【記事27710】東北の巨大津波、いつ来てもおかしくない不適切と記述削除 政府調査委報告書、昨年2月 「東海より切迫度低い」 地震の発生確率(東奥日報2012年2月28日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである

 東日本大震災直前の昨年2月、政府の地震調査委員会(文部科学省)が東北地方の巨大津波について、報告書に「いつ起きてもおかしくはない」と警戒する記述を盛り込むことを検討しながら、委員の議論を受けて削除していたことが、28日までの文部科学省への情報公開請求などで分かった。「切迫度のより高い東海地震と同じ表現を使うのは不適切」との理由だった。
 報告書案は震災8日前、調査委とは別に開かれた文科省と東京電力など3社との非公式会合に提示。電力会社の要求でさらに表現を弱めた修正案がつくられたが、結局公表されず、調査委の委員にも知らされなかった。
 報告書案を検討したのは同委員会の長期評価部会で、大学の研究者を中心に気象庁などの専門家ら12人で構成。報告書は、三陸沖−房総沖の地震の発生確率などを求める「長期評価」の見直しの一環で作成していた。
 開示資料と取材によると、報告書案では「宮城県沖から福島県沖にかけて」という項目を新設。両県の太平洋沿岸の地中で、過去2500年間に貞観地震(869年、マグニチユード推定8.3)など計4回、巨大津波が来たことを示す堆積物が見つかったとの研究結果に基づき「(周期から)巨大津波を伴う地震がいつ発生してもおかしくはない」と記述した。
 だが、この文言が東海地震と結び付けて考えられる可能性があるなどとの指摘が出た。30年以内の発生確率が87%(現在は88%)だった東海地震と比べ、貞観地震などの再来にはそこまでの切迫性はないとして「発生する可能性があることに留意する必要がある」と弱められた。
 当初あった「巨大津波による堆積物が約450〜800年程度の間隔で堆積」「前回から既に500年経過」などの表現も削除された。
 東日本大震災について、地震調査委は昨年3月11日時点にさかのぼって発生確率を推定。「30年以内で10〜20%」だったとしている。(中略)

地震の発生確率
 政府の地震調査委員会は陸や海の地震について、30年以内の発生確率を計算、定期的に更新して公表している。予想されていなかった地震が起きた場合も「発生直前に予測できていたとしたら」と仮定して30年以内の確率を算出し公表。それによると東日本大震災は「10〜20%」、阪神大震災ば「0.02〜8%」だった。政府は昨年、「想定東海地震」が当時の発生確率87%だったことを根拠に、想定震源域にある中部電力浜岡原発の全面停止を同社に要請した。

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