【記事46730】原子力規制委員会記者会見録(原子力規制委員会2016年8月31日)
 
参照元
原子力規制委員会記者会見録

●日時:平成28年8月31日(水)14:30〜
●場所:原子力規制委員会庁舎記者会見室
●対応:田中委員長他
<質疑応答>
○司会 それでは、定刻になりましたので、ただいまから原子力規制委員会の定例会見を始めたいと思います。皆様からの質問をお受けしたいと思います。いつものとおり、所属とお名前をおっしゃってから質問の方をお願いします。それでは、質問のある方は手を挙げてください。シュゾウさん。
○記者 毎日のシュゾウです。大飯原発の地震動のこの前の計算について伺います。前回、7月の再計算の時点で委員長は、学会などで新たに確立された方法が出てこない限りは現在の方法を使うと、そういう趣旨のことをおっしゃっておられたように記憶しています。ところが、今、政府の地震調査委員会が使っている方法は、規制委員会が採用しているレシピとは別のレシピを使っていまして、つまり、規制委員会が使われている方法とは別の手法が、既に専門家の間では、そっちが主流になっているという現状があるのですけれども、まず、この点について、委員長の御見解を伺いたいのです。
○田中委員長 見解の相違ではないですかね。今日、そういう質問も出るかと思って、震源断層を特定した地震の強震動予測手法というのが今年の6月にもう一度まとまって出ている。これは地震調査会が。今まで出ているものよりも非常に丁寧に書いてある。これを使っているのですけれどもね。断層モデルと、それから、応答スペクトル法と2つあって。ただ、使い方の問題なのですよ、これは。何が違うのですか。違うというのをはっきりと、どこがどう違っているかということで、地震調査会が、今、いろいろ、強震動の計算について、この方法自体がいいかどうかということも含めて検討しているというのは知っていますよ。でも、違いますよね。昨日、おたくの新聞でしょう、違うとか何かと書いたのは。だけれども、事務方がいろいろ確認をしたところによると、纐纈先生も藤原先生も、あんなことは言っていませんよと本人が言っていたそうですけれども。そういうことをきちっと確認して御質問されているのですか。それだけ確信を持っているのですか。
○記者 まず、6月の地震調査委員会の資料をお持ちであれば、6月の資料の中に既にもう一つの方法というのがきちんと記述されておりまして、いわゆる断層の長さから地震の大きさを求める方法ですね。つまり、お伺いしたいのは、別のやり方がきちんと専門家の間で提示されているにもかかわらず、規制委員会は、今の規制委員会のやり方しか方法がないとおっしゃっておられるのは、本当にそれでよろしいのか。新しい、もう一つの方法でも、きちんと大飯の地震動を計算して検証しなくてよろしいのかという趣旨でお聞きしているのです。
○田中委員長 断層の長さというのは、武村式とか、その場合は松田式とかいうのがあって、その方法も書いてあります。でも、長さだけで地震動のいわゆる地震モーメントが決まるわけではなくて、断層の深さというのも必要なのです。だから、長さを使うときは、深さをある程度仮定することになっているわけ。だから、入倉・三宅は長さと深さですから、面積なのですね。断層のすべりの大きさ、面積が関係するというか、そこに直接関係しているわけで、その面積をどうとるかというところについて、入倉・三宅の、断層モデルについてですよ、規制委員会が使うときは、そのとり方について、長さをどうとるかとか、深さをどうするかということについて、注意深くやらなければいけないし、その長さというのは、表面にあらわれた長さと、実際動く長さは違う。その辺をきちっと安全側にとるために、これは原発だけでやられていることだけれども、非常に詳細な調査に基づいてやっているわけです。だけれども、1個1個の断層について、そういう調査、詳細な調査は普通の場合はやっていないから、なかなかできないということも書いてありますよ。そういう事情があるわけ。だから、うちの場合は、ここに書いてありますけれども、調査をきちっとした、そういうものに基づいてやるべきだということもちゃんと触れられていますよ。だから、何を言いたいのですか、あなたは。
○記者 端的に申し上げますと、もう一つの方法、つまり、長さから推定する方法で、今、試算するおつもりがあるのかどうかということ、まず、そこをお聞きしたいのです。
○田中委員長 長さというのは2つあって、島アさんが前にここに来たときに我々に言っていたのは、表面にあらわれている長さと言ったのですよ。地表面の長さ。断層の。でも、我々は、地表面の断層の長さで長さを決めているのではなくて、詳細ないろいろな調査をして、できるだけ地震が起こりそうだという長さを、かなり切れていてもつなげてやった。例えば、大飯の場合はFO-A、FO-B、それから、熊川断層。FO-A、FO-Bは海の中ですけれども、一応、それも全部つなげているわけです。熊川断層は15キロメートル離れているのだけれども、普通はそれはつなげないのだけれども、それもつなげてやると、そういうことで長さをとっているのです。だから、長さといっても意味が違うのだよ。この長さをとる。実際の地震動というのは、表面にあらわれた活断層の長さではなくて、実際の地下の、起こってからでないとなかなか正確にはわからないのだけれども、その長さをとる。できるだけそれに近づけて我々はやると。でも、そこにアンビギュイティがあるから、不確実性があるから、1.5倍にするとか、傾斜角をとるとか、そういうことをやっているわけ。そのことがだめだなどと全然書いていないですよ。同じですよ。もっと正しく理解してから報道して。どんな報道してもいいのですよ。でも、科学的には正しい報道をしていただきたいと思います。
○記者 わかりました。地震調査委員会が別の方法を使っているということは、地震調査委員会もそういうふうに言っていることでして。
○田中委員長 でも、纐纈先生とか藤原先生はそんなことを言っていないと本人の口から確認しています。そんなことを言ったって困りますけれどもね。毎日新聞はそういうふうに理解しているだけで。
○記者 わかりました。最後にしますが、地震調査委員会が別のやり方をすると決めた場合は再計算をされるおつもりはあるのでしょうか。地震調査委員会の手法にのっとって、今の規制委員会のレシピとは別のやり方で再計算をする必要があるとお考えなのでしょうか。
○田中委員長 それは、専門家がこちらの方をとるべきだということであれば、再評価して、本当にこれまでの評価がいいかどうかというチェックはしなければいけないと思いますよ。
○司会 ほかにございますでしょうか。マツゾエさん。
○記者 日経新聞のマツゾエと申します。話題変わって恐縮なのですけれども、もんじゅの関連で幾つかお伺いさせてください。去年11月の勧告に対する期限の半年めどを大きく超過しながら、今のところ回答が出ていない状況にあるかと思います。有馬検討会が終了した後もしばらくたって、議論の進捗がほとんど現状としてないように見えるのですけれども、なかなか回答が出てこないという現状を委員長はどのように御覧になっていますでしょうか。
○田中委員長 文科省中心なのか、政府全体でなのかよくわかりませんけれども、いろいろ検討されているといううわさは聞こえてきますけれども、私どもとしては、その回答が来てからということを前から申し上げています。
○記者 以前からの会見の場でも、回答はそう簡単でもないから、出てくるのを待ちたいという御発言を繰り返しされていると思うのですけれども、その姿勢に今のところ変わりはないということでしょうか。
○田中委員長 そうですね。基本的には変わりないですね。
○記者 ということは、一応は、文科省からの回答が出てくるまでは静観を続けて、例えば、リミットを設定するだとか、何かしらの対応を先に規制委員会がとる気はないということでしょうか。
○田中委員長 今の段階ではそういう考えはありません。もう少し待ちたいと思います。
○記者 ありがとうございます。
○司会 ほかにございますでしょうか。シゲタさん。
○記者 NHKのシゲタです。ちょっと聞きにくいというか、あまり関係ない質問になるかもしれないのですが、2つお伺いしたいのですが、1つは、九州電力と三反園知事の関係についてお伺いします。先週、三反園知事が一時停止をして安全確認をしろと九州電力に申し入れて、今日、一部報道でも、九州電力はそれに応じない方針を固めたという報道もありましたが、この一連のやりとりについて、委員長、率直にどう思われますか。
○田中委員長 熊本地震が起こった後、何回か地震が起こるたびに安全確認はしていますので、それで特に問題はないことを確認していますから、私どもとしては、そういうことですね。確認はもう済んでいるということです。
○記者 三反園知事が求めていることに九州電力が応じない、応じないという言い方が正しいかわからないですけれども、一時停止をして点検をしないことに別に問題はないという御理解だということですね。
○田中委員長 今の段階で九州電力がどういう態度で臨むかということについて、私どもから、安全上の問題の観点からは、何も問題はないと思っています。
○記者 もう一点、さらに聞きにくいことではあるのですけれども、昨日、新潟県の泉田知事が次の選挙に立候補しないという表明をしました。泉田知事といえば、柏崎刈羽の再稼働にすごい慎重な姿勢を示していたり、1Fの検証を求めていた人物でもあったのですけれども、この方が次の知事にならないということに関して、御所感があればお伺いしてもよろしいでしょうか。
○田中委員長 特に所感はありません。私どもは、前から言っているように、別に柏崎刈羽に限らず、安全の確認の審査はしますけれども、必要条件はちゃんと確認するけれども、実際に稼働させるかどうかということは、住民、国、事業者、いろいろな中で決まっていくことでしょうということですから、基本的には関係ないと言ったらあれですけれども、特に感想はありません。
○記者 どんな知事でもやることは変わらないということですよね。
○田中委員長 私の方から、何かこうやるべきだと言うことはないですよね。
○司会 ほかにございますでしょうか。今、手を挙げている4名の方で。まず、ミヤジマさん。
○記者 月刊誌のFACTAのミヤジマです。先週25日ですか、全国知事会の提言を持ってこられた。しかし、これは日本を代表する原発立地県の福井県の西川さんとのお話し合いで、私は、非常に示唆に富んでいたし、知事はかなり本音のことで非常に困っているのだということを打ち明けられたと思うのですけれども、いかがでしたでしょうか。やはり立地県のトップと話し合うということは非常に意義深いと私は思うのですけれども、どういうふうにお考えになりましたかね。
○田中委員長 なかなかちょっと漠然としていて答えにくいのですけれども、いろいろなことをおっしゃっていたので、答えられること、答えられないこと、いくつかあって、時間の許す範囲でお答えできることは答えましたけれども。
○記者 それでは、具体的に言いますけれども、その中に、自治体等の幅広い意見に真摯に耳を傾け、真に国民の理解と信頼が得られる組織になってくれと書いてあるのですね。まさにそれをずっとおっしゃっていたと思うのです。そこには、例えば、おっしゃっていましたけれども、今の組織が非常に東京中心で、現地・現場に対しての配慮が足りないと。その中には、現場を重視して実効性のある安全対策を進めるとともに云々かんぬんで、現地の事務所の人員を増やしてくれとか、やはり現場ではかなりそういう、1Fのことも言っているわけなのですね。だから、やはり本格的にそろそろ地方自治体、とりわけ立地自治体のトップといろいろな話を聞いて、そういう立場で、ここに書いてありますけれども、要望書に書いてありますけれども、真に国民の理解と信頼の得られる組織になるということは、やはり地元の話を本気に聴くということがなければ難しいと私は思ったのですが、その点ではいかがでしょうか。
○田中委員長 願うことならば真に理解を得られればということなのですが、その方法として、地元の自治体の責任者といっても、誰を言うのかということにもなってくるわけですね。各首長さんといったらすごい数になりますし。それで、西川知事に昨年会うときも、一応、知事会の代表者としてお会いするということで、まず、そこをやった。そういう対応をさせていただいて、知事も今回は、今日の回答は知事会でも報告しますということをおっしゃっていたので、まずそれが一つで、あとは、地元を大事にするというか、現場を大事にするというのは、そのとおりだと思いますので、それはそういう方向で、今、努力しています。それで、大きく言えば、今、検査体制というものをもっと強化しようということで、法律改正までにらんで、今、その体制強化、それから、教育訓練もやっているということですので、少しその辺は、そんな遠くはないと思いますけれども、そういう準備をしているということで御理解いただくしかないと思いますけれども。
○記者 最後に言いますが、もう電力事業者との面談、これは私は意味があると思っていますけれども、これはもう2巡目、3巡目に入っているのですけれども、立地自治体の市長が何百人いるといっても無限にいるわけではないわけですから、やはりそういう立地自治体のトップですとか、そういう方と意見交換の場を設けると。そういうお考えは、今のところ、ないということでよろしいのでしょうか。
○田中委員長 ないと今は言い切ることはできないと思いますけれども、必要があればそういうことはありますけれども、立地自治体の言い分というのが、いろいろな申入書とか、いろいろなものが来ていますけれども、それをどういうふうに、私というか、委員長が会うということを言っているのかもしれないけれども、一応、そういう場合には、長官とか次長とか、いろいろな形でお会いしてきちんと話をしているので、何をお求めになってそう言っているのかというのがいま一つ分からないのですよね。そこがきちんと整理されていないと、お会いしても会ったというだけで終わってしまうので、そういう意味からいうと、先ほどの繰り返しですけれども、知事会の代表として昨年は西川知事と泉田知事にお会いしたということなのですね。だから、それをどういうふうにすべきかというのは、まだ一概に今、会うとか、会わないとかということを決めるテーマではないと思っていますけれども。
○司会 では、続きまして、マツイさんの前の方。
○記者 新潟日報のナガノと申します。先ほどの泉田知事の関係でちょっと追加でお伺いしたいのですけれども、先ほど所感は特にないということでしたが、泉田知事も原子力防災、SPEEDIの使い方ですとか、原子力防災について、規制委員会、特に田中委員長個人も挙げることはありますけれども、かなり厳しく批判してきた経緯もありますが、そういう点で、知事をやめられるということについてどう思われているか教えてください。
○田中委員長 知事がやめるというのか、選挙に出るか、出ないかということと、SPEEDIを使うか、使わないかということは、これは私どもとしては無関係のことで、SPEEDIを防災の判断に使うということは非常に大きなリスクを伴うから、もう使わないということで、実測データに基づいてやりますということはもう御案内のとおりですので、我々の考え方としては変わらないということだと思います。
○記者 ありがとうございました。
○司会 続きまして、カミデさん。
○記者 フリーランス記者のカミデです。一応、確認という感じの質問になりますが、よろしくお願いします。幸い台風10号が思っていた最悪のコースは通らなくて、福島原発は当初心配していたような被害は出なかったと思うのですが、その前にちょっと汚染水が増えたりしました。何回もこういうことが繰り返されると思うのですが、今回、委員長がお感じになっている、あるいはお聞きになっている範囲での何か課題とかが残った、これはもう少しこうやらなければならない、それから、今のいろいろな廃炉作業の進捗状況、こういう自然災害との関係で、今、委員長が御心配されているような点がございましたら、今回のも含めて御教示いただきたいと思います。
○田中委員長 カミデさんの質問はなかなか裏があるから難しいのだけれども、これは更田委員会の汚染水の評価・検討会、汚染水ではなくて、1F検討会で議論されていますけれども、要するに一番大きな心配は、例えば、大きな津波が再度やってきて、4メートル版というか、原子炉の中にある高濃度の汚染水がまた再び出ていくような事態が起こるということを心配していますよね。ですから、そういうことのないようにするために、できるだけ速やかに中の汚染水の7濃度を下げるとか、いくつかの工夫をすべきだと。津波が入らないようにという、では、防潮堤を作るべきだということもあるわけですけれども、普通のところはそういう対策をしてもらっていますけれども、それを作るのだって2年、3年はかかるし、あの場に作るというのは極めて困難ですね、堅牢なものを。ですから、その間にできるだけ速やかにというのは、時間的なトレードオフを考えても、早く水を、汚染水の処理をすべきだということです。今回、もう一つ、多分大丈夫だろうとは思っていましたけれども、直撃すると強い風が吹いて、例えばスタックが倒れたりなんだりすると、非常に汚染されている途轍もなく高い濃度の汚染がありますので、そういったものが散らばるというのは非常に気にしていましたけれども、それは幸いなかったということだと思いますけれども。そういう、自然というのは、いつ何どき、何が起こるか分かりませんので。よろしいですか。そういうことかと思います。それぐらいかな、自然ということでいえば。
○司会 それでは、最後に、トミヤマさん。
○記者 読売新聞のトミヤマといいます。原子力発電所の使用済核燃料の保管で1点だけお聞きしたいのですけれども、委員長に就任された2012年と、九州電力の社長と面会された2014年のときに、乾式の貯蔵の方が安全性からは望ましいという趣旨の発言をされていると思うのですが、現時点でどういうふうにお考えか、改めて教えていただいてもいいでしょうか。
○田中委員長 基本的には同じ考えですけれども。
○記者 ドライの方がいいと。
○田中委員長 ドライキャスクもスチールキャスクとコンクリートキャスクとありますので、スチールのキャスクは結構高価なものですけれども、あそこに入っていれば、いろいろな状況で、輸送キャスク貯蔵兼にすれば、相当堅牢ですから、少々のことが起こっても何も起こらないので、安全でいいと思いますけれども。
○記者 2014年に九州電力の社長と面談された後で、2015年だと思いますが、九州電力が乾式の貯蔵について検討したいということを表明しているのですけれども、電力会社でこういう動きが広がった方がいいというふうにお考えでしょうか。
○田中委員長 事業者としては、経済的なことを除けば、多分その方がベターだと思いますが、地元との関係があるから、必ずしもスムーズにいくかどうかは分かりません。同じような動きは、中部電力もたしか取り組んでいると思います。ただ、1Fのときの事故でも検証されているのだけれども、1Fの事故のときに乾式キャスクが置いてあったわけですね、海側に。あの建物がかなりひどい状態に壊れたけれども、中の燃料は全く傷んでいなかったということでも分かるように、あれほどの災害をこうむっても、乾式貯蔵容器に入れておけば一応は安心だというところはあります。
○記者 安全性の点と、容量の問題もあって乾式の導入というのもあると思うのですけれ8ども、電気事業連合会が昨年に出した対策の中でリラッキングもあるのですけれども、これについてはどういうふうに評価されていますか。
○田中委員長 私は、リラッキングは基本的に認めたくないと思っていますけれども。要するに、結局、1F事故の教訓で、プールにある使用済燃料というのが一番やはり心配されたわけですね。一番脆弱だというふうなことがもうほぼ周知になっているわけです。そこに、リラッキングというのは、いくらでも、できるだけたくさん詰め込もうという考え方ですから、そういうリスクを増大させるようなことはあまり褒められたことではなくて、それだったら先ほどの乾式容器に入れて地上にきちんと保管しておいた方がいいと。非常に簡単な理屈です。
○記者 分かりました。ありがとうございます。
○司会 それでは、本日の会見はこれで終わりにしたいと思います。お疲れさまでした。

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