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[0] 初めに
 敦賀原発2号機の直下の断層が、規制委により活動性ありと認定され、重要施設直下に活断層はあってはならないという規約から、審査不合格が決定しました。山中委員長によると、秋ごろに不適合が正式決定される見通しとのことです。
 日本原電の村松衛社長は廃炉の可能性は「なし」と発言、「再申請を目指していく」とのことであるが、これまで、日本原電と規制委のやりとりの間であった信頼関係を一から作り直したうえで、規制委の判断を覆すデータを出さなければならず、かなりハードルが高い。そして、なにより、このほとんど意味のない再申請のコストは我々の電気代から湯水のようにそそぎこまれるという、こんなに無駄で無意味なことはない。
 敦賀原発2号機の活断層問題は一旦決着がついたと思っていたので、再度、資料を整理しなおすのは、気持ちが重いが、まだ、日本原電が完全にあきらめていない以上、以下にこれまでの活断層問題について記述していくのは意味があることであろう。
 以下のトピックスの順に縷々、記述していきたい。
 
 1991年3月、新編日本の活断層において、敦賀原発の敷地内にある浦底断層は活断層と認定されていた。それも確実度1(活断層があることが確実なもの)であった。敦賀原発2号機は運転開始が1987年であるが、危機管理的には、この1991年の時点で、運転停止かつ廃炉にしておくべきであった。確かに今にいたるまで、この浦底断層が動いてはいないが、その間、大変なリスクをせおっていたことになる。
 
 2004年1月、国の地震研究推進本部が浦底ー柳ケ瀬断層帯でマグニチュード7.2の地震が起きうると想定された。1991年の活断層認定は、東大が行ったものだが、これは国によるものとなった。本来なら、この時点で敦賀原発1,2は運転停止、廃炉としておくべきであった。
 
 原子力安全委員会からの再評価の要請に対して、2006年4月、日本原電が浦底断層を活断層と認めることとなった。それにより、敦賀原発の地震の最大加速度は532ガルから650ガルに変更となった。新編日本の活断層で1991年で指定されてから、15年経って、日本原電もようやく認めた形だ。以下に国・事業者は活断層に後ろ向きであることがわかる事例ではある。
 
 2012年3月、産業技術総合研究所の杉山雄一主幹研究員らの調査により、浦底(うらぞこ)−柳ケ瀬山断層帯」(浦底断層)は少なくとも全長35キロあり、マグニチュード(M)7.4程度と従来の想定の2倍以上に当たるエネルギーの地震を起こす可能性が高いと指摘、日本原電は全長25キロ、M7.2と想定しており、過小評価の可能性がでてきた。
 
 2012年12月、原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理ら現地調査団の5人の専門家は、敦賀原発2号機の原子炉直下にある断層(破砕帯)を活断層である可能性が高いとした。田中俊一委員長も「今のままでは再稼働の安全審査はとてもできないと判断した」と発言、新聞の論調でも廃炉の可能性が高くなったという意見が出てきた。
 
 2013年12月、原子力規制委員会は事務局の原子力規制庁の地震・津波担当の名雪哲夫審議官(54)を、日本原子力発電敦賀原発(福井県)の断層調査の報告書原案を、有識者による評価会合前に原電に渡していたとして、訓告処分にしたと発表した。原子力ムラと批判されて、独立性の高い原子力規制員会が発足したはずなのに、言語同断な行為であった。
 
 原子力規制委員会の調査団は15日(2013年5月15日)、日本原電敦賀原発の敷地内断層に関する評価会合を開き、「2号機直下の破砕帯は、耐震設計上考慮する活断層である」とする報告書を取りまとめた。2号機の運転再開を認めない方針だ。原電が判断を覆す証拠を示さない限り、廃炉は確定的な情勢となった。
 
 2017年11月、日本原電は東海原発、敦賀原発1号機を含む4基の廃炉にあてるため、総額1800億円前後の解体引当金をなんと、敦賀3、4号機(建設中)の建設費に流用していた。日本原電が以下に資金繰りにきびしい状態であり、これが、なかば強硬に再稼働をする原因の一つとなっている。
 
 2019年8月、日本原子力発電は、原子力規制委員会に提出した資料に1000か所余りの記載ミスがあったことを明らかにしました。日本原電は改めて資料を提出するとしています。2017年12月と昨年11月に提出した、六つの資料計約2770ページのうち約250ページに誤りがあったこともわかっています。
 
 2020年2月、日本原電は、元の地質データの「未固結(みこけつ)」という表現を、硬い状態を表す「固結」と勝手に書き換えるようかことを、少なくとも十数か所以上行っていた。規制委は資料のもとになった地質調査データを全て提出するよう原電に求めた。これは異例なことで、理由は「書き換えなどで審査資料が信用できなくなったため」としている。
 
 2020年10月、資料の無断書換問題を受けて、規制委は、書き換えの経緯や、原発に関わる規定に照らして社内のデータの管理状況などを調べ、必要に応じて原電の本店(東京都)への立ち入りも検討する。規制委の石渡明委員は「原電は審査以前の問題だ」と指摘している。
 
 2021年8月、資料の無断書換問題を受けて、更田豊志委員長は「再発防止策の内容が確認できるまでは審査の会合を実施しない」と述べ、原因調査や再発防止に一定のめどがたつまで、再稼働に必要な審査を中断することを決めました。審査の中断は、去年2月に続き2度目です。
 
 2022年10月、規制委は、中断していた安全審査の再開を決めた。社内規定の見直しなどによって、原電側に審査できる資料を作成する態勢が整ったと判断した。
 
 2022年12月9日、約2年ぶりに審査を再開したが、原電は新たに修正が必要になった所が157か所あると説明した。規制委の石渡明委員は資料の誤りが計約1300か所に上ったとし、「これほど間違った資料を提出するのは原電だけ」と指摘した。
 
 規制庁は本来、推進側のエネ庁と接触すること自体、慎重になるべきだが、2023年3月に規制庁職員がエネ庁職員から、駅で資料を受け取るという、文書管理上問題のある手続きが発覚した。原電の文書管理のまずさを指摘していたのに、この体たらくである。
 
 2023年4月、資料の改善が見られないということで、安全審査を中断し、8月までに資料の一部を修正して出し直すよう行政指導する方針を決めた。規制委の石渡明委員は「資料がまともにつくれないのは本当に困る状況だ。無理な期限を要求しているとは思っていない」と述べた。
 
 原電は2023年8月31日、再提出を求められていた審査の申請書を出し直した。原電によると、最初の申請書は470ページだったが、再提出した申請書は約1600ページになった。焦点になっている原子炉直下の断層データを追加し、これまでとは別の地質年代の測定法による評価や、資料の元となった地質調査データなどを盛り込んだ。
 
 2023年9月、規制委は原電から改めて提出された申請書に明らかな不備は認められなかったとして、審査を再開することを決めました。規制委の石渡明委員は、地層内の鉱物の状態を調べた新たなデータが少ないとして「これで十分と思っているのか」と問うたが、原電は必要なデータはそろえたと主張した。
 
 2023年12月、原電は矛盾した説明を展開、K断層が活動した地層の年代を「12万4000〜14万2000年前」とし、後期更新世よりも古く、活断層ではないと主張したが、数値の一部は後期更新世(約12万〜13万年前)に含まれており、原電の説明はつじつまが合わない。規制委事務局が繰り返し矛盾を指摘しても「総合的に判断した」と不明確な回答に終始。規制委側が念押しのように「後期更新世に入っているという認識でいいのか」と問いただすと、原電の担当者は「(後期更新世に)かかるのはそうなる」と認めた。
 
 規制委は2024年5月31日、敦賀原発2号機の審査会合を開き、敷地内にある断層について「活動性を否定することは困難」と結論付けた。
 
 2024年6月、現地調査を終えており、規制委の石渡明委員は、判断を下せる段階に達しているとした。7月末の審査会合で結論が出る予定。2013年に規制委による調査団が指摘して以降、約11年に及ぶ議論が、決着をみようとしている。
 
 2024年7月26日、規制委の審査チームは、原子炉建屋直下に活断層が通る可能性があるとして、原発の新規制基準に適合しないと判断した。規制委が今後、正式に不適合と決定する見通しで、再稼働は認められない。不適合となれば国内の原発で初となる。日本の規制で商用炉が再稼働できなければ史上初のケースで廃炉の可能性も出てきた。
 
 2024年8月2日の規制委の臨時会で、原電の村松衛社長の追加調査などは受け入れないことを決め、正式に不合格とするための手続きを進めるよう事務局に指示しました。秋ごろに不適合が正式決定される見通し。

※記事の赤色下線は編集側(地震がよくわかる会)で加えたものです。


 
[1] トピックス
 
[01]1991年03月 新編日本の活断層 浦底断層は活断層と記載
 
[02]2004年01月 地震研究推進本部が浦底−柳ヶ瀬山断層帯 M7.2
 
[03]2008年04月 日本原電が浦底断層を活断層と認める
 
[04]2012年03月 浦底断層 連動で想定の2倍以上のエネルギー
 
[05]2012年12月 規制委 直下の断層「活断層の可能性が否定できない」
 
[06]2013年02月 名雪審議官 断層調査の原案を原電に漏らし 更迭
 
[07]2013年05月 「直下に活断層」断定 規制委調査団が報告書
 
[08]2017年11月 原電の廃炉費 大幅不足 原発建設に流用
 
[09]2019年08月 審査資料に不備 断層調査計250ページ分
 
[10]2020年02月 原電の地質データの無断書き換えが発覚
 
[11]2020年10月 規制委 原電の社内体制を異例の検査へ 資料書換問題
 
[12]2021年08月 規制委 審査の中断を決定
 
[13]2022年10月 規制委 原電の資料作成過程改善 審査の再開
 
[14]2022年12月 再開後初めての審査会合で新たに157か所の誤り
 
[15]2023年03月 駅で規制庁職員がエネ庁職員から内部文書を受け取り
 
[16]2023年04月 規制委 8月末までの修正を行政指導 2度目の審査中断
 
[17]2023年08月 原電 修正した申請書を規制委に提出
 
[18]2023年09月 規制委 審査再開を決定
 
[19]2023年12月 原電 審査で支離滅裂な説明
 
[20]2024年05月 審査会合 敷地内の断層の活動を否定は困難
 
[21]2024年06月 規制委 現地調査終了 「7月結論」
 
[22]2024年07月 再稼働に不適合「原子炉直下に活断層否定できず」
 
[23]2024年08月 敦賀原発 不合格決定へ 規制委、再稼働認めず
 

 
[2] 敦賀原発の運転状況 最新情報は ココ
 
発電炉名 炉型 出力(万kW) 運転開始 現在の状況
※1
敦賀1 BWR 35.7 1970/03/14 廃炉
敦賀2 PWR 116 1987/02/17 規制委は再稼働に向けた申請が新規制基準に不適合と判断
 
※3:現在とは2024/8/5とする。
 


 
[3] 図一覧(図形数:9件)
 
 
【図1・図2:浦底断層模式図と敦賀原発地形図】
 図1は浦底断層の模式図、参照した記事は コチラ
 図2は敦賀原発周辺の地形図、参照元は コチラ 、浦底断層の断層崖が明瞭に分かる。

【図3:浦底断層に関する文献(1991年新編日本の活断層より)】(*)
 (*) 参照元

【図4:原発の耐震指針をめぐる動き(2011/7/14 時点)】(*)
 (*) 参照元

【図5:敦賀原発の主な破砕帯】(*)
 (*) 参照元

【図6:審査中の7原発の状況(2023/3/4 時点)】(*)
 (*) 参照元

【図7:敦賀原発2号機を巡る主な動き(2023/4/5 時点)】(*)
 (*) 参照元

【図8:敦賀原発を巡る審査のポイント(2023/12/4 時点)】(*)
 (*) 参照元

【図9:敦賀原発2号機の審査を巡る経緯(2023/6/29 時点)】(*)
 (*) 参照元


 
[4] 記事一覧

 
[01]1991年03月 新編日本の活断層 浦底断層は活断層と記載 TOP
 
( 1 ) 東大出版 1991/03/25 新編 日本の活断層 分布図と資料
 浦底断層は確実度T(活断層がであることが確実なもの)の活断層であると記述されている。
※引用者注:上記文章を作成するにあたり、 「新耐震指針に照らした耐震安全性評価のうち活断層評価について(敦賀半島の断層評価)」(2008/6/23) の6ページ目の説明を参考にした。

( 2 ) 毎日新聞 1995/01/17 兵庫県南部地震 活断層ずれ発生 震源浅く強い余震も
( 3 ) 朝日新聞 1995/02/02 論壇 中山鉄則 地震による原子力災害に備えよ
 日本の場合、大地震と原発事故の同時発生が一番怖いが、その可能性は無視できない。柏崎刈羽(新潟)、東海・常陽(茨城)、浜岡(静岡)、敦賀・美浜・高浜・大飯・もんじゅ・ふげん(福井)、島根(島根)、伊方(愛媛)の各原発は、地震予知連が示した「特定観測地域および首都圏観測強化地域」という大地震発生の可能性が高い地盤の上に建てられている。

( 4 ) 朝日新聞 1995/02/08 原発・再処理工場の耐震性 見直しに多い課題
 福井県の敦賀半島は、日本原子力発電の敦賀発電所(二基)と動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の新型額換炉「ふげん」、高速増殖原型炉「もんじゆ」などが集中しているが、周辺には断層も多い。
 敦賀発電所の敷地内には活断層の浦底断層が通っているが、さらに北東にある長さ二十キロの甲楽城(かぶらぎ)断層が動いた方が影響が大きいことがわかった。日本原電は「過去五万年動いていないので、活動度は高くないが、1、2号機とも、この断層が動いても十分耐えられることを確認している」という。

( 5 ) 毎日新聞 1995/03/15 阪神大震災級で 原発51基中48基が耐震設計超す揺れ 原電推定
 日本原子力発電(本社・東京都千代田区)が、阪神大震災級の地震が起きた場合の原子力発電所の地盤の揺れを推定した結果、国内で運転中の原発51基のうち、48基で国の安全審査基準である耐震設計値を上回る強い揺れになることが14日、明らかになった。(中略)
 国内各電力会社の全原発51基(試運転中も含む)の耐震設計値と今回の推定値(400ー300ガル)を比較した結果、AS、AAクラスとも最大推定値(400ガル)が耐震設計値を上回ったのは、敦賀1号、高浜1-4号、伊方1、2号、島根1、2号、福島第一、福島第二原発や九州、北海道のすべてなど30基。

( 6 ) 毎日新聞 1995/10/15 縦揺れ感知 地震計なし 専門家「安全上、重大なミス」 初期の原発11基
 日本原子力発電、東京、中部、中国電力の四社が運転している初期の沸騰水型原発計11基に、地震の縦揺れを感知して原子炉を緊急自動停止させるための地震計が無かったことが14日までにわかった。(中略)
 縦揺れを感知する地震計がないのは、運転中の沸騰水型原発26基のうち、日本原子力発電の東海第二原発、敦賀原発1号機▽(後略)

( 7 ) 毎日新聞 1998/01/21 「普通の地震」で壊れた新幹線 リスクに甘い日本社会 原発直撃もタブー視
 そして、阪神大震災は、リスクに対して考えが甘い日本社会の氷山の一角、と実感するに至った。それは力武常次(地震予知連絡副会長:当時)氏の活断層危険度ナンバー2が福井県敦賀市、と知ったときだ。
 私は敦賀市に90年から3年間「駐在記者」として住んでいた。同市内には高速増殖炉「もんじゅ」や敦賀原発、隣町には美浜原発がある。しかし、敦賀が活断層地震のハイリスク都市であることは一市民としても記者としてもー度も行政から警告されなかった。


[02]2004年01月 地震研究推進本部が浦底−柳ヶ瀬山断層帯 M7.2 TOP
 
( 8 ) 推進本部 2004/01/14 柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の長期評価
(2)浦底−柳ヶ瀬山断層帯
 浦底−柳ヶ瀬山断層帯では、マグニチュード 7.2 程度の地震が発生すると推定され、その際には2 m 程度の左横ずれが生じる可能性がある(表3)。

( 9 ) 朝日新聞 2006/05/26 原発と地震 揺らぐ耐震性 見直し急 耐震指針
 リアス式海岸が続く福井県敦賀市の敦賀半島。海岸線だけでなく山すそも曲がりくねっている。しかし、岬の先端にある日本原子力発電敦賀原発1号機と隣の2号機の炉心からわずか300メートルほどの山すそは、北西から南東にかけてほぼ一直線になっている。政府の地震調査研究推進本部は04年1月、航空写真などから、ここに活断層が走っている認定。一連の活断層帯が動けば「マグニチュード7.2程度の地震が推定される」と発表した。
 20数年前、2号機建設前の調査で、この断層は古いから地震を起こさないと判断した原電は「仮に、活断層であっても原発は安全と04年に数値計算で確かめた」と説明する。にもかかわらず「万全を期すため」、昨年10月、山すそを大きく削り、改めて調査を始めた。調査結果は秋ごろに報告する予定だ。

( 10 ) 情報科学 2006/09/19 原発の耐震設計審査指針の改定
( 11 ) 毎日新聞 2007/07/17 【新潟県中越沖地震】原発 鎮火に2時間 揺れ680ガル想定2.5倍
 

 
[03]2008年04月 日本原電が浦底断層を活断層と認める TOP
 
( 12 ) 朝日新聞 2008/04/01 活断層 原発は安全? 「追認」に転換 耐震性評価
 原発の直下や間近を活断層が通っている実態が31日(2008/03/31)、事業者による耐震再評価で明らかになった。いずれも従来、研究者らから指摘されながら否定してきた活断層を追認したものだ。
 原発や高速増殖原型炉「もんじゅ」が集中する福井県では、事業者が従来否定してきた活断層を大幅に認めた。その結果、関西電力美浜原発やもんじゅの直下、日本原子力発電敦賀原発の原子炉からわずか200メートルを活断層が通っているなど、従来より厳しい前提で耐震性が評価された。
 いずれも、これまで活断層ではないかと指摘されていた断層だ。しかも、旧指針でも対象になる5万年前以降の活動が確認され、事業者の従来の想定が甘かったことが裏付けられた。
 専門家はかねて事業者の評価は不合理と指摘していた。2月の原子力安全委員会の検討委員会では、敦賀原発横の断層の評価について「地質学の基本をねじ曲げた解釈」(中田高・広島工大教授)、「専門家がやったとすれば犯罪」(杉山雄一・産業技術総合研究所活断層研究センター長)と厳しい言葉が飛んだ。
 これに対し31日、経済産業省で記者会見した電力会社の担当者は「当時の知見では分からなかった」「新たに調査した結果」と口をそろえた。

( 13 ) 朝日新聞 2008/04/25 活断層探し厳格に 原発周辺審査手引案 原子炉付近でも解釈に誤り
 国の原子力安全委員会が原発周辺の活断層調査についての手引案をまとめた。5月12日まで一般の意見を募っている。原発の耐震指針が06年、28年ぶりに改定されたことにともない、具体的に活断層をどう調査するのかが、懸案となっていた。各原発の耐震性再評価(バックチェック)では、過去の活断層調査のほころびが次々に浮かび上がった。新指針や新手引を生かす態勢づくりが今後の課題になる。 (佐々木英輔)(中略)
 手引の検討委員会では、日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)の敷地内を通る浦底断層の調査も不適切な例として挙がった。
 「これが審査を通る見込みで出されているのは問題。かなり厳しい内容で手引を作らなければならない」。中田さんは、04年に提出された3、4号機増設申請書の地質断面図の問題点を指摘した。

( 14 ) 中日新聞 2009/02/26 福井の5原発 「活断層の評価が甘い」 保安院 見直し指示
 原発の事業者が耐震安全性を自己評価した結果を審査している経済産業省原子力安全・保安院は25日、高速増殖原型炉「もんじゅ」など福井県内の5原発で、地震の大きさを左右する活断層に関する評価が過小だとして、想定される地震の揺れの強さ(基準地震動)を見直すよう事業者に求めた。原発事業者に対し、保安院が活断層評価の見直しを求めたのは初めて。(中略)
 もんじゅ(日本原子力研究開発機構)や美浜原発(関西電力)の南西を通る3つの活断層は従来の最大19キロが41キロに、敦賀原発(日本原子力発電)の北東を通る二つの活断層は同32キロが61キロと評価され、それぞれ基準地震動が引き上げられる可能性が出てきた。

( 15 ) 日経新聞 2011/03/12 【東日本大震災】福島第1「炉心溶融が進んでいる可能性」 保安院
( 16 ) 福井新聞 2011/07/14 県内原発の安全性は 若狭湾は活断層の巣 国評価 揺らぐ信頼性
 国の指針に基づく耐震安全性再点検で、県内原発に関して考慮すべき活断層とされたのは計21ヶ所。原発14基がある若狭湾周辺は「活断層の巣」とも形容される。(中略)
 渡辺教授は「基本的に活断層は認めない。認めざるを得ない場合は短くとらえて、評価を"値切って"きた」と事業者の姿勢や国の審査体制を批判。評価結果の信頼性に疑惑の目を向ける。
 例えば、大飯原発周辺にある海底活断層2本は、若狭町方面に延びる熊川断層と一体で評価されるべきだと指摘。浦底断層によって敦賀原発では「揺れ」ではなく「ずれ」による被害が起きるとし「土地自体が折れ曲がってしまえば、耐震設計うんぬんの話ではなくなる」と立地自体の見直しを求める。

( 17 ) 静岡新聞 2011/08/12 敦賀原発直下 断層動く恐れ 原電「影響を再検討」
 福井県敦賀市の日本原子力発電(原電)敦賀原発で、原子炉の真下に延びた「破砕帯」と呼ばれる断層が、活断層「浦底断層」の影響で動く可能性のあることが分かった。破砕帯はこれまで「活動性はない」とされ、原発の耐震設計の際に考慮されなかったが、東日本大震災で同種の断層が動いたことが判明。原電側は「原子炉への影響を再検討し、8月中に見解を出す」と話している。

( 18 ) 中日新聞 2011/10/16 地震学会 大震災予測出来ず反省 物言える地震学者に 想定見直しを
 15日に閉幕した日本地震学会の研究発表は東日本大震災が中心となり「大地震を予測できなかったのほ痛恨の極み」などと自己批判の発言が相次いだ。いまだ収束しない福島第一原発の事故を招いた大震災の教訓を胸に、地震学者たちは「原発震災」と向き合っている。(中崎裕)(中略)
 敦賀原発(福井県)などで活断層が過小評価されていると指摘する渡辺満久東洋大教授ほ「以前は原発周辺の活断層がどう評価されているのか、関心すらなかった」と自省した。「国の審査は不十分。若狭湾で地震による原発事故が起きたらこの国は終わる」と危機感を語った。


[04]2012年03月 浦底断層 連動で想定の2倍以上のエネルギー TOP
 
( 19 ) 福井新聞 2012/03/06 浦底断層 敦賀原発下連動35キロ 参総研調査 従来は過小評価
 日本原電敦賀原発1、2号機の敷地を通る活断層「浦底(うらぞこ)−柳ケ瀬山断層帯」(浦底断層)は少なくとも全長35キロあり、マグニチュード(M)7.4程度と従来の想定の2倍以上に当たるエネルギーの地震を起こす可能性が高いことが5日、産業技術総合研究所の杉山雄一主幹研究員らの調査で分かった。
 浦底断層の南部にある複数の断層が広域で連動する可能性もあり、杉山氏は「最悪の場合も考えないといけない」として、大規模な連動地震についても考慮すべきだとしている。
 政府の地震調査委員会や日本原電は連動する他の断層も含め、全長25キロでM7.2程度と評価しており、過小評価だった可能性が高い。原発の立地場所として問題があることを示すもので、安全性の再検討は必至だ。日本原電は「現段階では、コメントは何もない」としている。
 杉山氏は、原発の耐震性を評価する経済産業省原子力安全・保安院の専門家会議の委員。(後略)

( 20 ) 東京新聞 2012/04/25 敦賀原発、立地不適格か 直下の断層、動く可能性 保安院調査
 福井県敦賀市の日本原子力発電(原電)敦賀原発の直下を通る断層の一種「破砕帯」に関して、専門家でつくる経済産業省原子力安全・保安院の意見聴取会は24日、現地調査し「敷地内を通る活断層の浦底断層の活動に引きずられて動く可能性が高い」として原電に追加調査を求めた。破砕帯が動く危険性が確認されれば、原発立地の適性を欠き、廃炉になる可能性がある。

( 21 ) 福井新聞 2012/09/12 県内で破砕帯再調査 「敦賀は副断層か」焦点
 破砕帯の再検証が全国に広がる発端は、保安院が4月に敦賀原発で行った現地調査。敷地内を通る活断層「浦底断層」から複数の破砕帯が枝分かれするように1、2号機の直下にも延び、同行した専門家は「浦底断層に引きずられる形で動いたのではないか」と指摘。活断層である可能性が浮上した。
 原電は活動性を否定したものの、保安院は再調査を指示。地層と破砕帯の関係や、破砕帯の活動性の有無などを確認し、11月に結果を報告する予定。
 国の規定では、自ら地震を起こす主断層だけでなく、これに連なる副断層も活断層として扱い、その上に原子炉を設置することは「想定していない」としている。一方、保究院は「副断層と認められても廃炉となる法的手続きはない」ともいう。

( 22 ) 東奥日報 2012/09/19 原子力規制委きょう発足 40年制限など課題山積
 19日に発足する「原子力規制委員会」は、東京電力福島第1原発事故を教訓に原子力の安全規制を一元化し、原子力規制への取り組みを刷新する。ただ発足が遅れたこともあり、原発の運転期間の40年制限や再稼働への対応など直面する課題は山積している。(中略)
 原電敦賀原発や北陸電力志賀原発(石川県)では、直下にある断層が活断層である疑いが浮上。関電美浜など4原発でも、敷地内の断層が重要施設に影響を与える恐れが指摘され、各電力会社が現地調査を進める。
 規制委はこうした断層について独自の調査も実施する方針。結果次第では、廃炉に追い込まれる可能性がある。


[05]2012年12月 規制委 直下の断層「活断層の可能性が否定できない」 TOP
 
( 23 ) 東奥日報 2012/12/11 廃炉は事業者判断
 日本原子力発電敦賀原発の原子炉直下にある破砕帯が「活断層」である可能性が高まった。原子力規制委員会ば、委員から異論が出なければ、再稼働を認めないことを原電に伝える方針だ。規制委に廃炉を求めるまでの法的権限はなく、判断は原電自身に委ねられるが、再稼働できない状況が続くため、廃炉は避けられなくなりそうだ。

( 24 ) 東奥日報 2012/12/11 敦賀2号機 廃炉濃厚 「破砕帯は活断層」 規制委調査団が見解
 日本原子力発電敦賀原発(福井県)の原子炉直下にある断層(破砕帯)が活断層かを判断する原子力規制委員会の評価会合が10日開かれ、島崎邦彦委員長代理ら現地調査団の5人の専門家は「活断層である可能性が高い」との見解で一致した。今回の評価結果で、停止中の敦賀1、2号機は再稼働が極めて困難になり、特に原子炉直下に活断層がある可能性を指摘された2号機は廃炉を迫られる可能性が濃厚になった。

( 25 ) 東奥日報 2012/12/11 原電 建設時に断層調査 敦賀原発2号機直下 国「危険性」認識せず
 原子炉直下に活断層がある可能性が高いと認定され、廃炉の公算が大きくなった日本原子力発電敦賀原発(福井県)をめぐり、30年以上前の2号機建設時に行われた国による安全審査で、今回問題となった2号機直下の破砕帯(断層)や敷地内の活断層を原電が追加調査していたとみられることが11日、分かった。原子力規制委員会の現地調査団メンバーで、活断層が専門の鈴木康弘名古屋大教授が明らかにした。
 今回、調査団が問題視した破砕帯や活断層が安全性に影響を与えかねない可能性を、国や原電が当時から認識していた実態が浮き彫りになった。

( 26 ) 東奥日報 2012/12/11 「再稼働審査できない」 敦賀・活断層 規制委 重い判断
 原子力規制委員会は10日、日本原子力発電敦賀原発(福井県)原子炉直下の断層は活断層である可能性が高いと認定L、田中俊一委員長が「再稼働の審査はできない」と、廃炉につながる重い判断を初めて示した。原発問題が人きな争点となった衆院選の投開票前に"駆け込み″で結論を出した形。原発に依存する各地の電力会社や立地自治体の今後に大きな影響を与えるのは必至だ。

( 27 ) 福井新聞 2012/12/11 敦賀2号廃炉の可能性 「原子炉直下に活断層」 規制委見解
 日本原電敦賀原発の原子炉直下にある断層(破砕帯)が活断層かを判断する原子力規制委員会の評価会合が10日開かれ、島崎邦彦委員長代理ら現地調査団の5人の専門家は「活断層である可能性が高い」との見解で一致した。田中俊一委員長は「今のままでは再稼働の安全審査はとてもできないと判断した」と述べた。停止中の敦賀1、2号機は再稼働が極めて困難になり、特に原子炉直下に活断層がある可能性を指摘された2号機は廃炉を迫られる可能性が高くなった。

( 28 ) 東京新聞 2012/12/12 敦賀・廃炉か 全原発の調査は不可避
 まっ黒という判定だ。科学者たちは、日本原電敦賀原発2号機が地震の卵″の上にある危ないものだと評価した。地震国日本の地下は断層だらけではないか。全原発の総点検は避けられない。
 4人の専門家の判断は、ずれることなく一致した。活断層だ。敦賀原発2号機の運転開始は1987年2月、比較的新しい部類に入る。だが、四半世紀もの間、地震の卵″と言われる不安定な地層の上に原子炉が乗っていた。背筋が寒くならないか。
 敦賀原発の敷地内には「浦底断層」という名の活断層が走っており、破砕帯と呼ばれる断層の一種がそこから枝分かれするように2号機の真下へ延びている。この破砕帯が浦底断層の活動に連動して動き、地震を引き起こす恐れがあるか。つまり活断層であるかどうかが、検討されてきた。
 以前から危険は指摘されていた。日本原電は現存する原発では最も古い敦賀1号機の建設時から、破砕帯の存在を知っていた。だが連動して動く恐れはないと今も主張し続けている。つじつま合わせと疑われても仕方あるまい。

( 29 ) 東奥日報 2013/01/05 原発新基準づくり急ぐ規制委 再稼働に「政治圧力」も
 地震(の想定)は島崎邦彦委員長代理を中心とする検討チームが、原発の安全上考慮すべき活断層の定義を厳しくする。これまで「13万〜12万年前以降に活動した断層」としていたが「40万年前以降」に拡大することを決めた。
 原子炉建屋など重要施設を活断層の真上に設置しないことも明確化。規制委の現地調査団は、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の直下の断層が活断層の可能性が高いと判断しており、新基準に合致しない同原発は廃炉を迫られそうだ

( 30 ) 静岡新聞 2013/01/29 「敦賀直下に活断層」明記 規制委調査団 報告書案 大筋合意
 原子力規制委員会の調査団は28日、都内で聞いた評価会合で、日本原子力発電敦賀原発(福井県)の2号機直下を走る断層「D−1破砕帯」は「耐震設計上考慮する活断層である可能性が高い」との報告書案を示した。調査団は大筋で合意したが、報告書の取りまとめは先送りした。
 団長役の島崎邦彦委員長代理は「どこか気付かない穴があるかもしれない」と述べ、調査団5人以外の専門家の意見を聴いた上で取りまとめる方針を示した。今後の手続きは未定で、報告書を規制委に提出する時期は不透明となっている。


[06]2013年02月 名雪審議官 断層調査の原案を原電に漏らし 更迭 TOP
 
( 31 ) 毎日新聞 2013/02/02 敦賀・断層調査原電に原案漏らした名雪審議官を更迭
 原子力規制委員会は1日、事務局の原子力規制庁の地震・津波担当の名雪哲夫審議官(54)を、日本原子力発電敦賀原発(福井県)の断層調査の報告書原案を、有識者による評価会合前に原電に渡していたとして、訓告処分にしたと発表した。規制委は名雪氏を更迭し、同日付で出身の文部科学省に出向させた。規制委の田中俊一委員長は「信頼回復に努めるなかでの不適切な行為で誠に遺憾」と規制庁に再発防止を指示した。

( 32 ) 東奥日報 2013/02/07 事業者面談 単独認めず 漏えいで規制委内規変更
 日本原子力発電敦賀原発(福井県)の断層調査に関する報告書原案の漏えい問題を受け、原子力規制委員会(田中俊一委員長)は6日、原子力規制庁の職員が規制対象の事業者と面談する際は、単独ではなく2人以上で対応するよう、内規を見直すことを決めた。

( 33 ) 東京新聞 2013/02/08 大甘の処分 癒着の連鎖 審議官が資料提供 原子力規制庁
 贈収賄事件があったとする。贈った側ともらった側の言い分をうのみにした幕引きなどありえない。日本原子力発電敦賀原発(福井県)の断層調査をめぐり、原子力規制庁幹部が日本原電側に報告書原案を渡していた問題。規制庁は「個人の問題」とし、組織の責任を否定する。だが、規制庁の職務に関することで、個人に全責任を帰するという理屈は通用しない。徹底検証が求められている。

( 34 ) 東京新聞 2013/02/16 規制委が唐突提案 専門家結論 別の専門家チェック
 原発の活断層をめぐる原子力規制委員会の結論の出し方に、調査に当たる専門家から疑問の声が出ている。専門家がまとめた意見を、別の専門家がチェックする。日本原子力発電敦賀原発(福井県)の評価会合で、規制委が唐突に提案。もっともらしい手続きだが、明確に「活断層」との判断がでたのに、別の専門家が検討する間、結論がでるのがずるずる先延ばしになる恐れがある。

( 35 ) 東奥日報 2013/02/28 規制委 原発断層報告精査へ 専門家で相互評価、東通も
 原子力規制委員会は27日、原発の敷地内断層の調査結果について、現地調査に参加していない専門家からも意見を聞き、評価報告書案を精査する会合を開くことを決めた。座長は日本地質学会会長の石渡明東北大教授(地質学)が努める。3月8日に日本原子力発電敦賀原発(福井県)に関する会合を開き、東北電力東通原発についても同様の会合を今後予定している。

( 36 ) 東奥日報 2013/03/09 敦賀2号機 原電 断層動き認める 規制委チーム会合 なお直下否定
 日本原子力発電(原電)は8日、原子力規制委員会の専門家チームの会合で、チームが活断層と判断した敦賀原発2号機(福井県敦賀市)直下の断層に関し、過去に繰り返し動いた断層だと認めた。これまでは「地盤の圧縮でできた地層のずれ」と説明していた。ただし、「動いた時期は古く、2号機直下も通っていない」と、規制基準には反しないとの主張は変えなかった。

( 37 ) 東奥日報 2013/03/09 敦賀原発 「活断層」確定的に 規制委報告書案 専門家から異論出ず
 日本原子力発電敦賀原発(福井県)の敷地内断層を調べた原子力規制委員会の調査団は8日、「2号機直下に活断層がある可能性が高い」とした報告書案について、現地調査に参加していない専門家から意見を聞いた。大きな異論は出ず、調査団は近く開催する評価会合で報告書をまとめる予定となり、「活断層」の評価は確定的となった。

( 38 ) 東奥日報 2013/03/23 断層調査に技術的限外 原発審査ガイド 規制委案で留意点
 原子力規制委員会は22日、7月施工の原発新規制基準で、地震、津波関係の調査や審査をする際の詳細なルールを定めたガイド案を有識者検討チームに示した。断層の活動性を判断する場合、目安となる地層が失われているケースもあり技術的な課題や限界があるなどの留意点を盛り込んだ。(中略)
 また、原子炉から数百メートルに大規模な活断層がある日本原子力発電敦賀原発(福井県)のように、震源が極めて近い場合には地震による揺れを正確に予測するのが困難であることを踏まえて慎重に対応するように求めた。

( 39 ) 東京新聞 2013/04/21 敦賀「活断層」結論足踏み 規制委に疑問の声 専門家 意見一致4か月
 2号機直下に活断層あり−。原子力規制委員会から日本原子力発電敦賀原発(福井県)の断層調査を頼まれた専門家チームが、意見の一致をみてから早四カ月がたつ。24日に久々に評価会合が開かれるが、規制委は原電の反論を聴く場として設定。報告書は決まりそうにない。チームの専門家からは、規制委の運営に疑問の声が出始めている。


[07]2013年05月 「直下に活断層」断定 規制委調査団が報告書 TOP
 
( 40 ) 福井新聞 2013/05/16 敦賀2号廃炉濃厚 「直下に活断層」断定 規制委調査団が報告書
 原子力規制委員会の調査団は15日、日本原電敦賀原発の敷地内断層に関する評価会合を開き、「2号機直下の破砕帯は、耐震設計上考慮する活断層である」とする報告書を取りまとめた。国は活断層上に原子炉建屋など重要施設の設置を認めていない。規制委は早ければ22日の定例会合で報告書を踏まえた対応をするが、2号機の運転再開を認めない方針だ。原電が判断を覆す証拠を示さない限り、廃炉は確定的な情勢となった。

( 41 ) 情報科学 2013/07/08 商業用原発炉に係る新規制基準
( 42 ) 東奥日報 2013/07/12 敦賀追加調査 活断層を否定
 日本原子力発電は11日、原子力規制委員会が「原子炉直下のDー1破砕帯は耐震設計上考慮すべき活断層」と認定した敦賀原発2号機(福井県)について、活断層を否定する追加調査結果を規制委に提出した。規制委調査団による評価やり直しを求めている。

( 43 ) 日経新聞 2013/07/26 島崎委員長代理に聞く 関電の耐震認識甘い 高浜・大飯 審査後回し
 日本原子力発電敦賀2号機(福井県)直下の活断層を巡り、事業者や一部の専門家が「耐震強化などの工学的な手法で安全は保てる」と訴えている点で、島崎氏は「地震の時に大丈夫だったかという実証的な結果はほとんどない」と反論した。今後の基準の見直しには「将来的には考えたい」と含みを残した。
 敦賀などの断層の調査団の選任方法に偏りがあるとの外部の意見には「学会の推薦を受け、過去に審査に携わらなかった方という原則が信頼性の確保に必要だった」と説明。「(選任方法は)適切だった」と強調した。

( 44 ) 東奥日報 2013/12/18 来月断層を再調査 敦賀2号機 規制委決定
 原子力規制委員会は18日の定例会合で、原子炉直下に「地盤をずらす可能性のある断層(活断層)」があると5月に認定した日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)について、有識者調査団による現地調査を再び実施することを決めた。

( 45 ) 東奥日報 2014/09/19 断層調査半ば「残念」 規制委の島崎氏 退任会見
 島崎氏は任期中に、日本原子力発電敦賀原発の敷地内断層の活動性を認定したほか、他原発の審査でも地震想定に納得せず、突き返すなどした。

( 46 ) 東奥日報 2014/09/27 規制委発足2年 安全性最優先か 旧来組織逆戻りか 問われる真価
 保安院が手を焼いたのは、過去に国が電力会社に与えた原発の設置許可という既得権″だ。許可を得て、長年運転を続けてきた原発の敷地内で活断層が認定された、日本原子力発電敦賀原発(福井県)の事例はその典型だ。
 敦賀原発は敷地内に地震を起こす「浦底断層」があり、「新設であれば到底許可できない」(保安院OB)という立地条件だが、保安院時代に浦底断層が活断層と認定されても設置許可を取り消すことはできなかった。
 2012年に発足した規制委は、学会が推薦した電力会社とのしがらみの少ない研究者で断層調査団を結成。敦賀原発で浦底断層とは別に、原子炉直下の断層の活動性を認定した。運転継続は極めて困難で、事実上廃炉を迫るものだった。
 だが、電力業界や電力と近い政治家や官庁の反発は強く、原電は徹底抗戦の構えを崩さない。電力業界が永田町や原発推進官庁を通じて、規制に「有形無形の圧力」(関係者)をかけてきた過去の構図と重なる。

( 47 ) 中日新聞 2015/03/25 敦賀2号機で原子力規制委 「直下に活断層」了承
 原子力規制委員会は25日、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の直下を走る断層を、将来動く可能性がある「活断層」とする評価書案を了承した。東北電力東通原発(青森県)についても、敷地内に複数の活断層がある可能性を指摘する評価書案を了承した。
 敦賀2号機直下の断層は、2013年5月に、地盤をずらす恐れのある活断層と認定されたが、原電は追加の調査データを示して規制委に再検討を要求。有識者が認定を見直すか再度議論したが、判断は変わらなかった。

( 48 ) 東奥日報 2015/11/06 敦賀2号機 審査申請 「活断層」指摘の原発で初
 日本原子力発電は5日、敦賀原発2号機〔福井県)の再稼働を目指して、原子力規制委員会に新規制基準に基づく審査を申請した。規制委の有識者調査団は2度の現地調査を踏まえ、敦賀2号機の原子炉建屋直下の破砕帯に活動性があると認定。新基準は「活断層」の上に重要施設を設置することを禁じており、原電は審査でこれを覆せないと廃炉を迫られる。

( 49 ) 東奥日報 2016/10/25 科学する人 地震学者 島崎邦彦さん
 断層の延長上に掘った試掘溝の一部が青いシートで覆われていた。気になったが、原電側は「調査中」と渋った。後日、有識者と訪れて詳細に調べた。「あるじゃないか」。活動性ありと認定する重要な証拠を見つけた。
 活断層かどうかの認定は廃炉につながる可能性があり、重い責任を伴う。当事者から反発を招き、重圧もかかる。調査が長期化し、参加した有識者から「もう耐えられない」との声も上がった。
 そうした状況の中、何らかの「わな」に引っかからないよう、島崎さんは身の回りにも注意するようにした。痴漢のぬれぎぬを着せられないように、毎日の電車通勤では着席できる車両を利用した。税金関係にも細心の注意を払った。
 島崎さんは「重大な問題が明らかになっているのに、知らん顔をしてはいけない」と語る。2年前に規制委委員を退いた後も、原発の安全に関心を持つ。「国民の役に立ちたいと考えるなら、権力の外から監視し、科学的におかしいと声を上げることが大切。これが3.11の最も重要な教訓だ」。経験を基に若手研究者らに向け助言する。


[08]2017年11月 原電の廃炉費 大幅不足 原発建設に流用 TOP
 
( 50 ) 朝日新聞 2017/11/17 原電の廃炉費 大幅不足 原発建設に流用、全基停止後も
 原電の場合、廃炉作業中の東海原発(茨城県)、敦賀原発1号機を含む4基の廃炉にあてるため、総額1800億円前後の解体引当金がある計算だが、「大半を流用してしまった」(関係者)という。
 複数の関係者によると、東京電力福島第一原発事故の前、原電は解体引当金を敦賀3、4号機(建設中)の建設費に流用することを決めた。金融機関からの借金を増やさない目的だったという。原発事故後、原電の全原発が停止して資金繰りが厳しくなると、穴埋めする余裕はなくなり、流用が続いた。原電は解体引当金をどの程度使ったかを明らかにしていない。

( 51 ) 現代ビジ 2017/12/29 なぜ人々は原発再稼働に「無関心」なのか
 原電が保有する原発は4基あるが、東海と敦賀1号機は廃炉作業中だ。敦賀2号機は、建屋直下に活断層が走っている可能性が指摘されているため、実は頼みの綱はこの東海第二だけなのだ。
 だが、原電が今回の延長申請を行う1週間前、驚くべき事実が明るみになった。原発廃炉のための「解体引当金」(原電の場合、4基で合計1800億円)を流用し、なんと敦賀3・4号機の原発建設費用に充てていたというのだ。その結果、緊急時に使える手元の現預金は3月末で187億円しか残っていなかった。

( 52 ) 東京新聞 2019/04/17 廃炉専業会社 設立検討 原電が国内初 米社出資も
 原発以外に収益源のない原電の苦悩はとりわけ深い。東海第二原発(茨城県)は再稼働に向け国の審査を通り、最長二十年の運転延長も認可されたが、地元の同意取り付けが難航。安全対策工事費は「三千億円規模に膨らむ見通し」(電力関係者)だが、頼みの綱の大手電力による支援枠組みはいまだ固まっていない。
 敦賀原発2号機(福井県)は直下に活断層の存在が疑われ、審査合格のめどが立たない。本業の収入を絶たれ、売電契約を結んでいる大手電力五社から受け取る総額年一千億円の「原発管理費」を頼みに食いつないでいるのが実情だ。


[09]2019年08月 審査資料に不備 断層調査計250ページ分 TOP
 
( 53 ) 共同通信 2019/08/23 敦賀原発の審査資料に不備 断層調査など計250ページ分
 日本原子力発電は23日、原子力規制委員会の再稼働審査を受けるために提出した敦賀原発2号機(福井県)の資料に記載の不備が多数見つかったと明らかにした。敷地内の断層の活動性や長さなどを審査する際に使う資料で、2017年12月と昨年11月に提出した、六つの資料計約2770ページのうち約250ページに誤りがあったという。

( 54 ) NHK 2019/10/11 敦賀原発2号機 再稼働審査の資料に1000余りのミス 日本原電
 再稼働に必要な国の審査を受けている敦賀原子力発電所2号機について、日本原子力発電は、原子力規制委員会に提出した資料に1000か所余りの記載ミスがあったことを明らかにしました。日本原電は改めて資料を提出するとしています。
 日本原電は福井県敦賀市にある敦賀原発2号機の再稼働を目指していて、4年前から国の審査を受けています。
 このうちおととし12月からことし4月にかけて開かれた会合の中で、日本原電が想定する地震などについて説明をしましたが、このとき提出した資料に1140か所におよぶ記載ミスがあったことを明らかにしました。


[10]2020年02月 原電の地質データの無断書き換えが発覚 TOP
 
( 55 ) 毎日新聞 2020/02/07 原電 断層データを無断書き換え「非常に問題が多い」 敦賀2号審査
 規制委によると、これまでの審査に提出されていた資料では、原電が2012年に掘削した地中のデータなどが掲載されていた。しかし、この日の資料では元データが削除され、掘削した地中の分析結果などが載っていた。活断層かどうかなど、今後の審査の根幹に関わる部分で書き換えが目立ったという。

( 56 ) NHK 2020/02/07 敦賀2号機 資料不備で審議見送り 規制委
 7日の審査会合で、日本原電はこの断層について、ボーリング調査の新たな解析結果を示し、「活断層だと指摘されている近くにあるほかの断層との連続性は認められない」と改めて主張しました。
 しかし、提出した資料に過去に日本原電が規制委員会に示したボーリング調査のデータが記載されていないことがわかり、委員からは比較ができないなどとして、資料の不備を指摘する意見が出されました。
 規制委員会は、日本原電に対して、改めて資料の提出を求め、7日の審議を見送りました。

( 57 ) 毎日新聞 2020/02/12 原電 敦賀2号機の「活断層」データを削除 規制委に無断で
 審査会合の元の資料には、12年と15年に掘削した地質データについて「フィルム状の粘土を挟在(きょうざい)する」との記載が少なくとも3カ所あった。この記載は、掘削調査をした試料の中に軟らかい地層の存在を示す観察記録に当たる。しかし、20年2月7日の審査会合の資料では、いずれも無断で削除されていた。
 日本活断層学会で会長を務める佐竹健治・東京大地震研究所教授(地震学)は「硬い層の間に軟らかい層がある場合、断層の活動性を表す」と指摘。審査資料から地中の軟らかい層のデータが削除されたことで「活断層の証拠を薄めているように見える」という。
 規制委によると、この記載の削除以外にも、地中の軟らかい層に関するデータを否定する資料の書き換えは少なくとも十数カ所に及んだ。例えば、地層が固まっていない状態を指す「未固結(みこけつ)」という表現を、硬い状態を表す「固結」としていた。
 原電は「削除や書き換えに悪意はなかった」と説明している。

( 58 ) 毎日新聞 2020/02/14 規制委、原電に元データ要求 「信用できない」 敦賀2号機
 日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の再稼働に向けた原子力規制委員会の安全審査を巡り、原電が審査資料の地質データを無断で書き換えたり削除したりしていた問題で、規制委の審査チームは14日、資料のもとになった地質調査データを全て提出するよう原電に求めた。規制委が電力会社に資料の元データを要求するのは異例で、「書き換えなどで審査資料が信用できなくなったため」としている。
 元データは、原電の発注で掘削調査を行った業者が作成したもの。無断書き換えや削除の理由について、原電はこの元データを評価し直した結果としている。これまでに十数カ所で書き換えなどが見つかっており、規制委は他にも変更箇所がないか、変更理由も併せて原電が説明するまで審査を中断する。

( 59 ) AERA 2020/02/20 室井佑月「組織は頭から腐る」
 なぜそんなことをしたのか?
「敦賀2号機は原子炉建屋直下の断層が活断層である可能性が指摘されており、審査で活断層と判断されれば運転できなくなる。ボーリング調査の結果はこの判断を左右する」から。
 すげぇよな。「未固結」と「固結」って真逆の意味じゃん。原電の和智信隆副社長は、「悪意はない。意図的ではない」などといっているが、わざわざ前の記述を削って書き直したわけで、悪意も意図もバリバリじゃん。

( 60 ) たんぽぽ 2020/03/04 データ改ざん 住民同意なしで対策工事強行 違法・無法を進める日本原電
 原電は敦賀2号の活断層問題が持ち上がってからずっと、活断層と公式に認定させまいと、様々妨害行為をしてきました。2012年12月、島崎邦彦委員長代理(当時)ら5人の専門家チームは、敦賀2号の敷地の直下を走る断層「D−1破砕帯」が活断層の可能性が高いと全員一致で判断し、2013年5月には活断層と断定する報告書をまとめました。
 報告書が公表された2013年5月には、専門家チームの一人一人に「厳重抗議」と題した文章を送りつけるという、およそ非常識な異様な手段で圧力をかけるということまでしています。
 龍谷大の大島堅一さんは、「今回の改ざんは、そうまでしなければいけないほど追い込まれている証し。断末魔のように思える」と述べています。

( 61 ) 毎日新聞 2020/05/23 原電の安全審査資料 調査データ 250カ所超「変更」 敦賀2号機
 原電は規制委に安全審査の資料を提出するため、地質調査会社に敦賀原発の敷地内の掘削調査を委託。調査会社が調査結果のデータをまとめた上、審査資料の文案を示していた。
 その際、例えばデータでは薄い粘土層を表す「シーム」と評価していたのに、文案になると「シーム」に触れていない所が206カ所あった。他にもデータで「(軟らかい層を指す)破砕部ではない」としていたが、文案で「破砕部である」となっていたのが39カ所あった。
 「シーム」や「破砕部」は活断層の可能性を考える上で重要な指標となる。原電はこの文案に基づいて、審査資料をまとめていたが、審査資料にはこのような評価を改めた記録はなかった。原電によると、調査会社がデータを観察し直した結果、評価が変わったという。
 これとは別に、原電の審査資料には80カ所で書き換えや削除が見つかっている。

( 62 ) たんぽぽ 2020/06/06 資料改ざん問題 規制委「一番重要な部分を隠しているようにしか見えない」
 6月4日、日本原電が敦賀2号機の資料を80箇所にわたって書き換えた問題で、規制委員会は原電の報告書に対しデータの一部が不開示で内容不十分として再提出を要求した。
 報告書の内容もあまりに表面的で規制委が求めていることに答えていないとし、規制委の担当者は「一番重要な部分を隠しているようにしか見えない」と断じた。
 「生データを書き換えることは絶対にやってはいけない。倫理上の問題だ」と指弾された。和智副社長は2月の会合で「悪意はなく意図的ではない」と釈明したが、今回の報告書であらためて「意図的」であることが明らかになった。
 そう、日本原電という会社は倫理も社会常識もない会社であることがあらゆるところで露呈している。
 敦賀2号機敷地直下の活断層の可能性という専門家チームの報告書と規制委判断をめぐっては、「規制委を訴える」と公然と脅し、「公開質問状」を発し、規制庁職員に対しても個別に工作を仕掛けた。もう「ヤクザ」同然である。過去にも敦賀1号機の冷却水漏れの事故隠し、子会社ぐるみで使用済み燃料キャスクの試験データ改ざんや、敦賀2号格納容器の空気漏れも不正を行って定期検査を通した。

( 63 ) たんぽぽ 2020/08/18 敦賀2号機の断層偽装 ボーリングデータの削除書き換え80箇所
 何故このような会社(日本原電)に東海第二原発を再稼働させる許可を出したのか。規制委の姿勢には本当に怒りが湧く。
 これまでも、データ改ざん事件はいくつもあった。
 しかし、この事件は審査を通すために活断層を「消す」といった動機で実行された偽装工作だ
 それを見つけたのは規制委なのだから毅然として「審査打ち切り、敦賀原発2号機は規制基準を満たさない」との決定を下し不許可としなければならない。
 『関西、中部、北陸の各電力は、原電の敦賀原発2号機から電力供給を受けていた経緯から、総額約600億円の債務保証を検討する。』(毎日新聞2019年3月6日)
 敦賀原発2号機が廃炉になればこれら電力会社が東海第二への資金支援をする道理がなくなり、発電しない原発の維持費用や自社の供給に関わりのない原発の資金供与など株主の理解を得られるはずもない。
 敦賀原発2号機の廃炉は即資金支援の打ち切りになる。


[11]2020年10月 規制委 原電の社内体制を異例の検査へ 資料書換問題で TOP
 
( 64 ) 毎日新聞 2020/10/28 規制委 原電の社内体制を異例の検査へ 審査資料書き換え問題で
 日本原子力発電(原電)が再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の安全審査で、審査資料を無断で書き換えていたことなどを受け、原子力規制委員会は原子炉等規制法に基づき、原電の社内体制を検査することを決めた。原発を運転する事業者として適性を問う必要があると判断し、資料に記されたデータの管理状況などを調べる方針。安全審査の段階で社内体制を検査するのは異例だ。
 規制委の安全審査は、事務局を担う原子力規制庁の地質などに詳しい職員が担当している。原発を運転する事業者として原電の姿勢を検査するには、規制庁の安全審査の担当者とは切り離して、原発の安全管理について定めた「保安規定」などに詳しい別の職員のチームが担当する必要があると判断した。
 新たなチームは今後、書き換えの経緯や、原発に関わる規定に照らして社内のデータの管理状況などを調べ、必要に応じて原電の本店(東京都)への立ち入りも検討する。規制委の石渡明委員は「原電は審査以前の問題だ」と指摘している。

( 65 ) 毎日新聞 2020/10/30 日本原電「ない」資料を提出 敦賀2号機安全審査書き換え
 再稼働に向け安全審査中だったが、原電が審査資料に記した地質に関するデータ80カ所で、規制委に断りもなく書き換えたり削除したりしていたことが、2月に判明。規制委は審査資料に疑いが生じたとして、原電に資料の記載に当たって根拠にしたデータの提出を求めていた。
 これを受け、原電は6月の審査会合で、断層部分の掘削調査に関するデータ58点を提出。規制委から他にもデータがあるのではと指摘されたが「今は残っていない状態」と説明していた。その後、調査を委託した会社に問い合わせたところ、データが見つかったという。

( 66 ) 毎日新聞 2020/11/30 規制委 日本原電立ち入り調査へ 審査資料無断書き換え
 日本原子力発電(原電)が、再稼働に向け安全審査中の敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の審査資料を無断で書き換えていたことを受け、原子力規制委員会は30日、原電の社内体制を検査する初会合を開いた。原子炉等規制法に基づき、近く原電本店(東京都台東区)に立ち入り調査することを決めた。安全審査上の問題を巡って社内への立ち入り調査は異例だ。
 立ち入り調査では、書き換えの経緯を担当の社員から聞き取ったり、再発防止策に関する資料を確認したりする。必要に応じて、敦賀2号機への立ち入り調査もする。
 この日の会合には、原電の役員らもテレビ会議システムを通じて参加した。書き換えの原因については「エビデンス(証拠)としての重要性に関する理解が不十分だった」と話し、審査資料の重要性の認識が欠けていた点を挙げた。これに対して、規制委側は「これでは問題がなぜ発生したかの分析になっていない」と指摘。さらなる詳しい説明を求めることにした。

( 67 ) 毎日新聞 2020/12/14 日本原電に規制委が異例の立ち入り調査 敦賀2号機 資料書き換え
 日本原子力発電(原電)が、敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の再稼働に向けた安全審査の資料を無断で書き換えていたことを受け、原子力規制委員会は14日、原電本店(東京都台東区)で調査を始めた。原子炉等規制法に基づき、15日まで関係文書を確認したり原電社員から説明を聞いたりする。安全審査上の問題で、社内への立ち入り調査は異例だ。
 規制委の事務局を担う原子力規制庁の職員は午前9時半ごろ、原電本店があるビルに入っていった。調査の状況により今後、敦賀2号機への立ち入り調査もする方針という。更田豊志委員長は「調査で、原電の考え方をつまびらかにできれば」と話している。

( 68 ) 毎日新聞 2021/07/19 原電幹部「資料書き換え知りながら修正指示せず」 敦賀原発巡り
 19日の会合で、日本原電側は、審査資料を作成する社員と、敷地内の掘削調査を委託した調査会社との17年2月の会議で、書き換えの方針を決めたと説明した。その意図について「資料を充実させる目的だった」と主張。当時の方針では、資料には掘り出した地層を肉眼で観察した結果を記載することにしていたが、明確に観察できない場合は、地層の薄片を顕微鏡で観察した結果を載せて書き換えることにしたという。
 さらに、書き換えの決定には担当者の上司に当たる幹部は関与しなかったと説明。この幹部が把握したのは、書き換えの方針が決まった約2年半後の19年8〜10月ごろだった。この幹部は「書き換えは、新たな情報に基づく評価の更新であり、技術的に問題ない」と考え、改めるよう指示しなかったという

( 69 ) NHK 2021/07/19 敦賀原発2号機 データ削除上書き 日本原電“5年前から”
 福井県の敦賀原子力発電所2号機について、日本原子力発電が過去に提出したデータを一部削除して上書きし、最新の調査結果のみを記載した対応が、原子力規制委員会から不適切だと指摘されている問題で、日本原電は、資料作成を始めた5年前から上書きを繰り返していたことを明らかにしました。
 上書きされたデータは、敦賀原発2号機の真下を通る断層に関する資料のうち、過去に示した観察結果の一部で、日本原電は19日、経緯を説明しました。
 この中で「当時は文書と考え、修正して提示してもよいと認識していた」などと説明し、調査結果が新たに得られれば過去に示したデータを削除しても問題ないと判断し、資料作成を始めた平成28年以降、上書きを繰り返していたことを明らかにしました。
 事務局の原子力規制庁からは「審査での日本原電の信頼性が上書きによって崩れた」「重要決定をしたという認識はあったのか」といった意見が相次ぎました。

( 70 ) 時事通信 2021/07/28 敦賀原発、審査中断議論へ 地質データ書き換えで 規制委
 28日の定例会合で、規制庁の中間報告を受けた地震担当の石渡明委員は「資料の適切性に疑問がある以上、このまま審査を続けていいのか」と指摘。更田豊志委員長も、検査で再発防止策が確認されるまで、審査を中断すべきかどうか改めて議論する意向を示した。

( 71 ) たんぽぽ 2021/07/30 規制委に「敦賀2号機の審査終了」を要求しよう 山崎久隆
 それに対して規制庁の事務局の聞き取り調査は、原電の言い分をただ並べただけで、聞き取り相手も不明確。審査会合での規制庁事務局と更田委員長とのやりとりだと、職責さえ委員に伝えられておらず、聞き取った先の「責任者」が、過去に審査会合に出席したことがあるかすら事務局は即答できない。
 さらに中間報告では、原電の聞き取り内容が事実かどうかさえ明確に出来ておらず、原電の主張についても何ら具体的根拠を示しておらず、検査の体を成していない。
 これに対して更田豊志委員長以下、異論が続出。検査手法についても見直すべきとされたのである。
 規制委の委員から「東海第二原発」について言及があったことは非常に大きい。
 敦賀原発2号機の審査で起きたことが「東海第二原発」の別のフェーズにおいても発生していた可能性があるとして、「東海第二原発」で行われた審査の資料を全部見直すべき事を意味している。
 同じ会社だから、同じ事を繰り返してきたと疑ってかかるべきだ。
 審査において文書の偽造は、明らかな不正行為であり、これだけで審査打ち切り、敦賀原発2号機は再稼働不許可にすべきだ


[12]2021年08月 規制委 審査の中断を決定 TOP
 
( 72 ) NHK 2021/08/18 敦賀原発 データ上書き問題 規制委 再稼働の審査中断
 原子力規制委員会は18日の定例会合で、日本原電が敦賀原発2号機の真下を通る断層の地層データなどの一部を削除し、最新の調査結果のみを上書きして記載した問題について、対応を議論しました。
 委員からは「書き換えだけでなく記載の誤りも相次いでいて、資料の品質に疑問がある」とか「科学的な作法にのっとって資料を作成してもらわないと話にならない」などの指摘が出されました。
 議論を踏まえて更田豊志委員長は「再発防止策の内容が確認できるまでは審査の会合を実施しない」と述べ、原因調査や再発防止に一定のめどがたつまで、再稼働に必要な審査を中断することを決めました。
 審査の中断は、去年2月に続き2度目です。

( 73 ) 時事通信 2021/08/18 規制委 敦賀原発の審査中断 地質データ書き換えで
 日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の再稼働に必要な審査をめぐり、同社が提出した地質データが書き換えられた問題で、原子力規制委員会は18日、規制委が別途進めている検査により、同社の審査資料の信頼性が確保されたと確認されるまで、審査を中断することを決めた。
 規制委は、審査資料の作成に関わる同社の管理体制について、(1)データ原本の追跡が可能(2)資料に記載された判断の根拠が明確―の2点が確保されていることが必要と判断。これらが検査の中で確認されるまで、審査を再開しないとした。
 日本原電のコメント 規制委で示された方針に基づき、業務プロセスの構築を確認していただくための準備を早急に進め、早期に審査会合を実施していただけるよう、全力で取り組む。

( 74 ) 東京新聞 2021/08/18 敦賀原発2号機の審査中断 規制委が決定
 原子力規制委員会は18日の定例会合で、地質データに関する資料の不適切な書き換えが判明した日本原子力発電(原電)の敦賀原発2号機(福井県)について、資料の信頼性が確保されていないとして、再稼働に必要な審査の中断を決めた。検査で改善が認められるまで審査を再開しない。6年近く続いている審査の終了時期は未定で、再稼働は全く見通せない。
 更田豊志委員長は会合後の記者会見で「資料の作成プロセスの改善が認められれば審査は再開する」として、事務方の原子力規制庁の検査の中間報告を受けて審査再開の是非を判断する方針を示した。一方、検査の最終報告で原電が審査を有利にするため意図的に書き換えたことが認められた場合は「不許可にする」と述べた。

( 75 ) たんぽぽ 2021/08/18 敦賀2号機の審査中断 規制委が決定 山崎久隆
 敦賀原発2号機の審査が中断しました。
 規制委員会に提出していた地質データなどを勝手に上書きして偽造、動機は一端活断層と評価された断層の評価を壊変しようというもので、不合格を合格に偽造しようとしたことに、さすがの規制委も限度を超えたとして、今後の審査を中断したもの。
 本当ならば、不合格として敦賀原発2号機の審査を終了すべきものだが、そううしないことは問題である。

( 76 ) 京都新聞 2021/08/20 社説 原発審査中断 原電の倫理が問われる
 従来の資料では、地質調査で採取された試料の状態が、活断層である可能性を示す「未固結」と記されていたのに、正反対の「固結」に変わっていた。書き換えは計25カ所あり、うち18カ所は建屋直下の断層の活動性を判断するのに重要な地点の記述だった。
 規制委は「元のデータの書き換えは絶対にやってはならない。倫理上の問題だ」と批判している。
 原電側は「肉眼による観察結果を顕微鏡によるものに変更した」などと意図的な改ざんを否定するが、審査結果を再稼働へ有利に導くための行為だと受け取られても仕方がない。

( 77 ) たんぽぽ 2021/08/21 敦賀2号機の審査中断決定 山崎久隆
 特に石渡明委員(専門は地質学)は、資料の書き換えや誤った記載が少なくとも一昨年以降相次いでいるとして「資料が適切なものか、正しいかどうかについて非常に疑問がある」と指摘、また、東海第二原発についても触れて「同じ会社なのになぜこうした違いが生じたのか明らかにする必要がある」として、審査を止めるべきとの意見を表明した。(NHK7月28日)

( 78 ) 福井放送 2021/10/04 規制委 日本原電本店へ立ち入り検査
 日本原電が敦賀原発2号機の安全審査に関する資料のデータを無断で書き換え、審査が中断している問題で、原子力規制委員会は4日朝、東京都台東区の日本原電本店への立ち入り検査を始めた。

( 79 ) 東京新聞 2021/11/02 「申請取り下げたほうがいい」 断層データ書き換え問題 規制委員長
 更田氏は会合後の記者会見でも「検査に入っても、なかなか満足な状態にならない」と原電を批判。規制委に審査申請の取り下げを指示する権限はないものの、「審査の過程の議論に疑義があったのだから、一回仕切り直したほうがいい。自らの組織の中で抜本的にゼロベースで見直すべきだ」と強調した。

( 80 ) たんぽぽ 2021/12/08 日本原電敦賀事業本部 7つの質問文を渡す 柳田真
 さらに、9月27日付け朝日新聞では「原電は、わざと書き換えたのではないと説明している。社内調査に、担当者らは『書き換えてはいけないと思っていなかった』などと話したそうだ」と報じられています。
 これが事実ならば、科学的調査などは成立せず、いかようにも後付けで自分の都合の良い内容に改ざんできてしまいます。

( 81 ) たんぽぽ 2021/12/10 日本原電は「原発をやる資格があるのか」 規制委が疑い 山崎久隆
 そこで出てきた日本原電の副社長は何て言ったかというと、こういう変更、すなわち後から行った観察結果で古い観察記録を上書きしてもよいという、そういう判断を会社としてしていた、とはっきりと答えたのです。
 ◎ これは科学的な調査データを後追いで改ざんしてもいいと言っているに等しく、これが横行すれば自分の都合の悪い科学データをいくらでも改ざんできてしまうことになり、いわゆる安全性審査、新規制 基準適合性審査そのものに意味がなくなってしまう、そういうレベルのものです。

( 82 ) たんぽぽ 2022/01/25 日本原電は原発を保有する資格無し 山崎久隆
 日本原電は、敦賀原発1号機や2号機の建設時点では活断層は敷地内に存在しないとしていたが、3・4号機の審査に際しては厳しい指摘を受けて、2008年に浦底断層が活断層であると認めていた
 それまでは浦底断層の活動性については、空中写真を判読し、ボーリング調査を実施した結果、当時の活断層認定基準である5万年前の地層には変位を与えていないことから、活断層ではないというふうにされていた。
◎ 地震評価を巡っては、阪神淡路大震災を受けて2006年に原子力安全委員会により耐震設計審査指針が改定されている。
 その後2008年12月の原子力安全委員会の検討委員会において、中田高委員から、空中写真判読の解釈が日本原電とは異なること、ボーリング調査だけでは地層の変位はわからず、トレンチ調査が必要であるとし、浦底断層が活断層である可能性は否定できないとの意見が出されていた。
 原発の至近距離に活断層があれば、敷地内に多数ある破砕帯が連動して動く可能性もあることから、原子力安全・保安院(当時)は、破砕帯に関する追加調査を指示し、その後規制委が発足した後にも再調査の方針を引き継いだ。
◎ 事業者である日本原電は、有識者会合の審議の進め方等を批判した上で、報告書を規制委が了承したことを不適切とし「断じて受け入れることはできない」と声明、規制委に対して、判断根拠等についての公開質問状を提出した上で、D−1破砕帯は後期更新世以降の活動はないこと、別に発見されているK断層はD−1破砕帯と連続していないこと等を根拠として、D−1破砕帯は耐震設計上考慮する活断層ではないとする最終報告書を2013年7月11日に提出した。
 この結果、原子炉等規制法上は事業者が審査を求めれば応じたうえで承認するか、却下するか判断するしか規制委には権限がない(更田委員長)として、原電が審査会合を求めて資料を提出する限り、敦賀原発2号機の規制基準適合性審査は続くことになった。

( 83 ) 共同通信 2022/05/24 規制委 原電本店立ち入り 敦賀原発の審査中断後2回目
 日本原子力発電が、再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県)の審査資料を不適切に書き換えた問題を巡り、原子力規制委員会は24日、原電本店(東京都台東区)の立ち入り調査を始めた。25日まで、資料作成の業務プロセスが改善できているか確認する。
 立ち入りは、問題を受けて規制委が2021年8月に審査を中断して以降、2回目

( 84 ) たんぽぽ 2022/05/28 「東海第二原発」資金計画は限界超え 山崎久隆
 問題4:日本原子力発電に「経理的基礎」がないこと
(2)東海第二原発と敦賀原発2号の維持管理費用・年間1000億円の収入
関西電力、中部電力、北陸電力が敦賀2号機の、東京電力、東北電力が東海第二原発の「維持管理費用」として合わせて年間1000億円ほどを支払っているが、電気は1ワットも生産していない

( 85 ) 毎日新聞 2022/09/29 敦賀2号機 審査再開可否判断へ 無断書き換え 原電が改善報告
 日本原子力発電が敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の再稼働に向けた安全審査の資料を無断で書き換えていた問題で、原電は29日、原子力規制委員会の会合で資料の作成過程の改善点などを報告した。規制委は「おおむねルール化されている」と肯定的に評価。早ければ10月の定例会で、中断している審査会合の再開可否の判断に向けて議論する見通し。
 原電は資料作成過程を見直し、資料の元となるデータの明確化や、資料作成に関わらない社員が資料を検証することなどを社内規定に盛り込んだと説明した。
 再開の条件として原電に対して、データを書き換え前の元の状態にさかのぼれるようにすること、肉眼と顕微鏡など複数の手法で異なる結果が出て、その評価を出す場合は判断の根拠を明確にすることなどを求めていた。また、資料作成業務の過程を確認するため、20年12月から原電への立ち入り検査を計10回実施した。【土谷純一】


[13]2022年10月 規制委 原電の資料作成過程改善 審査の再開 TOP
 
( 86 ) 毎日新聞 2022/10/26 規制委 敦賀2号機の審査再開決定 社内規定見直し改善で
 日本原子力発電が敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の再稼働に向けた安全審査資料を無断で書き換えていた問題で、原子力規制委員会は26日、中断していた安全審査の再開を決めた。社内規定の見直しなどによって、原電側に審査できる資料を作成する態勢が整ったと判断した。


[14]2022年12月 再開後初めての審査会合で新たに157か所の誤り TOP
 
( 87 ) 読売新聞 2022/12/19 「これほど間違った資料を提出するのは原電だけ」 規制委が苦言
 書き換え問題は2020年に発覚し、審査が中断。今月9日、約2年ぶりに再開したが、同社は新たに修正が必要になった所が157か所あると説明した。
 規制委の石渡明委員は資料の誤りが計約1300か所に上ったとし、「これほど間違った資料を提出するのは原電だけ」と指摘した。山中伸介委員長は「正常な審査ができないと判断した場合、審査を継続するかどうかを議論せざるを得ない」と述べた。

( 88 ) 東京新聞 2023/02/09 「安全側への改変とはいえない」異例の反対意見 規制委 正式決定先送り
 原子力規制委員会は8日の定例会合で、原発の60年超運転に向けた新たな規制制度案を正式決定するかを議論したが、石渡明委員が「安全側への改変とは言えない」と述べて反対し、決定を見送った。
 「今回の改変は科学的な新知見があって変えるものではない。運転期間を法律から落とすことになり、安全側への改変とは言えない。われわれが自ら進んで法改正する必要はない」
 地質の専門家として東北大教授などを歴任し、2014年から委員を務める。日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の審査で、地質データの書き換えが判明した際には、審査の中断を提案した。

( 89 ) 東京新聞 2023/03/04 建屋直下の活断層「ない」判断に約7年 志賀原発は再稼働へ前進?
 廃炉の瀬戸際に立っていた北陸電力志賀原発2号機(石川県)は一転、再稼働に向けて前進した。原子炉建屋直下にあるとされた「活断層」の存在を、原子力規制委員会は3日の審査会合で否定。
 北陸電は活断層評価を覆そうと、膨大な「証拠」を集めた。柱となったのは、地中の鉱物の分布から断層の活動性を判断する「鉱物脈法」という手法。地層の形を見ることなく、多くのデータを採取できた。石渡委員は「将来、活動する可能性がある断層ではないと判断できる証拠がたくさん得られた」と評価した。
 東京電力福島第一原発事故から12年を前に、岸田政権が原発推進にかじを切った中、志賀2号機と同じく基本的な事故対策の審査が計7原発10基で続く。うち、日本原子力発電敦賀2号機(福井県)、中部電力浜岡3、4号機(静岡県)、新設の中国電力島根3号機(島根県)、建設中の電源開発大間原発(青森県)の5基は、敷地内の断層の議論が終わっていない。

( 90 ) NHK 2023/03/17 敦賀2号機再稼働の審査 提出資料に相次いで誤り
 17日行われた審査会合で日本原電は、過去に提出した資料を再確認したところ、断層の状態を確認できるように、一部を切り出して作成した複数の標本が、本来切り出すべき位置とは別の位置を切り出していたことがわかったと報告しました。
 敦賀原発2号機の審査は、日本原電が断層のデータを一部書き換えていた問題で2年ほど中断し、去年12月に再開したばかりです。
 しかし、再開後も過去に提出した資料の中に、修正が必要な部分が157か所見つかるなどして、規制委員会側が説明を求めていました。
 新たな誤りが見つかったという報告に対し、原子力規制委員会の石渡明委員は「審査が再開されたにも関わらず、資料が不十分で実質的な審査に入れない状況が続いている。このまま審査を続けるか否か、4月にも開かれる原子力規制委員会の場で議論したい」と述べました。


[15]2023年03月 駅で規制庁職員がエネ庁職員から内部文書を受け取り TOP
 
( 91 ) 東京新聞 2023/03/23 なぜか駅で 規制庁職員がエネ庁職員から内部文書を受け取り
 立憲民主党の近藤昭一氏が同様の質問をすると、規制庁の金子修一次長は「職員によく聞いてみると…」と語り始め、駅での資料の受け渡しを認めた。続けて「資料にメモ書きした職員がおり、きれいなコピーをもらいたいということで…オフィスに来るのも大変なので駅で渡していただいて…」と話すと、近藤氏は「にわかには信じ難い」と唖然とした。
 原子力規制を担う規制庁は本来、推進側のエネ庁と接触すること自体、慎重になるべきだ。ところが昨年末、原発の運転期間の見直しを巡り、エネ庁の担当者と非公開で7回にわたって会い、面談録も作成していなかったことが判明した。これを受けてルールを改め、原子力推進に関係する省庁職員との面談は、面談録や資料をサイト上で公開する方針を決めた。
 その中で浮かび上がったのが「駅でエネ庁職員と面会」「資料の手渡し」だ。規制と推進の分離という点で疑問を抱くほか、情報漏れしないか、強奪されないかと心配になる。
 ところが山中委員長は今月15日の会見で「問題があるというふうには思っていない」ときっぱり。「そういう習慣だったのだろう」とみじんも罪悪感をにじませなかった。
 文書の扱いがでたらめな原子力ムラだが、電力会社も例外ではない
 20年2月の日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)の審査会合では、原電が提示した地質データに改ざんが見つかり、規制委側の出席者が「絶対にやってはいけない。倫理上の問題」と猛批判し、審査自体が一時中断された。

( 92 ) 共同通信 2023/03/28 「寿命」の60年を超えて運転しても大丈夫なの? 規制委が方針を大転換
 現在、泊1〜3号機に加え、中部電力浜岡3、4号機(静岡県)、日本原子力発電敦賀2号機(福井県)など再稼働審査が長期化している原発のほとんどは、地震、津波対策に問題を抱えている。石渡委員は、新制度ではこうした原発の運転期間が延び、結果として老朽化した原発が増えることを「二律背反になる」と指摘。要するにこの新制度では安全性は向上しないという主張だ。

( 93 ) 東奥日報 2023/03/30 敦賀原発 審査打ち切りも 規制委員長 原電資料不備で言及
 原子力規制委員会の山中伸介委員長は29日の記者会見で、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の再稼働に向けた審査について「打ち切りも含めて、最後の決断をしないといけない画期だ」と述べた。原電は審査資料の誤記などを繰り返しており、規制委は4月に、審査の一時的な中断だけでなく、完全な打ち切りも視野に議論する。
 委員長が打ち切りの可能性にまで言及するのは異例。敦賀原発の審査は、原電が審査資料を無断で80カ所書き換えた問題で約2年間中断。再発防止策が整ったとして昨年12月に再開したが、原電は根拠を示さずに157カ所を修正した資料を提出するなど不適切な対応が続き、実質明な審査ができていない。
 山中氏は「おそらく本当に最後の決断になる。改めて(再発防止対応を)検査することはない。このままの状態を放っておいていいとは思っていない」と強調した。

( 94 ) 日経新聞 2023/04/05 原発再稼働を阻む相次ぐ不備 敦賀2号機の審査再中断
 こうした問題を受けて規制委は審査を2年間ほど中断し、22年12月に審査を再開したばかりだった。その後も資料の誤りが発覚し実質的な審査に入れていない。5日の規制委では審査を事実上打ち切る案と、資料の補正を求めて中断する案の2案が示された。
 「これが基本的に最後の判断だ」とも強調。改めて提出される書類に基づき「不許可か許可の判断をする2択になる」と述べ、不備があれば規制委で議論した上で再稼働を不許可にする可能性も示唆した。近く日本原電の意思を確認する会議を開く。
 日本原電は原発専業の企業であり、原発分野に集中できる体制にある。それでも審査申請から7年以上たってなお再稼働に必要な書類を整えられないことへの規制委側の不信感は大きい。


[16]2023年04月 規制委 8月末までの修正を行政指導 2度目の審査中断を決定 TOP
 
( 95 ) 毎日新聞 2023/04/05 敦賀2号機の資料不備 申請書一部修正を行政指導へ 原電に規制委
 この日の定例会では、担当者が「資料の改善が見られず、実質的な審査に入れる見通しが立たない」などと説明。今後の方針として、@申請書をいったん取り下げさせ、内容を精査した上で再申請させるA申請書のうち、誤りが多数見つかっている原子炉直下の断層に関する部分を修正し、8月末までに補正を提出させる――の2案が示された。
 規制委はこの日の議論で、A案を採用することを決定。来週にも原電の村松衛社長を呼んで意思を確認する方針を決めた。

( 96 ) 日経新聞 2023/04/05 敦賀2号機の安全審査を再中断 規制委 資料不備で
 原子力規制委員会は5日の定例会合で、日本原子力発電の敦賀原子力発電所2号機(福井県)の安全審査を中断し、資料の一部を修正して出し直すよう行政指導する方針を決めた。
 規制委の石渡明委員は「資料がまともにつくれないのは本当に困る状況だ。無理な期限を要求しているとは思っていない」と述べた。

( 97 ) 東奥日報 2023/04/06 敦賀原発審査 再び中断 原電 問われる資質 繰り返すミス 改善できず
 原子力規制委員会は、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の再稼働審査中断の方針を決めた。
 「果たして活断層を否定できる見通しがあるのか。否定するための証拠探しを続けられたら、いつまでも審査が終わらないのではないか」。5日の規制委定例会合で杉山智之委員は、出口が見えない審査の行方に懸念を示した。伴信彦委員は「書類のクオリティー(質)が低いことを理由に審査を打ち切ることはできないのか」と事務局に確認を求めた。
 ある電力会社の関係者は「原電が原発を動かす見通しが立たないまま、多額の金を出し続けている状態はよくない。このまま原発を稼働させられないなら、原電の存在意義が問われる」と指摘する。

( 98 ) たんぽぽ 2023/04/09 敦賀2号機の審査再び中断 日本原電の姿勢が問われる事態 山崎久隆
 今回の事態を受けて、規制委は審査を打ち切りたかったようだ。毎日新聞によると「山中伸介委員長は審査の打ち切りも示唆しており、定例会でも打ち切りを問う意見が委員から出た。」
 しかし規制庁すなわち官僚は、これで審査を打ち切ることは難しいと難色を示して8月までの書き直しを指示することにしたという。

( 99 ) 福井新聞 2023/04/10 福井知事 原発審査で原電に苦言 「信頼性損なわれる恐れ」
 福井県の杉本達治知事は10日の記者会見で、日本原子力発電が敦賀原発2号機(同県敦賀市)の再稼働に向けた審査資料で誤記などを繰り返していることに「あってはならない。安全面での信頼性が損なわれる恐れもある」と苦言を呈した。

( 100 ) 毎日新聞 2023/04/18 経産相「ラストチャンスと思い対応を」 敦賀原発の審査再中断で
 西村康稔経済産業相は18日の閣議後記者会見で、再稼働審査の再中断が決まった日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)について「ラストチャンスと思って、緊張感を持って誠実に対応してもらいたい」と述べた。

( 101 ) 東京新聞 2023/04/18 敦賀原発 資料不備で行政指導へ 規制委 申請書修正を要求
 原子力規制委員会は18日、定例会合を開き、再稼働に向けた審査資料の不備が相次いだ日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の対応を議論した。申請書の一部を修正させ、8月末までに出し直させる行政指導の文書を正式決定した


[17]2023年08月 原電 修正した申請書を規制委に提出 TOP
 
( 102 ) 毎日新聞 2023/08/31 誤り相次ぎ 審査中断の敦賀2号機 規制委に申請書を再提出
 原電は31日、原子力規制委員会に再提出を求められていた審査の申請書を出し直した。規制委は9月上旬にも、審査を再開するかどうか定例会合で判断する見通し。
 原電によると、最初の申請書は470ページだったが、再提出した申請書は約1600ページになった。焦点になっている原子炉直下の断層データを追加し、これまでとは別の地質年代の測定法による評価や、資料の元となった地質調査データなどを盛り込んだ。
 誤りを防ぐ対策として、経営層が品質管理体制を審査するマネジメントレビューを実施したほか、社内で申請書にかかわる社員を約20人増やして約30人にした。

( 103 ) NHK 2023/08/31 審査中断の敦賀2号機 日本原電 内容修正した申請書を提出
 日本原電によりますと、ほかの電力会社などから支援を受け、誤りを修正したほか、新たな手法を用いて断層の活動性を否定するデータを拡充したということです。


[18]2023年09月 規制委 審査再開を決定 TOP
 
( 104 ) NHK 2023/09/06 敦賀原発2号機 審査再開へ“申請書 明らかな不備認められず”
 相次ぐ資料の不備で、異例の審査中断が続いている福井県の敦賀原子力発電所2号機について、原子力規制委員会は事業者の日本原子力発電から改めて提出された申請書に明らかな不備は認められなかったとして審査を再開することを決めました。

( 105 ) 東京新聞 2023/09/22 「これで十分と思っているのか」 敦賀原発審査 規制委委員
 規制委の石渡明委員は、地層内の鉱物の状態を調べた新たなデータが少ないとして「これで十分と思っているのか」と問うたが、原電は必要なデータはそろえたと主張した。


[19]2023年12月 原電 審査で支離滅裂な説明 TOP
 
( 106 ) 東京新聞 2023/12/04 敦賀原発の再開審査 原電の支離滅裂な説明
 審査の一つ目の焦点は、原子炉建屋近くにある「K断層」が活断層かどうか。新規制基準は、約12万〜13万年前の後期更新世以降の活動を否定できない断層を、活断層と定義。活動時期がキーポイントになる。
 この点を議論した11月10日の規制委の会合で、原電が矛盾した説明を展開し、規制委事務局の担当者を困惑させた。
 原電は、K断層が活動した形跡のある地層の年代を「12万4000〜14万2000年前」とした分析結果について、K断層の活動時期は後期更新世よりも古く、活断層ではないと主張した。
 だが数値の一部は後期更新世に含まれており、原電の説明はつじつまが合わない。規制委事務局が繰り返し矛盾を指摘しても「総合的に判断した」と不明確な回答に終始。規制委側が念押しのように「後期更新世に入っているという認識でいいのか」と問いただすと、原電の担当者は「(後期更新世に)かかるのはそうなる」と認めた。
 このやりとりを見れば、原電が活断層の可能性を認めた格好だ。
 原電の審査は、再提出された申請書に必要な説明やデータが漏れなく盛り込まれたことを「前提」として、今年9月に再開した。
 ところが、この日の審査会合では、原電の要領を得ない説明が続いた。規制委事務局の質問に対し、原電は「あらためて整理する」「持ち帰り検討する」などと繰り返すばかり。質問の意味が理解できない原電の担当者が、沈黙する場面もあった。
 いら立った規制委事務局の幹部が「これからデータを取る話なのか」と、審査再開の前提が守られているのかを確認しても、原電の剣田裕史副社長は「根拠となるデータを整理して再度示したい」としか答えられなかった。規制委と約束した前提はほぼ崩れている。

(107) NHK 2023/12/14 敦賀2号機 規制委 現地調査“断層のように見える線確認
 福井県敦賀市にある敦賀原子力発電所2号機の再稼働の前提となる審査で、原子力規制委員会は焦点となっている敷地内の断層について初めての現地調査を行った結果、地層の表面に新たに断層のように見える線が確認されたとして、事業者の日本原子力発電に対し、新たな資料の提出を求めました。
 規制委員会によりますと、14日の調査の結果、地層の表面に新たに断層のように見える線が確認されたということで、日本原電に対し、さらに詳しい資料を提出し、審査の中で説明するよう求めたということです。
 14日の調査を終えた石渡委員は「今回、新しく見えてきたものもあり、調査に来た甲斐があった。今後、審査会合で議論したい」と述べました。

(108) 東奥日報 2024/02/10 敦賀2号機審査停滞 原電 断層説明不足改善せず
 規制委は9日、2号機の審査会合を約2カ月ぶりに開いた。規制委は、この断層の現地調査を昨年12月に実施しており、この日は、現地調査やそれまでの審査で規制委が指摘した項目について、原電が回答を用意してくるはずだった。
 しかし原電は「準備ができなかった」としてこの日の回答を見送り、回答の一部を3月、大半を5月に行うと表明した。このため、議論はほぼ進まなかった。
 通常の審査会合は、審査を受ける電力側が資料を作って規制委に説明することで進んでいく。しかしこの日は原電の回答がないため、規制委が自ら資料を作成して原電に説明する異例の対応をとった。審査官によるとこうしたケースは「ほぼ初めて」という。

(109) 読売新聞 2024/05/14 敷地内に活断層か 規制委が近く判断 原電は「活断層ではない」と主張
 一方、規制委の受け止めは厳しい。原電が提出したデータの解釈に対し、「活断層でないと言い切れない」「 恣意的な感じがする」と指摘。鉱物観察のデータにも「(根拠として)話にならないレベル」との意見が出た。山中伸介委員長は3月の記者会見で、「(原電は)科学的、技術的な根拠に基づいて審査に臨んでほしい」と注文を付けた。


[20]2024年05月 審査会合 敷地内の断層の活動を否定は困難 TOP
 
(110) 東京新聞 2024/05/31 敦賀原発敷地の活断層否定できず 規制委結論、廃炉可能性も
 原子力規制委員会は31日、日本原子力発電敦賀原発2号機の審査会合を開き、敷地内にある断層について「活動性を否定することは困難」と結論付けた。今後の審査でこの断層が原子炉直下まで延びていると判断されれば、再稼働は認められず廃炉となる可能性がある。
 原電はこの日の会合で火山灰などの堆積状況から、断層周辺は古い地層が堆積しているとして活動性を否定したが、規制委は地層の年代は新しいと判断し原電の主張を退けた。規制委は6月6、7日に敦賀2号機を現地調査し、断層がどこまで延びているか確認する。

(111) NHK 2024/06/05 敦賀2号機の敷地内断層「7月末までに結論の見通し」規制委
 福井県にある敦賀原子力発電所2号機の再稼働の前提となる審査をめぐり原子力規制委員会の山中伸介委員長は、焦点となっている敷地内の断層が原子炉の真下につながっているかどうかについて、7月末までに結論が出るという見通しを示しました。
 規制委員会は6日と7日に現地調査を行い、ボーリング調査で採取したサンプルなどを直接確認することにしていて、この断層が原子炉の真下につながっていた場合、再稼働は認められなくなります。

(112) NHK 2024/06/06 敦賀2号機 規制委が現地調査 焦点の新たな根拠は示されず
 福井県にある敦賀原子力発電所2号機の再稼働の前提となる審査に伴う原子力規制委員会の現地調査が6日から始まり、焦点となっている敷地内の断層について、事業者側から原子炉建屋の真下につながっていないとする新たな根拠は示されなかったということです。
 委員たちは日本原電側から説明を聞きながらボーリング調査で採取した地層のサンプルを直接確認しましたが、6日の調査では焦点となっている断層が原子炉建屋の真下につながっていないとする新たな根拠は示されなかったということです。


[21]2024年06月 規制委 現地調査終了 「7月結論」 TOP
 
(113) 東京新聞 2024/06/07 敦賀原発断層「7月結論」 原子力規制委、現地調査を終了
 原子力規制委員会は7日、日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県)で敷地内断層の現地調査を終えた。担当の石渡明委員は調査後の取材に、焦点となっている原子炉建屋直下の断層が活動する可能性について判断材料がそろったとの見方を示し、「7月をめどに結論を出したい」と述べた。

(114) 毎日新聞 2024/06/27 活断層問題 11年に及ぶ議論決着へ 規制委調査団 原電主張に疑問の声も
 原子力規制委員会の結論が7月末にも予定される審査会合で示される見通しとなった。6月7、8日には2度目の現地調査を終えており、規制委の石渡明委員は、判断を下せる段階に達しているとの手応えを示した。2013年に規制委による調査団が指摘して以降、約11年に及ぶ議論が、決着をみようとしている。

(115) 東京新聞 2024/06/29 初の「再稼働不適合」の可能性 「原子炉直下に活断層」原電が否定できず
 原子力規制委員会は28日、日本原子力発電(原電)が再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県)が新規制基準に適合するかどうかの審査会合を開き、敷地内の断層について議論した。
 この日の議論の焦点は、建屋の近くで確認され、活断層の可能性があるK断層が、原子炉直下にある別の断層につながるかどうか。会合では、審査チームが6月上旬に現地調査した結果などを基に、原電が「つながらない」と主張する根拠をただした。
 原電は7月中旬までに、規制委の質問への回答を示すとした。その後、審査チームは、つながりについての結論を出すことにしている。

(116) たんぽぽ 2024/07/08 東海第二原発の防潮堤建設 施工不良問題 防潮堤 3つの違う工法で建設
◎ この問題はすでに冒頭で触れたところだが、加えて、原電のもう一つのサイトである福井県敦賀市の敦賀2号機が審査中で、この分も併せて売電基本電気料を受け取っているのだが(400億円程度)これは、既にデータ改ざんまでして審査を引き延ばそうとし、そのことで規制委から審査を中断され、本社への立ち入り調査まで受けることとなった。
◎ 原子炉施設下の活断層の存在が問われていて、再稼働ができるようになるとは考えられない原発であって、審査不合格→廃炉確定となればその分の収入もなくなるという、財務状況真っ暗の事業者なのだ。

(117) NHK 2024/07/23 敦賀2号機 規制庁 26日に審査 再稼働初めて認めない可能性
 原子炉建屋の真下を走る断層が将来動く可能性があるかどうかが焦点となっている福井県の敦賀原子力発電所2号機について、原子力規制庁は今月26日に審査会合を開くと発表しました。
 原子力規制委員会の山中伸介委員長は今月中に結論が出るという見通しを示していて、審査会合では日本原電側から新たな証拠などが示されないかぎり、主張を認めないとする結論が示される公算が大きくなっています。
 その上で、最終的に規制委員会が再稼働を認めないと判断すれば、2012年の委員会発足後初めてとなり、敦賀原発2号機は廃炉になる可能性もあることから、審査の行方が注目されます。

(118) 共同通信 2024/07/23 敦賀原発活断層 26日結論へ 原子力規制委、初不合格の可能性
 敦賀原発の断層問題は1990年代には指摘されていた。
 20年には原電がデータを無断で書き換えたことが判明。規制委は審査を一時中断し、原電本社に立ち入り検査する異例の措置を取った。


[22]2024年07月 再稼働に不適合「原子炉直下に活断層否定できず」 TOP
 
(119) 東京新聞 2024/07/26 敦賀2号機 再稼働に不適合「原子炉直下に活断層否定できず」規制委 廃炉の可能性も
 日本原子力発電(原電)が再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県敦賀市)を巡り、原子力規制委員会の審査チームは26日の会合で、原子炉建屋直下に活断層が通る可能性があるとして、原発の新規制基準に適合しないと判断した。規制委が今後、正式に不適合と決定する見通しで、再稼働は認められない。不適合となれば国内の原発で初となる。日本の規制で商用炉が再稼働できなければ史上初のケースで廃炉の可能性も出てきた。
 会合で、原電側は「追加調査して申請内容を補正したい」などと抵抗したが、審査チームの結論は変わらなかった。規制委は31日に開かれる定例会合でチームの結論を議論し、村松衛社長から追加調査の説明を求めるかどうかを決める。ただ、チームは「同じ地点を調べても結論は変わらない」との認識を示し、再稼働は困難だ。

(120) NHK 2024/07/26 敦賀2号機 再稼働を事実上認めず 原子力規制庁の審査会合
 この中で事業者の日本原子力発電は、2号機の周辺で行ったボーリング調査の結果などから動く可能性はないと改めて主張したうえで、データを拡充するため追加の調査を行いたいと要望しました。
 これに対し審査を行う原子力規制庁は、科学的な根拠が不足しているなどと指摘し、原子炉建屋の真下を走る断層が将来動く可能性を否定することは困難だとして、敦賀原発2号機は原発の規制基準に適合しているとは言えないとする結論をまとめました。

(121) 共同通信 2024/07/26 「廃炉は考えていない」と原電社長
 原子力規制委員会が日本原子力発電敦賀原発2号機の審査会合で、原発の新規制基準に適合しないと結論付けたことを受け、原電の村松衛社長は26日、福井県美浜町で記者団の取材に応じ「追加調査を行う。廃炉は考えていない」と話した。

(122) 日経新聞 2024/07/26 敦賀2号機再稼働 事実上認めず 活断層否定難しく
 規制委の石渡明委員は「結論を出せる段階だ」と会合で発言し、調査の必要性を打ち消していた。規制委の審査チームは山中伸介委員長も出席する31日の定例会合に審査結果を報告する。

(123) 毎日新聞 2024/07/26 敦賀2号機直下の断層 規制委審査で再び「クロ」
 日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の原子炉直下の断層が、原子力規制委員会の審査で再び「クロ」とされた。これまで原発の敷地内にある断層が「クロ」判定されたのは敦賀を含めて3原発あるが、うち2原発は審査で判断が覆っている。何が明暗を分けたのか。

(124) 毎日新聞 2024/07/26 敦賀2号機 新規制基準に不適合 規制委「活断層否定できず」
 2号機を巡っては、規制委の有識者調査団2013年、直下に活断層があるとする報告書をまとめ、規制委が15年に受理した。
 ただ、報告書は最終結論ではなく、あくまで「審査の参考」とされたため、原電は2号機の再稼働を目指して15年に審査を申請した。

(125) たんぽぽ 2024/07/26 浦底断層自体が原発敷地内直下と同義と考えるべき 山本雅彦
(126) まさのあつこ 2024/07/27 敦賀2号機の新規制基準適合性
 以下は、その一部に過ぎないが、7月24日の会見模様だけ貼り付けておきたい。
○記者 朝日新聞のフクチと申します。(略)早ければ26日にも結論が出るわけですけど規制委員会規制庁に取ってこの敦賀の審査というのは特別な意味を持つ面もあるのかなと思うのですが(略)。
○山中委員長 (略)審査そのものは9年近くかかっているということで、その中で、データの書換えですとか、あるいはそのデータの間違いですとか、サンプルの取り違えとか、審査に関する検査をしなければならないという事態に陥った審査であるという、非常に異常な形での審査であったというふうな理解では私自身おりますし、規制委員会としてもこれは非常に異例の審査ではあったというふうな理解でおります。

(127) 東京新聞 2024/07/27 「申し訳ない」と言いつつ徹底抗戦の原電 規制委もあきれた迷走
 原子力規制委員会の審査チームの会合で26日、再稼働できない公算が大きくなった日本原子力発電(原電)の敦賀原発2号機(福井県)。原電は審査に必要な資料を用意する初歩からつまずき、ようやく始められた審査では、科学的に根拠ある説明ができなかった。再稼働に向けた申請からまもなく9年。各地で原発推進の圧力が高まる中、なし崩しの再稼働に一定の歯止めがかかった
 K断層が原子炉方向へ延びているのかを調べるため、原電はK断層と建屋間で14カ所を掘削し調査。その結果、「K断層と同じ性状の断層はなく、切れている」と説明した。原電は自ら作った判断基準に沿い評価し、連続性を否定できると主張した。
 これに、審査チームは、調査結果の一部にK断層の特徴と似た断層があることを見逃さなかった。さらに、原電の判断基準について「K断層の特徴を踏まえておらず、判断に使えるか分からない」と指摘し、原電のストーリーを崩した。

(128) たんぽぽ 2024/07/27 敦賀2号機 新規制基準不適合 廃炉もっと早く決定できた 山崎久隆
 敦賀原発は200mほどの場所に「浦底断層」という活断層が走っており、もともと立地不適と言える場所だが、以前は断層評価が甘く、原電は浦底断層を活断層とみていなかった。
 しかしその後の調査で浦底断層は約4700年前に活動した第一級の活断層であることがわかった。
 東日本太平洋沖地震の後に、浦底断層の運動に伴い動く可能性がある断層が原子炉直下にも達している可能性があることが明らかになり、改めて再評価を行うことになった。
 敷地内の断層について、旧原子力安全・保安院による「耐震バックチェック」の一環として、評価の妥当性について、専門家からの意見聴取、有識者会議が行われていた。そこで「浦底断層の動きにひきずられた可能性がある」として、活断層に伴う活動があることを示していた。これが2014年の有識者会議による意見書であり、断層運動の可能性が否定できないことから、再稼働できないと結論づけられていたのである。
 この見解を不服として、原電は再度、設置許可変更申請書を提出し、強引に審査を再開させてきた。そのために、科学的根拠も不確かな「光ルミネッセンス分析」などを持ち出し、K断層は活断層ではないと主張するなどしていた。
 大手電力5社は23年度に、944億円を基本料金として支払っている
 このまま原電が敦賀2号機を「再稼働申請中」として、基本料金を電力に請求すると、消費者の電気料金が1ワットも電気を生まない原発のために年間400億円余りを原電に支払うことになる。これでは「再稼働詐欺」のような状況だ。

(129) 京都新聞 2024/07/28 社説 原発建設費 理解得られぬ電気代上乗せ
 電力会社に重荷となったから国民の懐をあてにしよう、とでもいうのだろうか。
 原発の新増設の建設費を電気料金に上乗せできる仕組みを、政府が検討している。
 原子力規制委員会は日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県敦賀市)について、原子炉の直下に活断層があると判断し、原発の新規制基準に適合していないとして、再稼働を認めない決定をした。同原子炉は廃炉を迫られる見通しとなった。
 原発には、安全性にも持続可能性にも多くの疑問符が付いている。資金を注ぎ続ける新制度を作ることは認めがたい。

(130) 福井新聞 2024/07/28 敦賀から「原子の灯」消えるのか…地元に先行き不安の声
 かつて原発の街として栄えた敦賀市2008年にふげん15年に敦賀1号機16年にもんじゅの廃炉が決まり、敦賀3、4号機の増設計画は凍結されたまま。今後の敦賀2号機を巡る状況次第では「原子の灯」が消えかねない事態に、地元からは「原発は基幹産業。経済や雇用に大きな影響を及ぼす」と先行きを不安視する声が広がった。

(131) 高知新聞 2024/07/30 【敦賀原発不適合】安全重視の妥当な判断だ
 11年の東京電力福島第1原発事故を受けて導入された新規制基準は、活断層の上に原子炉や冷却装置など重要施設を設置することを禁じている。断層が動いた場合に地盤がどのくらいずれるかや、押し上げる力を予測することは困難で、損傷する恐れが拭えないからだ。
 敷地内には既に活断層と分かっている「浦底断層」が通る。1990年代には存在が確実視されていたが、原電は一貫して否定した。認めたのは2008年になってからだ。

(132) NHK 2024/07/31 敦賀原発2号機 “日本原電の話聞き再稼働最終的判断へ”規制委
 そのうえで、日本原電から断層のデータを拡充するため追加調査を行い、必要に応じて申請内容を修正したいと要望されていることも報告され、対応を議論しました。
 その結果、8月2日、日本原電の社長を呼んで話を聞いたうえで、追加調査を認めるかどうかを含めて、委員会として最終的な判断をする方針を決めました。

(133) たんぽぽ 2024/07/31 敦賀2号の即時廃炉を決定させよう! 木原壯林
◎ 規制庁の結論に関して、原電は「廃炉は考えていない」「再審査を申請する」などとして結論を拒否する姿勢を示す一方、1、2号機からトンネルを隔てた敦賀原発敷地内用地に3、4号機の新設を画策しています(用地は、整備済み)
 原電による「再審査申請」を許さず、3、4号機新設の野望を阻止しなければなりません。


[23]2024年08月 敦賀原発 不合格決定へ 規制委、再稼働認めず TOP
 
(134) 毎日新聞 2024/08/02 原電「科学」軽視の末 敦賀2号機不許可へ 断層資料無断で修正
 「追加調査と論理の再構築をする必要性を強く認識した」。2日の規制委の臨時会に出席した原電の村松衛社長はこう述べ、審査継続を求めた。
 しかしその期間は「1年以上かかり、2カ月後にめどを示す」と、あいまいな説明に終始した。
 これに対し「受け入れられなかったからもっとやるというのはきりのない話。どれほど勝算があると考えているか」(杉山智之委員)など、実効性を疑う発言が規制委から相次いだ。山中伸介委員長は「具体性や期間が非常に不明確。結論が変更になる可能性は極めて乏しい」とまとめ、不許可の方針が全会一致で決まった。

(135) NHK 2024/08/02 敦賀原発2号機 原子力規制委が不合格の手続き進めるよう指示
 原子力規制委員会は、事業者の日本原子力発電が求めていた断層に関する追加調査などは受け入れないことを決め、正式に不合格とするための手続きを進めるよう事務局に指示しました。

(136) 毎日新聞 2024/08/02 初の「不合格」となった敦賀原発2号機 地元がにらむ次の産業
(137) 毎日新聞 2024/08/02 敦賀原発2号機、初の再稼働不許可へ 原電は瀬戸際に 規制委
 原電は2号機を廃炉にせず、審査の再申請も辞さない方針だが、規制委の判断を覆すのは難しいとみられる。経営改善の柱である2号機の再稼働は絶望的で、原電は存亡の瀬戸際に追い込まれる。原発回帰を進める国のエネルギー政策にも影響を及ぼす可能性がある。

(138) 東京新聞 2024/08/02 敦賀原発2号機 再稼働不可能に 規制委が初めて不適合審査書を取りまとめへ
 意見聴取後、山中委員長は「申請が新基準に不適合」とする審査書案の作成を事務局の原子力規制庁に指示した。秋ごろに不適合が正式決定される見通し

(139) 日経新聞 2024/08/02 敦賀原発2号機 初の再稼働不許可へ 審査継続退ける
(140) 東奥日報 2024/08/03 敦賀原発 不合格決定へ 規制委、再稼働認めず
 村松氏は敷地内で新たに試掘溝を掘る追加調査を1年以上かけて実施する計画を示し、審査継続を求めた。しかし山中伸介委員長は「具体性に乏しく、期間も不明確。多少データが加わっても、結論が変わる可能性は極めて乏しい」と退けた。
 審査を担当した石渡明委員は「その調査をすれば確実に原電に肯定的な結果が出るか予想がつかない。調査をしばらく待ってみようとはならない」と述べた。

(141) 東京新聞 2024/08/03 原発しか持たない原電 大ピンチ 敦賀2も東海第2もメド立たず
(142) 神戸新聞 2024/08/05 敦賀原発不合格 結果に従い廃炉の決断を
 阪神・淡路大震災では、活断層の真上に限らず、帯状の広範囲が激震に襲われた浦底断層が敷地内にある時点で、原発の立地には不適当と言わざるを得ない。原電は不合格の結果を重く受け止めて再稼働を断念し、廃炉を決断すべきだ。

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