下「推本」という)が策定し東北電力が11月報告で用いている「想定宮城県沖地震動(ケースA1)」の断層モデルでは、今回の地震と同様に2つのアスペリティがあるが、面積がいずれも96km2と大きく、実効応力が29.0MPa、72.6MPaと小さい。今回の地震の規模はM7.2(モーメントマグニチュードMw7.1)だが、今後宮城県沖で起こりうる地震の規模は推本によりMw7.6、今回の約6倍の規模と推定されている。その女川原発への影響を評価する際には、少なくとも応力降下量を今回以上に大きくとらなければ短周期地震動の原発への影響を過小評価することになると私たちは考えるが、いかがか。
 
女川原発の耐震設計に関する公開質問状 情報室  2006/01/19

 
(36)2006/03/24 志賀原発差し止め判決理由(要旨)
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 北陸電力の志賀原発2号機の運転差し止めを命じた金沢地裁判決の理由の要旨は次の通り。(中略)
 政府の地震調査研究推進本部地震調査会が05年3月9日付で公表した「邑知潟(おうちがた)断層帯の長期評価について」と題する報告は、邑知潟断層帯は将来的にも全体が一つの区間として活動すると推定し、発生する地震の規模はマグニチュード7.6程度とした。報告の評価内容に不備があるとは認められない。耐震設計審査指針に従えば、邑知潟断層帯による地震は基準地震動S2として考慮すべき地震である。(後略)
 
志賀原発差し止め判決理由(要旨) 毎日新聞  2006/03/24

 
(37)2006/03/24 志賀原発 運転差し止め 金沢地裁命令 「地震の想定、過小」
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 北陸電力の志賀原発2号機=石川県志賀町、出力135万8000キロワット、改良型沸騰水型(ABWR)=を巡り、同県を含む16都府県の住民132人が北陸電を相手に運転差し止めを求めた訴訟の判決が24日、金沢地裁であった。井戸謙一裁判長は住民側の主張を認め、初めて運転の差し止めを命じた。(中略)
 判決は、2号機に近い邑知潟断層帯について、政府の地震調査委員会が昨年3月、北陸電の想定を超える規模の地震が起きる可能性を示したことを設計に際して考慮すべきだと指摘。「想定されたM6.5の直下型などを超える地震が発生する具体的危険性があり、原発の多重防護が有効に機能すると考えられない。地震によって、周辺住民が放射線被ばくする可能性がある」と述べ、「原告のうち、最も遠方の熊本県在住者でも許容限度の年間1ミリシーベルトをはるかに超える被ばくの恐れがある」とした。(後略)
 
志賀原発 運転差し止め 金沢地裁命令 「地震の想定、過小」 商業用初 被ばく可能性認定 北陸電力「運転は継続」 毎日新聞  2006/03/24

 
(38)2006/05/26 原発と地震 揺らぐ耐震性 見直し急 耐震指針
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 リアス式海岸が続く福井県敦賀市の敦賀半島。海岸線だけでなく山すそも曲がりくねっている。しかし、岬の先端にある日本原子力発電敦賀原発1号機と隣の2号機の炉心からわずか300メートルほどの山すそは、北西から南東にかけてほぼ一直線になっている。政府の地震調査研究推進本部は04年1月、航空写真などから、ここに活断層が走っている認定。一連の活断層帯が動けば「マグニチュード7.2程度の地震が推定される」と発表した。(後略)
 
原発と地震 揺らぐ耐震性 見直し急 耐震指針 朝日新聞  2006/05/26

 
(39)2006/05/27 原発と地震 活断層調査、割れる評価
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 7基の総出力が計821万キロワットと原子力発電所としては、世界最大の東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)。直下に活断層があるのでは、との疑惑が持ち上がっている。(中略)
 日本中に総延長6500kmあるといわれる活断層。原発を造る時は、近くの活断層がどんな地震を起こすか調べなければいけない。
 ところが、活断層の長さや、どの活断層と一緒に地震を起こすかなどの評価をめぐって、電力会社の調査と、政府の地震調査研究推進本部推本)など他の機関で食い違う例が相次いでいる。
 柏崎刈羽発電所では、近くの活断層について推本が「長さ約83キロ」、東電は「17.5キロ」とそれぞれ評価。昨年11月、東京高裁は東電の評価に軍配を上げた。
 一方、北陸電力志賀原発2号機では、推本は「44キロ」、北陸電力は「8キロ」と評価する。金沢地裁は3月、推本側の判断を採用した。
 
原発と地震 活断層調査、割れる評価 朝日新聞  2006/05/27

 
(40)2006/06/19 南海地震 次は巨大型? 地層に500年周期の跡
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 四国沖を震源とした南海地震は3回に1回、大きな津波を伴う巨大型が起きているとの研究結果を岡村真高知大教授らがまとめた。巨大型の周期は約500年という。(中略)南海地震の周期は100-150年とされ、政府の地震調査委員会は今後30年以内に発生する確率を50%としている。岡村教授は「直近の2回は比較的小規模だったので次は巨大型の可能性が高い」としている。(後略)
 
南海地震 次は巨大型? 地層に500年周期の跡 高知大教授らあす研究発表 静岡新聞  2006/06/19

 
(41)2006/06/30 今月の原発 新耐震設計審査指針のどこが問題か 山崎久隆
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 「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(案)」に対する意見募集が6月22日までの期限で行われていた。(中略)
 以下はパブリックコメントに宛てて送った意見である。(中略)
2.地震調査研究推進本部の採用している活断層評価の方法を採用し、多数断層帯の同時連動を考慮して評価すべきである。
 近年日本各地で起きた地震を見ると、単一の断層ではなく複数の断層が一体となって活動したものがいくつも見られる。
 単独断層だけを評価する方法では、敷地に影響を与える地震の姿を正確に捉えることは出来ないのである。
 兵庫県南部地震も、六甲断層帯と淡路島西岸断層帯が連動したものであるが、事前にそれを知っていたものはどれだけいただろうか。
 しかるに近年、文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会の活断層の評価を明らかにし、日本各地の危険度マップを公表している。
 特に2006年3月に運転差止判決を受けた志賀原発2号機については、邑知潟(おうちがた)断層帯の存在が大きな要因となったものであり、それは地震調査研究推進本部のホームページにもはっきりと示されているとおり、30年確率の最大値が0.1%以上ー3%未満である中程度の危険度(この断層帯は2%以下と評価)を示している。こういった最新の知見を取り入れることこそが原発のような危険な構造物の耐震設計指針に求められるのである。(後略)
 
たんぽぽ舎 今月の原発 新耐震設計審査指針のどこが問題か 山崎久隆 たんぽぽ  2006/06/30

 
(42)2006/08/20 地震に甘い電力会社 国想定の30分の1も 15断層を過小評価
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 全国の原子力発電所周辺にある活断層のうち規模が大きいため国の地震調査研究推進本部推本)の調査対象になった17断層について、毎日新聞社が電力会社の調査結果と比較したところ、15断層で電力会社の方が想定される地震を小さく見積もっていたことが分かった。(中略)
 電力会社が推本の調査前に国に提出した原発の設置許可申請書(耐震指針に基づく審査が始まった78年以降申請分)と、推本が05年3月にまとめた全国の主要98断層の評価結果を比較した。
 17断層が7社9原発の周辺約50キロの範囲にあったが、電力会社の調査で推本と同規模以上の地震を想定していたのは2断層だけだった。
 推本の調査でマグニチュード(M)8級の巨大地震が想定された長岡平野西縁断層帯、柳ケ瀬・関ケ原断層帯、中央構造線断層帯は、電力会社側の想定はエネルギーが約30分の1のM7程度にとどまっていた。(後略)
 
原発設置へ 地震に甘い電力会社 国想定の30分の1も 15断層を過小評価 本社・比較調査 毎日新聞  2006/08/20

 
(43)2006/10/19 伊方原発 耐震安全性再評価へ 指針改定受け四電 国に実施計画書
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 原発の耐震設計審査指針の改定を受け、四国電力は18日、伊方原発(西宇和郡伊方町)の耐震安全性を再評価する手法と工程を示した実施計画書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。新たな基準地震動を策定し、放射性物質を含む原子力圧力容器をはじめ安全上重要な機器や配管などが揺れに耐えられるか調査。(中略)

伊方沖活断層
 日本最大級の活断層である中央構造線断層帯の一部。四国電力は伊方原発3号機増設時に「1万年前以降の活動はない」と主張。岡村真高知大教授らが「約2000年間隔で活動」と発表し、基準地震動を見直した経緯がある。政府の地震調査委員会が03年2月に公表した長期評価では、伊方沖活断層を含む「石鎚山脈北縁西部ー伊予灘」区間が動いた場合、規模は「マグニチュード(M)8.0程度かそれ以上」としている。(後略)
 
伊方原発 耐震安全性再評価へ 指針改定受け四電 国に実施計画書 3号機 08年7月までに報告 全国11事業者も提出 愛媛新聞  2006/10/19

 
(44)2007/07/16 新潟県中越沖地震(M6.8)発生
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(45)2007/07/17 ひずみ集中帯で多発 「中越は活動期」証明 海底断層調査は不十分
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 今回の地震(新潟県中越沖地震)は、プレート(岩板)内部の浅い所で起きた直下地震だ。04年10月の新潟県中越地震と今年3月の能登半島地震と同じタイプといえる。(中略)
 また、専門家からは、中越地域の地下構造の詳細な調査を求める声も強い。今回の震源は海底で、政府の地震調査研究推進本部による活断層調査の対象から外れていた。震源の東側には長岡平野西縁断層帯があるが、陸上より調査が難しいからだ。
 溝上恵・東京大名誉教授(地震学)は「今回も中越地震も隠れた断層が動いて発生した。この地域では今後も同様の事態が考えられ、きちんとした調査と評価が必要だ」と指摘する。
 
ひずみ集中帯で多発 「中越は活動期」証明 海底断層調査は不十分 毎日新聞  2007/07/17

 
(46)2007/07/20 地震国 原発とどう共存 中越沖地震にみる課題 専門家に聞く
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 日本は、地震が多いのに原子力発電所もたくさんあるという世界でも珍しい地域だ。このことを私たちは、新潟県中越沖地震で改めて思い知らされた。活断層調査の信頼性や、原発耐震審査が求めている安全性は十分なものなのか。組織上、制度上の問題はなかったか。専門家の意見を聞いた。

鈴木康弘氏 名古屋大教授(地形学)
(中略)
 これまで、活断層の専門家からみると納得がいかないことが多々あった。たとえば、東京電力の柏崎刈羽原発付近で、政府の地震調査委員会が長さ約83キロとみる長岡平野西縁断層帯を、東京電力は長さ17.5キロとする調査結果を提出し、国はこれを認めた。詳細に調べて、断層帯の一部は、活動していないと判断したとのことだが、根拠の確かさがわからない。(後略)
 
海底活断層の調査、限界も 鈴木康弘氏 名古屋大教授(地形学) 朝日新聞  2007/07/20

 
(47)2007/08/03 原発検証に難題 地質複雑、前提の断層特定手間取る
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 新潟県中越沖地震はどのような断層が起こしたのか、いまだに議論が続いている。だが、想定を大きく上回る揺れが東京電力柏崎刈羽原発を襲ったことははっきりしており、建設時に想定した地震や安全審査が妥当だったか、検証する必要がある。(中略)
 地震翌日、政府の地震調査委員会は東傾斜との見方を示した。だが、東京大地震研究所はその後の詳しい分析で、まず西傾斜の断層で本震が起き、東傾斜はその後の余震の断層を示している可能性を指摘した。(中略)
 
原発検証に難題 地質複雑、前提の断層特定手間取る 中田高氏の話 朝日新聞  2007/08/03

 
(48)2007/08/06 中越沖地震、政府調査委が再議論 「断層の傾き」焦点に
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 政府の地震調査委員会は8日開く定例会議で、新潟県中越沖地震を起こした断層を突き止めるため議論し、新たな見解をまとめる。最大の焦点となりそうなのは断層が海側と陸側のどちらに傾いているか。大地震の可能性がある同原発周辺の別の断層との関連や今後再評価される耐震性の判断基準に大きく影響する見通しだ。
 調査委は地震の翌日の7月17日に臨時会議を開催。気象庁や防災科学技術研究所は、その時点で得られた余震分布などの観測データをもとに、震源断層は日本海側から南東の陸地側に傾斜が下がる「南東傾斜」タイプと分析していた。(後略)
 
中越沖地震、政府調査委が再議論 「断層の傾き」焦点に 日経新聞  2007/08/06

 
(49)2007/10/24 M7級、見落としの恐れ 地表頼りの地震推測 産総研「2回に1回」
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 マグニチュード(M)7クラスの大地震でも地下の断層のずれが地表に現れないことが多く、地表での調査を基に将来の地震を推定する現在の評価方法では、危険な活断層を見落とす恐れが大きいとの分析を、産業技術総合研究所の遠田晋次研究チーム長(地震地質学)がまとめた。地表の断層だけではM6.5以上の6回に5回、M7.0以上では2回に1回の割合で、見落とす恐れがあるという。(中略)
 地震調査委は全国の主要な活断層を対象に、長期的な地震の発生確率を評価しているが、2000年の鳥取県西部地震や04年の新潟県中越地震など、発生確率が比較的低いとされた地域で、地表に露出していない未知の活断層が動いたケースが近年相次いでいる。
 遠田チーム長は「最近、活褶曲がM6,7クラスの地震と関連していることが分かってきた。今後は地質や地形も考慮した方がいい」と話している。
 
M7級、見落としの恐れ 地表頼りの地震推測 産総研「2回に1回」 デリ東北  2007/10/24

 
(50)2007/11/14 震源断層は南東傾斜 中越沖地震 東大地震研が結論
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 中越沖地震の震源となった断層全体の傾きについて、東京大地震研究所の纐纈一起教授のグループが、日本海側は浅く陸側が深い南東傾斜と結論付けたことが13日、分かった。(中略)
 震源断層の傾きについては、南東傾斜説と、陸に向かって浅くなる北西傾斜説で専門家の議論が続いていた。地震調査委は「北西傾斜を指示する意見も依然としてある。慎重を期したい」としており、産業技術総合研究所が実施している海域音波探査の結果などを踏まえて判断していく方針。(後略)
 
震源断層は南東傾斜 中越沖地震 東大地震研が結論 新潟日報  2007/11/14

 
(51)2007/12/06 活断層の過小評価 耐震性 信頼揺らぐ 柏崎刈羽 他原発でも同じ例
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 新潟県中越沖地震の震源だった可能性が指摘されている海底の断層について、柏崎刈羽原発建設時に「活断層でない」としていた東京電力が、活断層だったことを認めた。活断層の過小評価は、耐震設計の信頼性を根底から揺るがす事態だ。(中略)
 毎日新聞が昨年、全国の原発周辺にある活断層のうち、国の地震調査研究推進本部推本)の調査対象になった17断層について、電力会社の調査結果と比較したところ、15断層で電力会社の方が想定地震を小さく見積もっていた。柏崎刈羽原発に近い長岡平野西縁断層帯についても、推本の調査ではマグニチュード(M)8の巨大地震が想定されたが、東京電力の感定はM6.9だった。
 
活断層の過小評価 耐震性 信頼揺らぐ 柏崎刈羽 他原発でも同じ例 毎日新聞  2007/12/06

 
(52)2007/12/28 柏崎刈羽原発 F-B断層 東電評価より10キロ長く 別の活断層も
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 東京電力が柏崎刈羽原発の設置許可申請に伴って過去に実施した海底音波探査調査の評価を覆し、活断層と認定した約二十キロの「F−B断層」は、複数の専門家による設置申請当時の調査データの分析で、東電の評価に比べてさらに十キロ以上長いことが二十七日、分かった。専門家は同時に「F−B断層」より同原発側に近い海域に別の活断層があると分析、東電の評価は依然として甘いと指摘している。
(中略)
 分析したのは、日本活断層学会会長の岡田篤正・立命館大教授(活断層学)、政府の地震調査委員会専門委員の宮内崇裕・千葉大大学院教授(同)、東洋大の渡辺満久教授(地形学)の三人。(後略)
 
柏崎刈羽原発 F-B断層 東電評価より10キロ長く 別の活断層も 新潟日報  2007/12/28

 
(53)2008/01/01 柏崎刈羽原発 警告無視 名前利用「嫌気差した」 突然の辞意
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 これほどの激震に襲われた場所になぜ、原子炉の設置が許可されたのか。中越沖地震で、阪神大震災と同じ最大で震度7を記録した東京電力柏崎刈羽原発。国は一九七七年、専門家による安全審査の審議を経て1号機の設置を許可した。しかし、中越沖地震の揺れは設計時の想定を大幅に超えた。さらに周辺海域に大規模な活断層の存在が明らかになったことによって、国による安全の「保証」は大きく傷ついた。非公開で行われ、厚いべールに覆われてきた三十一年前の安全審査。かかわった人物の証言を基にその実態を検証する。(中略)
 松田は柏崎刈羽1号機を最後に原発審査から一切、手を引いた。「研究で得た知識を必要としている人に知らせるのが研究者の役目。その夢が破れた」
 松田の見解は八二年にまとまった2、5号機の設置審査でも「一連の断層と考える必要はない」と否定された後、残りの号機の審査書では記述すら消された。
 中越地震直前の二〇〇四年十月十三日、政府の地震調査委員会は、気比ノ宮断層と、その北に連なる断層群を「長岡平野西緑断層帯」としてひとくくりにし、M8規模の地震が起こり得ると評価した。二十七年前の松田の見解と同様の内容だった。
 
断層権威の警告無視 名前利用「嫌気差した」 突然の辞意 新潟日報  2008/01/01

 
(54)2008/01/12 「中越沖」断層問題 原発直下への延伸焦点 口を閉ざす調査委員長
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 中越沖地震を引き起こした断層面の傾斜方向をめぐり、意見の分かれていた問題が十一日、決着した。今後、この断層面が同地震で被害を受けた東京電力柏崎刈羽原発の直下まで延びているかどうかが焦点となる。だが、同原発の耐震安全性評価にも影響を与えかねないだけに、地震調査委員会の阿部勝征委員長(東大名誉教授)らは「原発と震源の関係は、経済産業省が考えること」と口を閉ざした。(中略)
 原子力安全委員会審査指針課は「その場合、今ある原発施設が直下の地震に耐えられるかどうかを、あらためて検討することが必要だろう」と、法も想定していなかった事態に戸悪いを見せる。
 会合では、委員の入倉孝次郎・愛知工業大客員教授が、中越沖で震源断層から柏崎刈羽原発方向に向けて強い地震波が集中して伝わる「フォーカッシング現象」があったとする分析を報告。断層面が原発直下に達していなくとも、原発に強い地震波が伝わることを示した。
 
「中越沖」断層問題 原発直下への延伸焦点 口を閉ざす調査委員長 新潟日報  2008/01/12

 
(55)2008/01/12 原因断層は南東傾斜 調査委が見解
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 政府の地震調査委員会(委員長・阿部勝征東京大学名誉教授)は11日、定例会議を開き、昨年7月に新潟県中越沖地震を引き起こした断層が海側(北西)から陸側(南東)に向かって深くなる南東傾斜だったとの見解をまとめた。ごく一部で断層面が分かれて浅い北西傾斜になっている場所もあったとしている。(後略)
 
原因断層は南東傾斜 調査委が見解 日経新聞  2008/01/12

 
(56)2008/03/01 地震震源域における海底地形及び変動地形について
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2007年能登半島地震震源域における海底地形及び変動地形について 海洋情報  2008/03/01

 
(57)2008/03/21 中越沖地震の震源断層 別の活断層と接続か 詳細な調査求める声
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 2007年7月の中越沖地震発生以降続いてきた震源断層の解明が節目を迎えている。政府の地震調査委員会が1月に震源断層の推定モデルを示したこともあり、各研究機関の調査が収束傾向にあるからだ。しかし、地下10キロ以上の深さにあるとされる震源断層の全体像がすべて解明されたわけではない。専門家からは、中越沖の震源断層の一部が別の活断層とつながり、新たな地震を引き起こす恐れがあるとして詳細な調査を求める声が出ている。(中略)
 
中越沖地震の震源断層 別の活断層と接続か 詳細な調査求める声 新潟日報  2008/03/21

 
(58)2008/03/28 「地震で考え変えた」 東電 信頼回復へ慎重期す
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 柏崎刈羽原発周辺で中越沖地震後に行った地質調査の評価結果を27日に発表した東京電力。海底の活断層を従来より長めに評価したほか、これまで否定してきた「長岡平野西縁断層帯」が起こし得る巨大地震の可能性を同原発の耐震対策に反映すると明言するなど、不十分だった過去の地震想定への反省を強調した。(中略)
 これに対し、柏崎刈羽原発反対地元三団体の武本和幸・元刈羽村議は「断層帯は、国の地震調査研究推進本部が以前から指摘していた。東電は地震があって無視できなくなっただけだ」と指摘。「そもそも地震で建物が傾くような敷地で原発は運転できないはずだ」と批判した。(後略)
 
「地震で考え変えた」 東電 信頼回復へ慎重期す 新潟日報  2008/03/28

 
(59)2008/04/01 活断層、原発は安全? 「追認」に転換 耐震性評価
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 原発の直下や間近を活断層が通っている実態が31日、事業者による耐震再評価で明らかになった。いずれも従来、研究者らから指摘されながら否定してきた活断層を追認したものだ。(中略)
 原発や高速増殖原型炉「もんじゅ」が集中する福井県では、事業者が従来否定してきた活断層を大幅に認めた。その結果、関西電力美浜原発やもんじゅの直下、日本原子力発電敦賀原発の原子炉からわずか200メートルを活断層が通っているなど、従来より厳しい前提で耐震性が評価された。(中略)
 活断層の長さは地震の規模と直結する。活断層の認定をめぐっては、たびたび過小評価が問題になってきた。国の地震調査委員会との手法の違いも批判されてきた。(後略)
 
活断層、原発は安全? 「追認」に転換 耐震性評価 朝日新聞  2008/04/01

 
(60)2008/04/26 司法判断と現実に落差 中越沖 地震動 想定の2倍強
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 東京電力柏崎刈羽原発1号機設置許可取り消し訴訟で、一審新潟地裁と二審東京高裁の両判決が認めた国の安全審査の評価と、中越沖地震がもたらした事実とで生じた食い違い。原発が設計時に想定した地震動については特に落差が大きい。
 中越沖地震では、1号機の基礎版上で観測された揺れの強さを示す加速度は680ガルだった。一方、1994年の一審判決は「柏崎刈羽原発で将来発生し得る地震による最大加速度が220ガルのところ、耐震設計で300ガルとした。十分余裕がある」として国の審査を妥当と判断した。
 二審東京高裁では、2004年に起きた中越地震の際、川口町や小千谷市などで観測された1000ガル以上の加速度について法廷で議論になった。住民側は「中越地震と類似の地震が原発の近くで発生すれば(同原発の想定地震動の)300ガルの2−4倍になると主張した。
 これに対し、東京高裁は〇五年の判決で「地震の揺れは地盤の種類、性質によって異なる。柏崎刈羽原発における推定最大加速度は220ガルだ」との判断を示した。(中略)
 04年、政府の地震調査研究推進本部(推本)が、全長80キロ超の同断層帯が一体として動き、マグニチュード8規模の大地震を起こす可能性を指摘した。しかし、東電は1975年の1号機設置許可申請時から同断層帯が一体として動くことを考慮せず、国の安全審査もそれを妥当と認めていた。(後略)
 
司法判断と現実に落差 中越沖 地震動 想定の2倍強 新潟日報  2008/04/26

 
(61)2008/05/15 基準地震動見解ただす 原発監視「地域の会」 柏崎で定例会
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 中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発を監視する住民グループ「透明性を確保する地域の会」の定例会が14日、柏崎市で開かれた。同原発の東側を南北に貫く長岡平野西縁断層帯が引き起こす地震の規模などについて、同会の委員らが意見を交わした。(中略)
 保安院側「東電からまだ基準地震動(の評価)が出てきていないが、もともと国の地震調査研究推進本部がM8相当と評価しているので、同等の地震動を想定することになると思う」と答えた。
 
基準地震動見解ただす 原発監視「地域の会」 柏崎で定例会 新潟日報  2008/05/15

 
(62)2008/06/14 岩手・宮城内陸地震(M7.2)発生
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(63)2008/10/22 柏崎刈羽原発 地質・地質構造に係る報告書
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*4 原子力安全委員会の意見(案)
 「柏崎刈羽原子力発電所の基準地震動策定に係る原子力安全・保安院における検討に際しての意見(案)」(平成20年9月25日耐震安全性評価特別委員会)
 基準地震動とは別に、F-B断層の断層モデルに基づく確認用地震動を策定し、基準地震動の妥当性を確認すること。評価にあたっては、地震調査研究推進本部(2008)による強震動予測レシピに基づき断層パラメータを設定すること。ただし、アスペリティの個数や位置、応力降下量の設定については、新潟県中越沖地震で得られたデータを最大限に活用すること。
 
柏崎刈羽原発 地質・地質構造に係る報告書 東京電力  2008/10/22

 
(64)2009/01/30 原発耐震安全性評価 最新の科学反映 仕組みを検討へ
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 経済産業省原子力安全・保安院は、最新の科学や技術の知見を原子力発電所の耐震安全性評価に反映させる仕組みづくりに着手する。(中略)
 今後は、関係機関を通じて、幅広く情報を集め、公開で専門家に検討してもらう。政府の地震調査研究推進本部や学会などとの連携も強める。
 
原発耐震安全性評価 最新の科学反映 仕組みを検討へ 朝日新聞  2009/01/30

 
(65)2009/02/12 ゆっくりとした長周期地震動 震源近くより首都圏で揺れ
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 近い将来の発生が予想されている東海地震や宮城県沖地震などの海溝型地震で、地面がゆっくりと大きく揺れる長周期地震動が、震源近くよりも遠く離れた首都圏の平野部などで広範囲に起きる可能性があるとの研究結果を、東京大などが11日までにまとめた。結果は、政府の地震調査委員会が「長周期地震動予測地図」として、近く公表する予定。
 
ゆっくりとした長周期地震動 震源近くより首都圏で揺れ 地下構造が影響 茨城新聞  2009/02/12

 
(66)2009/03/19 高田平野東縁断層帯 M7.2確率 最大8% 30年以内
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 政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会(事務局・文部科学省)は18日、上越市から妙高市に至る「高田平野東縁断層帯」で、今後30年以内にマグニチュード7.2程度の地震が発生する可能性が最大8%あると発表した。同委は「主な活断層の中では確率が高いグループに入る」としている。
 
高田平野東縁断層帯 M7.2確率 最大8% 30年以来「可能性ある」 新潟日報  2009/03/19

 
(67)2009/06/12 岩手・宮城内陸地震から1年 警戒活断層倍以上 覆された従来の常識
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 大地震につながる恐れがあるとして、特に警戒中の活断層を、いまの110カ所から倍以上に増やそうという動きが進んでいる。個所を選定している政府の地震調査委員会が、選ぶ基準を大きく見直そうとしているからだ。後押ししたのは、1年前の岩手・宮城内陸地震だ。
 政府が活断層の調査に本腰を入れたのは、活断層によって引き起こされた95年の阪神大震災がきっかけだった。
 地面や岩盤がずれているところが断層で、断層がずれると地震が起きる。そのなかで、ここ数10万年という地質学では新しい時代に活動し、その跡が地表に残る断層が「活断層」と呼ばれる。今後も繰り返し活動すると考えられている。航空写真を使った判読により、国内では約2000カ所見つかっている。
 活断層が起こす地震の規模(マグニチュード=M)は過去の経験から、地表に残っている跡が長いほど大きくなると考えられている。約20キロならM7、約80キロならM8と予測される計算式が使われる。
 阪神大震災後に発足した政府の地震調査委は97年、地震の研究が防災に生かされていなかった反省から、特に警戒が必要な活断層として長さ20キロ以上ある98カ所(05年に12追加)を選んだ。地下調査などを実施し、将来の大地震発生の確率をはじき出した。
 ところが、00年の鳥取県西部、04年の新潟県中越、07年の新潟県中越沖と、大地震を想定しなかった断層でM7前後の地震が相次いだ。「短い活断層で大きな地震は起きない」という従来の常識は覆されてしまった。
 しかも、岩手・宮城地震を起こした断層は、そもそも活断層と位置づけられてもいなかった。「20キロ以上」という物差しだけで活断層を評価することは限界に来ていた。
 調査委は評価手法の見直しをするため、05年に地震や地質、防災などの専門家11人で検討会を発足させたが、岩手・宮城地震の発生が議論を加速させた。
 
岩手・宮城内陸地震から1年 警戒活断層を倍以上に 覆された従来の常識 朝日新聞  2009/06/12

 
(68)2009/08/30 和歌山沖プレート境界分岐断層 東南海地震に関与か
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 海洋研究開発機構の科学掘削船「ちきゅう」で、和歌山・新宮港の南東沖約85キロの海底下を掘削したところ、東南海・南海地震を引き起こすプレート境界断層から枝分かれした分岐断層が、195万年前から活動を開始したとみられることが分かった。木村学東京大教授らの国際研究チームがこのほど、英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス電子版に発表した。(中略)
 政府の地震調査研究推進本部によると、東南海地襲の予想規模はマグニチュード(M)8.1、今後30年以内の発生確率は60〜70%。南海地震はM8.4で50〜60%。
 
和歌山沖プレート境界分岐断層 195万年前から活動 東南海地震に関与か 静岡新聞  2009/08/30

 
(69)2009/10/08 大地震対策、原発は大丈夫か
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 「民主党に原発推進の再考望む」(9月27日)に勇気づけられました。サモア、スマトラ沖地震は中部電力浜岡原発にとってもひとごとではありません。
 8月11日の駿河湾を震源とするマグニチュード(M)6.5の地震で、浜岡原発1号機の取水槽周辺で最大15センチの地盤沈下、5号機でモーター故障などの影響がありました。(中略)
 政府の地震調査研究推進本部によれば東海地震が今後30年以内に起こる確率は87%。中部電力は耐震設計など安全性を強調していますが、8月11日の地震の被害状況を見るに、M8級と想定される東海地震の激しく長い揺れ耐えうるのか。不安に思います。
 
大地震対策、原発は大丈夫か 無職 春日孝次郎 朝日新聞  2009/10/08

 
(70)2011/03/11 東日本大震災(M9.0)発生
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(71)2011/03/27 津波対策促した研究者落胆 「あと数年あれば・・・」
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 東日本大震災の発生前に、沿岸部の地層調査などから巨大津波に襲われる可能性を指摘し、対策を急ぐよう警告していた産業技術総合研究所(茨城県つくば市)。研究者は「あと数年先なら、もっと手を打てたはず」と肩を落としている。
 同研究所の研究チームが調査を始めたのは2004年。東北では三陸海岸がたびたび津波被害を受けた歴史があり、専門家の間では古文書の記載などから、869年の貞観地震で仙台市なども巨大津波に襲われたと推定されていた。(中略)
 政府の地震調査研究推進本部(本部長・高木義明文部科学相)もこうした指摘を受け、2011年春の改定で国の防災対策の基になる「地震活動の長期評価」に反映させる準備をしていた。
 宍倉チーム長らは自治体の防災担当者らにも訴えたが「そんなことを言われても」と反応は鈍く、東京電力も昨年、福島県沿岸部で古い津波の痕跡を調べ始めたが、原発の対策強化にはつながらなかった。
 
津波 警鐘間に合わず 対策促した研究者落胆 「あと数年あれば・・・」 日経新聞  2011/03/27

 
(72)2011/04/06 「東北に巨大地震」予測していた 地震調査本部 福島県に説明直前
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 国の地震調査研究推進本部が、宮城県沖から福島県沖まで連動する巨大地震を、長期評価の対象に追加し、今月公表する方針だったことが分かった。大津波を伴う約1150年前の巨大地震の全休像が最近明らかになってきたためで、同本部は宮城県には2月に事前説明を終え、福島県にも3月中に説明する予定だった。公表を目前に東日本大震災が起きたことに対し、専門家からは「想定されていたより大きい地震が発生する可能性を、事前に伝えておけば……」と悔やむ声も出ている。
 同本部では2005〜09年度、宮城県沖で起きる地震を重点調査。古文書の記録で知られていた869年の貞観地震は宮城県−福島県沖の長さ200キロ、幅100キロの断層がずれたマグニチュード(M)8クラスとみられ、津波により宮城−福島県沿岸部の内陸3〜4`まで浸水していたことを地質調査やコンピューターの想定実験で明らかにした。東日本大震災の浸水域は最大5キロ程度。
 調査ではまた、貞観地震の前後400〜500年の地層にも、津波の痕跡とみられる堆積層が見つかった。
 長期評価ではこれまで、宮城県沖で発生する地震については、三陸沖南部海溝寄りの領域の地震との連動しか想定していなかったが、調査結果を受けて福島県沖を含む三つの領域内での連動を新たに加えることにした。今月にも公表する予定だったが、東日本大勇災(M9.0)は三陸沖、茨城県沖も含み、さらに広い範囲で連動したため、長期評価は根本的な見直しを迫られている。
 巨大地震の可能性に迫りながら、長期評価や防災対策に生かせなかった点について、長期評価の部会委員を務める松沢暢・東北大教授は「想定された宮城県沖地震よりも大きな地震が過去に起きていたことを事前に伝えられず、後悔している。ただ、今回の震源域は長さ450キロで、貞観地震を上回る規模だったと考えられる。世界中の地震学者が想定しない領域でM9の巨大地震が起きたメカニズムを、しつかり調べたい」と話している。

長期評価
 東日本大震災のようなプレート境界で発生する海溝型地震や、内陸部の活断層で起きる地震について、過去のデータなどから地震の規模や一定期間内に発生する確率を予測するもの。海溝型は全国6地域の約30の地震について、評価している。宮城県沖M7.5前後の地震は30年以内に99%の確率で発生し、三陸沖南部海溝寄りと連動するとM8.0前後が同80〜90%としている。
 
「東北に巨大地震」予測していた 地震調査本部 福島県に説明直前 読売新聞  2011/04/06

 
(73)2011/04/28 日本の地震学、改革の時 ロバート・ゲラー
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 東京大学のロバート・ゲラー教授は「日本政府は、欠陥手法を用いた確率論的地震動予測も、仮想にすぎない東海地震に基づく不毛な短期的地震予知も、即刻やめるべきだ」と主張する。
 石橋克彦・神戸大学名誉教授をはじめとする一部の地震学者が、20年以上も前から地震や津波による原子力発電所の損壊と放射性物質の漏洩の危険性を指摘してきたにもかかわらず、この指摘はほとんど顧みられることはなかった。3月11日のマグニチュード9.1の東北地震(東日本大震災)のあとでさえ、テレビなどで今回起きた地震と津波を「想定外」と語る解説者は多い。
 ならば、「想定内」の地震とは何なのか。それは、日本政府の地震調査研究推進本部(以下、推進本部)が仮定した、地域ごとの固有地震を指していると思われる。そこでは、それぞれの地域に対して、断層パラメータなどを入力データとして、確率論的地震動予測地図1を導き出している(地図を参照)。
 図1:リアリティチェック
 毎年日本政府は、確率論的地震動予測地図を公表している。しかしながら、1979年以降、10人以上の死者をもたらした地震はリスクが低いとされた地域に起きている。
Source: 地震調査研究推進本部 全国地震動予測地図
-地図を見て 私の街の 揺れを知る- 地図編 2010年版
 
日本の地震学、改革の時_ロバート・ゲラー NATURE  2011/04/28

 
(74)2011/05/07 浜岡原発 全面停止へ 首相、中部電に要請
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 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)は六日、地震、津波対策を強化するまでの間、すべての原子炉の運転を停止する見通しになった。菅直人首相は六日夜の記者会見で浜岡原発について今後、発生する可能性が高い地震、津波に対して十分な安全性が確保されていないことを理由に稼働中の4、5号機を含め「すべての原子炉を停止すべきだと判断した」と表明。首相の方針を受け、海江田万里経済産業相は中部電力に全面停止を要請した。中部電力は六日夜、要請内容を「迅速に検討」する考えを強調。要請を最終的には受け入れ、全面停止に踏み切る見通しだ。(中略)
 浜岡原発が東海地震の震源域に位置し、文部科学省の地震調査研究推進本部が今後三十年以内にマグニチュード(M)8程度の地震が発生する可能性を87%と予測していることも指摘した。(後略)
 
浜岡原発 全面停止へ 首相、中部電に要請 地震・津波 対策不十分 東京新聞  2011/05/07

 
(75)2011/05/10 浜岡原発停止を決定 中部電 政府の要請受諾 東電へ融通打ち切り
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 中部電力は9日午後の臨時取締役会で、政府による浜岡原発(静岡県御前崎市)の全面停止要請の受諾を決めた。運転中の浜岡原発4、5号機は数日内にl基ずつ停止する。電力不足を回避し安定供給を続けるため、政府と一体になって、休止中の火力発電所の再開や他の電力会社からの支援で電力確保に全力を挙げる。(中略)
 政府が中部電力に浜岡原発(静岡県)の運転停止を要請する根拠としたのは、国の地震調査委員会が作成した「全国地震動予測地図」だ。30年以内に震度6強以上の揺れに襲われる確率は、浜岡原発が83.6〜84.0%と圧倒的に高かった。
 ただ、東日本大震災で震度6強に見舞われた東京電力福島第1(福島県)は、ほぼ0.0〜0.8%と極めて低い確率と見込まれていた。地図作成に当たった島崎邦彦・地震予知連絡会会長は「予測は一般防災用で、より厳しい想定が必要な原発防災に用いるべきではない。そもそも東海地震は『明日来てもおかしくない』と想定しており、確率にあまり意味はない」と指摘している。
 首相が挙げた数字「87%」は、政府の地震調査委島会が、過去の他震の周期などからはじき出したものだ(今年1月現在)。(後略)
 
浜岡原発停止を決定 中部電 政府の要請受諾 東電へ融通打ち切り 東奥日報  2011/05/10

 
(76)2011/05/10 浜岡だけが特別なのか 福島は0.0〜0.8% 「他の原発心配ない」は暴論
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 浜岡原発が全面停止となる。しかし菅直人首相は同原発の危険性を「特別なケース」と強調。国策として原子力を主要なエネルギーとする方針は崩しておらず、ていのいい「ガス抜き」、パフォーマンスのにおいはぬぐい切れない。浜岡原発は本当に「特別」なのか。ほかの原発は危険ではないのか。
 「三十年以内にマグニチュード(M)8程度の東海地震が発生する可能性は87%と切迫している。特別な状況を考慮した」。菅首相は」浜岡原発の停止を要請した理由について、こう述べた。
 仙谷由人官房副長官もNHKの討論番組で八日、東海地震の発生確率の高さを強調し、一方で「日本海側、瀬戸内にある原発はまず心配ない」と大見えを切った。
 だが、地震予知連絡会前会長の大竹政和東北大名誉教授は、「日本ではどこの原発にも一定のリスクがある。なぜ、浜岡だけが飛び抜けて危険性が高いのか、詳しい説明がない。専門家と検討していないのではないか。菅首相の人気取りのためのパフォーマンスのように感じる。まず、全体のエネルギー政策をどうするのか方向性を示すべきだ」と疑問を投げかけた。
 
「M8級87%」確率突出だが 「浜岡」だけが特別なのか 東京新聞  2011/05/10

 
(77)2011/06/10 大地震予測見直しへ 政府調査委長期評価 三陸沖、南海トラフで
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 政府の地震調査委員会(阿部勝征委員長)ば9日、東日本大震災を受け、海溝型地震の30年以内の発生確率や予想規模などの長期評価を大幅に見直すことを正式決定した。三陸から千葉県・房総半島沖にかけては今秋、「南海トラフ」を震源域とする東海・東南海・南海地震は来春をめどに評価を改定する方針だ。
 大震災を受け三陸−房総沖などで巨大地震の懸念が高まっていた。そのほかの海域も順次、見直しに着手する考えだ。
 菅直人首相は、地震調査委の「東海地震が30年以内に発生する確率87%(参考値)」との評価に基づき静岡県・浜岡原発の運転停止を要求。評価改定の内容によっては、他の原発の運転に影響する可能性もありそうだ。
 調査委は今年1月現在、宮城県沖地震はマグニチュード(M)7.5前後が30年以内に起きる確率を99%、東南海地震はM8.1が70%程度、南海地震はM8.4が60%程度などとしていた。
 見直しは@過去の津波による堆積物A海底の断層B海底の地殻変動−の調査結果も加味。東日本大震災のように過去に発生例が確認されていないようなケースでも評価できるよう、手法を改定する。
 
大地震予測見直しへ 政府調査委長期評価 三陸沖、南海トラフで 東奥日報  2011/06/10

 
(78)2011/06/24 南海地震M9で大阪水没 津波5.5メートル
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 東日本大震災と同じマグニチュード(M)9.0級の南海地震が起きた場合、大阪に押し寄せる津波の高さが5.5bとなり、大阪府内の平野部の大半が水没する恐れがあるとの試算を関西大社会安全学部学部長の河田恵昭教授がまとめ、23日、大阪市内で開かれた共同通信社のきさらぎ会の講演で明らかにした。
 津波は斜面を上るため、被害地域はさらに広がる可能性もある。河田教授は「防災計画には最悪のシナリオが必要だ」として、大都市に特有の地下鉄や地下街への浸水対策や、防波堤の整備などを訴えている。
 文部科学省地震調査研究推進本部や河田教授によると、南海地震の30年以内の発生確率は60%程度。M8.4と想定され、大阪湾を襲う津波の高さは2.5メートルとされていた。Mが0.2増加すると、津波の高さは平均1.3倍に。M9.0なら想定よリ3メートル高くなる。(後略)
 
南海地震M9で大阪水没 津波5.5メートル 地下浸水対策訴え 関西大 福井新聞  2011/06/24

 
(79)2011/07/04 止めてなお残る危険 東海地震の震源域中央
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 浜岡原発は将来予想される東海地震の想定震源域のほぼ中央に立地し「世界一危険な原発」と呼ばれてきた。中部電力は安全性を強調するが、政府が「特別なケース」として全面停止を要請したため、あらためて問題点が浮き彫りとなった。
 東海地震は駿河湾西部から遠州灘東部の海溝を震源域とし、100〜150年の周期で発生するマグニチュード(M)8以上、震度6強の大型地震。安政東海地震(1854年)から150年以上経過し、いつ起きてもおかしくない状態。直下型のため、沖合が震源だった東日本大震災より被害規模が大きく、津波が数分程度で襲来し避難も難しいとされる。
 「浜岡原発の危険性は格段に高い」。元地震予知連絡会長の茂木清夫東大名誉教授が話す。文部科学省地震調査研究推進本部によると、30年以内に東海地震が発生する被災確率は87%と突出している。福島第1原発でさえ0.0〜0.8%だ。(後略)
 
止めてなお残る危険 東海地震の震源域中央 使用済み 地震大国 福井新聞  2011/07/04

 
(80)2011/07/04 誘発地震 どの活断層も危険性 遠方でもずれ発生
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 東日本大乗災が起きて以降、東北から離れた地域でも大規模な地震が頻発している。震源域の海底プレートが大きく揺れ動いたことで、各地の活断層がずれる「誘発地震」だ。全国の主要な活断層は109を数える。大地震の発生地から遠方にいたり、時間が経過しても、誘発地震の備えは常に必要だ。(中略)
 中部地方には国が観測を続ける主要な活断層が30を超す。その中で、政府の地震調査委員会は6月9日、牛伏寺(ごふくじ)断層(長野県松本市、塩尻市)で誘発地震の可能性が高まったと発表。そして同30日には松本市でM5.4の地震が発生し1人が死亡、10数人が重軽傷を負い、国宝松本城にもひびが入った。気象庁は午伏寺断層との関連を調べている。(後略)
 
どの活断層も危険性 遠方でもずれ発生 高まる発生確率 中日新聞  2011/07/04

 
(81)2011/07/12 三浦半島 地震確率高まる 震災影響 断層動きやすく 政府調査委
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 政府の地震調査委員会は11日、東日本大震災の大地震の影響が続いており、神奈川県の三浦半島断層群でも地震の発生確率が高まった可能性があると発表した。同断層群が活動した場合、地震の規模は最大マグニチュード(M〉6.7以上、横須賀市や横浜市などで最大震度7と予想され、従来は今後30年以内の発生確率が最大11%と評価されていた。この数字が具体的にどの程度高くなったかは不明だが、断層が動きやすくなったと考えられるという。(後略)
 
三浦半島 地震確率高まる 震災影響 断層動きやすく 政府調査委 静岡新聞  2011/07/12

 
(82)2011/08/09 地震考古学 河川改修や低地居住で被害 貞観の教訓生かせず
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 平安時代の貞観11(869)年、三陸を巨大地震が襲った。当時の史書「日本三代実録」によると、古代陸奥国の国府があった多賀城(宮城県多賀城市)で城郭や門が倒壊。大津波が川をさかのぼり、千人が溺死した。
 東北歴史博物館の柳沢和明上席主任研究員は「東日本大震災と似ている。多賀城は丘陵を囲むような構造。近くの砂押川が直線に改修されており、津波が真っすぐ押し寄せた。中心は高台で浸水を免れたが、低い城下に住む庶民や兵士、役人が巻き込まれた」と話す。今回も砂押川で津波の遡上(そじょう)が記録されている。
 「実録」の真偽は不明とされ、貞観津波はあまり知られていなかったが、1990年代から多賀城跡などでは海砂のような地層が発掘されていた。「確証がなく、報告書には津波と明記されなかった。あの時、もっと声を上げていれば…。地質、地震学者と連携が必要だった」と悔やむ。(中略)
 研究成果は、この4月に政府の地震調査研究推進本部が評価を公表、防災対策の指針に盛り込まれるはずだった。宍倉チーム長らが関係自治体に説明に行こうとしていた矢先、震災が起きた。
 「地震は同じような場所で繰り返される。過去を知ることは、将来を予測する一番有効な手段。前の規模が分かれば『想定外』を減らせる。土地の歴史を知り、心構えをしてほしい」と話した。
 
河川改修や低地居住で被害 「貞観」の教訓生かせず 東奥日報  2011/08/09

 
(83)2011/08/24 10メートル超の津波想定 08年試算 震災4日前に保安院へ報告
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 東京電力は24日、福島第1原子力発電所に最大10.2メートルの津波が来て、押し寄せる水の高さ(遡上高)が15.7メートルになる可能性があることを2008年に社内で試算していたことを明らかにした。東日本大震災後、東電は福島第1原発を襲った津波の大きさを「想定外だった」と説明してきた。試算を踏まえて対策していれば原子炉が炉心溶融するという最悪の事態を回避できた可能性があった。(中略)
 東電は02年の土木学会の津波評価をもとに、福島第1原発での想定津波の高さを最大5.7メートルと設定していた。08年に、869年の貞観地震や国の地震調査研究推進本部の見解などをもとに、巨大地震時の津波の規模を試算。福島第1原発の5〜6号機に来る津波が10.2メートル、防波堤南側からの遡上高は15.7メートルという結果をまとめた。
 
10メートル超の津波想定 東電が08年試算 震災4日前に保安院へ報告 日経新聞  2011/08/24

 
(84)2011/08/25 地震学会 「想定外」問い直しへ 大震災で臨時委設置 来春提言
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 「これまでの研究に何が足りなかったのか」。マグニチエード(M)9.0という観測史上最大級の地震となった東日本大震災は、多くの地震学者にとって「想定外」だった。約2千人の専門家らが加入する日本地震学会(会長・平原和朗京大教授)は25日までに、研究の在り方を問い直す臨時委員会を設置し、検討を始めた。(中略)
 特に東日本では平均約37年周期で繰り返し発生し、政府の地震調査委員会が「今後30年以内の発生確率99%」としていたM7.5前後の宮城県沖地震が知られ、平原会長は「宮城県沖地震に関心が集中し過ぎていたのかもしれない」と話す。
 1995年の阪神大震災の後には全国に地震計などの観測網が整備され、緊急地震速報がスタート。しかし当時、これらの政策に「必ずしも研究者が積極的に関与したとば言えない」との声もあり、臨時委では研究者や学会の政策に対する姿勢や、社会との関わりについても検証するという。(後略)
 
地震学会 「想定外」問い直しへ 大震災で臨時委設置 来春提言 東奥日報  2011/08/25

 
(85)2011/08/25 東電 10メートル超す津波試算 福島原発 08年、対策取らず
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 東京電力は24日、2008年4〜5月に福島第1原発に高さ10メートルを超える津波が来る可能性があると試算していたと明らかにした。しかし、実際の津波対策にこの試算結果を反映せず、経済産業省原子力安全・保安院へも震災直前の3月7日まで3年近く報告していなかった。(中略)
 試算は、政府の地震調査研究推進本部の見解をもとに、三陸沖から房総半島沖にかけての海溝付近でマグニチュード(M)8.2程度の地震が起きたと想定。東電はこのほか第l原発に6メートルを超える津波の可能性があるとも試算、09年9月に口頭で保安院に報告した。保安院の森山善範原子力災害対策監は、震災直前の報告について「その後の対応は検証されないといけない」と述べた。
 
東電 10メートル超す津波試算 福島原発 08年、対策取らず 東奥日報  2011/08/25

 
(86)2011/09/10 下呂の阿寺断層帯 「地震確率が上昇」 政府調査委が分析
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 政府の地震調査委員会(委員長・阿部勝征東京大名誉教授)は九日、東日本大震災による地殻変動の影響を受け、阿寺断層帯(岐阜県)で地震発生確率が高まった可能性があるとの分析結果を発表した。
 
下呂の阿寺断層帯 「地震確率が上昇」 政府調査委が分析 中日新聞  2011/09/10

 
(87)2011/09/16 明応東海地震の津波 標高36メートルまで到達か 東日本大震災に匹敵
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 室町時代の1498年に発生した大地震「明応東海地震」で、古文書の記録や伝承から、静岡県沼津市で津波が斜面を駆け上り標高36メートルを超える地点まで達していた可能性があることが15日、東京大学地震研究所などの調査で分かった。東日本大震災では、岩手県宮古市の斜面を39.7メートルまで津波がさかのぼったとする調査報告がある。(中略)
 静岡県は東海地震の津波被害の想定として1854年の安政東海地震を目安としているが、東大地震研の都司嘉宣准教授は「明応東海地震の津波の高さは安政東海地震の3〜4倍あり、防災指針を見直すべきだ」としている。
 国の地震調査研究推進本部によると、明応東海地震は東海沖から四国沖の滴底にある溝状の地形「南海トラフ」沿いに起きた大地震。マグニチュード(M)は8.3程度で、津波が紀伊半島から房総半島まで達したとされている。
 
明応東海地震の津波 標高36メートルまで到達か 東日本大震災に匹敵 東奥日報  2011/09/16

 
(88)2011/10/15 予測されたにもかかわらず,被害想定から 外された巨大津波
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 国の行政判断の誤りによって,今回の津波災害と原発事故が発生した。誤った判断へと導いた津波や地震の専門家の論拠が問われる。これには原発に関わる想定が密接に絡んでいた。(中略)
 この「政府の予測」とは何か?地震調査研究推進本部(通称,地震本部地震調査委員会長期予測(2002年7月31日公表)に他ならない。
 この小文ではまず,この地震調査委員会長期予測(以下では,地震本部の呼び方に従って長期評価という)の内容を説明する。次に,評価結果公表の前後から,その後の経過をたどり,国の行政判断の誤りが今回の震災,原発事故を招いたと結論する。(中略)
 2002年7月31日の地震調査委の長期評価公表に関連して,さまざまな動きがあった。まず,公表直前に委員会の審議を経ることなく,表紙に一段落(最後の段落で,これ以前の報告書には類似の段落はなかった)が加わった。「データとして用いる過去地震に関する資料が十分に無いこと等による限界」を考えて,「防災対策などの評価結果の利用にあたって」は注意するようにとの内容である。内容には問題がないものの,発表直前に電話で了解を求められたことに違和感を覚え,筆者はこの段落の挿入にあくまでも反対した。電話は喧嘩分かれに終わり,段落が加わった形で公表された。
 東北地方太平洋岸の北部にのみ高い津波を想定するという,国の行政判断が,巨大津波の多大な犠牲者と原発事故とをもたらした。地震本部地震調査委員会の考え方を捨て,土木学会原子力土木委員会津波評価部会の考え方を,中央防災会議が採用したためである。(中略)
 地震調査委の長期評価を用いた2008年の「試算」で,福島第一原子力発電所で10mを超える津波となることを知りながら,東京電力は何の対策も行わなかったと伝えられた。しかし2006年の国際会議で,東京電力の技術者らは,福島第一原発に対する確率津波評価について,地震調査委の長期評価のケースを含めて発表している。地震調査委の長期評価を採用すれば,福島第一原発で10mを超える津波となることは,かなり以前から知られていたに違いない。(後略)
 
予測されたにもかかわらず,被害想定から 外された巨大津波 島崎邦彦 科学  2011/10/15

 
(89)2011/10/18 揺らぐ地震学予知予算 乏しい成果
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 純米吟醸でお清めされた長さ8.2メートルの金属棒が、やぐらにつるされ、地下514bの穴にゆっくりと下りていった。
 岐阜県瑞浪市で9月、ひずみ計と呼ばれる岩盤のわずかなゆがみを検出する機器が埋められた。費用は約2億円。ひずみ計は、気象庁などが東海地震の予知を目指して34カ所に設置して、前兆となる岩盤の変化をとらえようとしている。
 だが、前兆があるかは、24時間態勢で監視する気象庁も「わからない」。東海地震と同じ海溝型地震だった東日本大震災では同種の前兆は確認されなかった。(中略)
 日本では95年、阪神大震災への警告を出せなかった地震学者が批判された。
 その教訓で政府は地震調査研究推進本部を設立。直前の予知ではなく、将来、大地震が起こる場所や規模を予測して、その発生確率を示す「長期評価」を続けてきた。東海地震は30年以内に起きる確率を「87%」と算出された。前首相の菅直人は、これを浜岡原発を止める理由とした。
 だが、長期評価もほころんでいる。
 00年の鳥取県西部、04年の新潟県中越、05年の福岡沖、07年の能登半島、08年の岩手・宮城内陸、いずれの地震も長期評価の対象外。そして東日本大震災。
 長期評価は、同じ場所で同規模の地震が繰り返す考え方が前提だが、過去に地震を起こした活断層の調査は十分でなく、古文書に残る地震も解釈がわかれる。元地震予知連会長の茂木清夫は「役立たないわけではないが、あまり信用しない方がいい」と話す。
 
揺らぐ地震学予知予算_乏しい成果 朝日新聞  2011/10/18

 
(90)2011/10/25 縄文ムラに90メートルの地割れ 双葉断層北側動く?
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 掘っても掘っても、底が見えない溝。「まるで地面に開いた大きな口。自分は一体何を発掘しているんだろう?」。1990年秋、福島県相馬市の段ノ原B遺跡を調査していた同県文化振興事業団の吉田秀享副主幹は、連日頭を悩ませていた。
 宮城県境に近い丘陵上に広がる縄文時代前期の大集落跡。最も栄えた約6千年前は、約4万7千平方メートルの範囲に約100棟の竪穴住居があった。
 ジグザグに延びる奇妙な溝が現れたのば、丘陵の肩に近いムラ東端。長さ約90メートル、幅4〜5メートル、深さ2メートル以上もあり、底から大量の土器や木を燃やした跡が見つかった。
 「地割れですよ」。謎を解いたのは、石材の調査に訪れた地質学者。周囲には、地滑りで左右が食い違った地層もあった。「地震考古学という言葉も知らなかった。驚きました」。溝の中にあった土器から、地震はムラの最盛期と考えられた。
 双葉断層は、政府の地震調査委員会が「東日本大震災の影響で地震発生確率が高まった可能性がある」と発表した五つの活断層の一つ。2005年の長期評価では「今後30年以内に地震が発生する確率はばぼゼロ」とされたが、震災後は周辺で誘発地震が続いている。(後略)
 
縄文ムラに90メートルの地割れ 双葉断層北側動く? 東奥日報  2011/10/25

 
(91)2011/11/10 未熟な地震学
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 マグニチュード(M)9.0の巨大地震というおおかたの予想を超える東日本大震災が発生したことを受け、地震学着から「地震学の敗北だ」との声が上がっている。
 地震学は本当に敗北したのか。過去の記録から東北沖合の地震はM8の前半までという見方はあった。だがそれは一つの仮説にすぎなかった。検証されたわけではないのだ。
 問題は仮説がいつの間にか、政府のお墨付きのもっともらしい「予測」となってしまったことにある。
 そこで異議を唱えなかった地震学者たちの責任はある。人間関係や、自らの研究分野を守ろうとするムラ意識。地震を予知できないのに、国家町研究プロジェクト「地震予知計画」や、大規模地震対策特別措置法を延命させたのと同じ構図だ。
 しかし本当に敗北したのは、まだまだ未熟な地震学を、その実力を超えるレベルで防災に使おうとした企てなのだ。その点を検証し、改めていく必要がある。
 1995年の阪神大震災を機に、政府はそれまでの地震予知推進本部を廃止して、地震調査研究推進本部をつくり、国内の地震の「長期評価」を進めてきた。
 その中で、地表近くに地震が残した傷痕″である活断層などを調べ、将来どこでどんな地震が起こるのかという予測と、その地震がこの先30年、50年といった期間に起こる確率を示している。
 だが、予測や確率を導く方法に誰もが納得しているわけではない。仮説にすぎないのだ。科学でば仮説は論文で発表し、批判を仰ぐのが普通なのに、長期評価にはそんなプロセスもない。
 さらに長期評価は東日本大震災は言うまでもなく、2008年の岩手・宮城内陸地震(M7.2)など近年の大きめの地震も予測することができず、実用性にも大いに疑問が持たれている。
 科学にも社会にもあまり役に立っていないのだから、多くの税金を投じて続ける理由はない。推進本部は長期評価から手を引くべきだ。後は普通の研究に任せればいい。
 大震災で問題となった原発の地震対策でも、耐震設計に使う地震の想定を改める必要がある。
 現在は長期評価と同様、個々の原発で周辺の活断層などを調べ、将来起こり得る地震を想定する。だが、その予測が当たる保証はない。それが地震学の今の実力なのだ。
 今回の原発事故の最大の教訓は「原発は最悪の事態に備えなければならない」ということだ。立地場所によらず、最大の揺れ、最大の地盤変形、最大の津波を全国一律で定めるのが基本だろう。
 脱原発といっても、即廃止というわけにはいかないのが現実だ。対策見直しには費用がかかるが、地震大国で運転を続ける以上、避けては通れない。政府が進める原発の耐震基準見直し作業では、.研究者も地震学が正しく使われるよう作業に参加したり、外から積極的に発言したりしてほしい。それが信頼を取り戻す道ではないか。(共同通信記者 辻村達哉)
 
未熟な地震学 東奥日報  2011/11/10

 
(92)2011/11/25 東北の大地震 600年周期 今後50年「ほぼ0%」
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 政府の地震調査委員会(阿部勝征委員長)は24日、東北地方の太平洋沖で東日本大震災のような巨大地震が、過去2500年に4回起きていたことが確認できたとして、地震が繰り返す平均間隔を600年程度とする長期評価をまとめた。
 次の大地震は、宮城県沖から福島県沖にかけてマグニチュード(M)8.4〜9.0前後の規模となり巨大津波が発生する可能性があるが、今後50年以内に起きる確率は「ほぼ0%」としている。
 調査委は、東日本大震災を受けて、三陸沖から千葉県・房総沖に今後30年以内に起きる地震の発生確率や、予想される規模などの評価の見直し作業を進めている。
 調査委によると、宮城県から福島県にかけての太平洋沿岸の調査で、過去2500年に4回の津波堆積物が残っているのを確認。うち一つは869年に多数の死傷者を出した貞観地震だった。ほかは15世紀、4〜5世紀、紀元前3〜4世紀に起きた痕跡があり、今回の大震災も含めた発生間隔は400〜800年と推定した。
 この領域では、貞観津波の調査などから巨大地震は「千年に1回」などとされていたが、周期や規模をめぐっては議論が続いていた。一方、これまで「30年以内に99%の確率で起きる」としていた宮城県沖地震については、「大震災後に(地殻の)変動が観測され続けている」として将来の発生確率は「不明」とした。
 調査委は「余震として起きるM7程度の地震は、長期評価より高い確率で発生する可能性がある」として、引き続き警戒を呼び掛けている。
 
東北の大地震 600年周期 今後50年「ほぼ0%」 政府調査委が長期評価 東奥日報  2011/11/25

 
(93)2011/11/25 巨大津波地震は「600年間隔程度」 政府調査委
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 東日本大震災の巨大地震を受けて見直しを進めてきた大規模地震の長期評価で、政府の地震調査委員会が、東北地方太平洋沿岸で巨大津波を伴う地震の発生間隔を「600年程度」とする報告書をまとめたことが分かった。(後略)
 
巨大津波地震は「600年間隔程度」 政府調査委 中日新聞  2011/11/25

 
(94)2011/11/25 M9級「30年内に30%」 政府が予測 三陸〜房総沖
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 東日本大震災を受けて、政府の地震調査研究推進本部地震本部)は24日、三陸沖から房総沖で起きる恐れがある地震の発生確率を見直した結果を公表した。将来起きる地震の予測として初めてマグニチュード(M)9を想定。三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りで、今後30年以内にM9クラスの地震が30%の確率で起きると予測した。
 
M9級「30年内に30%」 政府が予測 三陸〜房総沖 朝日新聞  2011/11/25

 
(95)2011/11/26 大津波 30年内に30% 三陸−房総沖震源 震災で上昇 政府調査委
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 政府の地震調査委員会(阿部勝征委員長)は25日、三陸沖北部から房総沖の海溝寄りにかけてのプレート(岩板)間で、死者2万人以上を出した明治三陸地震で発生した大津波と同規模の津波を引き起こす地震の発生確率を、今後30年で30%程度とする長期評価を公表した。
 
大津波 30年内に30% 三陸−房総沖震源 震災で上昇 政府調査委 東奥日報  2011/11/26

 
(96)2011/12/02 当社の津波対策の経緯と津波試算の位置付け
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 平成23年3月11日、14時46分、三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生し、その後、福島第一原子力発電所に史上稀に見る津波が襲来した。
 当社では、これまで津波対策を実施してきたが、結果として、想定を遙かに上回る津波の襲来となった。
 当社の津波に関する検討の参考として、地震に関する研究機関等の主張に対して、仮定に基づく試算をしていたことをもって、当社が津波を想定していたにもかかわらず、対応を怠ったという指摘がある。
 しかしながら、当社は津波に関して様々な検討を進めてはいたものの、あくまで仮想的な「波源」に基づく試行に端を発するものであり、実際に対処すべき津波として想定していたような事実はない。
 以下に、これまでの当社津波対策の経緯を調査すると共に、その位置付けについて確認を実施したので下記に記載する。(中略)
<1.明治三陸沖地震(M8.3)に基づく試算>
○ 平成14年7月に国の調査研究機関である地震調査研究推進本部(以下、地震本部という)が、三陸沖から房総沖の海溝沿いのどこでも地震が発生する可能性があるという地震の長期評価(以下、「地震本部の見解」という)を公表。地震本部の見解は、有史以来大きな地震が発生していない領域(福島沖から房総沖の日本海溝沿い)でもM8.2前後の地震が発生する可能性があるとしていた。但し、地震本部においては、今回のような連動した大規模地震は想定していなかった。また、有史以来大きな地震が発生していない領域の津波評価に必要不可欠な波源モデルまでは示していなかった。
 
当社の津波対策の経緯と津波試算の位置付け 東京電力  2011/12/02

 
(97)2012/01/24 首都直下「M7」 4年以内で70% 東大地震研チーム試算
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 首都直下地震など、マグニチユ−ド(M)7クラスが懸念されている南関東での地震について、今後4年以内に発生する確率が約70%に達する可能性があるとの試算を、東京大地震研究所のチームが23日までにまとめた。
 政府の地震調査研究推進本部はM7クラスの南関東での地震について、過去の地震の発生間隔などから、今後30年以内の発生確率は70%程度としている。研究チームの平田直・東大地震研教授は「発生確率はそもそも非常に高かったが、東日本大震災でより高まった可能性がある」としている。
 
首都直下「M7」 4年以内で70% 東大地震研チーム試算 東奥日報  2012/01/24

 
(98)2012/02/26 巨大津波警戒促す報告書 電力側注文で修正 文科省 震災8日前に会合
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 東日本大震災の8日前、宮城―福島沖での巨大津波の危険を指摘する報告書を作成中だった政府の地震調査委員会事務局(文部科学省)が、東京電力、東北電力など原発を持つ3社と非公式会合を開催、電力会社が巨大津波や地震への警戒を促す表現を変えるよう求め、事務局が「工夫する」と答えて事実上後退とも取れる修正を受け入れていたことが、25日までの情報公開請求などで分かった。
 報告書の修正案は昨年3月11日の震災の影響で公表されていない。調査委の委員を務める研究者も知らされておらず「信じられない」などの声が出ている。電力会社との「擦り合わせ」とも取られかねず、文科省の姿勢が問われそうだ。
 文科省は「誤解を招かないよう表現を修正した」などと説明。東電は「文科省から情報交換したいとの要請があった。(修正を求めたのは)正確に記載してほしいとの趣旨だった」としている。
 作成中だった報告書は、宮城県などを襲った貞観地震津波(869年)の新知見を反映させた地震の「長期評価」。貞観地震と同規模の地震が繰り返し起きる可能性があると指摘されていた。
 開示された資料や取材によると、会合は「情報交換会」と呼ばれ、昨年3月3日午前10時から正午まで省内の会議室で開催。本県(青森県)、宮城、福島、茨城各県に原発を持つ東電、東北電力、日本原子力発電から計9人が出席した。
 巨大津波への警戒を促す記述について東電などは「貞観地震が繰り返していると誤解されないようにしてほしい」と要求。文科省は「内容は変えないが、誤解を生じにくいよう文章を工夫したい」と応じ、数月後には「繰り返し発生しているかは適切なデータが十分でないため、さらなる調査研究が必要」などとする修正案を作成した。
 客観的な研究成果であるはずの地震の長期評価の作成中に、文部科学省は原発を持つ東京電力などの意見を求め、記述を修正していた。巨大地震の危険性が「高い」とされれば、原発の耐震強化や津波対策など、電力会社は多額の出費を強いられる。評価次第で利害が生じる相手に非公式に事前説明し、記述を変更するのは極めて不適切で非常識だ。
 かつて原子力開発を担った旧科学技術庁は文科省の前身の一つで、同省は現在も原子力行政の一部を所管している。今回の事態は「なれ合い」「癒着」が批判される「原子力ムラ」の内情をうかがわせるものだ。
 地震調査委員会は、研究成果が国民に十分に伝わらず活用されなかったという反省に基づきつくられ、高い客観性が求められるが、今回通常の審議過程とは別に電力会社のみを集めて意見を聞いていたことが判明した。
 地震の長期評価の策定過程はいずれも非公開で、資料や議事録もほとんど公表されていない「ブラックボックス」の中で行われている。
 国や自治体の防災政策をも左右する重要な内容だけに、議事録の速やかな公開など透明性を高める努力は不可欠のはず。しかし情報公開が不十分な上に、今回事前に不透明な「情報交換会」まで行っていたことが発覚した。文科省はこの問題を重く受け止め、検証作業に取り掛かるべきだ。(共同通信・須江真太郎、鎮目宰司)
 
巨大津波警戒促す報告書 電力側注文で修正 文科省 震災8日前に会合 東奥日報  2012/02/26

 
(99)2012/02/26 巨大津波警戒の報告書 電力側「ご配慮を」 貞観地震に神経とがらせ
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 東京電力など3社が出席し、非公式に開かれた昨年3月3日の情報交換会。共同通信が文部科学省への情報公開請求で入手した資料からは、電力会社側が「(平安時代の)貞観地震の波源域(震源域)が分かっていない書きぶりにしてほしい」「ご配慮いただきたい」などと赤裸々に訴えた様子が分かる。貞観地震の取り扱いに神経をとがらせ、地震の長期評価の具体的な表現にまで踏み込んだ要求をしていた。
 情報交換会では、まず地震調査委員会事務局が長期評価案について説明。盛り込まれたのは、これまでになかった貞観地震の研究結果で、宮城県から福島県沿岸で津波の跡が発見されたとする内容だった。しかし電力会社側は「貞観地震以外の津波がどこから来たのかは分かっていない」と、同じ震源域の地震が繰り返していると取られないように表現の変更を求めた。
 電力会社側は「(長期評価案での)科学的根拠を否定するものではない」としながらも「世間には一部の文言のみを過大に受け取る方もいる」などと発言。文章の書き方について「ご配慮いただきたい」と言い、変更にこだわった様子がうかがえる。
 求めに対して事務局は「分かるようにしたい」などと答え、実際に修正案ではより慎重な言い回しが加わることになったとされる。しかしこの修正は東日本大農災の発生で全くの無意味になった。昨年11月公表の長期評価では、同様の情撃交換会は開かれなかったという。
 地震調査委員会長期評価部会の島崎邦彦部会長(東京大名誉教授)の話
 電力会社との情報交換会については何も知らされていなかった。事務局の説明によれば、電力会社の意見を受けた上で長期評価を修正したが、根幹部分の変更ではなく、結果的には問題は生じていない。だが電力会社が長期評価の書き換えを堂々と要求することは異常で、信じられない。確定前の長期評価であり、事務局の対応に瑕疵(かし)はあったかもしれない。
 
巨大津波警戒の報告書 電力側「ご配慮を」 貞観地震に神経とがらせ 東奥日報  2012/02/26

 
(100)2012/02/28 東北の巨大津波いつ来てもおかしくない不適切と記述削除 政府調査委
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 東日本大震災直前の昨年2月、政府の地震調査委員会(文部科学省)が東北地方の巨大津波について、報告書に「いつ起きてもおかしくはない」と警戒する記述を盛り込むことを検討しながら、委員の議論を受けて削除していたことが、28日までの文部科学省への情報公開請求などで分かった。「切迫度のより高い東海地震と同じ表現を使うのは不適切」との理由だった。
 報告書案は震災8日前、調査委とは別に開かれた文科省と東京電力など3社との非公式会合に提示。電力会社の要求でさらに表現を弱めた修正案がつくられたが、結局公表されず、調査委の委員にも知らされなかった。
 報告書案を検討したのは同委員会の長期評価部会で、大学の研究者を中心に気象庁などの専門家ら12人で構成。報告書は、三陸沖−房総沖の地震の発生確率などを求める「長期評価」の見直しの一環で作成していた。
 開示資料と取材によると、報告書案では「宮城県沖から福島県沖にかけて」という項目を新設。両県の太平洋沿岸の地中で、過去2500年間に貞観地震(869年、マグニチユード推定8.3)など計4回、巨大津波が来たことを示す堆積物が見つかったとの研究結果に基づき「(周期から)巨大津波を伴う地震がいつ発生してもおかしくはない」と記述した。
 だが、この文言が東海地震と結び付けて考えられる可能性があるなどとの指摘が出た。30年以内の発生確率が87%(現在は88%)だった東海地震と比べ、貞観地震などの再来にはそこまでの切迫性はないとして「発生する可能性があることに留意する必要がある」と弱められた。
 当初あった「巨大津波による堆積物が約450〜800年程度の間隔で堆積」「前回から既に500年経過」などの表現も削除された。
 東日本大震災について、地震調査委は昨年3月11日時点にさかのぼって発生確率を推定。「30年以内で10〜20%」だったとしている。(中略)

地震の発生確率
 政府の地震調査委員会は陸や海の地震について、30年以内の発生確率を計算、定期的に更新して公表している。予想されていなかった地震が起きた場合も「発生直前に予測できていたとしたら」と仮定して30年以内の確率を算出し公表。それによると東日本大震災は「10〜20%」、阪神大震災ば「0.02〜8%」だった。政府は昨年、「想定東海地震」が当時の発生確率87%だったことを根拠に、想定震源域にある中部電力浜岡原発の全面停止を同社に要請した。
 
東北の巨大津波いつ来てもおかしくない不適切と記述削除 政府調査委 東奥日報  2012/02/28

 
(101)2012/02/28 気づいているだろうか 地震防災が原発の妨害を受けていることを
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 日本各地で「大きな地震に見舞われるかもしれない可能性が明らかになった・‥」そんなニユ−スが次から次にと報道されているけれど、東北地方太平洋沖地震が起きたから分かったことなのだろうか。いいや、そんなことはない。地震学者や地球物理学者や地質学者達も遊んでいたわけは無い。
 たくさんの論文がこれまでも出ていたし、多くの知見も発表されていたのに、それをクロ−ズアップさせない勢力がいたのだ。
 どんな?もちろん原子力マフィアだ。
 報道されるかどうかが、この種の問題では−番影響が大きい。貞観地震の影響がどこまであったかとか、東北地方沖で大規模な地震が起こりえるとか、福島県沖にも巨大津波の波源域がありえるなど、阪神淡路大震災以後にたくさんの研究成果が発表され続けてきたのに、報道されなかったか、ほとんど注目されなかった。理由は、たとえば福島県沖で巨大津波などということが「分かった」ら、直ちに原発の安全性問題に直結する。
 疑惑が高まる中、とうとう証拠が上がった。以下の記事を読んでみて欲しい。
 『東日本大震災の8日前、宮城−福島沖での巨大津波の危険を指摘する報告書を作成中だった政府の地震調査委員会事務局(文部科学省)が、東京電力など原発を持つ3社と非公式会合を開催、電力会社が巨大津波や地震への警戒を促す表現を変えるよう求め、事務局が「工夫する」と修正を受け入れていたことが、25日までの情報公開請求などで分かった。』(中国新聞2月26日)
 三社とは、東電、東北電、日本原電である。
 貞観地震を「繰り返していると誤解されないようにしてほしい」と注文を付けていたと言うが、これが仙台平野に襲いかかった貞観津波について、再来の可能性があるとして対策する可能性を奪ってきた証拠だ。
 こんなことは今に始まった話では無い。東電など電力のお抱えご用学者達はよってたかって原発周辺に地震や津波が襲う可能性を否定し続けたため、原子力防災が必要ないとされるのと同時に、行政の地震防災にも大きな悪影響を与えただろう事は想像に難くない。自治体には東電など電力出進議員も多く居るので、大きな地震、津波想定を防災計画において行えば、横やりが入るのは間違いないだろう。何しろ来もしない津波に備えて何百億もの防潮堤を作るなど「常軌を逸している」と普通ならば考える。(中略)

 柏崎刈羽では
 柏崎刈羽原発付近で発生する可能性のある地震は、これまでの想定では震度6弱止まりだった。解放基盤面で600ガルということは、地上では400ガルにも満たない。
 ところが実際に襲ってきた地震は、地上で700ガル、震度7に達し、解放基盤面に至っては1699ガルと、重力加速度の二倍近<に達する揺れだった。
 幸い、震源断層面が海底だったわりには津波はたいしたことは無かった。しかしこの揺れの大きさでも数メートルに達する津波は起こりえる。もし5メートル以上の津波が来ていたら、柏崎刈羽原発は、炉心損傷を免れるのは難しかっただろう。
 柏崎刈羽原発が想定していた津波の高さはわずか3.1メートルだった。(後略)
 
みんな気づいているだろうか 地震防災が原発の妨害を受けていることを よせ新聞  2012/02/28

 
(102)2012/03/06 浦底断層 敦賀原発下連動35キロ 参総研調査 従来は過小評価
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 日本原電敦賀原発1、2号機の敷地を通る活断層「浦底(うらぞこ)−柳ケ瀬山断層帯」(浦底断層)は少なくとも全長35キロあり、マグニチュード(M)7.4程度と従来の想定の2倍以上に当たるエネルギーの地震を起こす可能性が高いことが5日、産業技術総合研究所の杉山雄一主幹研究員らの調査で分かった。
 浦底断層の南部にある複数の断層が広域で連動する可能性もあり、杉山氏は「最悪の場合も考えないといけない」として、大規模な連動地震についても考慮すべきだとしている。
 政府の地震調査委員会や日本原電は連動する他の断層も含め、全長25キロでM7.2程度と評価しており、過小評価だった可能性が高い。原発の立地場所として問題があることを示すもので、安全性の再検討は必至だ。日本原電は「現段階では、コメントは何もない」としている。
 杉山氏は、原発の耐震性を評価する経済産業省原子力安全・保安院の専門家会議の委員。(後略)
 
浦底断層 敦賀原発下連動35キロ 参総研調査 従来は過小評価 福井新聞  2012/03/06

 
(103)2012/03/14 耐震設計審査指針に反映させるべき事項について
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1.検討の経緯
 地震・津波関連指針等検討小委員会は、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(以下「東北地方太平洋沖地震」という。)及びそれに伴う津波等に係る知見並びに東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故の教訓を踏まえ、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(平成18年9月19日原子力安全委員会決定、以下「耐震設計審査指針」という。)及び関連の指針類に反映させるべき事項について検討を行うことを目的として、平成23年6月22日に原子力安全基準・指針専門部会の下に設置され、同年7月から平成24年3月まで検討を行った。(中略)
4.2地震動評価について
 地震動評価については、地震調査研究推進本部における東北地方太平洋沖地震等に係る検討状況を聴取するとともに、マグニチュード(M)9.0の地震が想定できなかった理由等について検討し、それらを踏まえて地震動評価をする上で必要な耐震設計審査指針等の見直しについて検討を行った。一方、東北地方太平洋沖地震等の発生を受けて、国内外において様々な調査研究が行われているが、これら調査研究は研究途上にあり、地震の発生機構等も十分に解明されていない状況にある。このことから、耐震設計審査指針等における具体的な見直し事項は必ずしもすべてが明確となっていないが、現時点で得られた知見等を踏まえ、可能な範囲で見直しを行った。(中略)
 
耐震設計審査指針に反映させるべき事項について(とりまとめ) 安全委  2012/03/14

 
(104)2012/04/20 富士川河口断層帯 全長40キロ M8級地震の恐れも 静岡大調査
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 富士山の西側を南北に走る「富士川河口断層帯」の全長は従来考えられていたより10キロ以上長い約40キロで、一度に動くとマグニチュード(M)8近い地震を起こす可能性があるとの調査結果を、静岡大の林愛明教授(地震地質学)がまとめた。
 同断層帯について政府の地震調査委員会はこれまで、静岡市清水区から富士宮市までの約26キロと評価。また、海で起きる東海地震に伴って活動してきたと考えてきた。(後略)
 
富士川河口断層帯 全長40キロ M8級地震の恐れも 静岡大調査 中日新聞  2012/04/20

 
(105)2012/12/22 浜岡原発95.4%に 東海第二は大幅上昇 今後30年の大地震確率
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 地震調査委員会が21日発表した「全国地震動予測地図」の2012年版によると、日本原子力発電東海第二原発(茨城県)で、今後三十年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が10年版と比べ約34ポイント上がる(67.5%)など、複数の原発で確率が上昇した。(後略)
 
浜岡原発95.4%に 東海第二は大幅上昇 今後30年の大地震確率 中日新聞  2012/12/22

 
(106)2013/02/02 地震調査委 九州M6.8以上 28カ所 活断層 新手法で評価
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 政府の地震調査委員会は1日、新しい手法に基づく九州地域の活断層の長期評価(地震予測)結果を発表した。「社会的、経済的に大きな影響を及ぼす」マグニチュード(M)6.8以上の地震を起こす可能性があるのは28の活断層で、九州全域では今後30年以内にM6.8以上の地震が起きる確率は「30〜42%」とした。新手法による評価の第1弾。同委員会は今後、全国を地域別に評価し、順次公表していく。【鳥井真平】(後略)
 
地震調査委 九州M6.8以上 28カ所 活断層 新手法で評価 毎日新聞  2013/02/02

 
(107)2013/04/13 淡路島地震(M6.3)発生 最大震度6弱
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(108)2013/04/16 淡路島地震「未知の断層」 「伊方」近く超巨大断層
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 兵庫県・淡路島で活断層が動いた地震は、日本が「地震の巣」である怖さを見せつけた。敷地周辺に活断層がある原発は多く、中でも淡路島も横断する中央構造線は日本最大級の断層帯で、そのすぐそばに四国電力伊方原発がある。今回気になるのが「未知の断層」という言い方で、それを想定外とすることは許されない。(中山洋子、出田阿生)
 「阪神淡路より、こっちの方が強かったんちゃうんかな。何が何やら、ただ怖くて」。13日早朝に震度6弱の地震があった兵庫県の淡路島。洲本市で民宿を営む萩原浅子さん(84)は、ドーンと突き上げられるような大きな揺れに襲われた。
 1995年の阪神大震災に比べ、揺れは長く感じ、客室の壁が崩れ落ちる被害が出た。「しばらく地震が続くんかな」と心配そうに話す。
 震源は大震災の震源地から南西約30キロ。この付近でマグニチュード(M)6を超える地震は震災後は初めてだった。
 政府の地震調査委員会が開いた十四日の臨時会合で、震源地付近には深さ11〜18キロのところに南北約10キロの未知の断層があると示唆。西側が隆起する形で動いた可能性が高いと結論づけた。(後略)
 
淡路島地震「未知の断層」 「伊方」近く超巨大断層 東京新聞  2013/04/16

 
(109)2013/05/09 M7級 5年以内17% 首都直下地震 東北大試算
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 東日本大震災で関東の地震活動が活発化し、マグニチュード(M)7以上の首都直下地震が発生する確率は「5年以内に17%」になるとの試算を東北大などのチームがまとめた。震災の半年後に東京大地震研究所の研究者が計算した「4年以内に70%」より大幅に低いが、今も通常より地震が多い状態が続いており、注意が必要という。
 試算は、米国の学術誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズ電子版に発表した。 チームで震災前後2年間に首都圏で実際に起こった地震のデータを解析すると、M3以上の発生数が約4倍に増えていた。これを基にM7以上の地震がどれだけ起こりやすくなっているかを推定したところ、今年3月から5年以内の発生確率は17.2%となった。
 震災前と同じ水準で地震活動が続いたと仮定した場合は6.6%。震災の影響で確率が2.5倍ほどに高まったと見積もった。
 一方、政府の地震調査委員会は2004年に、南関東を震源とするM7級の地震の発生確率を「30年以内に70%」と予測している。東北大や東大とは異なる手法で算出しており、政府の公式見解はこの値が維持されている。
 
M7級 5年以内17% 首都直下地震 東北大試算 東京新聞  2013/05/09

 
(110)2013/06/13 東日本大震災後の首都圏 地震頻度高止まり 東北大 M7級確率上昇
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 東京都や神奈川県など首都圏を震源とする「首都直下地震」が起きると想定される地域で、マグニチュード(M)3以上の地震の発生頻度は東日本大震災後2年近くたった昨年末でも大震災前より高い状態であることが、遠田晋次・東北大教授らの2日までの分析で分かった。(中略)
首都直下地震
 東京や千葉、神奈川など、首都圏直下を震源とする地震のうち、マグニチュード(M)7級のものを指す。政府の地震調査委員会は、南関東での今後30年以内の発生確率を70%程度としている。内閣府はこれまで、首都直下地震で山梨や群馬などにも影響が及ぶとして被害を検討。対策の中心となる「東京湾北部地震」では、死者数は1万1千人に上ると試算している。
 
東日本大震災後の首都圏 地震頻度高止まり 東北大 M7級確率上昇 東奥日報  2013/06/13

 
(111)2013/06/22 川内原発 九電の断層評価 疑問視 地震調査委 「問題点が多数」
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 政府・地震調査委員会が2012年に開いた活断層長期評価の分科会で、九州電力が作成した川内原発(薩摩川内市)周辺の活断層評価について、複数の委員が「問題点が多数ある」「断層の存在を全く無視している」などと、信頼性を疑問視していたことが、南日本新聞が入手した議事録で分かった。九電は7月8日に再稼働を申請する方針だが、原子力規制委員会が審査でどう判断するかは不透明だ。(後略)
 
川内原発 九電の断層評価 疑問視 地震調査委 「問題点が多数」 南日本新  2013/06/22

 
(112)2013/07/31 ニッポン火山紀行 富士山 静岡山梨県 南海トラフ 噴火誘発?
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 「うわ。来た」。地震速報を見て足が震えた。東日本大震災の四日後、富士山の下でマグニチュード(M)6.4の地震が起き、震度6強を記録した。「火山学者はみな噴火を覚悟したはず。山体崩壊を考えた人もいた」と中田節也・東京大地震研究所教授は振り返る。(中略)
■最も活発な火山  富士山の活動がプレートの動きと関係すると考える高橋正樹・日本大教授は「東海地震が起これはマグマが地下深くから上がりやすくなり噴火する可能性は高い」とみる。巨大地震に富士山の噴火が続けば大きな打撃を受ける。
 国の地震調査委員会の予測では南海トラフ地震の発生確率は三十年以内60〜70%。歴史から見れば富士山は最も活発な火山だ。それを忘れずに可能な備えを始めることが必要だ。 (科学部・永井理)
 
ニッポン火山紀行 富士山 静岡山梨県 南海トラフ 噴火誘発? 中日新聞  2013/07/31

 
(113)2014/08/01 「想定外の事態認識」 東電原発事故 元会長ら起訴相当
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 東日本大震災で関東の地震活動が活発化し、マグニチュード(M)7以上の首都直下地震が発生する確率は「5年以内に17%」になるとの試算を東北大などのチームがまとめた。震災の半年後に東京大地震研究所の研究者が計算した「4年以内に70%」より大幅に低いが、今も通常より地震が多い状態が続いており、注意が必要という。
 試算は、米国の学術誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズ電子版に発表した。
 チームで震災前後2年間に首都圏で実際に起こった地震のデータを解析すると、M3以上の発生数が約4倍に増えていた。これを基にM7以上の地震がどれだけ起こりやすくなっているかを推定したところ、今年3月から5年以内の発生確率は17.2%となった。
 震災前と同じ水準で地震活動が続いたと仮定した場合は6.6%。震災の影響で確率が2.5倍ほどに高まったと見積もった。
 一方、政府の地震調査委員会は2004年に、南関東を震源とするM7級の地震の発生確率を「30年以内に70%」と予測している。東北大や東大とは異なる手法で算出しており、政府の公式見解はこの値が維持されている。
 
「想定外の事態認識」 東電原発事故 元会長ら起訴相当 東奥日報  2014/08/01

 
(114)2015/01/14 阪神大震災20年 地震学 東大教授 古村孝志 防災に生かす研究重要
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 阪神大震災は災害対応の在り方を大きく変えた。あれから20年。将来の地震や災害への備えは万全と言えるのか。専門家に現状と課題を聞いた。
 <阪神大震災は地震学者に衝撃を与えた。この地域には活断層が多く、地震が起こり得ることは想定できた。だが揺れの激しさは予想を超えた>
 不思議でしたね。地震ではガタガタという強い揺れが何分も続き、建物がへたって壊れる、そんなイメージがあった。ところが神戸の地震では、わずか15秒の間に強いパルス状の地震波が二つ来ただけ。それで、あれほどの被害が出るのかと驚きました。
 被害が集中した場所も謎でした。動いた断層は六甲山と神戸の間にある。しかし震度7に襲われたのはその真上ではなく、南側に離れた市街地。いわゆる「震災の帯」で、地下2〜3キロの厚い堆積層が地震波を増幅し、山側から来た地震波と重なったのが原因でした。
 大きく揺れるのは、断層の真上で埋め立て地など浅い地下の地盤が悪い場所、という常識が覆ったわけです。より深い地下構造も揺れに関係し、断層から離れた場所も危険、となった。
 言い換えると、地下構造を調べ、断層の位置も分かれぼ計算機でシミュレーションし、起こり得る地震での揺れや被害を予測できる。その方向性が見えたのは、神戸の地震がきっかけです。
 国が補助金を出し大阪や名古屋、首都圏などの平野部で地下構造の調査や断層の掘削調査が行われ、シミュレーションによる被害想定が進んだ。
 <地震の直前予知はできず、研究は見直しを迫られた。基礎研究の重要性が強調される一方、政府が新設した地震調査委員会による「長期評価」が登場。しかし東日本大震災の巨大地震を予測することはできなかった>
 長期評価は、例えば30年以内に一定規模の地震が起こる確率を示すもの。何万年とかの期間で見れば、それに近い結果になるはずですが、30年以内にこの通りに地震が起きると言っているわけではないんです。
 東北沖でマグニチュード(M)9の地震が起きない理由はなく、可能性を考えるべきでした。あそこでは50〜100年ごとにM7〜8の地震が繰り返し起きていて、それを超える地震は起きないと漫然と考えていた。
 太平洋側の南海トラフで起こる地震も同じ。以前は「東海」「東南海」「南海」のブロックごとに規則的に地震が起こるというのが定説でした。
 しかし東日本大震災後に過去の地震記録を見直すと、あまり規則的ではない。中には遠く離れた小笠原で起きた可能性があるものまで出てきた。
 調べれば調べるほど分からなくなっていますが、地震が不規則に起こっていても地震学を防災に生かす道はあります。
 起こり得る地震発生バターンを全てシミュレーションし、揺れの強さの最大と平均を計算する。重要な構造物なら最大、一般構造物は平均よりも少し強い揺れを考えて造るといった使い方です。
 ただ最大級の揺れをもたらす地震がどれくらいの間隔で来るのか分からないと対策に使うのは難しい面もある。そこで重要になるのが防災関係者との共同作業です。
 対策を作るのに精度の高い予測はいらないこともある。現場には、復旧作業を考える上で余震がどう続くか知りたいという声もある。それに応える研究や情報の出し方を考える必要がある。
 そういう横のつながりをつくって進めないとへ本当に役に立つ研究はできない。二つの大震災を経て、地震学者は皆そう考えるようになったと思います。(聞き手・辻村達哉、写真・牧野俊樹)
 
阪神大震災20年 地震学 東大教授 古村孝志 防災に生かす研究重要 東奥日報  2015/01/14

 
(115)2015/02/05 東京地検が東電旧経営陣らを再び不起訴 原発告訴団、新たな告訴へ
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 東京電力福島第1原発事故をめぐり、「福島原発告訴団」が2012年に東京電力の旧経営陣らを業務上過失致死傷罪などで告訴・告発した件で、東京地検が不起訴にした後、検察審査会が14年7月に旧経営陣を「起訴相当」にしたが、1月22日、東京地検は再び不起訴した。一方、1月13日、「福島原発告訴団」団長の武藤類子さんら14人が、新たな告訴・告発を行い、16日に受理された。(中略)
新たな事実判明
 検察審査会が「起訴相当」として以降も、検察が東電を強制捜査することはなかった。不起訴理由書には、2002年に政府の地震調査研究推進本部が出した、三陸沖から房総沖日本海溝沿いでマグニチュード8クラスの地震が起きうるという「長期評価」は「学術的成熟・説得性」が高くなかったとした上で.@今回の規模の地震とそれに伴う津波の予知は不可能で、A「長期評価」に基づいた対策(防潮堤設置、需要設備の高台移設、建屋の水密化など)をしても結果を回避できなかったなどとした。(後略)
 
東京地検が東電旧経営陣らを再び不起訴 原発告訴団、新たな告訴へ ふえみん  2015/02/05

 
(116)2015/04/10 島村英紀 列島壊滅の可能性ある「カルデラ噴火」
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 メルトダウンを起こした福島第一原発の原子炉内部に核燃料は残っていなかった。
 3月に発表されたミュー粒子を使った世界初の調査の結果だ。燃料は原子炉から溶け落ちてしまっていたのだ。
 宇宙の彼方からやってくる宇宙線が地球の大気と衝突して次々に生まれているミュー粒子は1平方メートル当たり毎分1万個も飛んでいる。厚さ1キロメートルの岩でも通す能力を持っているから、分厚いコンクリートや金属に取り囲まれた原子炉の中を透視できる。
 もし核燃料があれば、ウランなどは高密度の物質なので黒く写るはずだった。だが原子炉の中はからっぽだったのだ。
 このミュー粒子を使った透視の手法は、もともと火山の内部を見るために使われはじめたものだ。マグマが地球深部から火口に上がってくる。どこにどのくらいの大きさのマグマがあるのかを研究するためにこの手法が使われている。
 だが、福島の原子炉もそうだが、ミュー粒子は上や斜め上から飛んでくる。それゆえ地面から下のものは見えない。だから原子炉の底を突き抜けて下に行ってしまった核燃料は見えなかったのである。
 ところで「カルデラ噴火」というものがある。「破局噴火」とも言われる巨大噴火で、過去10万年間に12回、日本で起きた。
 たとえば九州南方に起きた7300年前の鬼界(きかい)カルデラ噴火では九州を中心に西日本で先史時代から縄文初期の文明が途絶えてしまった。
 マグマは周囲の岩よりも軽いから浮力が生じる。カルデラ噴火を起こすマグマ溜りでは、火山の下に大量に溜まったマグマによって大きな浮力が生まれる。
 そして、やがてマグマ溜りの天井部分に大きな亀裂が出来てマグマ溜まりが一挙に壊れて大噴火するのがカルデラ噴火なのである。
 巨大なマグマ溜まりがあるところは火山の地下である。せっかくの期待の星、ミュー粒子も、火山の山体の地上部分の内部は見えても、地下は見えないのである。
 将来は精密な「地震波トモグラフィー」という手法を使えば、この種の地下のマグマ溜りを見ることが出来るのではと思われている。
 地震波トモグラフィーとは、火山地帯に地震計を数百個、比較的長期間置いて、四方八方で起きる無数の地震波を精密に観測する手法だ。大変な手間と時間を要する研究である。
 カルデラ噴火が起きると、噴火や火山灰の影響で最悪は1億2000万人の死者が出るとの予想がある。日本人のほとんどが死に絶えてしまう規模だ。
 この次にいつ起きるかについて定説はない。だが、ある研究によれば100年以内に起きる可能性が1%という。
 低いといえば低い。しかし1%とは、政府の地震調査委員会が発表していた阪神淡路大震災(1995年)が起きた前日の地震の確率と同じなのである。可能性がないといって安心できるレベルではないのかもしれない。
 
島村英紀 列島壊滅の可能性ある「カルデラ噴火」 夕刊フジ  2015/04/10

 
(117)2015/04/25 M6.8超活断層 関東に24 「30年以内50〜60%」 地震調査委
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 政府の地震調査委員会は24日、関東地方の活断層を対象にした地震の長期評価結果を公表した。長野、静岡、山梨各県の一部も含めマグニチュード(M)6.8以上の地震を起こす恐れのある活断層は24あるとし、これらの断層によって30年以内に同規模の直下型地震が関東のどこかで発生する確率は「50〜60%」と初めて算定した。2010年に改定した新手法による長期評価の公表は、13年の九州に続いて2例目。(後略)
 
M6.8超活断層 関東に24 「30年以内50〜60%」 地震調査委 毎日新聞  2015/04/25

 
(118)2015/05/20 福島第1事故 予見可能 福島地裁 津波研究者が証言 生業訴訟
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 国と東京電力に原状・回復と損害賠償を求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(中島孝団長)の第12回口頭弁論が19日、福島地裁(金澤秀樹裁判長)で行われました。(中略)
 都司氏は、1995年以降、地震調査研究推進本部地震調査委員会ら委員を務め、「長期評価」の策定に加わっていました。
 都司氏は、2002年7月に国の地震調査研究推進本部が発表した「長期評価」で明治三陸地震(1898年)と同様の津波が三陸沖から房総沖にかけ発生する可能性があるとした内容の重要性を指摘。「明治三陸地震を福島沖に想定していれば、少なくとも原子力発電所のように事故を起こしてはならない重大な施設においては、抜本的な津波対策が必要だったということに思い至ったはず」とのべ、予見可能で結果を回避できたとし、この「長期評価」の知見を取り込まなかった国と東電を批判しました。(後略)
 
福島第1事故 予見可能 福島地裁 津波研究者が証言 生業訴訟 赤旗  2015/05/20

 
(119)2015/06/20 社内文書で「津波対策は不可避」 東電の“人災"
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「大津波は予見できなかった」との言い訳は、もはや通用しない。
 東京電力が、東日本大震災の前に「津波対策は不可避」との文書を作成していたという。18日、東京地裁で行われた福島第1原発の事故をめぐる株主代表訴訟の口頭弁論で、明らかになった。訴訟は東電の勝俣恒久元会長ら歴代経営陣が津波対策を怠ったとして、株主が訴えているものだ。
 今回、明らかになったのは、東電が2008年9月の会議で使った社内文書。「地震及び津波に関する学識経験者のこれまでの見解及び、地震調査研究推進本部推本)の知見を完全に否定することが難しいことを考慮すると、現状より大きな津波高を評価せざるを得ないと想定され、津波対策は不可避」と結論づけている。文書は機密性が高いとして、会議後に回収されたという。
 
社内文書で「津波対策は不可避」決定的になった東電の“人災" ゲンダイ  2015/06/20

 
(120)2015/08/09 「原子力ムラ」を生きた東電・吉田昌郎の功罪
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 福島第一原子力発電所の元所長・故吉田昌郎氏を描く『ザ・原発所長』を執筆するため、2年間の取材を行った。取材を通して見えたのは、社畜でも英雄でもなく、原子力ムラと東京電力の論理の中で忠実に生き、その問題点と矛盾を一身に背負って逝った、1人のサラリーマンの姿だ。日本における原子力発電の歴史を重ねることで浮かび上がってきた等身大の吉田氏とは?前後編で吉田氏の生涯を振り返る。(中略)
 吉田氏が原子力設備管理部長だった2008年3月、社内の土木調査グループから、国の研究機関である地震調査研究推進本部長期評価を用いて試算したところ、福島第一原発が15.7mの津波に襲われる可能性があるという報告がなされた。
 しかし、吉田氏を含む東京電力の経営陣は、そうした津波の発生確率は1万年から10万年に1回程度で、防潮堤建設にも数百億円の費用がかかることを主な理由に、対策を打たなかった。(後略)
 
東電・吉田昌郎の功罪_その生涯を追って見えてきたもの 東洋経済  2015/08/09

 
(121)2015/09/26 震災前、中央防災会議が地震否定 島崎邦彦氏の調書要旨
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 島崎邦彦・地震予知連絡会会長(当時)の調書の要旨は次の通り。
 ―3月11日以前はマグニチュード9以上の地震が東北で起きるという考えを持った人がほとんどいなかったという理解でいいか。
 ほとんどいなかったというのは、いたという意味だ。証拠が乏しかったというべきだと思う。ひょっとしたらあるかもしれないという程度だったが、明治三陸地震級の地震が来るかもしれないということは2002年に(地震調査研究推進本部の)長期評価ですでに公表されていたので、10メートルを超えるような津波が福島県に来るということは津波の専門家なら常識的に分かるはずだった。
 
東日本大震災前、中央防災会議が地震否定 島崎邦彦氏の調書要旨 フクナワ  2015/09/26

 
(122)2015/10/06 第25準備書面 ―基準地震動の超過確率―
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(前略) 泉谷氏は,「もしも科学的真理に近いと評価できるような1万年に1回以下の基準地震動を得たければ,例えば100万年間くらいの地震観測をしなければならない」と述べる。少なくとも,30年ではあまりに短いことは明白であり,そのことは,地震学者の間でも異論がないものと思われる。
 地震調査研究推進本部が30年以内の長期評価しか行わない(甲390)のは,現在の地震観測記録では予測の限界が30年程度であることに起因していると推認される。(中略)
 地震調査研究推進本部事務局作成の平成26年12月19日付「『全国地震動予測地図〜全国の地震動ハザードを概観して〜』の公表について(説明用資料)」(甲393)では,「短い期間の観測データから発生間隔の長い地震を考慮することは困難」「確率が低いのは『強い揺れに見舞われない』という意味ではない」「確率の高低は,安全性の高低を必ずしも意味しない」(12頁)と,当然のことが記載されている。そうであれば,確率予測の誤りも考慮しなくてはならない。(中略)
第5 まとめ〜確率論で原発の安全性を確認することはできない
 日本の地震予測においてもっとも権威と専門性を有する機関である地震調査研究推進本部は,平成23年1月1日付けで,福島第一原発には30年以内に震度6強以上の地震が襲う可能性は0.0%と発表していた(甲226)。ところが,そのわずか2ヶ月後に東北地方太平洋沖地震が発生し,福島第一原発を震度6強の地震が襲ったため,外部電源はすべて機能喪失した。地震学の予測能力は,まだこの程度であり,千年以上の間隔で発生するような大地震はまったく予測できないと言っても過言ではない。(中間)
 
第25準備書面_―基準地震動の超過確率― 河合弘之  2015/10/06

 
(123)2016/03/01 東電旧経営陣 強制起訴 未曽有の災害 大津波試算、対策先送り
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 東京電力福島第1原発事故をめぐり、勝俣恒久元会長ら東電旧経営陣3人が強制起訴された。これまでの事故調査で、東電が大津波の試算をしながら、対策を先送りにした経緯が明らかになっているが、当事者から責任を認める姿勢はうかがえない。事故から5年。未曽有の原子力災害に対する責任の在り方があらためて問われる。
 政府の事故調査・検証委員会の報告書などによると、政府の地震調査研究推進本部が2002年にまとめた東北地方太平洋沖での津波地震に関する長期評価を踏まえ、東電は08年、明治三陸地震クラスの地震が福島県沖で発生した想定で、第1原発の津波被害を試算した。
 この時、得られたのは敷地南側で最大15.7メートルまで津波が遡上するという結果だった。この3年後、まさに同規模の津波が第l原発に到達することになる。
 「それは『うわあ』です」。試算当時、本店の原子力設備管理部長だった吉田昌郎元第1原発所長は、政府事故調の聴取に、初めて数字を聞いたときの印象をそう答えた。しかしあくまで最も厳しくなるように試算した結果だとして東電は対策に動かず、電力業界と関係の深い土木学会に「念のため」検討を依頼するにとどまった。(後略)
 
東電旧経営陣 強制起訴 未曽有の災害 大津波試算、対策先送り 東奥日報  2016/03/01

 
(124)2016/03/21 正平地震4 富士川河口断層帯も活動 東西で「大災害の時代」
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「南海トラフで正平(康安)地震(1361年)が起きた14世紀は、静岡県の富士川河口断層帯も活動した可能性が高い。南北朝の動乱に加え、東西で大災害が相次ぐ激動の時代だった」。産業技術総合研究所地質調査総合センターの藤原治研究企画室長が言う。
 同断層帯は、富士山の南西山麓から駿河湾へ延びる活断層帯。南海トラフ北端の駿河トラフに続いているとされ、東海地震と連動して動くと考えられてきた。連動した場合、地震調査研究推進本部はマグニチュード(M)8程度の巨大地震が発生するとしている。
 
正平地震4 富士川河口断層帯も活動 東西で「大災害の時代」 東奥日報  2016/03/21

 
(125)2016/04/14 熊本地震(2016年)(前震)(M6.5)発生
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(126)2016/04/15 活断層による直下型か 浅い震源、過去にも 生活まひ
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 熊本県で震度7を記録した地震は、震源が浅く規模の割に揺れが強いことから、1995年の阪神大震災のような内陸活断層による直下型地震との見方が専門家の間で強まっている。
 政府の地震調査研究推進本部によると、熊本県では1889年に熊本市付近で、マグニチュード(M)6.3の地震が起き、死者20人の大きな被害が出た。熊本県内には北東ー南西方向に延びる「布田川・日奈久断層帯」という大規模な活断層があり、江戸時代以降に断層帯周辺で起きた複数の地震の記録が残っている。(後略)
 
活断層による直下型か 浅い震源、過去にも 生活まひ 東奥日報  2016/04/15

 
(127)2016/04/15 余震続く内陸地震 断層帯二つ 複雑に分岐
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 熊本県で震度7を記録した14日の地震は、その後も活発な余震活動が続く。気象庁は「陸域の浅い地震では余震が多くなる傾向がある」と説明。内陸活断層が動いた2004年の新潟県中越地震や08年の岩手・宮城内陸地震でも、余震が多く続く傾向があった。(中略)
 地震調査研究推進本部によると、布田川断層帯の長さは約64キロで、日奈久断層帯は約81キロ。二つの断層帯が一緒に動いた場合はマグニチュード(M)7.8〜8.2程度の地震が起きる可能性があると評価している。(後略)
 
余震続く内陸地震 断層帯二つ 複雑に分岐 東奥日報  2016/04/15

 
(128)2016/04/16 専門家が警鐘「南海トラフ、首都直下地震を刺激」 熊本震度7
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 突然大地が激しくうねった。14日夜、熊本県を襲った巨大地震。多くの家屋が崩れ、住宅街は停電による暗闇に覆われた。死者9人、けが人は1000人を超えた。東日本大震災以来となる震度7。強い余震はその後も続発し、避難者らは「怖くて家に戻れない」と途方に暮れた。専門家は「この揺れは日本を縦断する巨大活断層『中央構造線』の一部で起きた。南海トラフ、首都直下地震も刺激しかねない」と警鐘を鳴らす。(中略)
 「日奈久断層は、八代海に至る長い断層で、政府の地震調査委員会からはより規模の大きい地震の発生が想定されていた。今回の地震では、その北端部がずれ動いたと考えられる。今回は断層の北端区間が割れただけとみられ、今後も大きな余震が起きる可能性もある。しばらくは注意が必要だ」(佐藤氏)(後略)
 
専門家が警鐘「南海トラフ、首都直下地震を刺激」 熊本震度7 夕刊フジ  2016/04/16

 
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(130)2016/04/16 断層帯、北東へ地震続発=「大分−熊本構造線」沿い
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 熊本県益城町で14日夜、最大震度7を観測した熊本地震。16日未明には同県阿蘇地方で震度6強、朝には大分県中部で震度5弱の地震が起きた。政府の地震調査研究推進本部が2013年にまとめた九州地域の活断層の長期評価では、日本列島の形成過程で生じた地質構造による「大分−熊本構造線」沿いに、断層帯が分布すると指摘していた。地震はこの範囲で北東方向に続発している。(中略)
 同本部の地震調査委員会は15日夕の臨時会合で、14日夜のマグニチュード(M)6.5、最大震度7の熊本地震は、日奈久(ひなぐ)断層帯の北端部分「高野−白旗区間」がずれて発生したとの評価をまとめた。しかし、余震はT字形に接する布田川(ふたがわ)断層帯でも起きていた。(中略)
 東洋大の渡辺満久教授(変動地形学)は「(新たな)本震は布田川断層帯で起きており、地震調査委は評価を誤った」と指摘。「阿蘇で発生した地震は地上では断層が見えないが、地下に埋もれている可能性がある」との見方を示した。(後略)
 
断層帯、北東へ地震続発=「大分−熊本構造線」沿い 時事通信  2016/04/16

 
(131)2016/04/16 中林一樹氏 古い住宅の耐震化急務 井村隆介氏 活断層調査を役立てよ
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 9人が死亡、負傷者千人を超えた熊本地震。突然大きな揺れに襲われる直下型地震の怖さを見せつけた。何を教訓とするべきか、地震と防災の専門家2人に聞いた。(中略)
 その調査から、国の地震調査委員会は、日奈久断層帯のうち南側の八代海区間を「30年以内の地震発生確率が最大16%」と評価。九州で最も活動度が高く、国内でも危険性の高い活断層帯で、両断層が合わせて動くと最大M8.2の地震が起こる可能性があると指摘していた。
 
中林一樹氏 古い住宅の耐震化急務 井村隆介氏 活断層調査を役立てよ 東奥日報  2016/04/16

 
(132)2016/04/16 7300人避難、千人けが 熊本地震 活断層18キロが横ずれ
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 熊本県益城町で最大震度7を観測した地震で、県は15日、建物の倒壊などによるけが人が約千人に上ったと発表した。うち重傷は53人となっている。死者は9人。体に感じる余震は15日午後9時現在で147回。14日夜より頻度は減ったものの断続的に続いている。政府の地震調査委員会は活断層の「日奈久断層帯」の北側の区間が横ずれして発生した可能性が高いとし、国土地理院も地下の断層が長さ18キロ、幅10キロにわたり60センチずれたとの解析結果を発表した。
 地震調査委員会の委員長の平田直東大教授は「典型的な内陸地震。浅いところで起きて直上の地点が強く揺れた」と説明し、阪神大震災と同タイプの直下型地震との認識を示した。東大地震研究所も、揺れの周期は木造家屋に大きな被害をもたらす特徴があり、共通点があると指摘した。(後略)
 
7300人避難、千人けが 熊本地震 活断層18キロが横ずれ 東奥日報  2016/04/16

 
(133)2016/04/16 直下型 暮らし直撃 「阪神」と同タイプ 列島各地に活断層
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 政府の地震調査委員会は、熊本地震は内陸の活断層が動いて発生したとする見方をまとめた。1995年の阪神大震災と同タイプの地震で、地表が大きく揺れて人々の暮らしを直撃する地震になりやすい。日本列島は各地に活断層があり、専門家は日頃の備えの重要さを呼び掛けている。(後略)
 
直下型 暮らし直撃 「阪神」と同タイプ 列島各地に活断層 東奥日報  2016/04/16

 
(134)2016/04/17 「布田川断層帯の一部ずれ動き発生か」地震調査委
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16日未明に熊本県で発生したマグニチュード7.3の大地震について、政府の地震調査委員会は、現地調査やその後の地震活動などから、「布田川断層帯」という活断層帯のうち、北東側の一部がずれ動いて起きたと考えられるという見解をまとめました。(中略)
16日、熊本県で発生したマグニチュード7.3の大地震を受けて、政府の地震調査委員会は、17日、臨時の会合を開き、震源の近くを北東から南西方向に延びる「布田川断層帯」との関連などについて検討しました。
この中では、これまでの現地調査で、震源地に近い熊本県益城町でおよそ10キロにわたって活断層がずれ動いて出来たとみられる地表の段差やひび割れが確認され、変化の大きさは、水平方向に最大で2メートルほどだったことが報告されました。(中略)
地震調査委員会の委員長で東京大学地震研究所の平田直教授は「熊本県を中心とする九州での地震活動は、依然として収まっておらず、今後も震度6弱程度の地震が起きる可能性がある。引き続き強い揺れを伴う地震に警戒してほしい」と話しています。(後略)
 
「布田川断層帯の一部ずれ動き発生か」地震調査委 NHK  2016/04/17

 
(135)2016/4/17 気象庁 地震活動の範囲 南西側に広がる
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 熊本県と大分県で規模の大きな地震が相次いでいることについて、気象庁は、熊本県での地震活動の範囲がこれまでよりも南西側に広がっているという見解を示し、引き続き、広い範囲で強い揺れに警戒するよう呼びかけています。(中略)
 国の地震調査研究推進本部によりますと、熊本県を縦断する日奈久断層帯は3つの区間に分けられ、このうち北東側の「高野・白旗区間」が3日前の震度7を観測した地震でずれ動いたとみられています。この区間とは別に、活動が活発になったと指摘されている、日奈久区間ではマグニチュード7.5程度で、さらに南側にあたる八代海区間ではマグニチュード7.3程度の地震が起きる可能性があると指摘されています。また、国の地震調査研究推進本部は地震が起きる確率を日奈久区間では最大で6%、八代海区間で最大16%として、高いグループに属しています。
 
気象庁 地震活動の範囲 南西側に広がる NHK  2016/04/17

 
(136)2016/04/17 地震連鎖、南西にも 日奈久、布田川断層の延長上
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 熊本県にある日奈久(ひなぐ)、布田川(ふたがわ)両断層帯が14日と16日に相次いで大きく破壊され、震度6強を超える地震を引き起こしたのを発端に、もともとエネルギーをためている周辺断層への「連鎖」が懸念されている。両断層帯でひずみが残っている区間や、既に地震が多発する大分県から海峡を経て四国方面の断層などに影響は出ないのか。(中略)
 14日に震度7の揺れを記録した日奈久断層帯について気象庁と政府の地震調査委員会は17日、「南にも活動が広がっている」との見解を示した。熊本県八代市などで微小地震が発生しているためだ。(中略)
 日奈久断層帯の南部で大規模地震があった場合、心配されるのが九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)への影響。調査委メンバーの一人は「影響は分からない。だが、原発を慎重に運転すべきだとの考えは、一つの見識として否定しない」と言葉を選んだ。(後略)
 
地震連鎖、南西にも 日奈久、布田川断層の延長上 西日本新  2016/04/17

 
(137)2016/04/17 珍しくない「後が本震」 名古屋大学地震火山研究センター教授
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 熊本地震は一向に収まらない余震の後、さらに規模の大きな地震が追い打ち、人的被害が拡大した。活断層地震をどう理解し、大きな揺れによる被害をどう防げばいいのか。専門家に聞いた。(中略)

名古屋大教授 福和伸夫
 科学的な限界があるのは当然分かるが、「今後も注意深く見守る」「過去の地震ではこうだった」「誘発地震の可能性も否定できない」などといった情報提供を通じて、住民らにさらなる備えを促すように、情報提供の方法に工夫が必要だ。政府の地震調査研究推進本部の想定などがどうなっていたのかも含め、検証が必要ではないか。(後略)
 
珍しくない「後が本震」 名古屋大学地震火山研究センター教授 東奥日報  2016/04/17

 
(138)2016/04/18 熊本地震 2つの断層が連動 揺れの回数は過去最多
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 熊本県を中心に相次いでいる地震は、これまでに最大震度7、最大マグニチュード(M)7・3を記録し、大きな被害を出した。発生から四日目を迎え、これまでの地震の常識では割り切れない特異な姿が見えてきた。 (宇佐見昭彦、永井理)(中略)
 元気象庁地震予知情報課長の吉田明夫・静岡大客員教授は「この二つの地震はメカニズムが異なる。『前震−本震』ではなく独立した活動とみた方がいい」と指摘。十四日夜は日奈久(ひなぐ)断層帯、十六日未明は布田川(ふたがわ)断層帯によるもので、近接する二つが連動したとする。政府の地震調査委員会でも十七日、同様の指摘が出た。(中略)
 地震調査委は「余震や地殻変動などから判断すると、思ったより長くカルデラ内まで延びている」と結論付けた。(後略)
 
熊本地震 2つの断層が連動 揺れの回数は過去最多 東京新聞  2016/04/18

 
(139)2016/04/18 断層、カルデラ内に延伸 地震調査委 火山活動も注視
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 政府の地震調査委員会は17日の臨時会で、熊本県で16日未明に起きたマグニチュード(M)7.3の地震は「主に布田川断層帯の布田川区間の活動による」との評価をまとめた。この区間の東側は従来知られていたより数キロ長く、阿蘇山のカルデラの中まで延びていたとみられることも新たに分かった。調査委は火山活動への影響評価はしていないが、終了後に記者会見した委員長の平田直東京大教授は「マグマだまりの近くにまで断層があると、断層運動によって刺激され火山活動が活発になり得る。監視活動を強化してほしい」と注視を呼び掛けた。(後略)
 
断層、カルデラ内に延伸 地震調査委 火山活動も注視 東奥日報  2016/04/18

 
(140)2016/4/21 熊本地震と阿蘇山噴火、南海トラフは関連するのか 島村氏に聞く
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 4月14日から始まり、いまだに収束の気配が見えない熊本・大分の地震活動。16日には阿蘇山が小規模噴火を起こした。いずれ確実に来ると見られる南海トラフ巨大地震との関係性はあるのか、地球物理学(地震学)の専門家、島村英紀・武蔵野学院大学特任教授に聞いた。(聞き手/ダイヤモンドオンライン編集部 津本朋子)(中略)

――「九州は地震が少ない」とは通説のように言われていましたし、政府の地震調査委員会の予測地図でも大地震の可能性は比較的低そうでした。結局、地震予知はアテにならないのでしょうか?

 熊本のみならず、岩手・宮城内陸地震や新潟県中越地震など近年起きた地震も軒並み、発生確率が低いとされた地域で起きました。阪神大震災も起きる直前の発生確率はわずか0.02〜8%。やはり「関西には大地震はこない」などと言われていました。
 南海トラフ巨大地震のように「30年以内に70%」などと言われれば警戒するでしょうが、たった数%なら「大丈夫」だと考えてしまうでしょう。しかし現実はそうなっていない。先ほどお話ししたように、日本全国には「分からない」だけで、実は断層が走っている地域がたくさんあるはずです。よく言われるような「この地域は安心」ということは、決してないのです。
 日本では1970年代から東海地震の危機が言われ始め、78年に大規模地震対策特別措置法(大震法)が策定されました。そして「東海地震は予知できる」と言ってきたのですが、阪神大震災も東日本大震災も予知できなかった。日本地震学会では予知という名称を取り下げることも議論されました。
 一方、火山の方も2014年の御岳山噴火で大失敗をしました。噴火警報レベルを引き上げなかったために、山頂に登山者がたくさんいて、人的被害を生んでしまったのです。火山の方ではまだ「予知を取り下げる」との議論は聞こえてきませんが。
 また、縦割り行政の弊害も良くない。火山は気象庁、地震は国土地理院、つまり国土交通省が監督官庁で、予知連も別々にあります。2000年の三宅島噴火の際には、これらが別々のコメントを出し、混乱しました。
 
熊本地震と阿蘇山噴火、南海トラフは関連するのか 島村氏に聞く ダイヤ  2016/04/21

 
(141)2016/04/28 国の地震予測地図はアテにならない
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 4月14日以降、幾度となく熊本を襲った大地震。現地の被災者は「この地域では大地震が起こると想定していなかった」と口をそろえる。筆者は、日本に住んで32年、この国の素晴らしさを日々実感し、そして、日本を第二の祖国として愛してもいる。しかし、地震予知ができないという自明の理について、いまさらながら本稿を書かなければならないことには、怒りを超えて深い悲しみを感じる。(中略)
 1999年にネイチャー誌が開催した予知についてのディベートでは、世界トップレベルの研究者のうち、現時点で正確な予知を述べた者は皆無だった。また、日本政府も1995年の阪神淡路大震災の発生後、予知できなかった批判をかわすためか、旧科技庁に設置されていた「地震予知推進本部」を廃止し、その代わり「地震調査研究推進本部」を設置した。(中略)

「予知」は「調査研究」に一括変換された

 ただ、この組織は、「予知」という言葉を「調査研究」に一括変換してできたようなもので、「東海地震」を予知しようとする気象庁下の体制を維持したまま現時点でも存続している。(中略)

地震調査研究推進本部の「リニューアル・オープン」

 1995年に旧「地震予知推進本部」が「地震調査研究推進本部」に名称変更されたが、地震調査推進本部の主要メンバーは以前とほとんど変わらなかった。唯一の変更点は地震のハザード・マップ(確率的地震動予測地図)を作成・公表するということだった。
 そのハザード・マップを、実際に起きた大地震と重ね合わせてみると衝撃的な事実がわかる。今後30年のうちに震度6弱以上の地震に見舞われる確率が極めて高いとされている、南海・東南海・東海地方や首都圏では、1990年以降死者10人以上の地震は起こっていない。実際に起きた震災は、比較的安全とされた地域ばかりだった。この地図はハザード・マップではなく、“外れマップ"と呼ぶべきだ。(後略)
 
「地震は予知できない」という事実 国の地震予測地図はアテにならない 東洋経済  2016/04/28

 
(142)2016/05/01 熊本・大分大地震の報道から消された中央構造線と原発の危険性
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 籾井会長の「独裁」が止まらない。2016年4月14日から始まった熊本・大分大地震について、20日のNHK内部の会議で「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」と指示していたことが発覚した籾井勝人会長。26日には、「いろいろある専門家の見解を伝えても、いたずらに不安をかき立てる」などとも発言していたことが明らかになった。(中略)
2016/04/17 東洋大・渡辺満久教授、国の断層評価「地形学の常識から言えばありえない」と批判!?本震は想定できた?「地震調査研究推進本部の見誤りが被害を拡大させた可能性」も
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/297511
(中略)
 
熊本・大分大地震の報道から消された中央構造線と原発の危険性 IWJ  2016/05/01

 
(143)2016/05/10 気象庁の敗北宣言 震度7、連鎖の衝撃
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 4月16日午前1時半。中央省庁の危機管理担当者らが入居する東京都心の宿舎で休んでいた気象庁地震津波監視課長の青木元(51)は、緊急参集を告げる携帯電話のけたたましいアラーム音で跳び起きた。(中略)
 政府の地震調査委員会委員長で東大地震研究所教授の平田直(61)も「現在の地震学では前震から本震を予測することはできない」と話す。阪神大震災後、地震のリスクを社会に知らせなかったとの批判を受けて発足した同委員会。大地震が起きる度に、その存在意義を問う声さえ上がる。(後略)
 
気象庁の敗北宣言 震度7、連鎖の衝撃(1) ルポ迫真 日経新聞  2016/05/10

 
(144)2016/05/14 熊本地震 数十年単位で余震警戒を 火山近くに断層?
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 熊本、大分を中心とする一連の地震は依然、余震が続く。地震は徐々に減っていくのか、あるいは、割れ残った活断層が再び大きな揺れを起こしたり、地震域が広がったりするのか。さらには阿蘇山の火山活動に影響し、新たな災害をもたらす恐れはないのか。専門家に見通しを聞いた。(中略)
 一方、多くの地震学者が警戒を呼び掛けるのは「熊本地域」に走る日奈久(ひなぐ)断層帯のうち前震の震源よりも南西側と、布田川(ふたがわ)断層帯のうち本震の震源よりも西側の区間だ。端は熊本県水俣市や有明海などに当たる。
 両区間ともに一連の地震で断層が割れ残り、特に日奈久の南西側は国の長期評価で危険性が指摘されてきた。3地域での余震の合間に、水俣市などでは今も有感地震が起きている。
 ただ、内陸型の大きな地震は数千年に1度など発生間隔が長い。名大の鷺谷威(さぎやたけし)教授(地殻変動学)は「地震学的には一連の余震として発生しても、数十年以内に起きても、ほぼ同時期と見なせる」と解説。(後略)
 
熊本地震 数十年単位で余震警戒を 火山近くに断層?定説覆す 西日本新  2016/05/14

 
(145)2016/05/15 検証 熊本地震 小さく見える発生確率 耐震基準 地域で差
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 活断層を震源とする地震が広く注目されたのは、1995年の阪神大災からだ。専門家には知られていた六甲・淡路島断層帯の一部が動いて起きたが、多くの住民には「寝耳に水」だった。
 その後、既知の活断層を徹底的に調査すれば内陸地震の予測は可能として、国は地震調査研究推進本部地震本部)を設置し、全国の活断層調査を急いだ。国内に2000以上あるとされる活断層のうち主要97断層については、発生確率を公表した。
 熊本地震で4月16日の「本震」の震源となった布田川断層帯(布田川区間)は、今後30年以内の発生確率は「ほぼ0〜0.9%」とされた。ごく低い確率にしか思えないこの数字が意味する発生確率は「やや高い」だ。
 地震本部は発生確率が3%以上を「高い」、0.1%以上3%未満を「やや高い」と位置付けている。阪神大震災直前の六甲・淡路島断層帯の一部の確率を、発生後に計算したところ、0.02〜8%で「高い」だった。
 小さな数字になってしまうのは、数百〜数万年に1回起きる確率を「今後30年以内」に当てはめるからだ。このため地震本部は断層単独ではなく、「九州中部でマグニチュード(M)6.8以上の地震の発生確率は18〜27%」という地域全体の数値も示していた。それでも危険性の理解が進んだとは言い難かった。
 布田川断層帯の「やや高い」とする評価が、熊本市の地震ハザードマップで「極めて低い」に変わった経緯を、市の担当者は「国のデータをそのまま使っているが、分からない。発生確率の数字が高いのか低いのかは分かりにくい」と言いよどむ。
 「20年前と同じことが繰り返された。これではだめだと証明された」。政府の地震調査委員会の平田直委員長(地震学)は痛恨の面持ちだ。阪神大震災で「関西では地震がないと思っていた」という言葉を耳にし、地震の予測地図を改訂してきた。それなのに「九州では地震がないと思っていた」との声が繰り返された。佐藤比呂志・東京大地震研究所教授(構造地質学)は「熊本地震の根本的な問題は、防災を担う人々に危険性を伝えられなかったことだ」と指摘する。(後略)
 
検証 熊本地震 小さく見える発生確率 耐震基準 地域で差 毎日新聞  2016/05/15

 
(146)2016/06/11 大地震確率 太平洋側が上昇 6弱以上30年内予測
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 政府の地震調査委員会は十日、今後三十年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布を示した二〇一六年版「全国地震動予測地図」を公表した。発生が迫っているとされる南海トラフ地震が起きていないため、静岡県から四国にかけての太平洋側では前回の一四年版に比べて確率が少し高くなった。関東地方はほぼ横ばい。(中略)
 確率が大きく変わったのは長野県。活断層「糸魚川−静岡構造線断層帯」の調査結果を反映させたため、松本市周辺など長野県中部で確率が上がり、それ以外は下がった。長野市は前回の13%から5・5%になった。(後略)
 
大地震確率 太平洋側が上昇 6弱以上30年内予測 関東は横ばい 東京新聞  2016/06/11

 
(147)2016/06/11 南海トラフ域で上昇 今後30年間 震度6弱以上の確率 関東80%超
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 政府の地震調査委員会は10日、今後30年間で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した「全国地震動予測地図」の2016年版を公開した。南海トラフ地震で影響を受ける静岡県から四国にかけての太平洋側の地域で、前回14年版に比べて確率が上昇、関東地域の一部でも80%超と高い状態を維持した。(後略)
 
南海トラフ域で上昇 今後30年間 震度6弱以上の確率 関東80%超 東奥日報  2016/06/11

 
(148)2016/06/14 社説 熊本地震2カ月 「想定しない」は過ちだ
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 熊本地震が始まってから十四日で二カ月になる。余震は小さい。新しい建物は安全。前震、本震で二度の震度7は、そんな思い込みを覆し、想定しなかった事態が起きた。教訓を防災に役立てたい。(中略)
 政府の地震調査委員会は先週、地震活動が減っている状況から「M6程度の余震が発生する可能性は低下した」とする評価をまとめる一方、最低一カ月程度は震度6弱以上の揺れに注意が必要とした。実際、十二日夜の地震では八代市で震度5弱を記録した。(中略)
 地震調査研究推進本部によると、首都直下地震や南海トラフ地震の発生確率は、今後三十年以内に70%程度とされる。国も自治体も、施設の新設などに際しては、地盤のよい場所を選び、耐震性を高くするように努力すべきだ。重要施設は免震構造を考えるべきだろう。
 
社説 熊本地震2カ月 「想定しない」は過ちだ 東京新聞  2016/06/14

 
(149)2016/06/15 熊本地震における九州電力川内原子力発電所への影響と見解
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平成28年6月15日
原子力規制庁
 国民の皆さまの疑問や不安を少しでも解消する助けとしていただけますように、平成28年(2016年)熊本地震による九州電力川内原子力発電所への影響に関する原子力規制委員会の見解について、改めてご説明いたします。
=====================================================================
Q:この熊本地震は想定外の大地震です。なぜ川内原子力発電所は停止していないのですか。
A:この地震による川内原子力発電所への大きな影響はありません。
=====================================================================
 この地震により川内原子力発電所で観測された現時点での最大の揺れは、数ガルから十数ガル程度であり、極めて小さい揺れでした。
注:ガルとは人間や建物に瞬間的にかかる力(地震の揺れ)による加速度を表す単位

 4月14日、4月16日の大きな地震は、それぞれ日奈久(ひなぐ)断層帯、布田川(ふたがわ)断層帯の一部が震源となり発生したと考えられています。これに対し、原子力規制委員会の行った川内原子力発電所の新規制基準への適合性審査では、二つの断層帯全体が一度に動く、より大きい地震が発生することを想定し、その地震の発電所に対する影響を評価しています。
注:日奈久(ひなぐ)・布田川(ふたがわ)の断層帯では、断層長さ92.7km、マグニチュード8.1の地震を想定し、その地震が発電所に与える影響は100ガル程度と評価しました。これに対し、今回の熊本地震で観測された最大のマグニチュードは現時点で7.3で、地震調査研究推進本部の評価によると震源断層の長さは約35kmと推定されています。(後略)
 
平成28年熊本地震における九州電力川内原子力発電所への影響と見解について(2) 規制庁  2016/06/15

 
(150)2016/06/17 島崎元原子力規制委員「あの悲劇が再現する」 大飯原発の地震動
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 「なぜ、そういう危機感をいだいたのか」という東京新聞記者の質問に対する回答(下記■に引用)がすべてを物語っていた。元原子力規制委員の島崎邦彦・東京大学名誉教授は、6月16日に田中俊一委員長に招聘され、石渡明委員と原子力規制庁の櫻田道夫・原子力規制部長、小林勝・耐震等規制総括官の4人と対面する形で、原子力規制委員会の記者会見室(5F)で面会を行った。
 結論から言えば、島崎元委員は、大飯原発の地震動を、過小評価にならない計算式で計算し直すべきだという提案を行った。
 ただし、「私(が現役の委員)だったらお節介に見える」だろうと本人が面会後の記者質問に答えたように、遠慮をしながらの提案であり、面会中は、4人の現役委員・職員からは腹を探るような緊張した質問が終始続いていた。(中略)

■「なぜそういう危機感をいだいたかと言うと、古い話になりますが、2002年7月の長期評価(*8)で、日本海溝沿いに津波地震がどこでも起こるんだと、そういう評価をしたにも関わらず、それが防災対策に取り入れられなかったし、東電もそれを計算はしながらそれを使わなかったわけですね。
 それで、僕の目には、同じことが日本海で再現されつつある、というふうに写るわけです。しかも各県でその対応をしている最中なわけで、今だったらまだ間に合うかもしれない。要するに津波対策ですから、ソフトなものはやり直しが利きますけれども、ハードでいったん作ったものをまた作るなんてことは、ありえないですよね。
 場所によっては3〜4メートルの津波が来るだろうというのは、日本海の統一モデルであったのに、武村式で計算をすると6〜10メートルになるはずだということが分かるわけで、それは放っておけないです。僕としては。またあの悲劇が再現するのか。それでまた『想定外』で。それはないですよ。」
 
島崎元原子力規制委員「あの悲劇が再現する」 大飯原発の地震動 ヤフー  2016/06/17

 
(151)2016/06/20 川内原発 熊本地震級で溶融か 川内原発なぜ止めない
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 震度7の激震が連続して起きた熊本地震。川内原発や伊方原発への影響が心配されるが、政府も原子力規制委も九電も止めなくていいと言う。「原発は硬い岩盤上につくられているので、地表の2分の1から3分の1ほどの揺れしかない。熊本付近の全断層が一度に動いてもマグニチュード8・1、それでも川内原発では152ガルくらいしか揺れない。」というような理由である。本当にこのままでいいのか。
   川内原発沖に中央構造線か

 伊方原発は、6〜8km沖合に中央構造線断層帯があり、以前から地震が非常に心配されてきました。川内原発も中央構造線の末端にあるとして心配されてきました。こういう中、昨年の日本地質学会で大事な報告がありました。臼杵八代構造線(中央構造線)が薩摩川内市の沖合に定置している可能性があるというのです。
 報告の地図では、川内原発の沖合約6kmほどに点線が引かれています。一方、川内原発の目の前の甑海峡には、政府の地震調査委員会が九電の評価を酷評した甑断層帯や市来断層帯があります。マグニチュード7・5や7・2という大地震の可能性が指摘されている断層帯です。ひずみがたまっていないことをいのるばかりですが、現代の地震学でも地震予知はできません。
 
川内原発 熊本地震級で溶融か 川内原発なぜ止めない 金曜宮崎  2016/06/20

 
(152)2016/07/02 中国地域 大地震30年以内に50% 政府調査委、活断層見直し
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 政府の地調査委員会は1日、中国地域にある24の活断層の評価を見直した結果から「中国地域のどこかでマグニチュ一ド(M)6.8以上の地震が30年以内に起きる確率は50%」との長期評価を公表した。2013年に始めた地域別評価の一環で、九州、関東に続き3回目。九州地域は30〜42%、関東地域とその周辺は50〜60%と評価されていた。
 
中国地域 大地震30年以内に50% 政府調査委、活断層見直し 東奥日報  2016/07/02

 
(153)2016/07/16 そこが聞きたい 熊本地震の教訓 山岡耕春氏
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防災は個人の意識改革 日本地震学会長(名古屋大教授)・山岡耕春氏

 熊本地方を襲った地震から3カ月がたった。現在でも復旧は進まず、梅雨の大雨が追い打ちをかける。地震の専門家には知られた断層が原因だが、多くの住民には「寝耳に水」の震災だった。改めて活断層の脅威を知らしめた熊本地震から学ぶ教訓は何か。5月に地震学会長に就任した山岡耕春・名古屋大教授(57)に聞いた。【聞き手・森忠彦】

3カ月が過ぎました。改めて、熊本地震の特徴と教訓を。
 4月14日夜にまずマグニチュード(M)6・5の前震が起き、28時間後の16日未明にはさらに大きいM7・3の本震が続きました。震度7級が前、本震と続いた今回のタイプは地震全体で言うと5%程度の比較的珍しいものでした。住民にすれば、想定していなかった大きな揺れが2度も続けて襲った。特に2回目は不意を突かれた上に規模も大きく、被害を拡大する形となりました。
 震源となった布田川、日奈久(ひなぐ)断層帯は専門家の間ではよく知られた活断層で、未知の断層などではありません。またこの地域は、地震による強い揺れが懸念される地域として政府の地震調査研究推進本部地震本部)が作った全国地震動予測地図=1=でも「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」として、濃い赤色で色付けされています。今回、想定外だったのは断層が阿蘇山の南麓(なんろく)まで走っていたことが分かったことくらいでしょう。
 
そこが聞きたい 熊本地震の教訓 山岡耕春氏 毎日新聞  2016/07/16

 
(154)2016/08/02 【社説】 大飯原発地震動 専門家の意見を聞け
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 ◆大飯原発地震動 専門家の意見を聞け
  福井県にある関西電力大飯原発の基準地震動が過小評価との指摘がある。原子力規制委員会の対応は迷走したあげく、見直す必要はないとなった。東日本大震災の教訓を生かした判断といえるのか。(中略)
◎ 熊本地震は、政府の地震調査委員会が「確率がやや高い」とした断層で起きたが、断層は予想外の阿蘇山の外輪山の内側まで延びた。断層が地表で見えていて、調査をしていても、予想通りにはいかない。(後略)
 
【社説】 大飯原発地震動 専門家の意見を聞け 東京新聞  2016/08/02

 
(155)2016/08/15 大津地裁決定 弁護団長/元金沢地裁裁判長井戸謙一さんに聞く
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井戸 謙一(いど けんいち)
弁護団長/元金沢地裁裁判長

 滋賀県大津地方裁判所(大津地裁)の山本善彦裁判長は「福島第一原発事故の原因究明が不十分なのに、この点に意を払わない関西電力、原子力規制委員会に不安を覚える。過酷な事故を生じても致命的な状態に陥らないように新しい規制基準を策定すべきだ」(2016・3・9)と述べ、住民29人が申し立てた福井県の関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止める仮処分を決定しました。井戸謙一弁護士はその原発運転差し止めを求めた滋賀県住民側の弁護団長を務めました。
 阪神・淡路大震災の後、政府の調査委員会が全国の活断層の調査を始めたのですが、2005年春に、志賀原発2号機の近くにある長さ44`bの邑(おう)知(ち)潟(がた)断層帯について、全部同時に動く可能性があって、その場合の想定マグニチュードは7・6程度だという評価を出しました。
 ところが北陸電力は個別にしか動かないという。個別に動く場合、原発に一番影響がある断層が動いても、マグニチュード6・5くらいだと主張したわけです。全然違う。原告側の指摘に対して、北陸電力側は調査委員会の見解が間違っているというわけです。現地で活断層調査をしているから、自分たちのほうが正しいという言い分です。裁判所には、どちらが正しいかは分からないけれども、原発の事業者としては、地震調査委員会の見解を前提としても大丈夫な安全対策をとるべきだと思いました。
 
大津地裁決定 弁護団長/元金沢地裁裁判長井戸謙一さんに聞く 自治研  2016/08/15

 
(156)2016/08/16 主要断層の3割 最高リスクに 地震評価 4段階に変更
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 政府の地震調査研究推進本部地震本部)は15日、全国の活断層帯の長期評価について、30年以内に大きな地震が起きるリスクが高い順に「Sランク(高い)」「Aランク(やや高い)」「Zランク」「Xランク(不明)」の4段階に分けて公表する見直し案をまとめた。マグニチュード(M)7以上の地震を起こす主要活断層帯の少なくとも3割が最高の「S」に該当する見通し。(後略)
 
主要断層の3割 最高リスクに 地震評価 4段階に変更 東奥日報  2016/08/16

 
(157)2016/08/16 活断層長期評価の表記見直しについて(案)
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1.背景
 地震調査研究推進本部では、主要活断層で発生する地震の長期評価、活断層の地域評価の結果を公表しているが、今般の熊本地震の発生時点では、布田川断層帯(布田川区間)における今後30年以内の地震発生の確率は、ほぼ0〜0.9%と評価しており、我が国の主な活断層における相対的評価として、「やや高い」と説明していたことなどを受け、国会や報道等において、
 ・防災を担う自治体担当者や一般国民に、正しく危険性を伝えられていない
 ・あたかも降水確率を見るかのように、「起こらない確率」が高く見えてしまい、かえって安心情報になっているなどの指摘を受けた。
 熊本地震の教訓を踏まえ、国民が活断層のリスクを正しく理解し、最終的には適切な防災・減災行動につながるように、より分かりやすい表記に見直す必要がある。(後略)
 
活断層長期評価の表記見直しについて(案) 地震推本  2016/08/16

 
(158)2016/08/17 大飯原発「基準地震動評価」が批判されるワケ 島崎氏の指摘
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「関西電力・大飯原子力発電所の基準地震動(想定される最大の揺れ)は過小評価されている。(きちんと計算すると、大地震の際には実際の揺れが)現在の基準地震動を超えてしまうことは確かだ」
 原子力規制委員会で2014年9月まで委員長代理を務めた島崎邦彦・東京大学名誉教授(地震学)による問題提起は、原子力規制委による十分な検証計算が実施されないまま、いったんお蔵入りとなった。
 原子力規制委の5人の委員は7月27日の定例会合で、「現時点で大飯原発の基準地震動を見直す必要はない」(田中俊一委員長)との意見で一致。原子力規制庁が島崎氏の要請を踏まえてふだん使っているのとは別の式を用いて試算した内容について、田中委員長は「原子力規制庁の事務方に無理な計算をやらせてしまい、非現実的な結果になった」として、基準地震動見直しの判断材料にはできないとの考えを明らかにした。
 そのうえで原子力規制委や原子力規制庁は、島崎氏が提案した政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会の資料に記載されている別の計算式を使った評価については、「今まで使ったことがない」(櫻田道夫・原子力規制庁原子力規制部長)ことを理由に、実施しない考えを示した。(中略)
 脱原発市民グループ「若狭ネット資料室」室長を務める長沢氏は、これまで、九州電力・川内原発や四国電力・伊方原発など数多くの原発の地震動評価の実態を詳細に検証。再稼働差し止め訴訟などで意見書を提出してきた。
 その長沢氏は次のように指摘する。
 「政府の地震調査研究推進本部が使っているもう一つの予測手法(レシピ)で再計算したほうがより正確である一方、計算された地震動は関電が設定した現在の基準地震動の1.5〜1.6倍程度になる。しかし、そうなると、大飯原発3・4号機では2012年3月のストレステスト(耐震余裕度テスト)で算出された炉心溶融につながる『クリフエッジ』(限界点)を超えてしまうので、原発は再稼働できなくなる。ほかの原発も再稼働が困難になる可能性が高い。だから、(今まで原発の審査で実績がないなどとの理由で)推進本部が用いている手法による再計算を拒んだのではないか」(後略)
 
大飯原発「基準地震動評価」が批判されるワケ 島崎氏の指摘 東洋経済  2016/08/17

 
(159)2016/08/17 南海トラフ 全域で断層調査 境界重点に連動確率予測
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 文部科学省は16日までに、巨大地震が想定される南海トラフ全域で来年度から海底の断層調査を始める方針を固めた。東海・東南海・南海の三つの震源域の境界部を重点的に調べ、地震が連動する確率を予測して防災に役立てる。(中略)
 南海トラフは東海沖から九州沖に延びる溝状の海底地形で、海側のプレート(岩板)が陸側のプレートの下に沈み込み、ひずみが蓄積。過去にマグニチュード(M)8級の地震が繰り返し発生している。政府の地震調査委員会は最大級の地震としてM9級の巨大地震を想定している。
 
南海トラフ 全域で断層調査 境界重点に連動確率予測 東奥日報  2016/08/17

 
(160)2016/08/30 原発揺れ想定の計算 規制委に異議 地震調査委側「過小評価」指摘
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 原発の耐震設計の根幹となる基準地震動(想定する最大の揺れ)について、政府の地震調査委員会が「地震の規模や揺れを小さく見積もる恐れがある」として使用を避けた計算方式を、原子力規制委員会や電力会社などが使い続けていることが分かった。調査委は2009年に改良した新方式を採用している。規制委は「(現行の方式を)見直す必要はない」と主張するが、調査委の専門家は「規制委の判断は誤りだ」と批判し、規制委に疑問符を突き付けた格好だ。【高木昭午】(後略)
 
原発揺れ想定の計算 規制委に異議 地震調査委側「過小評価」指摘 毎日新聞  2016/08/30

 
(161)2016/8/31 原子力規制委員会記者会見録
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<質疑応答>
○司会 それでは、定刻になりましたので、ただいまから原子力規制委員会の定例会見を始めたいと思います。皆様からの質問をお受けしたいと思います。いつものとおり、所属とお名前をおっしゃってから質問の方をお願いします。それでは、質問のある方は手を挙げてください。シュゾウさん。
○記者 毎日のシュゾウです。大飯原発の地震動のこの前の計算について伺います。前回、7月の再計算の時点で委員長は、学会などで新たに確立された方法が出てこない限りは現在の方法を使うと、そういう趣旨のことをおっしゃっておられたように記憶しています。ところが、今、政府の地震調査委員会が使っている方法は、規制委員会が採用しているレシピとは別のレシピを使っていまして、つまり、規制委員会が使われている方法とは別の手法が、既に専門家の間では、そっちが主流になっているという現状があるのですけれども、まず、この点について、委員長の御見解を伺いたいのです。
○田中委員長 見解の相違ではないですかね。今日、そういう質問も出るかと思って、震源断層を特定した地震の強震動予測手法というのが今年の6月にもう一度まとまって出ている。これは地震調査会が。今まで出ているものよりも非常に丁寧に書いてある。これを使っているのですけれどもね。断層モデルと、それから、応答スペクトル法と2つあって。ただ、使い方の問題なのですよ、これは。何が違うのですか。違うというのをはっきりと、どこがどう違っているかということで、地震調査会が、今、いろいろ、強震動の計算について、この方法自体がいいかどうかということも含めて検討しているというのは知っていますよ。でも、違いますよね。昨日、おたくの新聞でしょう、違うとか何かと書いたのは。だけれども、事務方がいろいろ確認をしたところによると、纐纈先生も藤原先生も、あんなことは言っていませんよと本人が言っていたそうですけれども。そういうことをきちっと確認して御質問されているのですか。それだけ確信を持っているのですか。
○記者 まず、6月の地震調査委員会の資料をお持ちであれば、6月の資料の中に既にもう一つの方法というのがきちんと記述されておりまして、いわゆる断層の長さから地震の大きさを求める方法ですね。つまり、お伺いしたいのは、別のやり方がきちんと専門家の間で提示されているにもかかわらず、規制委員会は、今の規制委員会のやり方しか方法がないとおっしゃっておられるのは、本当にそれでよろしいのか。新しい、もう一つの方法でも、きちんと大飯の地震動を計算して検証しなくてよろしいのかという趣旨でお聞きしているのです。(中略)
○記者 わかりました。地震調査委員会が別の方法を使っているということは、地震調査委員会もそういうふうに言っていることでして。
○田中委員長 でも、纐纈先生とか藤原先生はそんなことを言っていないと本人の口から確認しています。そんなことを言ったって困りますけれどもね。毎日新聞はそういうふうに理解しているだけで。
○記者 わかりました。最後にしますが、地震調査委員会が別のやり方をすると決めた場合は再計算をされるおつもりはあるのでしょうか。地震調査委員会の手法にのっとって、今の規制委員会のレシピとは別のやり方で再計算をする必要があるとお考えなのでしょうか。
○田中委員長 それは、専門家がこちらの方をとるべきだということであれば、再評価して、本当にこれまでの評価がいいかどうかというチェックはしなければいけないと思いますよ。(後略)
 
原子力規制委員会記者会見録 規制委  2016/08/31

 
(162)2016/10/08 入倉・三宅式で関電と規制庁で結果が違っていても追及しない
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 本年6月からの島崎さん(前委員長代理)と原子力規制委員会との討論で明らかになった基準地震動過小評価問題は、政府地震調査研究推進本部地震調査委員会でも入倉・三宅式を使わない基準地震動評価方法が提案されており、まだまだ議論は続く。が、規制委はそのことを無視して、過小評価基準地震動審査を続けている。
 
入倉・三宅式で関電と規制庁で結果が違っていても追及しないいい加減さ たんぽぽ  2016/10/08

 
(163)2016/10/21 鳥取県中部地震(M6.6)発生
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(164)2016/10/21 鳥取地震「横ずれ断層型」 熊本と同じ内陸直下 気象庁が見解
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 21日に鳥取県中部で発生した地震は熊本地震と同じく内陸直下で起きた。気象庁は、この地域に多い「横ずれ断層型」の地震との見解を示した。付近で大きな活断層は知られておらず「未知の断層」が震源となった可能性がある。地震を起こすひずみがたまりやすい地域との指摘も出ており、政府の地震調査委員会は22日に臨時会合を開いて今回の地震を検証する。(中略)
 大きな地震を繰り返す断層を活断層と呼び、地震調査委は主要な97の活断層で地震の規模や発生確率の予測を公表している。ただ今回の地震は「これまで知られていなかった断層で起きた可能性がある」(京都大学の飯尾能久教授)。周囲には43年に鳥取地震(M7.2)を起こした鹿野―吉岡断層や、岩坪断層があるが、今回の震源からは離れている。(後略)
 
鳥取地震「横ずれ断層型」 熊本と同じ内陸直下 気象庁が見解 日経  2016/10/21

 
(165)2016/10/22 「発生パターンは熊本型か」専門家警戒呼び掛け
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 最大震度6弱を観測した鳥取県中部で起きた地震は震源の深さが11キロ程度と浅かったため、揺れが大きく大阪などにまで広がった。震源の東側には、昭和18年に鳥取で連続地震を引き起こした吉岡、鹿野断層などがあり、地震研究者らは「中国地方で地震が活発化している可能性がある」と指摘。2度の最大震度7の地震で大きな被害が出た熊本県と同様に鳥取は地盤が弱く、震源近くには活断層が多いため、「今後、同規模かそれ以上の地震が起きるとみるべきだ」と警戒を呼びかけている。(中略)
 国の地震調査委員会は7月、中国地方の24の活断層を分析した結果を公表。中国地方でM6・8以上の地震が30年以内に発生する確率を50%、としており、「非常に発生確率が高い」としていた。今回地震が発生した鳥取県から島根県西部にかけてのエリアも40パーセントとしており、「活断層は鳥取県西部に比べて少ないが、地中に隠れている活断層もあり、地震活動は活発だ」と指摘していた。(後略)
 
「発生パターンは熊本型か」専門家警戒呼び掛け 産経  2016/10/22

 
(166)2016/10/22 広域の地殻変動、ひずみ集中 「南海トラフ地震の発生過程の一つ」
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 鳥取県は四国沖の南海トラフ(浅い海溝)からフィリピン海プレート(岩板)が沈み込む影響などで地殻にひずみが集中しており、活断層による直下型地震が起きやすい。今回の地震も活断層が動いた可能性が高いと専門家はみている。(中略)
 政府の地震調査委員会が今年7月に公表した中国地方の活断層地震の評価によると、鳥取県などでM6・8以上の地震が30年以内に起きる確率は40%と高い。(後略)
 
広域の地殻変動、ひずみ集中 「南海トラフ地震の発生過程の一つ」 産経  2016/10/22

 
(167)2016/11/22 福島県沖地震(M7.4)発生
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(168)2016/11/22 福島震度5弱 震源浅い正断層型
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 気象庁によると、22日の福島県沖を震源とする地震は、陸側の北米プレート内部で発生した。東日本大震災はこのプレートが太平洋プレートの沈み込みに引きずられる形でひずみがたまり発生した逆断層の海溝型地震だったが、今回の発生メカニズムはこれと異なり、地盤が北西−南東方向に引っ張られることで上下にずれ動いた正断層型で、海底がずれ動いたため海水が押し上げられ、津波が起きた。(中略)
 今回の津波について、安倍祥(よし)・東北大災害科学国際研究所助手(津波工学)は「震源が浅く、地震の規模も大きかったため津波が高くなった」と話した。政府の地震調査委員会委員長を務める平田直・東京大教授は「今後も同規模の地震が起こる可能性もある。地震や津波に十分な警戒を続けてほしい」と呼びかける。【飯田和樹、阿部周一】
 
福島震度5弱 震源浅い正断層型 毎日新聞  2016/11/22

 
(169)2017/01/14 津波レシピで高さ予測 地震調査委 標準的手法を公表
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 政府の地震調査委員会は13日、海域の大地震に伴って生じる津波の高さを予測する標準的な手法「津波レシピ」を公表した。2017年度中にも、静岡県から九州の沖合に延びるプレート境界の「南海トラフ」の地震で予想される津波を評価する。地震調査委の津波評価は初めてとなる。(中略)
 地震調査委は、06年.地震の揺れを評価する標準手法の「強震動予測レシピ」をまとめたが、津波の評価手法の策定は遅く、11年の東日本大震災後に取りかかった。(中略)
 
津波レシピで高さ予測 地震調査委 標準的手法を公表 東奥日報  2017/01/14

 
(170)2017/02/22 大飯原発3、4号機「合格」判断=地震動評価、過小恐れのまま・規制委
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 原子力規制委員会は22日、定例会合を開き、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)が再稼働の前提となる審査に事実上合格したとの判断を示す審査書案を了承した。(中略)
 大飯原発をめぐっては、地震学者で元規制委員長代理の島崎邦彦東京大名誉教授が、想定する地震の揺れ(基準地震動)について過小評価の恐れがあると指摘していた。規制委は、島崎氏が求めていた政府の地震調査研究推進本部地震本部)で用いられている手法での再計算を拒み、審査書案を作成した。(後略)
 
大飯原発3、4号機「合格」判断=地震動評価、過小恐れのまま・規制委 時事通信  2017/02/22

 
(171)2017/03/17 原発事故で国の責任認定 前橋地裁「津波は予見できた」
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 福島第1原子力発電所事故後に福島県から避難した住民らが国と東京電力に損害賠償を求めた集団訴訟の判決で、前橋地裁(原道子裁判長)は17日、「津波の到来を予見でき、事故を防ぐことができた」としてそれぞれの賠償責任を認めた。原発事故で国の賠償責任を認めた判決は初。東電に適切な安全対策を取らせなかった点を違法とした。
 原発事故の集団訴訟は18都道府県で約1万2千人が争っている。判決は前橋地裁が初めて。
 原裁判長は判決理由で、2002年7月に政府の地震調査研究推進本部がまとめた長期評価の想定を根拠として挙げた。マグニチュード8クラスの地震が指摘され、「遅くとも02年7月から数カ月後の時点で、事故を発生させる規模の津波の到来を予見できた」とした。(後略)
 
原発事故で国の責任認定 前橋地裁「津波は予見できた」 日経新聞  2017/03/17

 
(172)2017/03/18 原発避難者訴訟判決 国・東電の無策非難 「安全より経済優先」
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 東京電力福島第1原発事故の避難者らによる集団訴訟で、国と東電の責任を認めた17日の前橋地裁判決は、東電が東日本大震災の約9年前には津波に原発が襲われることを知り得たと認定するとともに、原子力政策を推し進めながら東電に対策を命じなかった国の怠慢を批判した。一方で、原告側が求めていた賠償額とは大きな隔たりがあり、被害者救済という面ではなお課題を残したと言える。(中略)
 政府の地震調査研究推進本部は2002年7月、福島県沖を含む日本海溝で「マグニチュード(M)8級の津波地震が起きる可能性がある」と指摘した。東電はこの「長期評価」をもとに08年、福島第1原発に到来が想定される津波を最大15・7メートルと試算。だが、この試算に合わせた対策が取られることはなく、東電は電力会社の研究者や大学教授らでつくる「土木学会」が策定した津波の計算式「津波評価技術」を根拠に、想定津波を6・1メートルと「過小評価」した対策を実施。東日本大震災当日を迎えた。(中略)
2002年
 2月 土木学会が原発への想定津波を計算する「津波評価技術」策定(東電はこの後、想定津波を5.7メートルに)
 7月 政府の地震調査研究推進本部が「長期評価」公表。福島沖でもM8級の津波地震が起こりうると指摘
    ー> 数カ月後には東電は大津波を予見できた(後略)
 
原発避難者訴訟判決 国・東電の無策非難 「安全より経済優先」 毎日新聞  2017/03/18

 
(173)2017/03/18 国と東電に責任 3855万円賠償命令 原発訴訟で前橋地裁
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 東京電力福島第1原発事故で福島県から群馬県などに避難した住民ら45世帯137人が東電と国に計15億0700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが17日、前橋地裁であった。原道子裁判長は「巨大津波は予見でき、対策をすれば事故は防げた」とし、同事故を巡る集団訴訟で初めて東電と国に賠償責任を認め、計3855万円の支払いを命じた。全国で約30件ある同種訴訟にも影響しそうだ。

◎裁判長「津波予見できた」
 原裁判長は判決で、「福島沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」とした政府の長期評価を受け、東電は遅くとも2002年には巨大津波を予見できたと認定した。期間、費用面から対策は容易だったとし、「安全よりも経済的合理性を優先させた。特に非難に値する」と指摘した。
 
国と東電に責任 3855万円賠償命令 原発訴訟で前橋地裁 上毛新聞  2017/03/18

 
(174)2017/03/18 原発避難者訴訟 事故の本質突いた判決
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 東京電力福島第1原発事故は人災、との判断を司法が初めて示した。福島県から群馬県に避難した人たちが起こした損害賠償請求訴訟で、前橋地裁がきのう、国と東電の過失を認める画期的な判決を出した。 未曽有の原子力災害から6年、その法的責任は曖昧にされてきた。原告住民の訴えの核心は、国と東電の責任をはっきりさせ、現実を直視させて二度と事故を起こさせないことにほかなるまい。
 暮らしと故郷を奪われ、今も約8万人が県内外で避難生活を送っている。福島では、避難の長期化などが原因で亡くなる「震災関連死」が地震と津波で亡くなった人を上回っており、被害は現在進行形だ。
 巨大津波の予見可能性が最大の争点となった裁判で、前橋地裁は東電が政府の地震調査研究推進本部長期評価に基づく試算で津波を予見していたとし、原発の安全性より経済的合理性を優先させたと断じた。まさに事故の本質を突いたと言えよう。(後略)
 
原発避難者訴訟  事故の本質突いた判決 京都新聞  2017/03/18

 
(175)2017/03/18 原発事故、国・東電に過失 前橋地裁 避難者への賠償命令
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 東京電力福島第一原発事故で福島県から群馬県などに避難した住民ら百三十七人が国と東電に計約十五億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、前橋地裁は十七日、「東電は巨大津波を予見しており、事故は防げた」と判断、東電と安全規制を怠った国の賠償責任を認め、うち六十二人について計三千八百五十五万円の支払いを命じた。(中略)
 原道子裁判長は、政府が二〇〇二年、「福島沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波地震が三十年以内に20%程度の確率で発生する」とした長期評価を発表した数カ月後には、国と東電は巨大津波の予見は可能で、東電は長期評価に基づき津波の高さを試算した〇八年には実際に予見していたと指摘。(後略)
 
原発事故、国・東電に過失 前橋地裁 避難者への賠償命令 東京新聞  2017/03/18

 
(176)2017/03/18 国と東電に賠償命令 「巨大津波予見」の衝撃 全国の訴訟 影響も
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 「東京電力は2008年に巨大津波を予見していた」−。福島第1原発事故の責任追及で最大の焦点だった予見可能性について、前橋地裁が画期的な判決を言い渡した。甚大な被害をもたらす原発事故の特性を踏まえ、最大限の安全対策が必要だったとする司法判断。全国の避難音訴訟や強制起訴された旧経営陣らの刑事裁判の行方に影響する可能性もある。主張を一蹴された東電や国の衝撃は計り知れない。(中略)

【予見可能性】
(中略)
 国の地震調査研究推進本部が策定・公表する「長期評価」は、最も起こりやすそうな状況を予測したもの。2002年7月31日に策定された長期評価は、三陸沖北部から房総沖の日本海溝で、マグニチュード(M)8クラスの地震が30年以内に約20%、50年以内に約30%の確率で発生すると推定した。原発の津波対策で考慮しなければならない合理的なものだ。公表から数カ月後には想定津波の計算が可能だった。東電が08年5月ごろ「敷地南部で15.7メートル」と試算した結果に照らし、敷地地盤面を優に超える計算結果になったと認められる。
 東電は、非常用電源設備を浸水させる津波の到来を、遅くとも公表から数カ月後には予見可能で、08年5月ごろには実際に予見していた。(後略)
 
原発事故 国と東電に賠償命令 「巨大津波予見」の衝撃 全国の避難者訴訟 影響も 東奥日報  2017/03/18

 
(177)2017/03/18 津波「02年に予見可能」 試算遅れ 司法が断罪 賠償費膨張
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 東京電力福島第1原発事故を巡る訴訟で前橋地裁が17日に示した判決は、東電が2002年ごろには第1原発が津波に襲われる可能性を知り得たと認定した。予見可能だった時期がいつなのかは訴訟の最大争点で、原告側は「02〜08年の間」と主張していたが、最も早い02年時点と認められた。さらに「08年には実際に予見していた」と踏み込んだ。東電と国は「巨大津波は想定外だった」と過失を全面的に否定していた。
 02年には、政府の地震調査研究推進本部が、三陸沖から房総沖で起こり得る津波地震の長期評価を公表。「福島県沖を含む太平洋側の日本海溝沿いでマグニチュード(M)8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」との内容だった。取りまとめたのは原告側の証人で、原発事故後に原子力規制委員を務めた島崎邦彦東京大名誉教授(地震学)。
 だが当時は、原発などの防災想定では「過去に実際に起きた最大地震を考慮すればよい」との考え方が支配的だった。過去400年間に福島県沖では大地震が起きていないため、長期評価については、東電も、経済産業省の旧原子力安全・保安院も考慮せず津波対策を先送りに。訴訟では「地震学者の間でも異論があった」「一つの仮説」としていた。
 島崎氏は15年7月、干葉地裁での同種訴訟で「長期評価に基づいた津波の高さの試算は、発表から数カ月程度で可能だった」との見解を示した。
 前橋地裁の判決は、長期評価について「地震学者の見解を最大公約数的にまとめており、第1原発の津波対策を取るに当たり考慮しなければならない合理的なものだった」と認定。第1原発の敷地を超えて非常用源設備を浸水させる程度の津波襲来は「遅くとも(長期評価が発表された)02年7月31日から数カ月後の時点で予見できた」とした。
 その後東電が長期評価の考え方を取り入れて第1原発を襲う津波の高さを試算したのは08年。津波研究者の助言がきっかけだった。東電の子会社が報告した試算結果は、1896年の明治三陸地震(M8.2)クラスの地震が福島県沖で起きたと想定すると、高さ10メートルの第1原発の敷地を大きく超える津波が襲来し、敷地南側では東日本大震災と同規模の最大15.7メートルが押し寄せるとの内容だった。
 東電は「実際に発生した津波は、規候や襲来経路などが試算膚果とは大きく異なっており、試算に基づき防潮堤などの対策を講じていたとしても被害は避けられなかった」と主張した。
 判決は「試算結果が出た08年には(巨大津波を)実際に予見していた。非常用ディーゼル発電機を建屋上階に設置するなどの対策が取られていれば、事故は発生しなかった」と断じた。東電はこの試算結果を公表せず、震災4日前の11年3月7日になるまで旧保安院に報告していなかった。
 
津波「02年に予見可能」 試算遅れ 司法が断罪 賠償費膨張 経営に影響も 東電 東奥日報  2017/03/18

 
(178)2017/03/19 3月17日前橋地裁判決
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 前橋地方裁判所の原道子裁判長は2002年年7月に政府の地震調査研究推進本部が発表した巨大地震の想定に基づいて、国と東京電力はその数か月後には巨大な津波が来ることを予測できたと指摘し、それにもとづいて原発事故についての国の責任を認定し賠償を要求する原告(県外に避難した住民一三七人)の訴えを正当としました。
 賠償金額は総額3855万と少なすぎると思いますが、これは画期的なことで、国家機構の中から、はじめて常識的な声がでたということだと思います。
 これは地震本部が二〇〇二年に決定した日本海溝地震の長期評価をどう考えるかということになりますので、ことは原発事故をこえて、東日本大震災全体の賠償をどうするべきかに関わってきます。
 つまり、長期評価は三陸沖から房総沖までM8,2の津波地震を予知しましたが、中央防災会議は多くの地震学者の反対にもかかわらず、それを岩手中部で津波波高が高かった明治三陸津波のみに限定してしまいました。そのためは岩手南部の陸前高田市以南で防災体制が不十分となり、3.11で犠牲となった方の八割は、そこに住んでいた訳です。たとえば名取市では長期評価にもとづいて、高さ8メートルの津波を予想した津波防災マニュアルを作成したが、2008年2月、中央防災会議の想定津波高六bに従って地域防災計画を下方修正し、津波被害が拡大したことがよく知られています(津久井進『大災害と法』岩波新書141頁)。(後略)
 
3月17日前橋地裁判決 3,11後、初めて国家の中から正しい声が聞こえた BLOGOS  2017/03/19

 
(179)2017/04/17 熊本地震 断層に大地震跡 過去1万5000年、4〜5回発生か
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 熊本地震を引き起こした日奈久(ひなぐ)断層帯北部の高野−白旗区間の地層調査で、過去約1万5000年の間に4〜5回、大地震があったことを示す痕跡を産業技術総合研究所(茨城県つくば市)が見つけた。これまで1回の痕跡しか見つかっておらず、発生間隔が不明だった。南部の日奈久区間でも4〜6回の大規模地震の痕跡が見つかり、両区間の地震が連動したと考えられるケースもあったという。
 同研究所の宮下由香里・活断層評価研究グループ長は「高野−白旗区間では、昨年の地震でもおそらく地層に記録は残らないだろう。今回の調査では確認できなかった地震がたくさん漏れているかもしれない」と話し、この地域ではこれまで考えられていたより高頻度で大規模地震が発生していた可能性があるとみている。
 熊本地震を受け、政府の地震調査研究推進本部地震本部)が実施した重点観測の一環で明らかになった。(後略)
 
熊本地震 断層に大地震跡 過去1万5000年、4〜5回発生か 日奈久北部 毎日新聞  2017/04/17

 
(180)2017/04/27 地震動予測地図 関東〜四国で高い確率継続…震度6弱以上
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 政府の地震調査委員会は27日、今後30年以内に震度6弱以上に見舞われる地震の確率などを示した2017年版「全国地震動予測地図」を公表した。首都直下が懸念される関東は引き続き確率が高く、南海トラフを震源にした大地震が想定される東海から四国にかけた地域ではわずかに増えた。【飯田和樹】 (中略)

「低リスク」6道県、「不適切」なPR
 地震動予測地図で発生確率が比較的低いとされる6道県が、予測地図を基に「地震リスクが少ない」などとウェブサイト上で地元を紹介し、企業誘致に利用している。予測地図は防災意識を高める目的で作成されており、文部科学省の担当者は「不本意な使い方だ」と指摘している。
 予測地図を「目的外使用」しているのは、北海道、山形、福井、岡山、広島、長崎−−の6道県。広島県は「大規模地震の発生確率は低い」と強調する。熊本県もかつてサイト上で、地図を企業誘致に使った経緯がある(熊本地震後に閉鎖)。
 広島県の担当者は取材に対し「(地震の可能性は)企業が気にする点なので掲載を続けたが、サイトの変更も含めて検討する」と話した。地震調査委員長の平田直(なおし)・東京大地震研教授は「確率が低いと安心してもらうための地図ではない。地震はどこでも起こりうることを認識してほしい」と訴える。【飯田和樹】
 
地震動予測地図 関東〜四国で高い確率継続…震度6弱以上 毎日新聞  2017/04/27

 
(181)2017/04/28 熊本市の地震危険性下がらず 地震後も横ばい
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 政府の地震調査委員会は27日、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示す「全国地震動予測地図」の2017年版(1月1日時点)を公表した。熊本地震のあった熊本市は7・6%で、地震発生前の16年版から横ばい。全国では、1年経過した間に南海トラフ地震を起こすプレートのひずみが蓄積し、東海から九州東部にかけてわずかに確率が上昇した。(後略)
 
熊本市の地震危険性下がらず 地震後も横ばい 西日本新  2017/04/28

 
(182)2017/04/28 「震度6弱」の確率微増 17年度版 全国予測地図
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 政府の地震調査委員会は27日、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示す「全国地震動予測地図」の2007年版を公表した。南海卜ラフなど海域で起きる大地震の影響が及ぶ太平洋岸では、前回16年版に続いて高い確率となり、約1年経過した間に地震を起こすプレート(岩板)のひずみが蓄積されたとして、わずかに確率が上昇した。(後略)
 
「震度6弱」の確率微増 17年度版 全国予測地図 青森市は5%−>5.2%に 東奥日報  2017/04/28

 
(183)2017/05/21 原発審査の問題指摘=地震想定で専門家ら―千葉
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 原発再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査で、想定する地震の揺れ(基準地震動)などが不十分だとして、専門家らが21日、千葉市美浜区で開かれた日本地球惑星科学連合の大会で問題点を指摘した。(中略)
 規制委は昨年、島崎氏と面談したものの、政府の地震調査委員会などで採用されている別の手法での再計算をせず、議論を打ち切っている。大飯3、4号機の審査では、規制委が近く正式な合格判断を示す。島崎氏は「実に不思議な議論をして打ち切られた。これはおかしい」と批判した。(後略)
 
原発審査の問題指摘=地震想定で専門家ら―千葉 時事通信  2017/05/21

 
(184)2017/06/28 津波“無策3兄弟"の罪 東電元幹部初公判
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事故から6年。津波で全電源を失う可能性が高いと自らの調査で知りながら対策は先延ばし。一体誰が命じたのか。ようやく刑事訴訟の裁判が始まる。(中略)

●1m超で全電源を喪失
「首都直下地震の確率は今後30年以内に70%程度」
 こんな数字を聞いたことがある人は多いだろう。政府の地震調査研究推進本部地震本部)が、地震学者らの研究結果をとりまとめて公表する長期評価と呼ばれる予測である。
 実は福島第一の周辺地域について、地震本部は02年に長期評価を出している。1896年の三陸沖地震(死者約2万2千人)と同じような、高い津波をもたらす「津波地震」が福島県沖でも起きうると予測したのだ。日本海溝沿いで発生する確率は「30年以内に20%程度」。長期評価の中で高めに出ていた。
 この予測に対し、東電幹部が何をやったのか、あるいはしなかったのか。それが裁判の一つの焦点になる。(中略)

●民事で国・東電「クロ」
 この初公判に至るまでの道のりは平坦ではなかった。東京地検は2度にわたり勝俣氏らを不起訴としたが、検察審査会が2度とも覆し、強制起訴が決定。事態を二転三転させたのは、津波の「予見可能性」についての両者の見解の相違だった。
 検察は「長期予測は科学的にまだ不確かだった」として、起訴を見送り。各地で起こされている民事訴訟でも、国や東電は同様に予測の不確かさを理由に事故は避けられなかったと主張している。地震本部が予測した地震は、福島沖で発生した歴史記録が残っておらず、信頼度は低いという見方だ。
 しかし、東電側の主張には矛盾がある。日本海溝沿いで起きうると長期予測された地震に関して、東電は「揺れ」は想定。福島第一の安全性を確かめ、08年3月に国に報告書を提出した。つまり歴史記録にない地震について、揺れは想定するのに津波は「不確かだから」と想定していない。こんな理屈は通用するのか。東電の津波予測の担当者も同じ考えだったようで「津波対策は不可避」(東電が株主代表訴訟に提出した文書から)と書いた社内文書も残っている。(後略)
 
津波“無策3兄弟"の罪 東電元幹部初公判 アエラ  2017/06/28

 
(185)2017/07/01 【社説】原発事故初公判 東電の怠慢を見極めよ
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 天災であれば刑事責任は問えない。でも福島第一原発事故は人災の疑いがある。それが検察審査会の市民が出した結論であり、その初公判があった。東京電力の怠慢を見極めることが焦点となる。(中略)
 検察官役の指定弁護士によれば、二〇〇二年に文部科学省の地震調査研究推進本部地震本部)から、三陸沖北部から房総沖にかけてマグニチュード(M)8・2前後の津波地震が発生する可能性があると指摘されていた。(中略)
 〇八年には東電設計から東京電力に対し、地震本部長期評価を用いて、明治三陸地震モデルを設定した場合、一五・七メートルもの大津波が押し寄せる−。そんな計算結果も詳細な資料とともに示された。このように東電側には何度も危険のサインは出ていた。(後略)
 
【社説】原発事故初公判 東電の怠慢を見極めよ 東京新聞  2017/07/01

 
(186)2017/07/01 津波試算、予見性立証の柱 弁護側「対策しても防げず」
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 検察官役の指定弁護士は冒頭陳述で、「最大15.7メートルの津波が原発敷地を襲う」との2008年の試算結果を最大の柱に、東京電力の勝俣恒久元会長ら3人には予見可能性があったことを裏付けようと試みた。一方、弁護側は「実際の津波は試算を上回る規模。試算に基づく対策では事故を防げなかった」と反論。裁判所がどう判断するか注目される。
 指定弁護士の冒頭陳述によると、東電子会社は、政府の地震調査研究推進本部が02年に公表した長期評価を基に、福島沖で大地震が起きたとの想定で試算した結果を東電に提示。最大15.7メートルの津波襲来に備え、海抜10メートルの敷地に10メートルの防潮提を設置するなど、大がかりな工事が必要だとも報告した。(後略)
 
津波試算、予見性立証の柱 弁護側「対策しても防げず」 東奥日報  2017/07/01

 
(187)2017/07/08 島根原発 宍道断層、39キロに延長へ 2号機、再稼働の遅れも
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 中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)の南を東西に走る活断層「宍道断層」の長さについて中国電は、14キロ延長して全長39キロと評価を見直すことを決めた。断層が延びることで、中国電が800ガルとする基準地震動の引き上げが必要になり、追加の耐震工事が求められる。このため、国が審査中の島根2号機の再稼働が遅れる可能性がある。
 中国電は2016年に宍道断層を原発から南に約2キロ、下宇部尾東(松江市美保関町下宇部尾)から女島(同市魚瀬町)までの東西約25キロとしていた。1998年に断層の存在を初めて認めて8キロとし、2004年には10キロ、08年に22キロと延長してきた。
 しかし、国の地震調査研究推進本部が昨年7月に「詳細なデータが不足し判断できていない」と断層の東端の活断層を指摘。規制委からもデータ拡充を求められ、今年6月の規制委の会合では、中国電が東端の延長を検討していることが伝えられていた。中国電の島根原子力本部は「今後の審査会合の場で詳細を説明していく」としている。【長宗拓弥】
 
島根原発 宍道断層、39キロに延長へ 2号機、再稼働の遅れも 毎日新聞  2017/07/08

 
(188)2017/09/23 原発避難者千葉訴訟 東電だけ責任「不当」 不安募らせる被災者
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 東京電力福島第1原発事故による避難者らが全国の裁判所に起こした集団訴訟で、22日の干葉地裁判決は、国と東電の賠償責任を初めて認めた3月の前橋地裁判決とは異なり国の責任を否定し、東電にだけ賠償を命じた。「ふるさと喪失」に対する賠償を認めるなどの前進もあったが、原告側は「不当判決だ」と反発。国側は安堵した。原告数が最大規模の約3800人の福島訴訟は10月に判決を控え、被災者に不安が広がった。(中略)

 【予見可能性】
 予見可能性の対象は、全交流電源喪失をもたらす程度の地震と津波が発生する可能性。具体的には原発の敷地の高さ約10メートルを超す津波が発生し得ること。2002年7月に国の地震調査研究推進本部が公表した「長期評価」で、明治三陸地震と同様の地震が日本海溝寄りの領域でどこでも発生する可能性があるとの知見が示された。遅くとも06年までに10bを超す津波の発生を予見できた。(後略)
 
原発避難者千葉訴訟 東電だけ責任「不当」 不安募らせる被災者 原発避難者千葉訴訟の争点と判決 判決要旨 東奥日報  2017/09/23

 
(189)2017/09/23 津波対策、国の責任否定 「原発事故を回避できなかった可能性」
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 東京電力福島第一原発事故で福島県から千葉県などに避難した十八世帯四十五人が、国と東電に計約二十八億円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が二十二日、千葉地裁であった。阪本勝裁判長は「国は巨大津波を予測できたが、対策を講じても事故を回避できなかった可能性がある」などと述べ、国への請求を退けた。東電に対しては、十七世帯計四十二人に計三億七千六百万円を支払うよう命じた。(中略)
 千葉訴訟では、政府の地震調査研究推進本部推本)が〇二年に公表した津波地震の長期評価の信頼性や、国が東電に津波対策を取らせるべきだったかなどが争点だった。長期評価推本は「福島沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード(M)8級の津波地震が三十年以内に20%程度の確率で発生する」と予測していた。(中略)
 
【社会】津波対策、国の責任否定 「原発事故を回避できなかった可能性」 東京新聞  2017/09/23

 
(190)2017/09/23 【社説】原発・千葉訴訟 論理が後退している
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 津波を予見できた。それは千葉地裁も認めたが、事故を回避できなかった可能性がある−。福島第一原発事故の損害賠償を求めた判決は、三月の前橋地裁判決から論理が大きく後退した。残念だ。(中略)
 ところが、千葉地裁の論理は異なる。例えば十メートルを超える津波が来ることは予見できたと認めても、当時は地震対策が優先課題だったとする。津波の長期評価には異論もあったから、対策を講ずる義務が一義的に導かれるとはいえない−。こんな論法を進めるのだ。(後略)
 
【社説】原発・千葉訴訟 論理が後退している 東京新聞  2017/09/23

 
(191)2017/10/11 国の指針 もはや「崩壊」 原発事故訴訟 賠償命令3地裁連続
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 東京電力福島第1原発事故の被災者訴訟で国と東電に賠償を命じた10日の福島地裁判決は、賠償基準を定めた国の指針では被害が十分に救済されていない実態を改めて浮き彫りにした。賠償命令は前橋、干葉に続く3地裁連続で、専門家からは「指針は崩壊している」との指摘も。福島では地域による賠償の格差が住民の分断を生み、復興に暗い影を落としている。(中略)

 【予見可能性】
 文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会が2002年7月に作成した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」は、規制権限の行使を義務付ける程度に客観的かつ合理的根拠を有する知見。専門的研究者の間で正当な見解と是認され、信頼性を疑うべき事情はない。
 国は長期評価に基づきシミュレーションを実施していれば、08年に東電が試算した通り、最大15.7メートルの高さの津波を予見可能だった。(後略)
 
国の指針 もはや「崩壊」 原発事故訴訟 賠償命令3地裁連続 額の格差 被災者を分断 判決要旨 東奥日報  2017/10/11

 
(192)2017/10/11 【社説】福島原発判決 国の責任を明確にした
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 国と東京電力の両方に賠償を命じた福島地裁の判決だった。原発事故の被災者ら約四千人が起こした裁判で、津波の予見性とその対策をしなかった責任を明確にした点は極めて大きな意味がある。(中略)
 まず出発点に挙げたのが、「長期評価」である。文部科学省の地震調査研究推進本部。その地震調査委員会が二〇〇二年に作成した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」のことだ。(中略)
 判決はいう。経済産業相は長期評価が公表された後、シミュレーションに必要な期間が過ぎた〇二年末までに、東電に対し非常用電源設備を技術基準に適合させるよう行政指導するべきだった。東電が応じない場合は、規制権限を行使すべきであった。(後略)
 
【社説】福島原発判決 国の責任を明確にした 東京新聞  2017/10/11

 
(193)2017/10/17 被災者訴訟 国・東電の責任認定 福島地裁 5億円賠償命令
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 東京電力福島第1原発事故の被災者約3800人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、福島地裁は10日、国と東電の責任を認定し、原告約2900人に総額約5億円を支払うよう命じた。(中略)
 金沢秀樹裁判長は、政府機関が2002年に発表した地震に関する「長期評価」に基づき直ちに試算すれば、国と東電は敷地を大きく超える15.7メートルの津波を予見可能だったと指摘。国が02年中に東電へ対策を命じていれば事故は防げたとして「国の規制権限の不行使は著しく合理性を欠いていた」と結論付けた。
 
福島第1原発事故 被災者訴訟 国・東電の責任認定 福島地裁 5億円賠償命令 東奥日報  2017/10/17

 
(194)2017/12/19 中央構造線断層帯、九州東部でも認定 同時活動の恐れも
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 政府の地震調査研究推進本部は19日、中央構造線断層帯など四国地方の活断層を評価し、今後30年以内にマグニチュード(M)6・8以上の地震が発生する確率は9〜15%だと公表した。
 長さ20キロ以上で、M7級の地震を起こす可能性がある二つの主要活断層に加え、5〜14キロの3活断層を新たに評価し、四国全体の確率を計算した。
 
中央構造線断層帯、九州東部でも認定 同時活動の恐れも 朝日新聞  2017/12/19

 
(195)2017/12/19 道東沖でM9級 可能性最大40% 地震調査委、今後30年間
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 政府の地震調査委員会(委員長・平田直(なおし)東京大教授)は十九日、北海道東部沖の太平洋で、大津波を伴うマグニチュード(M)9級の超巨大地震の発生が「切迫している可能性が高い」との予測(長期評価)を公表した。道東沖では三百四十〜三百八十年間隔と考えられる超巨大地震が約四百年前に発生。北海道大の研究では、この時の津波は海抜二十メートルを超え、沿岸から四キロ内陸まで浸水したと推定されている。
 
道東沖でM9級 可能性最大40% 地震調査委、今後30年間 東京新聞  2017/12/19

 
(196)2017/12/20 <道東沖M9予測>原発事業者は冷静 漁協は驚き隠せず 青森・下北
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 地震調査委員会が公表した長期評価によると、北海道東部沖の海溝型地震は原子力施設が集中する青森県下北半島への被害も想定される。各事業者は評価を冷静に受け止めるが、地元からは驚きの声が上がった。
 使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)を持つ日本原燃は「700ガルの基準地震動は(原子力規制委員会の)審査会合で妥当と評価されている」と、マグニチュード(M)9級の揺れは想定済みとの認識を示す。
 施設は海岸から約5キロの標高55メートルにあるため「津波は到達しないとして審査は終了している」と言う。(後略)
 
<道東沖M9予測>原発事業者は冷静 漁協は驚き隠せず 青森・下北 河北新報  2017/12/20
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