戻る | 石渡明(前原子力規制委員会委員)記者会見[2024/11/18] | 戻る |
○初めに |
今年(2024年)9月に原子力規制委員会を退任された石渡明さん、今年は退任時の記者会見以外で、3回講演及び記者会見を行っています。
1回目が6月18日のウィーンIAEA本部での 講演 (PDF形式レジュメ)、2回目が8月5日の大阪公立大学での 講演 (PDF形式レジュメ)、3回目が11月18日の日本記者クラブ(日本プレスセンタービル)での会見です。3回目の会見の模様は YOUTUBE に公開されています。 今回、3回目の記者会見の文字起こしを行い、当日の画面のスクリーンショット、2回目の講演のレジュメの画像とあわせたものを以下に作成しました。 石渡さんの10年間の様々な功績の全ての紹介とはなりませんが、皆さんの理解を深める一助となれば幸いです。 |
○全体の構成 |
[1]画像アイコン一覧 (アイコンクリックで画像と文字起こしが表示される) TOP |
[2]記者クラブ会見 画像と文字起こし(抜粋) TOP |
[凡例]
(##)記者クラブ会見 タイトル部 とあるのは、11月18日の記者会見で、図と石渡さんのコメントが有ります。 (##)大阪公立大学講演 タイトル部 とあるのは、8月5日の大阪公立大学での講演で、図のみとなります。 ※タイトル部もしくはアイコンをクリックすると拡大図と文字起こし(全文)のページが開きます。 |
(1) 記者クラブ会見 石渡明・前原子力規制委員会委員 会見 |
2014年9月から今年9月までの10年にわたり原子力規制委員会の委員を務めた石渡明さんが登壇。自然ハザードに対するこの間の原子力規制委員会としての対応を振り返るとともに、能登半島地震で得た知見と今後の課題などにも触れた。
自然ハザードが多い日本では「厳しい原子力規制が必要になる」との考えを示した。 石渡さんは、敦賀原子力発電所2号機直下の断層を巡る審査で活断層の可能性を否定できないとし、新規制基準に適合しないという結論をまとめたほか、原子力発電所の60年超運転を可能にする法改正に伴う規制制度の変更に際し、規制委の会合で最後まで反対したことで知られる。 質疑応答では、敦賀2号機について規制委員会が正式に不合格としたことへの受け止め、60年超運転を可能とする法改正に反対した理由などについての質問も寄せられた。 司会 行方史郎 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞社) |
(2) 記者クラブ会見 石渡明・前原子力規制委員会委員 会見 |
(3) 記者クラブ会見 自然ハザードに対する日本の最近の原子力規制、再審査及びバックフィット |
(4) 記者クラブ会見 石渡明 自己紹介 |
(5) 記者クラブ会見 今日の話の内容 |
(6) 記者クラブ会見 はじめに(2011年3月11日 東日本大震災の体験) |
(7) 記者クラブ会見 2011年3月11日に津波災害を受けた仙台市海岸部の水田(同年3月27日石渡撮影) |
(8) 記者クラブ会見 岩手県大槌町と江岸寺墓地の津波被害(2011年7月31日石渡撮影) |
(9) 記者クラブ会見 岩手県大槌町の江岸寺墓地の津波・津波火災被害状況(2)(2011年7月31日石渡撮影) |
(10) 記者クラブ会見 津波火災により全焼した石巻市立門脇(かどのわき)小学校 隣接する西光寺墓地の墓石 |
(11) 記者クラブ会見 福島第一原子力発電所から80km以内における2011年12月と2022年10月の空間線量の分布(μSV/h) |
(12) 記者クラブ会見 原子力規制委員会 独立した規制機関 |
(13) 記者クラブ会見 原子力規制委員会の組織理念 |
(14) 大阪公立大学講演 自然ハザードに対する原子力規制要求 |
(15) 記者クラブ会見 (1)津波 |
(16) 記者クラブ会見 原子力発電所に来襲した2011年3月11日津波 |
(17) 記者クラブ会見 (2)活断層 |
(18) 記者クラブ会見 「活断層等」の判断基準 |
(19) 記者クラブ会見 川内原発における断層と鉱物脈の関係 |
(20) 記者クラブ会見 各原子力施設_現在の状態_活断層等の判定表 |
(21) 記者クラブ会見 (3)地震 |
(22) 大阪公立大学講演 より科学的で精密な基準地震動の策定 |
(23) 記者クラブ会見 解放基盤面と地震基盤面の深さ |
(24) 大阪公立大学講演 基準地震動を超える加速度が観測された発電所 |
(25) 記者クラブ会見 川内原子力発電所から100km以内の活断層 |
(26) 大阪公立大学講演 2016年熊本地震 |
(27) 記者クラブ会見 (4)火山活動 |
(28) 記者クラブ会見 自然ハザード関係のバックフィットと改善事項 |
(29) 大阪公立大学講演 バックフィット(1)気中火山灰濃度 |
(30) 大阪公立大学講演 バックフィット(1)気中火山灰濃度の適正化_富士山噴火の例 |
(31) 大阪公立大学講演 1707年宝永噴火の火山灰層(最上部の>1m、御殿場市水土野にて) |
(32) 大阪公立大学講演 降下火砕物の終端速度と堆積量から気中平均濃度を推定 |
(33) 大阪公立大学講演 航空機の基準、実測値、人体影響 |
(34) 大阪公立大学講演 原子力事業者の火山灰対策 |
(35) 大阪公立大学講演 バックフィット(2)火山灰層厚の見直し(関電) |
(36) 大阪公立大学講演 バックフィット(3)警報なし津波 |
(37) 大阪公立大学講演 バックフィット(3)警報なし津波 |
(38) 大阪公立大学講演 バックフィット(4)標準応答スペクトル |
(39) 記者クラブ会見 改善(5)地滑り対策の斜面セットバック(福島第一原子力発電所) |
(40) 大阪公立大学講演 改善(5)地すべり対策の斜面セットバック(福島第一原子力発電所) |
(41) 大阪公立大学講演 敷地内の富岡層風化部の分布状況[南北断面] |
(42) 記者クラブ会見 敷地内の富岡層風化部の分布状況[東西断面] |
(43) 記者クラブ会見 斜面対策工の検討 |
(44) 記者クラブ会見 改善(6)津波引き波対策の防護柵設置 JAEA東海再処理施設 |
(45) 記者クラブ会見 改善(6)津波引き波対策の防護柵設置 JAEA東海再処理施設 |
(46) 記者クラブ会見 トピックス:2024年1月1日能登半島地震 |
(47) 大阪公立大学講演 2024年1月1日能登半島地震の震源(黄色)と既知の活断層位置 |
(48) 記者クラブ会見 2024年1月1日能登半島地震による地盤 変動:4mの隆起と3mの西向き移動 |
(49) 記者クラブ会見 2024年8月19-20日能登半島地震調査 |
(50) 記者クラブ会見 結論 |
(51) 記者クラブ会見 石渡明 会見 質疑応答1 |
●質問
今日核のゴミの問題については、直接は触らられなかったんですけれども、ちょっとその件についてお伺いしたいんですが、この地震大国、火山大国の日本で、10万年間安全な地層処分できる適地ってのは本当にあるんでしょうか。 関連して、もしやはり不安があるということであれば、代替案というのが、あるんでしょうか。 ●回答 私は6月にフィンランドへ出張に行きまして、いわゆるオンカロという処分場、最終処分場を見せていただきました。ご承知のようにフィンランドというところは非常に地殻が古い時代の土地で、安定した、いわゆるバルト盾状地と呼ばれる、非常に安定した地盤であると、それはその通りなんですけれども。 では断層とかそういうものは一切ないかというと、それは違う。あそこはやはり元々が日本と同じような造山帯であります。18億年前までは造山帯だったところです。ですから、そういう意味で日本と同じように破砕帯を伴う断層が何本もございます。 坑道を掘る場合はそれらを避けて、それらが比較的影響が少ないと思われるところを掘って作っている。というのを実際行ってみてよく分かりました。 ですから、私は、フィンランドでああいうことができるのであれば、日本でも不可能ではないという風に考えております。 |
(52) 記者クラブ会見 石渡明 会見 質疑応答2 |
●質問
例えば、次にマグニチュード9クラスの地震が起こった場合に、現在の審査適合した原発については、ほぼ心配がないと言えるのかどうか。 もう1点は、先ほど津波・地震・火山のリスクのお話をされてましたけど、今後例えば100年とか200年という間に、原発のリスクでこの3つのうち、最も起こる可能性が高いもの。そしてもう1つは、最も甚大な被害を起こしそうなケースを教えていただければと思います。 ●回答 例えばマグニチュード9クラスの地震が起きる場所というのは地球上では比較的限られておりますね。つまりその大きなプレートの沈み込み帯、こういうところでしか、マグニチュード9クラスの地震は今まで起きておりません。 マグニチュードが大きければ危ないかっていうと、決してそういうことではなくて、小さい地震でも近くで起きるとこれは被害がものすごい大きくなりますから、そういう場合はこれ非常に不確定になりますね。 何が1番危ないか、これは全部危ないですよね。 日本の火山というのは、そういう意味で、いわゆる第四紀火山っていうのを、原子力では全部調査してください、ということになっておりまして、活火山に限らず、そういう意味で、地震と津波と火山というのは今の規制では、どれも非常に影響が大きいということで、同じような比重で審査をしております。 |
(53) 記者クラブ会見 石渡明 会見 質疑応答3 |
●質問
能登半島地震の時のように、原発の敷地が仮に隆起した場合、原子炉や重要な施設は隆起による影響で、損傷の心配はないのでしょうか、規制に生かすべき知見等はないのでしょうか、という質問です。 2つ目は先ほどの噴火の関連ですけれども、巨大噴火は観測の経験もなく科学的に分からないことが非常に多いと思います。現在事業者の方からモニタリングや規制委での報告にどのような意味があるというお考えでしょうかという質問です。 ●回答 隆起そのものは、非常にゆっくり起きるわけです。いきなりぴょんと飛び上がるわけではなくて、比較的ゆっくり上がるもんだと思います。従って土地全体が隆起するわけですから、ある場所だけが上がるわけではないので、特にそれで何かものが壊れるとか、そういうことはないと思います。 巨大噴火、これについては確かにその人類というのは地球上で巨大噴火を経験していません。今やっているモニタリングというのは、これは許可した時の状況から変わっていません、ということを確かめるためのモニタリングです。 もしそれが変わっている場合は、これはそれについて、すぐに我々はその評価をしなきゃいけなくなります。大きく変わった場合は原子炉を止める、もし本当に巨大噴火に繋がりそうな兆候があれば、核燃料をよそへ搬出するというような方針も決められております。 |
(54) 記者クラブ会見 石渡明 会見 質疑応答4 |
●質問
能登半島地震の地震によって、その原発の審査にどういう影響があるのか。 もう1つ、志賀原発なんですが、で改めて審査した結果、活動性はないという結論が出たと思うんですけれども、電力会社側のその対応状況について、先生の方でどう思われてるのか教えていただきたいです。 ●回答 原子力規制にこれからどういう風に取り入れるべきかというのは、これは今一生懸命研究者が研究してるところですので、中々予断を持っては言えませんが、はっきりしていることは、当然地震動として志賀原発なり、他の原発にも取り入れなきゃいけません。 当然今回の地震のその断層モデルというものをしっかりと決めていただく必要がある。これを元にして地震動を計算しますので、これについては色々アイデアは出ていますが、まだ確定的ではないように思います。まだ解析の途上なんではないかなと思っています。 上載地層法と鉱物脈法があるとで、最初の結論は北陸電力は上載地層法でしかやってなかった。それを鉱物法のデータをたくさん出された。これが決定的で、全然動いてないですよね、ということがはっきりしたわけです。それで我々はこれは活動性がないという結論にしました。 |
(55) 記者クラブ会見 石渡明 会見 質疑応答5 |
●質問
日本原燃の敦賀原発に関して、正式に不合格というものが決定されました。率直にどのようにお感じになったのかというのを聞かせいただきたいのと。 敦賀原発の審査に関しては、非常に長い時間かけて審査が続いてきたと思うんですけども、振り返って、まあどういうところに問題点があったのか。 ●回答 長い間時間がかかったと言っても、審査が止まっていた時間が結構長かったです。決して9年間ずっと審査をしてたわけではなくて、審査が止まっていた時間が結構長かったということはございます。 けれども、我々としてはやはり焦点を絞ってK断層というものの活動性というものが1番大事だから、とりあえずこの1点に絞ってやりましょうということで、これ事業者側にもご了解をいただた。 その間、2回現地調査をやりました。審査会合は確か6回だったかな、やりました。十分な時間をかけてやったというふうに考えております。 敦賀の場合は、非常に心配なのは浦底断層、これは日本原子力発電も認めている活断層、原子炉がそこから200mちょっとぐらいの距離にあるということです。K断層というのは派生しているかどうかは分かりませんが、浦底断層とこう斜めに交わるような形で伸びている断層です。でそれの活動性が残念ながら否定ができないという状況なわけです。 |
(56) 記者クラブ会見 石渡明 会見 質疑応答6 |
●質問
結局敦賀2号の根本的な、安全問題というのは浦底断層に気づいた後に、それに手当てしてこなかったということだと思うんですね、なぜ浦底断層というところに焦点を当てきれなかったか。 もう1つ、後任の委員について、先生、ご意見を述べられたか。 ●回答 人事に関することにはお答えはできません。 それで例えば、バックフィットで400m以内はダメですというようなことを、今の時点の科学的な知識でもって、そういう規則を作ることができるか、これはできないです。何メートル離れれば、オッケーだというような、そういういう決まりを、今の時点で作ることは不可能です。50年代の頃の知識だったら、それはできたんだと思うんです。 これ非常に難しい問題で、そういう意味で今の規則というのは、直下にしていてはいけないという、そういう決まりになっているんだと思います。 |
(57) 記者クラブ会見 石渡明 会見 質疑応答7 |
●質問
原発の60年延長問題を反対なさった理由を教えてください。 ●回答 私がそもそもこの職に着いた時に炉規法とか基本的な法律、原子力基本法もそうですけど、これは全部読みました。読んだ上で、いわゆるその40年ルールというのが明確に書いてあった。1度だけその延長ができると、でそれは結局だから60年ですよね。 年間を切ったルールが法律には書いてあって、私はこれを守るということで、就任しましたので、これを何かの理由によって、しかも外部のからの働きかけによって、勝手に変えるということは、私は科学的にそれでもいいですよという理由がない限りは、これはできないということで、私は反対しました。 |
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