[会見動画頭出し]
石渡明 会見 質疑応答1
　15:30

　質問

　個人会員の(あさだ？)と申します。本日はどうもありがとうございました。今日核のゴミの問題については、直接は触らられなかったんですけれども、ちょっとその件についてお伺いしたいんですが、私が改めて言うまでもないことですけれども、核のゴミの問題、今色々一部の自治体で動いたりしておりますが、完全に安全になるまでには10万年かかると、言われております。この今まさに先生が触れられたような、この地震大国、火山大国の日本で、10万年間安全な地層処分できる適地ってのは本当にあるんでしょうか。これ先生は地質学がご専門ということなんで、是非ご見解を伺いたいと思います。
　でそれに関連して、もしやはり不安があるということであれば、何かそれに変わる代替え案というのが、あるんでしょうか。それについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

　回答

　それについては私も非常に重要な問題だということは認識しております。ただ日本の原子力規制委員会は職務分担がある程度決まっておりまして、その私がいた頃は田中知(さとる)委員がその、そういった処分最終処分などの担当でありましたので、私自身はそういう方面の審査などには直接は関わっておりません。
　それで、地質学者としてどうかというお尋ねです。日本にそういう適地があるかどうかということは、これは当然皆さんご関心があるわけで、あれは2、3年前ですか、いわゆる適正マップというのが公表されまして、あれは例えば火山から15km半径、直径30km以内は不適当ですと、大きな活断層があって、そこからあれ何キロでしたかね、数km以内ぐらいですかは適当ではありません。
　それからもう1つは、鉱物資源あるいはエネルギー資源があるようなところは、ダメです。なぜかというと将来、今の記録が失われた数百年・千年経った後で、誰かがそのエネルギーを取るために、そこを掘るかもしれません。そういうふうに掘ってしまうと、その埋めたものを掘り返されてしまう可能性がありますから、その鉱物資源やエネルギー資源がある。例えば石炭が埋まっている石油が埋まっている。あるいは金が出るとか、そういうところも適地ではありません、ということで、ではそれ以外のところだったらいいでしょう。
　ただし内陸はこれは運ぶのが大変なので、やはり海岸沿いというようなことで、マップができているわけです。ですから、その結構、緑色に塗られているOKの場所もマップではかなりありますので、そういう意味での適地というのは日本にもたくさんあると思います。
　であと、その例えば私は6月にフィンランドへ出張に行きまして、いわゆるオンカロという処分場、最終処分場を見せていただきました。でこの処分場というのは、実はあそこにオルキルオト原子力発電所というのがございまして、入り口はほとんどが敷地内にございます。原子力発電所が3基ある。ロシア式のが2基で、新しいヨーロッパ式のが1基で、計3基稼働しております。
　その敷地内に入り口がある、そこから地下400ｍちょっとのところに坑道を掘って、そこにフィンランドの場合は、日本と違って再処理はしませんので、使用済み燃料をそのまま銅と鉄の容器に入れて、その坑道の中に埋めるということをやるわけです。
　実はもう8月からですかね、搬入が始まりまして、多分私はそこを見た最後の外国人になるんではないかと思いますが、ご承知のようにフィンランドというところは非常に地殻が古い時代の土地で、安定した、いわゆるバルト盾状地と呼ばれる、非常に安定した地盤であると、それはその通りなんですけれども。
　では断層とかそういうものは一切ないかというと、それは違う。あそこはやはり元々が日本と同じような造山帯であります。18億年前までは造山帯だったところです。ですから、そういう意味で日本と同じように破砕帯を伴う断層が何本もございます。
　坑道を掘る場合はそれらを避けて、それらが比較的影響が少ないと思われるところを掘って作っている。というのを実際行ってみてよく分かりました。で図面上もそういう風になっております。ですから、決して、そういう地質の条件とかそういうものを無視して、これただ掘って作ればいい、というようなものでは決してない。それはああいう非常に古い安定した地殻においても結局同じことであります。
　坑道を歩いていると、湿っている所と、乾いている所があります。湿っているところは、破砕帯がある所なんです。もちろん大きな破砕帯はないですけれど、小さい破砕帯はどうしてもやっぱり、避けることはできないので、そういうとこは床が湿っています。水が染み出してきてます。
　ですから、私は、フィンランドでああいうことができるのであれば、日本でも不可能ではないという風に考えております。
　以上ですよろしいですか。