戻る 浜岡原発_防波壁(*)問題 戻る
(*)防潮堤、もしくは防波堤という言葉が一般的であるが、中部電力のHPで、防波壁と記述していること、厚みが2メートルの板を地中にさしているイメージなので、”堤”より、”壁”のほうが適切だと考え、以下の文中の編集者(地震がよくわかる会)のコメント部分では”防波壁”と記述する。

●初めに
 東日本大震災の約2か月後の2011年5月7日に菅直人首相が浜岡原発の停止を要請してから、11年以上経過している。浜岡原発4号機の新規制基準の審査を申請したのが、2014年2月。そこから8年経過しても審査合格とはなっていない。この期間、防波壁の問題では、中部電力の小出しの対応によって、果たして、このまま、防波壁のかさ上げで対応すべきなのかという、根本的な問いを突きつけられている。
 今年7月には、原子力規制委員会の更田豊志委員長ですら、「あれだけの構造物の場合、かさ上げは簡単ではない」とも指摘している。
 高さの問題は山崎氏が指摘するように「過去の津波のデータをもとに、その数倍規模のものもあり得るとして考えるのが防災では重要」(たんぽぽ 2005/1/25)というのに尽きると思う。
 そして、今年の8月19日には、原子力規制庁が審査の途中過程を御前崎市を訪れ、市長に説明するという、異例なことも起きている。
 浜岡原発の今後については、浜岡原発の審査を申請した際に、原発から2キロの距離にある牧之原市の西原茂樹市長が語ったように、「浜岡原発の立地の状況などを考慮すれば、永久停止にすべきだという考えは変わりません」(NHK 2015/6/16)に尽きると思う。
 以下では、浜岡原発の防波壁の高さ問題にフォーカスした記事を集めましたので、この問題に関する皆さんの理解の一助になれば幸いです。

 ※下記の記事抜粋の中の赤色アンダーラインは編集者(地震がよくわかる会)で加えたものです。なお、文中にある”※”以降の文章は編集者のコメント等になります。

●防波壁の空中写真
【2016年3月】
高さ海抜22メートルの防潮堤が完成。壁部分は全長1・6キロに及ぶ
=2016年3月、本社ヘリ「まなづる」から

※写真の参照元は 中日新聞(2021年4月20日)「写真で振り返る浜岡原発10年」


【2016年3月】
完成した高さ海抜22メートルの防潮堤
=2016年3月、本社ヘリ「まなづる」から

※写真の参照元は 中日新聞(2021年4月20日)「写真で振り返る浜岡原発10年」



●記事一覧

( 1 ) 三代実録 869/07/13 【貞観地震 (M8.3)】貞観津波 唯一の記述
 そして激しい波と高潮がやってきてさかのぼり、また漲り進んで、たちまち多賀城の直下まで到来した。海を離れること数十百里の距離まで冠水した様子は、広々としてその果てを区別することができない。原野や道路はすべて青海原のようになってしまった。船に乗る余裕もなく、山に登る時間もなく、その中で、溺死するものが千余人にも及んだ。

( 2 ) 1498年 明応東海地震(M8.2〜8.4)
( 3 ) 1605年 慶長地震(M7.9)
( 4 ) 1707年 宝永地震(M8.6)
( 5 ) 1792年 雲仙岳の火山性地震およびその後の眉山の山体崩壊(島原大変肥後迷惑)
( 6 ) 1854年 安政東海地震(M8.4)
( 7 ) 1854年 (安政東海地震の32時間後)安政南海地震(M8.4)
( 8 ) 1883年 インドネシア・クラカトア火山爆発 津波災害で死者・行方不明者 3万6千人
( 9 ) 1896年 明治三陸地震(M8.2-8.5)
( 10 ) 東京朝日 1927/03/09 【北丹後地震(M7.3)】奥丹後の各町村全滅 死傷数千名に上る 大地震の被害激甚
○全滅せる峰山町 全町民の半数は死傷 本社特派員徒歩にて 惨たる激震地を訪ふ
 【宮津椎野特派員発電】記者は七日午後十一時四十五分??列車に乗って丹後山田駅に向い、それから徒歩で宮津駅に着いた、宮津駅での情報によれば峯山地方は一千戸の戸数ほとんど震火災のため全焼し町民五千の中約半数は死傷せる見込、網野町は戸数四百全滅し岩瀧町、加悦町、府中村、山田村、岩屋村、三河内村の七ケ町村戸数約三千戸の七分通りは全滅した、至る所で阿鼻叫喚の声が上がっている

( 11 ) 東京朝日 1944/12/08 【東南海地震(M7.9)】昨日の地震 震源地は遠州灘 徹夜復旧作業 疎開学童は無事
○昨日の地震 震源地は遠州灘
 十二月七日十五時五十分発表(中央気象台)−本日午後一時三十六分ごろ遠州灘に震源を有する地震が起って強震を感じて被害を生じたところもある

○徹夜復旧作業 疎開学童は無事 浜松
 浜松地方の地震は弱震を感じて間もなく急激にその強さを増したが、空襲の体験を得て来た一般人の退避はまづ順調であった
浜松市内外の工場方面では地震によって生産力を落としては相済まない、?八日は平常通りの作業を行うばかりか更に能率をあげようと全??員とも生産?強に結束して?上がった、と同夜から徹夜復旧作業に努め????浜松支部では非常米を蔵出しして三食分の炊き出しを行い、各工場の復旧部隊に配ってその促進を図っている、日頃の防空訓練の賜物で火事も消し止め安心させた、なお浜松??管内各町村に疎開している学童には異状がない(浜松)

( 12 ) 朝日新聞 1946/12/22 【南海地震(M8.0)】西日本に大地震と津浪 和歌山 高知 被害は甚大
○雷鳴と共に津浪 生地獄さながらの海南市
 【和歌山発】和歌山県???のサイドカーに同乗、海南市に?行した、街の中には?つ黒いどろ土がいっぱい、壁土が無残に落ちひしゃけた家も散見される”午前四時四十分ごろ打上花火のような雷鳴とともに夜目にもすごい約八尺くらいの津浪が押しよせてくるのをちらっとみました、一せいに?鐘が乱打され、子供の泣き叫ぶ声、ものすごい波、全くこの世ながらの地獄でした”とひざまでくる海水の中を泥まみれになって歩く老人が語る、同市の繁華街東浜通りには電車のポールがひんまがり、木片が散乱、まだ潮水が深いところで四尺余、高潮が小きざみに襲ってくる。
 黒江?港付近の???十数トンの帆船が二隻打上げられ省線海南駅?道路には倒壊家屋が横たわって行く手をはばむ、日東紡海南工場は床上浸水三尺におよび、米綿と織機がどろんこになり、機械?部が五寸ほど土砂に埋まり、工場再起の見込がないらしい
 被害は正午現在で浸水三千六百七十六戸、うち二千七十戸が床上浸水、死者六、行方不明一、津浪による全壊三戸被災者二万人(??)

( 13 ) 1960年 チリ地震(M9.5)
( 14 ) 1976年 石橋克彦 東海地震説
( 15 ) 1979年 スリーマイル島原発事故
( 16 ) 原安全委 1981/07/20 発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針について
( 17 ) 毎日新聞 1983/05/26 【日本海中部地震(M7.7)】東北大地震 津波、倒壊 死者・不明が続出
 秋田県男鹿半島加茂海岸で遠足中の北秋田郡相川南小の児童らが津波にさらわれ、うち1人が死亡、12人が不明。

( 18 ) 毎日新聞 1993/07/13 【北海道南西沖地震(M7.7-7.8)】津波の傷跡 上下にずれた逆断層 津波の規模を大きく

( 19 ) 科学 1997/10/15 原発震災 破滅を避けるために 石橋克彦
( 20 ) 1998年 パプア・ニューギニア沖地震 巨大津波により死者2千200人
( 21 ) 中日新聞 1998/04/25 国側 基準は最高水準で決定 市民側 行政は原発震災対策を 浜岡原発 耐震安全性を討論
 東海地震発生時の浜岡の地殻変動や津波ですが、東海地震で想定されていることが100%起これば浜岡周辺は確実に地盤が隆起し、地盤破壊が起きます。津波に関して中部電力は最大の水位上昇が起こっても浜岡原発の敷地の敷地の地盤高(6メートル)を超えることはないといっていますが、津波は海底変動の構造により変化します。断層がどのくらいの早さで動くかにも影響されます。地盤高6メートルで大丈夫とはいえません。

( 22 ) 防災会議 2003/12/16 東海地震と東南海・南海地震
( 23 ) 中日新聞 2004/12/27 【スマトラ沖地震(M8.9)】死者6200人以上 東海地震と同じ仕組み

( 24 ) 中日新聞 2004/12/29 県内の津波対策 訓練で危機意識高揚 防潮堤の整備にも限界
 スマトラ沖地震津波は、静岡県民にとって近い発生が予想される東海地震の備えへの必要さをあらためて痛感させた。
 ◇浜岡原発
 御前崎市の中部電力浜岡原発は、遠州灘と施設の間に高さ10メートル余の浜岡砂丘が広がっているほか、さらに敷地も6−8メートルの高さにあり、大きな津波が押し寄せる危険性は少ないと見ている。また、施設の耐震性も、想定される東海地震を上回るマグニチュード8・5の限界地震に耐えられるとしている。スマトラ沖の地震について、広報グループでは「反映すベき点があれば対応していきたい」と話している。

( 25 ) たんぽぽ 2005/01/25 史上最悪の津波災害 日本の原発も危険 津波襲来場所にわざわざ原発
 津波襲来場所にわざわざ原発
 日本は周りを海に囲まれているだけでなく、そのほとんどの海岸線は津波災害を受ける恐れがある場所でもあるという、おそらく世界中を見渡しても他には例を見ない災害大国でもある。その海岸線のいたるところに原発を建てて稼動させているという意味でも、異様な国である。
 浜岡原発を津波が襲う場合、同時に東海地震(あるいは東南海地震)が起きているのであるから、津波の被害だけを考えるわけにはいかない。巨大地震で揺さぶられた直後に巨大津波が襲いかかるのである。このような地震の場合、通常の冷却システムはほとんど停止しているか機能をしていないであろう。ECCSを含め主要配管も破損している恐れが高い。原発は停止していても燃料がある限り冷却を続けなければメルトダウンの危機が免れない。そういう意味では使用済燃料プールの冷却が失われることも極めて危険なのである。確かに浜岡原発は津波対策を取っている。海底取水口には巨大な貯水槽があり、引き潮でも海水を保持できるようにしている。しかしそれがうまく機能するという補償は無い。プーケット島などの海底では、大きな引き波と寄せ波により、海底地形が変わるほどの影響を受けていることがわかっている。いわば海底で土石流が起きたような状態になるのである。海底取水層も、この土石流で埋まってしまえば何の役にも立たないであろう。一端閉塞してしまえば回復は見込めない。
 また、原発全面には10メートル級の砂丘があるから原発には津波は届かないという中部電力の主張もまがい物である。仮に6メートル級の津波が襲ったとしても、津波とは高潮と異なり何10キロも海面が6メートル上昇して襲ってくるものである。その圧力はとてつもないもので、砂防提にぶつかると同時に駆け上がり、容易に乗り越えてしまうであろう。また、地震により砂防提で液状化が起きていれば、堤防の効果も無くなってしまう。実際に南海地震では砂防堤の液状化が見られたという。
 もともとある地点での津波の波高や最高到達点をあらかじめ知ることは不可能である。同じ場所で起きる地震であっても、二度と同じ津波は来ないと知るべきであろう。その時々の海底地形変位や海岸線付近の海底形状など、変動要因はたくさんありその変化の度合いも大きい。そのようなものをあらかじめ知ることは現在の知見では不可能である。
 であるならば過去の津波のデータをもとに、その数倍規模のものもあり得るとして考えるのが防災では重要なことである。

( 26 ) 毎日新聞 2006/04/29 原発耐震指針改定 想定外対策盛らず 安全委
( 27 ) 地震調査 2006/09/25 「全国を概観した地震動予測地図」報告書
   確率論的地震動予測地図で用いた想定東海地震の確率      想定地震規模  地震発生確率  平均発生間隔 地震名  マグニチュード 30年以内   東海地震 8程度     87%(参考値)   118.8年(参考値)
(112〜113ページ抜粋)

( 28 ) 毎日新聞 2007/07/17 【新潟県中越沖地震(M6.8)】新潟・長野 震度6強 8人死亡、902人けが

( 29 ) 読売新聞 2008/06/16 【岩手・宮城内陸地震(M7.2)】国内最大の揺れ 4022ガル 「中越」超える

( 30 ) 中日新聞 2009/08/11 【駿河湾地震(M6.5)】御前崎など震度6弱 浜岡原発 自動停止

( 31 ) 東奥日報 2011/03/12 【東日本大震災(M9.0)】宮城震度7、死者数百 M8.8 国内史上最大

( 32 ) 毎日新聞 2011/04/15 社説 震災後 地震国の原発 政策の大転換を図れ
 まず、誰もが問題だと思うのは津波対策の不備だ。06年に改定された原発耐震指針に盛り込まれているが、扱いは非常に軽い。新指針に基づく再点検も後回しにされ、東電は点検を終えていない。一方で、東海第2原発のように新潟県中越沖地震の後に津波対策を一部強化していたところもある。「想定外の津波」という言葉で事故を総括することは許されない。

( 33 ) 中日新聞 2011/04/28 3連動津波の高さは未知 液状化・砂丘崩れる可能性 不安消えぬ浜岡
 ▼砂丘の強度
 中電が津波対策に自信を持つ根拠が、原発の海側に広がる砂丘の存在だ。高さ10〜15メートルの砂丘が「防波堤」の役割を果たし「津波に対する安全性が確保されている」(水野明久社長)という。
 さらに、想定する800ガルの揺れで砂丘の一部が崩壊しても、10・4メートルの高さは維持できるとして「想定する8メートル程度の津波が砂丘を越えることはない」と説明する。
 ただ、専門家からは疑問の声が上がる。
 名古屋工業大の喜岡渉教授(海岸工学)は「仙台空港では、空港手前の10メートルの砂丘を津波が越えた」と指摘。「浜岡でも同レベルの津波を防げるかは分からず、何度も押し寄せると、砂丘が削られる可能性がある」と不安視する。
 中電は念のため、砂丘と敷地の間に、海面からの高さ12メートル以上の防波壁を設置することを決めた。五日から地盤の強度などを調べ始めたが、喜岡教授は「砂丘の下には地下水が流れており、端は液状化しやすい。防波壁の立つ土地が液状化したり、液状化で砂丘自体が崩れたりする心配もある」と課題を口にする。

( 34 ) 東京新聞 2011/05/07 浜岡原発 全面停止へ 首相、中部電に要請 地震・津波 対策不十分
 菅首相は六日夜の記者会見で浜岡原発の全面停止の理由について「国民の安全と安心を考えて決断した。浜岡原発で重大事故が発生した場合に日本社会全体に及ぶ影響も考慮した」と説明した。
 浜岡原発が東海地震の震源域に位置し、文部科学省の地震調査研究推進本部が今後30年以内にマグニチュード(M)8程度の地震が発生する可能性を87%と予測していることも指摘した。
 運転停止期間は防潮堤建設や原子炉建屋の補強工事など中長期的な地震・津波対策が終わるまでとし経産省原子力安全・保安院は「おおむね二年」と説明。浜岡以外の原発には停止を求めない方針だ

( 35 ) 東京新聞 2011/05/10 「M8級87%」確率突出だが 「浜岡」だけが特別なのか
 浜岡原発が全面停止となる。しかし菅直人首相は同原発の危険性を「特別なケース」と強調。国策として原子力を主要なエネルギーとする方針は崩しておらず、ていのいい「ガス抜き」、パフォーマンスのにおいはぬぐい切れない。浜岡原発は本当に「特別」なのか。ほかの原発は危険ではないのか。
 だが、地震予知連絡会前会長の大竹政和東北大名誉教授は、「日本ではどこの原発にも一定のリスクがある。なぜ、浜岡だけが飛び抜けて危険性が高いのか、詳しい説明がない。専門家と検討していないのではないか。菅首相の人気取りのためのパフォーマンスのように感じる。まず、全体のエネルギー政策をどうするのか方向性を示すべきだ」と疑問を投げかけた。
 一方で、経済産業省原子力安全・保安院は、「地震調査委によると、震度6強の地震が発生する確率は、浜岡以外の原発では、0.0〜数%程度しかない」とする。
 しかし、これは一種の数字のマジック”
 浜岡は東海地震のような海溝型地震を想定しているのに対し、他は原発に近い活断層で発生する活断層型地震を主に想定していることによる。
 海溝型地震の想定エリア内に立つ原発は浜岡以外にないからだという。
 活断層型は、数千〜1万年に一回の間隔で起きるとされており、計算上は極めて小さな確率になる。このため東日本大震災で震度6強に見舞われた東京電力福島第一原発(福島県)も、ほぼ0.0〜0.8%の極めて低い確率と見込まれていた。地震発生確率だけでは、とても浜岡を特別扱い″できない。岡村教授も「浜岡原発が最も危険なのは間違いないが、他の原発が『心配ない』とは暴論」と批判する。

( 36 ) 生活者 2011/06/01 島村英紀つまみ食いで利用される地震学
( 37 ) 福井新聞 2011/07/04 止めてなお残る危険 東海地震の震源域中央 使用済み 地震大国
 遠州灘に面した原子炉建屋。海側に隣接する取水槽と幅60〜80メートルの砂丘の間に、中部電は2013年度までに高さ15メートルの防潮堤を建設する。電源喪失を想定し非常用の発電装置も高台に設置、国の安全評価を受けて運転再開を目指す。水素が建屋内にたまって爆発する事故を防ぐため、各建屋の屋根に2カ所、0・6メートル四方の穴を開ける。
 こうした対策にも「廃炉以外に安全策はない」と指摘する専門家もいる。茂木教授は「地震大国の日本で原発を有力なエネルギー源とするのは間違い。エネルギー政策を根本から見直すべきだ」と力説する。

( 38 ) 福井新聞 2011/07/23 防潮堤 計画比6メートル高い18メートル 中部電 浜岡原発に津波対策
 中部電力は22日、東海地震に備えて新設を予定している浜岡原発(静岡県御前崎市)の防潮堤を従来計画よリ6メートル高い18メートルとし、代替の取水ポンプの設置も盛り込んだ新たな津波対策を発表した。工事費は約1干億円で、来年12月の完了を目指す。
 東海、東南海、南海地震が連動した場合の浜岡原発への津波を約8メートルと想定している。原発の前には高さ約10〜15メートルの砂丘があり、これまで防潮堤はなかった。
 さらに津波が防潮提を越えて敷地内に海水が流れ込む事態も想定。原子炉を冷却するための海水をくみ上げるポンプは屋外に設置されているが、新たに防水構造の建屋を建設し、建屋内に代替ポンプ2台を設置する。

【2011年8月】
海岸線に高さ18メートルの防潮堤を建設予定の浜岡原発。
砂丘は植栽され、緑の壁と化している
=2011年8月、静岡県御前崎市で本社ヘリ「まなづる」から

※写真の参照元は 中日新聞(2021年4月20日)「写真で振り返る浜岡原発10年」


( 39 ) 東奥日報 2011/09/16 明応東海地震の津波 標高36メートルまで到達か 東日本大震災に匹敵
 静岡県は東海地震の津波被害の想定として1854年の安政東海地震を目安としているが、東大地震研の都司嘉宣准教授は「明応東海地震の津波の高さは安政東海地震の3〜4倍あり、防災指針を見直すべきだ」としている。
 また中部電力浜岡原発(同県御前崎市)から30〜40キロの磐田市掛塚でも標高10メートルの場所まで浸水した可能性があった。

( 40 ) 東奥日報 2011/11/01 東通など9原発津波評価が必要 保安院指示へ
 経済産業省原子力安全・保安院は31日、既存原発の耐震安全性評価(バックチェック)で検討する津波の影響について、海溝型地震をこれまでより大きく見積もった評価や、まだ解決していない断層の評価が必要な全国の9原発を挙げ、課題をまとめた。専門家による検討会で妥当と判断された。近く電力会社などに評価作業をするよう指示する。
 浜岡原発(静岡県)は、中部電力が過去に津波の高さを6〜7メートルと想定していたが、地震規模や波源域を大きくして解析する必要があり、長周期と短周期の波の重なりも考慮するとした。

( 41 ) 朝日新聞 2011/11/01 浜岡の大津波、東海第2の断層 9原発に重点課題
( 42 ) 東奥日報 2012/01/08 浜岡原発沖と千葉の津波頻発地 海底地形に共通点 東大地震研
 千葉県旭市は東日本大震災の津波で十数人の死者・行方不明者が出たほか、1960年や2010年のチリ地震でも津波が到達するなど繰り返し被害を受けた。海底地形により津波被害を受けやすくなっている可能性があり、浜岡原発の津波対策をめぐって論議を呼びそうだ。
 都司准教授によると、浜岡原発近くの海底地形は岬付近の海底だけが遠浅で、沖に突き出す形になっており、その周縁は急激に深くなっている。海底の浅い部分が突き出ていることで、特定の場所に波が集中し、津波の高さが急激に増すことが考えられるという。
 旭市の飯岡地区は、東日本大震災で7・6b前後の津波が来たとみられる。海底地図を比較した結果、浜岡原発近くと同様に海底の浅い部分が突き出した形になっていたほか、付近の海岸線が直線的であるなどの共通点があった。

( 43 ) 東奥日報 2012/02/11 警戒区域で21メートル津波も 東大と福島県調査
 東京電力福島第1原発から半径20キロ圏の警戒区域内で、東日本大震災による津波の痕跡調査が初めて実施され、福島県富岡町では、浸水した跡から最大で高さ21メートルにまで達していたとの分析結果を、東京大と福島県のチームが10日までにまとめた。
 今回の調査で、福島第1原発、第2原発が立地する同県双葉町、大熊町、楢葉町などでは多くの地点で10メートル以上になったと推定され、東電が大震災前に想定していた津波の高さ5・7メートルを上回ったことが、あらためて裏付けられた。

( 44 ) 東奥日報 2012/02/28 東北の巨大津波いつ来てもおかしくない不適切と記述削除 政府調査委
 開示資料と取材によると、報告書案では「宮城県沖から福島県沖にかけて」という項目を新設。両県の太平洋沿岸の地中で、過去2500年間に貞観地震(869年、マグニチユード推定8.3)など計4回、巨大津波が来たことを示す堆積物が見つかったとの研究結果に基づき「(周期から)巨大津波を伴う地震がいつ発生してもおかしくはない」と記述した。だが、この文言が東海地震と結び付けて考えられる可能性があるなどとの指摘が出た。30年以内の発生確率が87%(現在は88%)だった東海地震と比べ、貞観地震などの再来にはそこまでの切迫性はないとして「発生する可能性があることに留意する必要がある」と弱められた。

( 45 ) よせ新聞 2012/02/28 みんな気づいているだろうか 地震防災が原発の妨害を受けていることを
 浜岡原発沖合に位置する海底には、大きな地滑り跡が見つかっている。今回の東北地方太平洋沖地蔑に伴う津波が、海底の大きな地盤変状によって、より巨大化したとみられており、その観点からも、重要なポイン卜なのだが、例によって中部電力により「注目されないよう」工作されている。もちろん、海底地滑りを想定すれば、従来の津波波高と遡上高がすぐに倍程度にまでかさ上げされてしまい、「津波を砂丘で止める」予定が、止まらなくなってしまうからだ。

( 46 ) 内閣府_南海トラフの巨大地震モデル検討会 2012/03/31
    南海トラフの巨大地震による震度分布・津波高について(第一次報告)巻末資料

 市町村別ケース別 最大津波高(満潮位・地殻変動考慮)

 都道府県 市区町村名 最大クラス(m)
 静岡県  御前崎市  21.0
※154ページ目抜粋

( 47 ) 東奥日報 2012/04/15 21メートル津波でも安全確保 浜岡原発 保安院が見解
 保安院は、海抜21メートル以下にある機器が津波の影響で使えなくても、海抜25メートルの高台にあるポンプやホースで原子炉と使用済み燃料プールに注水をできることを確認したと説明。中部電に(1)津波で緊急時対策所が使えない際の対応(2)注水以外の対応を含む総合的な訓練実施ーの検討を求めた。
 中部電は検討会の推計を受け、21メートルの津波が来た場合の影響を検討し「安全を確保できる」と10日に報告、保安院は現地調査するなど確認を進めていた。

( 48 ) 東奥日報 2012/04/17 中部電 浜岡「停止中は安全」 21メートル津波 再稼働時の対策検討
 同原発は昨年5月に政府の要請で停止し、東京電力福島第1原発事故を踏まえて海抜10メートルの防波璧などを建設している。しかし、今年3月末、内閣府の有識者検討会は巨大地震が発生すると、最大21メートルの津波が押し寄せると予測。保安院は中部電に対し、浜岡原発への影響を評価する報告書を10日までに提出するよう求めていた。

( 49 ) 静岡新聞 2012/05/12 浜岡防潮堤の審査委教授 中電団体が1140万寄付 06〜08年度
 中部電力が、停止中の浜岡原発(御前崎市佐倉)の津波対策として建設している防潮堤の安全性を自主的に審査するため設置した、第三者機関委員を務めた名古屋大大学院工学研究科の中村光教授(48)が、中電の団体や関連企業から2006〜08年度に総額1140万円の寄付を受けていたことが11日、分かった。
 浜岡再稼働に向けて最終的な安全判断をするのは国だが、安全性を審査する要員への寄付行為は、審査の公平性をめぐって疑問の声が上がりそうだ。
 中電は浜岡原発の再稼働に向けて、防潮堤の耐震性や強度など津波対策の評価を自主判断で外部機関の「地震予知総合研究振興会」(東京)に依頼。振興会が昨年7月、研究者らで専門の委員会を設置し、中村教授も委員となった。委員会は今年、津波対策は安全性が確保されていると結論付けた。
 中電などによると、中村教授は06〜08年度、財団法人「中部電力基礎技術研究所」(現中部電気利用基礎研究振興財団)の公募研究に応募、中部電子会社の電気設備会社「シーテック」の土木技術に関する解析を請け負った。それぞれから研究助成費として170万円、解析への対価として970万円を受け取ったという。

( 50 ) 日経新聞 2012/06/20 浜岡原発で進む津波対策、安全性は 編集委員 滝順一
 最も目をひく浸水対策である防波壁は、鉄筋で補強された鋼板製の巨大な箱構造だ。地上に現れた壁の高さは10〜12メートル、壁の厚さは2メートル。地下10〜30メートルまで深く基礎構造が入っており、鉄筋コンクリートで地上部と基礎が一体化される。
 壁は長さ12メートル分がひとつのブロックを構成し、それを109体並べて、総延長約1.5キロの長い壁を構成する。
 砂丘堤防(高さ12メートル)を海水が乗り越えてきたら防波壁で受け止める計画だが、壁はブロックごとに切れ目がある。こうした構造は施工上やむを得ないかもしれないが、これで津波の巨大な運動エネルギーを受け止め切れるか、津波到来前の地震で壁の間に海水の浸入を許す隙間ができることはないか、専門家による検証が要るだろう。
 浸水のリスクは堤防のほか、貯水槽にもある。浜岡原発は福島第1原発などと違い、敷地内に専用港がない。海側は砂丘だ。このため冷却水は海岸から沖合に約600メートル離れた取水塔(原子炉1基に一つずつ)から取り込み、地下トンネルで原子炉建屋の足元の取水槽まで引き込んでいる。津波到来時に押し寄せた海水が取水槽から敷地にあふれ出る可能性がある。

( 51 ) ポータル 2012/08/30 “南海トラフ巨大地震”で死者32万人想定
 静岡県・駿河湾から九州沖を震源とする「南海トラフ」の巨大地震について、国の2つの有識者会議は29日、太平洋岸では震度7の激しい揺れと最大で34メートル(m)の津波が襲い、最悪の場合、死者数は32万3000人に上り、238万6,000棟が倒壊・焼失、流失するなどの被害想定を発表した。早めの避難や耐震化対策などで、被害は大幅に減らすことができるとしている。

( 52 ) 福井新聞 2012/09/03 南海トラフ巨大地震 被害 原発防潮堤越える津波 中部電浜岡
 南海トラフの地震による津波は、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)を直撃する。同原発付近は最大19メートルの高さの津波が押し寄せると推計された。海底地形のデータを詳細に検討した紆果、3月に示された21メートルより低くなったが、同社が建設中の高さ18メートルの巨大防潮堤を越える。運転への影響の評価はこれからだ。
 中部電は、防潮堤が未完成で21メートルの津波に襲われても、高台に配置したポンプなどで原子炉や燃料プールを冷却、安全が確保できるとしている。
 ただ、評価は全号機停止の現状を前提としており、津波が防潮堤を越えた場合の影響や、運転中に安全を確保できるかは今後、詳しく検討する。

【2012年10月】
建設が進む巨大な防潮堤=2012年10月

※写真の参照元は 中日新聞(2021年4月20日)「写真で振り返る浜岡原発10年」



( 53 ) 福井新聞 2012/12/21 中部電津波最大19m想定浜岡防潮堤4メートル上げ
 中部電力は20日、運転停止中の浜岡原発(静岡県御前崎市)の津波対策を見直し、防潮堤の高さを現在の18メートルから4メートルかさ上げして22メートルにすると発表した。原発敷地内への津波の浸水を防ぐことで安全性を高め、再稼働に向けた環境整備を進める。
 水野明久社長は名古屋市で記者会見し、見直しの理由について「津波に対する安全性をより一層高める。最大クラスの巨大津波を対象にかさ上げを決定した」と説明した。
 内閣府が公表した想定最大津波高19メートルが押し寄せた場合でも、4メートルのかさ上げによって津波が防潮堤の上部から越えて来ることはなくなり、敷地内への浸水を取水槽からあふれるものだけに抑えられるという。追加工事の費用は数十億円の見通し。2013年12月を予定していた津波対策工事の完了時期は変更しない。
 高さを22メートルとしたのは、津波が防潮堤にぶつかると最大で21・4メートルまでせり上がるとの分析結果が出たため。

 浜周原発の防潮堤
 鋼材と鉄筋・鉄骨コンクリートの複合構造で、海抜18メートル、総延長1・6キロ、厚さ2メートル。津波の衝撃にも耐えられるように地中壁を岩盤部まで打ち込んだ。敷地海側の海抜6〜8メートルの地点に建てたため、地上高は10〜12メートル。

【2012年12月】
海抜18メートルの壁に囲まれた
=2012年12月、本社ヘリ「まなづる」から

※写真の参照元は 中日新聞(2021年4月20日)「写真で振り返る浜岡原発10年」


( 54 ) 河北新報 2013/05/15 女川原発の防潮堤29メートルに国内最高
 東北電力は14日、女川原発(宮城県)に高さ12メートルの防潮壁を増設し、防潮設備を現在の海抜17メートルから29メートルにかさ上げすると発表した。中部電力が計画中の浜岡原発(御前崎市佐倉)の防潮堤(海抜22メートル)を抜き、国内の原発で最も高くなる見通し。

( 55 ) 規制委 2013/06/19 「基準津波及び耐震設計方針に係わる審査ガイド」
(2)プレート間地震に起因する津波の波源設定の対象領域の例示
   南海トラフから南西諸島海溝沿いの領域(最大 Mw9.6 程度

( 56 ) 中日新聞 2013/08/23 「M9.6」削除要求 浜岡再稼働 津波対策 中電の想定超える
 中部電力がパブリックコメントで内容の削除や緩和を求めた原子力規制委策定の審査ガイド。ここに載せた「参考値」マグニチュード(M)9・6は、内閣府の有識者会議が「巨大地震の中でも最大級」と位置づけたM9・1の妥当性を揺るがし、浜岡原発の再稼働を左右する可能性も指摘されている。
 太平洋に面する浜岡原発はM9・1の南海トラフ巨大地震で最大一九メートルの津波が想定される。中電は二〇一五年三月の完成をめざす海抜二二メートルの防潮堤など、千五百億円を投じ津波対策を進めている。だが、南西諸島海溝との連動によるM9・6の超巨大地震″まで想定対象になれば、積み上げてきた対策の前提が崩れかねない。
 地元住民らが浜岡原発の運転差し止めを求めた訴訟の控訴審で住民側は六月、M9・6を根拠に「少なくとも四二メートル以上の津波を想定すべきだ」と独自の試算を東京高裁に提出。「防潮堤はまったく不十分。浜岡は想定津波に耐えられない」と攻勢に出ている。

( 57 ) 静岡新聞 2013/09/06 浜岡原発耐震設計 「最大地震想定を」 控訴審で原告側
( 58 ) 中日新聞 2013/10/11 M9.1想定で十分 浜岡差し止め訴訟控訴審 津波対策で中電側
 中部電力浜岡原発(御前崎市)の再稼働問題で中電は十日、原子力規制委員会が太平洋沖で想定するマグニチュード(M)9・6の巨大地震に備えた津波対策は不要で、現在進めているM9・1を前提とした対策で+分との見解を明らかにした。東京高裁であった運転差し止め訴訟の控訴審の口頭弁論で、代理人弁護士が述べた。

【2014年4月】
防潮堤の工事が進む=2014年4月、本社ヘリ「まなづる」から

※写真の参照元は 中日新聞(2021年4月20日)「写真で振り返る浜岡原発10年」


( 59 ) 産経新聞 2015/06/16 中部電力、浜岡3号機再稼働へ審査申請 15原発25基目
基準津波(想定される津波の高さ)を21・1メートルとし、海抜22メートルの高さの防潮堤の設置工事が続いている。

( 60 ) NHK 2015/06/16 中部電力浜岡原発3号機の審査申請
 牧之原市長「再稼働前提の姿勢に納得できず」
 中部電力が原子力規制委員会に浜岡原発3号機の安全審査を申請したことについて、原発からおよそ2キロの距離にある牧之原市の西原茂樹市長は「地元や電力消費者の理解を得ての申請ではなく、再稼働を前提とした姿勢には納得できません。浜岡原発の立地の状況などを考慮すれば、永久停止にすべきだという考えは変わりません」というコメントを出しました。

( 61 ) 高知民報 2015/07/12 伊方650ガル基準 サイエンスへの冒涜 岡村眞高知大特認教授

【2015年7月】
施設内から見た防潮堤=2015年7月

※写真の参照元は 中日新聞(2021年4月20日)「写真で振り返る浜岡原発10年」


( 62 ) 東奥日報 2015/12/27 高さ22メートル長さ1.6キロ 防潮堤の壁完成 静岡・浜岡原発
 中部電は4号機の安全対策を16年9月に、3号機を17年9月にそれぞれ終える予定。防潮堤も含め総工費は3干億円台後半を見込んでいる。

( 63 ) 東京新聞 2016/03/31 浜岡原発、高さ22メートルの防潮堤完成
 中部電力が南海トラフ巨大地震の津波対策として浜岡原発(静岡県御前崎市)に建設していた防潮堤が三十一日、完成した。壁部分は高さ海抜二十二メートル、全長一・六キロで、東西の両端を盛り土で補強した。壁は原発の正面から襲う津波を、盛り土は回り込む海水の流入を防ぐ。

【2016年3月】
高さ海抜22メートルの防潮堤が完成。壁部分は全長1・6キロに及ぶ
=2016年3月、本社ヘリ「まなづる」から

※写真の参照元は 中日新聞(2021年4月20日)「写真で振り返る浜岡原発10年」


【2016年3月】
完成した高さ海抜22メートルの防潮堤
=2016年3月、本社ヘリ「まなづる」から

※写真の参照元は 中日新聞(2021年4月20日)「写真で振り返る浜岡原発10年」


( 64 ) 女性自身 2017/05/27 専門家が警鐘を鳴らす「“再稼働”で危ない全国の原発」
 青山さんは海に浮かぶ灯台のようなものを指さして、こう続けた。
 「あれは、取水塔です。津波で倒壊したり、津波で流されてきた船がぶつかったり、泥砂が詰まったりしただけでも、取水塔から水を送れなくなる可能性があります」
 原子炉を冷やすには水が必須だが、浜岡原発は遠浅の海に面しており、日本の原発では唯一、専用の港がなく、岸壁がないので原発の真下に取水口がつくれない。そのため、沖合600メートルのところに取水塔を設置して、海底トンネルから原発構内の取水槽に海水を引き、原子炉を冷やしている。
 「国の解析だと、あの取水塔は、21メートルの波高まで耐えられるそうですが、それを超える波が来る可能性は十分にあります。中部電力は、『5つある取水塔のうち、ひとつでも機能していれば、水を確保できる』として安全性を強調していますが、すべての取水塔がダメージを受けたらどうするのでしょうか」(青山さん)
 「津波の予測は、本当はプラスマイナス2倍で考えないといけない。浜岡原発の場合は厳しく評価をしているはずだが、それでも、試算の1.5倍の28.5メートルくらいの津波がくる可能性は否定できません」(小野有五さん)
 となると、海抜22メートルの巨大防潮堤も役に立たないのでは。

( 65 ) 静岡新聞 2017/10/31 「予知情報」発表取りやめ直前 浜岡原発警戒要件に 規制庁追加
 原子力規制庁は30日、原子力災害の初動対応を定めたマニュアル(手順書)に、中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)が警戒事態と判断する場合の要件として「東海地震予知情報」を追加した。これまでは注意情報だけだったが、7月の原子力災害対策指針の改定に基づき「運用が明確になる」として加えた。
 ただ、気象庁は9月下旬に、予知情報の発表を11月1日から取りやめる方針を示したばかり。代わりに発表される「南海トラフ地震に関連する情報」への対応は原子力規制委員会で議論されず、決まっていない。

( 66 ) 時事通信 2017/10/31 浜岡原発で浸水、調査漏れが判明=台風で雨水、ダクトに流入
 中部電力は31日、浜岡原発4号機(静岡県御前崎市)で、浸水対策調査が行われていなかった箇所が8カ所あったと発表した。
 台風22号が29日に静岡県沖などを通過した際、4号機の原子炉建屋と海水熱交換器建屋を地下で結ぶダクトに雨水約600リットルが流入し、発覚した。
 中部電によると、雨水は工事のためシートで覆っていた作業スペースの入り口から地下の同スペースに流れ込み、ダクトには、同スペースとの間に設けられた壁にある電源ケーブル用の穴1カ所から入った。周辺7カ所も調査対象から漏れていたという。

( 67 ) 気象庁 2017/11/01 南海トラフ地震について
( 68 ) 毎日新聞 2017/11/19 <南海トラフ地震>JR、臨時情報後も運行 新制度開始
 しかし、新たに出される南海トラフ地震に関連する臨時情報は、警戒宣言に比べて確度が低く、「空振り」もあり得る。このため、鉄道会社や自治体は対応の見直しを進めている。
 一方、中部電は浜岡原発の対応について、まだ決めていない。
( 69 ) 静岡新聞 2017/12/07 中電改善策「具体性ない」 浜岡原発トラブルで規制委、苦言
 また、気象庁が11月から、地震予知ができないことを前提に南海トラフ地震に関する情報の発表方法を変更したことを踏まえ、石渡明委員が「(気象庁の発表は)不確定な情報になる。いろいろな場合を想定して準備をしてほしい」と注文を付けた。

( 70 ) 静岡放送 2018/05/14 浜岡原発 運転停止から7年 再稼働か否か いまだ見えぬ先行き
( 71 ) たんぽぽ 2018/07/21 東海第二原発(茨城県東海村)の本質的問題
( 72 ) Yahoo! 2018/08/23 「真っ当な対策があれば、原発事故はなかった」 地震学者・島崎氏が見たもの
( 73 ) 静岡新聞 2018/12/15 想定津波高引き上げも 浜岡原発審査会合、中電に厳しい条件要求
 ただ、規制委側は中電の説明に納得せず、プレートの破壊が始まる場所を特定しないようにしたり、プレートが大きく滑る領域を東寄りに設定したりして、複数の条件を変えた上で最大津波高を算定するよう求めた。
 規制委の石渡明委員は、防潮堤の前にある砂丘について「20メートル近い津波で残るとは考えられない」とし、津波による浸食や地震への安定性についても説明を要請した。中電側はいずれの点に関しても「あらためて説明したい」と持ち帰って検討する考えを示した。

( 74 ) たんぽぽ 2018/12/21 「〜原発のあるムラから〜東海村元村長 村上達也さんに聞く」
( 75 ) 共同通信 2019/05/24 浜岡原発、津波試算22.5mに 新試算で防潮堤かさ上げ可能性も
 中部電力は24日、南海トラフ巨大地震が起きた際に浜岡原発(静岡県)に押し寄せると想定される津波について、従来より厳しい条件で試算したところ、最大22.5メートルに上る結果が出たと明らかにした。浜岡3、4号機に関する原子力規制委員会の再稼働審査の会合で報告した。これまでの想定は21.1メートルで、海面からの高さ22メートルの防潮堤を建設済みだが、新たな試算では津波が0.5メートル上回った。中部電は「あくまで参考値」との位置付けで、津波対策の前提となる「基準津波」の対象としない考え。24日の審査会合で規制委は、新たな試算に関して評価は示さなかった。

( 76 ) 共同通信 2019/05/24 浜岡原発の津波想定、最大22.5メートル
( 77 ) 東京新聞 2019/11/27 確実な安全、保証なく 女川原発 新基準「適合」
 中部電力浜岡4号機(静岡県)は五年半以上審査が続き、終了が見通せない。

( 78 ) 東奥日報 2020/01/25 小笠原諸島−宮崎に大津波 南海トラフ 71市区町村で3メートル以上 調査委予測
 南海トラフ地震による津波発生の予測では、4原子力発電所の7基が立地する4市町村の確率も公表された。震源域に近い中部電力浜岡原発3〜5号機がある静岡県御前崎市では、3メートル以上の津波の発生確率が「非常に高い」(26%以上)とされた地域があった。

( 79 ) 読売新聞 2020/01/25 津波確率地域 原発7基 電力各社が対策
( 80 ) たんぽぽ 2020/02/20 女川原発再稼働を許さない 規制委は被災原発の「審査書」は撤回すべき
( 81 ) SBS 2020/05/14 浜岡原発関心低下に懸念 停止9年、専門家「チェックし将来に備えを」
 浜岡原発を巡っては4号機と3号機で、再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査が原子力規制委員会で続いている。中電が最初に4号機の審査を申請した2014年2月から6年を超えたものの、南海トラフ巨大地震の想定震源域に位置する立地特性などから審査は難航。更田豊志委員長は13日の定例記者会見で「(浜岡の審査は)やはりそれだけ地震・津波に関わる議論の難しさがあるのだろうと思っている」との認識を示した。

( 82 ) HBO 2020/05/24 なぜ福島原発事故の原因は「地震」ではなく「津波」とされたのか?
( 83 ) 47NEWS 2021/03/02 福島第1原発事故 「砂上の楼閣―原発と地震―」第1回〜第6回
( 84 ) 東京新聞 2021/05/14 浜岡原発停止から10年 動かないまま維持に1兆円超
 2011年の東京電力福島第一原発事故を受け、政府の要請で停止した中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の維持に、中電が支出した費用が10年間で総額1兆円を超えたことが分かった。津波対策費や維持管理のための修繕費などがかさんだ。14日で停止から10年となるが、再稼働の見通しは立っていない。
 11〜19年度分は、中電の有価証券報告書から本紙が集計した。20年度の同報告書はまだ公表されていないため、中電に費用を聞いた。同年度は総額のみ明らかにされ、内訳は非公表。積算すると、10年間で計1兆391億円に上った。
 原発は停止中も核燃料を冷やし続けるため、制御用電気系統などのシステムの修繕が必要になる。また、下請け業者は各種点検業務などを行っており、これらの費用もかかる。
 中電は、地震や津波対策として、約2000億円を投じて海抜22メートルの防潮堤を建設したほか、非常用電源の追加や各種機器の耐震性向上などに取り組んだ。これらの支出は長年かけて分割し、毎年度、減価償却費として計上する。10年間に支出した減価償却費は、1800億円超に上った。

( 85 ) TBSNEWS 2021/05/20 浜岡原発停止10年 脱“原発依存”進む地元【現場から、】
 「これは何m?」(海江田万里経済産業相〔当時〕)
 「ここで大体14〜15mですね」
 当時の海江田万里経済産業大臣が浜岡原発を視察し、総理に助言しました。
 「当時はまだ防潮堤などなかった。もし波が来たら砂丘を一直線に駆け上がるんじゃないかと」(海江田万里元経済産業相)
 「結果として止まったことは良かったし、現在まで止まっていることも良かったというか、いいことだと思っている」(菅直人元首相)
 その後、浜岡原発には海抜22メートルの防波壁がそびえたちました。中部電力が対策に費やした金額は4000億円にも上ります。
 原発の地元・御前崎市。この10年で豊かな財政に陰りが見えてきました。
 「令和3年度の当初予算は大変厳しい財政状況の中での編成となり、前年対比マイナス18.8%の減額予算となりました」(柳澤重夫 御前崎市長〔今年3月〕)
 国の原発交付金はほぼ変わっていません。ただ、新たな原子炉の建設計画がストップした一方で、古い施設の減価償却が進み、固定資産税が年々減っているのです。若者の流出も止まらず、人口は10年前と比べ4000人減りました。街には、かつての活気がありません。原発だけに頼らない街づくりを目指すにはどうしたらよいのか。市民が動き出しました。

( 86 ) 現代ビジ 2021/06/03 福島第一原発事故 直前の津波対策で事故を回避した電力会社があった
( 87 ) NHK 2021/11/29 中部電力 浜岡原発の防波壁を超える高さの津波想定まとめる
 しかし、中部電力によりますと、このほど、新たに、巨大地震による津波の高さが最大で22.5メートルに達する可能性があるとの想定をまとめ、次回の原子力規制委員会の審査会合に提出することを決めたということです。
 浜岡原発の前面には、津波対策として高さ22メートルの防波壁が建設されましたが、新たな想定では最大の津波の高さが壁の高さを上回ることになります。
 これについて中部電力は「現時点では追加の対策などを検討する段階ではない。まずは真摯に審査に対応し、基準津波の高さをきちんと策定することに全力を尽くしたい」とコメントしています。

( 88 ) 静岡放送 2021/11/30 浜岡原発 巨大地震を想定した訓練 水素爆発防ぐ訓練も
( 89 ) たんぽぽ 2021/12/04 「浜岡 最大津波高22.5m提示へ」中部電力防潮堤越える想定 「今さら言うな!」 沖基幸
( 90 ) SDT 2021/12/17 津波は「最大22.5m」防波壁の高さ超える新たな想定を提出【浜岡原発】
 原子力規制委員会は中部電力が、津波の高さをどのように算出したものか、より詳しく示すよう指摘。これに対し中部電力は、指摘されたデータを提示すると回答した。
 今後も審査会合では、中部電力の想定を妥当だと認めるかどうか、またその場合、防波壁のかさ上げなどの追加の工事が必要になるかが焦点となりそうだ。

( 91 ) CBCテレビ 2021/12/21 「防波堤よりも50センチ高い津波が…」 浜岡原発 中部電力が新たな想定を示す
( 92 ) TV静岡 2022/05/13 浜岡原発を襲う最大津波高を22.7mに引き上げ 南海トラフ地震で
 その後、委員からの指摘を踏まえ、すべての断層が同時に壊れ始めることを想定して解析したところ、さら20cm高い22.7mと算出されたということです。
 中部電力はこの高さについて次回の審査会合で提示する方針で、「1日でも早く新基準に適合できるよう真摯に対応していきたい」としています。

( 93 ) 産経新聞 2022/05/31 「司法判断注目すべき」泊原発訴訟で静岡県知事
( 94 ) たんぽぽ 2022/06/20 極めて雑な判決 安全規制を否定するのなら原発を「許可」してはならない 山崎久隆
( 95 ) 共同通信 2022/07/20 浜岡原発、防潮堤かさ上げ困難か 規制委員長、議論の焦点とも
 原子力規制委員会の更田豊志委員長は20日の記者会見で、中部電力浜岡原発(静岡県)で想定される津波が、既存の防潮堤を越える可能性に関して「あれだけの構造物の場合、かさ上げは簡単ではない」と述べた。再稼働に向けた審査で、防潮堤は大きな議論の焦点になるとの認識を示した。

( 96 ) たんぽぽ 2022/08/03 株主代表訴訟判決(13.3兆円)のもう一つの側面 上岡直見
 ◎ 株主代表訴訟に関して「日経クロステック」というゼネコン系のネットメディアで【東京地裁「原発事故は防げた」、最高裁の津波対策“後知恵”説を論破】という記事が掲載された。
 この記事では、東京地裁が保守的な上級審(最高裁)に忖度せず市民側の主張を認めた判決を言い渡した英断として前向きに評価している。
 しかし「原子力ムラ」の重要な構成員であるゼネコン業界がこの判決を歓迎する背景は何だろうか?
◎ ゼネコンは原子力そのものに対しては責任がない。
 原発の新増設(建て替え)や新型炉はまだ先の話である。既存の原発に対して、役に立とうが立つまいが「言われたからやりました」という立場で再稼働の前提となる防潮堤や特重施設などを作れば作るほどゼネコンの仕事が増える。
 ゼネコンだけでなく関連する機械・電気メーカーも同じだ。
 しかも「原子力仕様」として普通の工事よりも高い単価を請求できる。脱原発の運動としてはこうした側面にも注目すべきではないだろうか。

( 97 ) 静岡放送 2022/08/19 浜岡原発4号機の安全審査の途中経過を原子力規制庁が異例の説明会
 静岡県にある浜岡原発4号機の安全審査について8月19日、原子力規制庁の職員が静岡県御前崎市を訪れ、途中経過を説明しました。審査中に説明会を開くのは異例です。
 浜岡原発4号機の安全審査は2014年から続いていて、すでに8年が経過しています。19日は、原子力規制庁の職員4人が御前崎市役所を訪れ、審査の途中経過を説明しました。市長や市議会からの再三の求めに応じた形で、原子力規制庁が直接、説明するのは異例です。
 原子力規制委員会による浜岡原発の安全審査は、地質や地震・津波といった10項目について基準に合うかどうか審査を続けています。ただ、8年経ってもおおむね進んだのは10項目中、3項目。審査がいつ終わるのか目途が立っていません。
<原子力規制庁 名倉繁樹安全規制調整官>
 Q.今の審査は何合目?
 「解決している所もあるんだけれどもまだ解決していない所もあるので道半ばという事が言えると思います。どれくらいの何合目かっていうことについては明言できる状況にはないということだと思います」
 終わりが見えない状況に御前崎市長はいらだちを隠せません。

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