[2024_07_27_04]敦賀原発2号機の新規制基準不適合に思う 不適合は以前から明らかだった敦賀原発2号機の廃炉はもっと早く決定できたはず 山崎久隆(たんぽぽ2024年7月27日)
 
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敦賀原発2号機の新規制基準不適合に思う 不適合は以前から明らかだった敦賀原発2号機の廃炉はもっと早く決定できたはず 山崎久隆

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 日本原電敦賀原発2号機(福井県敦賀市 116万キロワット PWR)について原子力規制庁は7月26日に開いた審査会合で、真下にある断層が動く可能性を否定できないなどで、新規制基準に適合していないとの結論を出した。
 原発の直下で断層が動けば深刻な事態になることから、新規制基準では再稼働は認められないことになり、敦賀原発2号機は事実上廃炉が決定的になった。
 今後、31日に原子力規制委員会の会合で報告し、審査会合の結論を委員会としても受け入れる見通し。
 
 ○この結論は以前から出ていた

 敦賀原発は200mほどの場所に「浦底断層」という活断層が走っており、もともと立地不適と言える場所だが、以前は断層評価が甘く、原電は浦底断層を活断層とみていなかった。
 しかしその後の調査で浦底断層は約4700年前に活動した第一級の活断層であることがわかった。
 東日本太平洋沖地震の後に、浦底断層の運動に伴い動く可能性がある断層が原子炉直下にも達している可能性があることが明らかになり、改めて再評価を行うことになった。
 敷地内の断層について、旧原子力安全・保安院による「耐震バックチェック」の一環として、評価の妥当性について、専門家からの意見聴取、有識者会議が行われていた。そこで「浦底断層の動きにひきずられた可能性がある」として、活断層に伴う活動があることを示していた。これが2014年の有識者会議による意見書であり、断層運動の可能性が否定できないことから、再稼働できないと結論づけられていたのである。
 この見解を不服として、原電は再度、設置許可変更申請書を提出し、強引に審査を再開させてきた。そのために、科学的根拠も不確かな「光ルミネッセンス分析」などを持ち出し、K断層は活断層ではないと主張するなどしていた。

 ○再稼働を強引に進めたい日本原電による文書偽装

 一連の審査会合では、過去に国に提出した書類を勝手に書き換え、あたかも最初から活断層ではないと評価してきたかのような文意に書き換えるなど、多数の偽装が見つかった。これでは審査できないと、審査が中断した。その後、規制委は審査を再開させた。
 その後も原電の書類には100箇所以上の間違いが見つかった。
 昨年4月、審査は再度中断した。
 規制委はデータ管理や審査体制に問題があると、原電の社長を呼び出して資料を出し直すよう求めた。その際に山中委員長は「これが最後だ」と述べた。誤りが続けば審査の打ち切りも示唆した。

 ○原電は直ちに廃炉を決断せよ

 この原発は、今後動かすことはできない。しかし、この審査会合の結果を受けて、原電の村松衛社長は「廃炉は考えていない」として、さらに審査を求める考えを示している。
 規制庁は、これを認めてはならない。
 また、原電は直ちに廃炉を決断するべきだ。
 原電の原発は、全て止まっている。
 しかし24年3月期連結決算は最終利益が前年比37.8%増の24億円となり、7年連続の黒字だった。
 原電の原発は全て停止しており、発電電力量は12年間ゼロ。しかし黒字なのは、東電、関電、中部電、東北電、北陸電の電力5社が「基本料金」として原電に原発の維持管理費用などを支払ってきたからだ。
 つまり東電などが赤字になっても発電ゼロの原電の黒字が続くという異常事態になっている。
 大手電力5社は23年度に、944億円を基本料金として支払っている。
 このまま原電が敦賀2号機を「再稼働申請中」として、基本料金を電力に請求すると、消費者の電気料金が1ワットも電気を生まない原発のために年間400億円余りを原電に支払うことになる。これでは「再稼働詐欺」のような状況だ。
 欠陥工事が明るみに出た東海第二と合わせて、毎年900億円を超える電気料金を吸い上げるためだけに存在し維持され続ける原発。
 もはや一刻も早く2基とも廃炉にするべきだ。
 東京都も、東電株主総会で電気代を抑える株主提案をしていたが、電気代が高いと思うのならば、まず電力5社に対して原電に支払っている原発維持管理費用を打ち切ることを要求するべきである。
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