[2024_07_23_04]敦賀原発2号機 規制庁 26日に審査 再稼働初めて認めない可能性(NHK2024年7月23日)
 
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敦賀原発2号機 規制庁 26日に審査 再稼働初めて認めない可能性

 17:19
 原子炉建屋の真下を走る断層が将来動く可能性があるかどうかが焦点となっている福井県の敦賀原子力発電所2号機について、原子力規制庁は今月26日に審査会合を開くと発表しました。「将来動く可能性はない」とする事業者側の主張が認められない公算が大きくなっていて、原発の再稼働が初めて認められなくなる可能性があり注目されます。
 原子力規制委員会が定める規制基準では、活断層の上に重要な設備を設置することを認めておらず、敦賀原発2号機は原子炉などが入る建屋の真下を断層が走っているため、この断層が将来動く可能性があると再稼働できなくなります。
 これまでの審査で事業者の日本原子力発電は、地層の年代を推定する新たな手法などを用いて将来動く可能性はないとする主張を続けてきましたが、審査を行う原子力規制庁は、科学的根拠が乏しいなどと指摘しています。
 審査が大詰めとなる中、原子力規制庁は、今月26日に次回の審査会合を開くことを発表しました。
 原子力規制委員会の山中伸介委員長は今月中に結論が出るという見通しを示していて、審査会合では日本原電側から新たな証拠などが示されないかぎり、主張を認めないとする結論が示される公算が大きくなっています。
 その上で、最終的に規制委員会が再稼働を認めないと判断すれば、2012年の委員会発足後初めてとなり、敦賀原発2号機は廃炉になる可能性もあることから、審査の行方が注目されます。

 審査の最大の焦点は

 審査が大詰めとなっている敦賀原子力発電所2号機の断層が注目されたきっかけは、12年前の2012年、原子炉の入る建屋の真下を通る「D-1」と呼ばれる断層が、近くを走る活断層の浦底断層と連動する可能性が指摘されたことでした。
 翌年、原子力規制委員会が設置した専門家会議が「D-1」断層が「将来動く可能性がある」とする評価書をまとめ、事業者の日本原子力発電の反論を受けて追加調査が行われたものの、2015年3月に再び「将来動く可能性がある」とする評価が示されました。
 原子力規制委員会が定める規制基準では、原子炉などの重要な設備は「将来動く可能性のある断層の上に設置してはならない」と規定されていて、「D-1」断層が将来動く可能性がある場合、敦賀原発2号機は再稼働できなくなります。
 日本原電はこの評価を受け入れず、ボーリング調査のデータを拡充するなどして、2015年11月に再稼働の前提となる審査を申請しました。
 審査では、すでに建設された原発の下にある「D-1」断層を直接確認できないことから、この断層が浦底断層の方向に延びる場所で見つかった「K断層」と呼ばれる断層を詳しく調べることになりました。
 具体的には、「K断層」が基準で活断層と定義される12万年前から13万年前の「後期更新世」よりもあとに動いたかどうかと、「D-1」断層とつながっていて、連動して動くかどうかが焦点になってきました。
 このうち断層の活動時期について日本原電は、「K断層」の上の地層に含まれる火山灰の年代がおよそ12万7000年前であり、それ以降には動いていないと主張しました。
 さらに、地中の鉱物が発する光を分析し、地層の堆積年代を推定する新たな手法を用いて「K断層」が見つかった地層はおよそ13万3000年前に堆積したとする結果を示し「後期更新世」以降の活動を否定しました。
 しかし、審査を行う原子力規制庁は、「K断層」が見つかった地層の堆積状況が複雑で厳密に評価することは難しく、新たな推定手法についても推定結果に誤差が生じる可能性があるなどとして、ことし5月に「K断層の活動性を否定することは困難」とする評価を示しました。
 また「D-1」断層と「K断層」がつながっているかどうかについては、日本原電がボーリング調査の結果から「K断層」は2号機に近づくにつれて確認できなくなったなどとして、つながっていないと主張したのに対し、審査チームは「K断層」の特徴を明確に定義すること自体が難しく日本原電の評価が適切でない可能性があるなどと指摘しています。
 「K断層」の活動性に続き「D-1」断層とつながっていることも否定できなければ再稼働は認められないことになり、審査の結論が注目されています。
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