[2024_11_18_35]石渡明 会見 質疑応答5(日本記者クラブ_石渡明(前原子力規制委員会委員)_会見2024年11月18日)
 
[会見動画頭出し]
石渡明 会見 質疑応答5

 15:30

 質問

 共同通信社の上村と申します。今日はお話ありがとうございました。先週の水曜日に日本原燃の敦賀原発に関して、正式に不合格というものが決定されました。それで技術的な議論というのは、石渡先生がいらっしゃった時代に、ほぼ終わっていたのかなと思うんですけれども、その不合格となったところを受け止めというか、まあ率直にどのようにお感じになったのかというのを聞かせいただきたいのと。
 敦賀原発の審査に関しては、非常に長い時間かけて審査が続いてきたと思うんですけども、振り返って、まあどういうところに問題点があったのかというところを、お聞かせいただければと思うんですけれども、よろしくお願いします。

 回答

 長い間時間がかかったと言っても、審査が止まっていた時間が結構長かったです。2年以上止まってたと思います。でやはり事業者側のその我々の審査というのは、事業者側が出してきた申請書と色々な資料、これに基づいて審査をするわけで、これが間違っていたり、あるいは前出していたものが、いきなり変わっていたりすると、これ審査にならないわけです。そういう問題が発覚したために審査がだいぶ止まりました。
 ですから、その9年と言いますけれども、決して9年間ずっと審査をしてたわけではなくて、審査が止まっていた時間が結構長かったということはございます。でそういう点で審査資料の間違いもたくさんあったというようなことがございまして、審査非常に難しかったというのがございます。
 けれども、我々としてはやはり焦点を絞ってK断層というものの活動性というものが1番大事だから、とりあえずこの1点に絞ってやりましょうということで、これ事業者側にもご了解をいただいて、去年の8月に審査を再開すると、申請書を出していただいて、改めて申請書を出していただいて、そのK断層だけについて審査をやるということで、これ普通は、例えば先ほどの志賀発電所でも断層は10本ぐらいあって、その10本1つ1つやっていくわけですが、敦賀は1本ですよ、K断層1本について丸1年かけてやったわけです。
 その間、2回現地調査をやりました。審査会合は確か6回だったかな、やりました。そういう意味で決して、時間を節約したと言いますか、あるいはその時間を切ったというようなことはございませんで、十分な時間をかけてやったというふうに考えております。

 敦賀の場合は、やはり非常に心配なのは浦底断層という、これは日本原子力発電も認めている活断層、これは長さが20km以上ある非常に大きな活断層で、マグニチュード7.2ぐらいですかね、地震を起こす。あるいはそれ以上の地震を起こす可能性が否定ができないそういう断層なわけです。
 で原子炉がそこから200mちょっとぐらいの距離にあるということです。K断層というのは派生しているかどうかは分かりませんが、少なくともその浦底断層とこう斜めに交わるような形で伸びている断層です。でそれの活動性が残念ながら否定ができないという状況なわけです。
 実は原子力発電っていうのはアメリカで始まったわけですが、1950年代に始まったわけです。でアメリカというのは比較的地震が少ない国ですけれど、カリフォルニア州というところは、そうはいかないわけです。そこはサンフランシスコとかロサンゼルスとか、しょっちゅう地震が起きるところです。
 でしかし大都市がありますので、電力が欲しいということで、原子力発電が当然あそこでも行われてきたわけです。けれども、もう最初から、あそこはそのいわゆるその活断層問題で1950年代から散々苦労したところです。
 で8基の商業用の原子力発電所が計画されましたが、そのうちの4箇所は建設途中あるいは調査段階で活断層が見つかって、中止にになりました。
 4箇所は原子炉ができて運転を始めたわけですが、そのうち2箇所は後から近くに活断層が見つかって、運転取りやめになりました。で長い間動いたのは、ですから、2箇所だけ、そのうちで現在も動いてるのは1箇所です。ディアブロキャニオンです。
 そこも2008年に近くに活断層が見つかったんです。ただその距離が600m離れていました。実はそのアメリカでここに本があります。原子力と断層(「The Atom and the Fault」)(1986・11・30)という、これ皆さんお金を払えば2、3千円で買える本です。これAmazonで売ってます。これにその間の事情が詳しく書いてあります。
 アメリカで最初の頃、50年代から70年年代まで、1/4マイルルールというのがございました。これは活動する可能性のある断層から1/4マイル以内に原子炉を作ってはいけませんという法律です。1/4マイルですから400mです。規則が少なくとも20年間ぐらい渡ってアメリカにはございました。
 ただ70年代になって、その数字は規則からは消えたんですが、実際上アメリカで動いている原子力発電所は活断層から400m以内に作ってるものは1つもありません。当然のことながらだから、その意味ではこの規則はまだ生きてるわけです。そこのところをよくご考えいたきたいというふうに思います。
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