[2004_12_29_01]県内の津波対策 訓練で危機意識高揚 防潮堤の整備にも限界(中日新聞2004年12月29日)
 スマトラ沖地震津波は、静岡県民にとって近い発生が予想される東海地震の備えへの必要さをあらためて痛感させた。県内には総延長約500キロもの海岸線が延び、多くの県氏が沿岸で暮らすほか、季節ごとに潮干狩りや海水浴などレジャー客が県内外から集まる。県や市町村などが進めている津波対策は−。

 ◇県防災局

 県防災局は「観光客や港、河口付近の往民に対する防災対策が重要。津波の恐ろしさを日ごろから周知徹底するよう心掛けて啓発、訓練を積み重ねたい」としている。
 県防災局は28日、年末年始の休業に入ることもあり、津波など災害への備えを怠らないよう、あらためて県内全市町村に通知し、注意を喚起した。今回の地震を受けた県の災害対策見直しや対応強化の動きはないが、同局は「地道に積み重ねた対策を継続していく」としている。

 ◇舞阪町

 舞阪町では、地震発生時や津波注意報、警報の出された段階で、海面監視を行い、必要に応じて堤防の閉め切りなども実施。同報無線などを使って住民や漁業関係者などに注意、避難の呼びかけをする。浸水被害の大きいと予想される地区には、民間を含め12カ所を津波避難ビルに指定している。
 今回の地震で、閘門(こうもん)の調査などは特に予定していない。町では、東海地震で県の第三次被害想定を基本に津波対策を進めており、津波の予想波高は浜名湖入り口で4メートル。10メートルもの津波は想定外だ。町の担当者は「(東海地震の場合)むしろ短時間で津波が来ることへの対処が問題」としている。

 ◇浜岡原発

 御前崎市の中部電力浜岡原発は、遠州灘と施設の間に高さ10メートル余の浜岡砂丘が広がっているほか、さらに敷地も6−8メートルの高さにあり、大きな津波が押し寄せる危険性は少ないと見ている。また、施設の耐震性も、想定される東海地震を上回るマグニチュード8・5の限界地震に耐えられるとしている。スマトラ沖の地震について、広報グループでは「反映すベき点があれば対応していきたい」と話している。

 ◇御前崎市

 御前崎市では、遠州灘に面した海岸地域に高さ5・5メートルから7・5メートルの防潮堤が設置されており、スマトラ沖地震のような状況は考えにくい。
 ただ、突発性地震に伴う津波の場合、数カ所ある防潮堤の出入り口から津波が入ってくることが想定されるため、七月には津波避難訓練を実施するなど、住民に常に危機意識を高めてもらうよう積極的な広報活動にも努めている。
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