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●初めに
 規制委員会の石渡明委員が原発60年超運転に対して反対を表明しました。当会では、 「石渡明氏原発60年超運転に反対」 で、記事一覧をまとめましたが、それ以降に行われた臨時会議の分も含めた、関連記事を続報の形で以下にまとめました。

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●石渡明氏原発60年超運転に反対_
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( 1 ) 規制委 2023/02/08 規制委「石渡明氏原発60年超運転に反対」文字おこし
(石渡委員)はい、私はですね、やはりあの、科学的技術的な知見に基づいて、人と環境を守るのことが、原子力規制委員会の使命だと思っております。で、あの今回の改変というのは、これは科学的技術的な何らかの新知見があって、それに基づいて、改変するという、そういった改変ではないと理解しました。
 それから、今回の炉基法の概要に書いてある改正案というのは、特に運転期間というものを、法律から落とすということで、ありますので、これは安全側への改変とは言えない。というふうに私は考えます。
 この資料の中にも、経産省のですね、改正案の概要みたいな、74ページ、ここにあの、ポンチ絵のような形で、表のような形で、示されていますけれども、あの、基本的にですね。炉規法の40年、60年という枠組みは維持する。ということがここに書かれています。そうであるなら、今の炉規法の枠組みというのは、基本的には、変わらない。というのが私の理解です。
 そして、炉規法を我々が自ら進んで改正する必要というのは、私はあまりないと思います。ということと、もう一つ、私自身は、この委員会の中で、地震・津波等の自然ハザード関係の審査を担当させて頂いています。これをいくつかの発電所がですね、まだ、審査中で、かなり、審査が延びています、これは、あの、いたずらに延ばしているわけではなく、営為審査を進めていますが、残念ながら、今のところ、結構時間がかかっている。
 そうするとですね、時間をかければかける程、その分だけ、運転期間が延びるような案がどうも提案されているようである。そうしますと、審査をして、その期間が延びると、より高経年化した炉を将来動かすことになる。二律背反のようなことになってしまうというように、私は考えます。ということで、私はこの案には反対を致します。

( 2 ) テレ朝 2023/02/08 原発の新規制制度案に委員が反対意見「安全側への改変とは言えない」決定を保留
 最長60年だった原発の運転期間が延長されることを受け、原子力規制委員会は新しい規制制度案の概要について議論しましたが、委員の反対で決定を保留しました。
 規制委は8日の定例会で、30年を超えて運転しようとする原発については10年ごとに認可し、60年を超えた運転にも対応可能な規制制度の概要について、一般からの意見募集を踏まえ正式決定を図りました。
 ただ、石渡明委員が「60年の運転制限を原子炉等規正法から落とすのは安全側への改変とは言えない」「審査に時間を掛ければ掛かるほどより古い炉を動かすことになる」などの反対意見を表明したことから、この日の決定は見送りました。
 来週、改めて議論するということです。

( 3 ) 日経新聞 2023/02/08 60年超原発の改正案、規制委が了承見送り 1人反対
 山中伸介委員長と他の委員の計4人は賛成した。山中氏は「多数決をとるのはあまり好まない」と述べた。
 同日、石渡氏は「科学的技術的な知見に基づいて人と環境を守るのが規制委の使命だ」と述べ、今回の制度改正が「新知見に基づいた改変ではない」と指摘。制度案では規制委の審査が長引くほど運転期間を延ばせるため「二律背反になってしまう」と懸念を示した。「我々が自ら進んで改正する必要はない」とも述べた。
 山中氏は同日の定例の記者会見で「私はこれまで多数決を一度もとったことがない。時間的余裕があれば議論を尽くしたい」と強調。改めて石渡氏と議論する考えを示した。委員会までに山中氏が説明や説得を試みることはないという。
 原子力規制委員会設置法は委員会の議事について「出席者の過半数」で決めると規定する。過去には20年に研究炉の廃止措置に関する規則改正、16年にテロ対策設備の審査結果の取りまとめ方など、多数決をとって決定した例がある。

( 4 ) NHK 2023/02/08 原発老朽化対応の新制度 規制委が決定先送り 委員から反対意見
 原子力規制委員会の山中伸介委員長は8日の定例会見で、「委員会で反対意見が出ることそのものは、議論を尽くすという意味ではよかったが、石渡委員が誤解されている部分もあると思う」と述べました。
 そのうえで、「説明はするかもしれないが説得はない。委員の間で意見が違うのはいけないことではないし議論していきたい。多数決を取ったことはないし、きょうもできるだけ議論尽くしたいということで、時間的余裕あるなら結論を得たいとしてきた。来週もそのつもりで臨みたい」と話し、来週の定例会で議論し決定を目指す考えを示しました。

( 5 ) まさのあつこ 2023/02/08 GX基本方針閣議決定に待った!
 そこで早速、経産省原子力政策課に「(原子力規制委員会でカクカクシカジカ結論が出ていませんから)、GX基本方針は10日には閣議決定できなくなりましたね。その確認です」と電話取材を入れた。
 若者官僚はいったん電話を保留後、「担当者が退室して答えられない」「明日も国会対応があり、むにゃむにゃ・・・」と逃げた。以下はその続きのやりとりだ。
 Q:では明日朝一度電話しますけど、退室されたご担当者のお名前を。
 A:いわゆる相談をして、誰が対応するかということになる。
 Q:(私の心の声:誰が対応するか分からないのに、とにかく退室したんだね)では明日朝電話します。ちなみにGXの取りまとめ役はどこ?

( 6 ) 坂上武 2023/02/08 規制委員会(2023年02月08日)「石渡明氏原発60年超運転に反対」の紹介
 石渡委員の意見は、
1.今回の変更は新たな知見などに基づくものではなく運転制限が炉規法からなくなるという意味では安全規制の後退だ、
2.(電気事業法に移っても)40年60年の枠組みは変えないとあるがそれでは炉規法を改正する必要はないではないか、
3.審査が長引いている間も高経年化は進行しており審査は難しくなるのにこの間はカウントしないというのは矛盾ではないか、といったものです。
 他の委員が説得を試みましたが意見を変えず、今日の決定は見送りになりました。来週また議論がありますが、非常に真っ当な反対意見で、会場は拍手で包まれました。

( 7 ) たんぽぽ 2023/02/08 規制委会合「運転延長容認」なし 石渡委員の反対 山崎久隆
◎ 2000件を超えるパブコメの意見で、規制委は新新規制基準(新規制基準は40年+20年の運転規制なのでその次は新新規制基準になる)の矛盾点が明らかになっています。
 例えば、10年毎の長期施設管理計画を期限までに提出しなかった場合、現在の20年延長申請の場合はその時点で廃炉になります。
 ところが新新規制基準では『長期施設管理計画は10年を超える期間で認可を受けることができず、同期間が満了したときは改めて長期施設管理計画を作成し原子力規制委員会の認可を受ける必要があります。仮に劣化評価の内容が全く同一であったとしても新たに長期施設管理計画を作成し認可を受ける必要があり、このためには改めて劣化評価を行う必要があります。』(パブコメの回答より)
◎ すなわち、30年目の審査を終えて最初の10年目の審査が終わらないときに、従来ならば廃炉になるところ、「改めて長期施設管理計画を作成」すれば良いのです。

( 8 ) 東京新聞 2023/02/09 「安全側への改変とはいえない」 異例の反対意見で規制委が正式決定を先送り
( 9 ) 新潟日報 2023/02/09 原発「60年超運転」制度見直し 規制委の1委員が反対、議論継続へ
( 10 ) 中日新聞 2023/02/09 規制委員の石渡氏、原発60年超が反対 制度見直しは先送り
( 11 ) 電気新聞 2023/02/09 高経年化新安全規制、規制委が骨子案決定を見送り/石渡委員が反対意見
( 12 ) 信濃毎日 2023/02/10 〈社説〉原発60年超運転 規制委は使命を思い出せ
 だが、60年超の老朽原発の安全性を評価する方法は今後検討するとしただけで、具体策を示していない。60年以上運転している原発は現在、世界のどこにもない。そんな状況で将来の安全を確保できると言い切れるだろうか。

( 13 ) 東京新聞 2023/02/11 パブコメでは多くが反対 でも原発推進を閣議決定 「将来世代に重大な危険」
石渡明委員が「必要性がない」と反対。新たな規制制度が決定できるかは不透明になった。西村康稔経産相は閣議決定後の会見で「(基本方針は)原子力利用政策の観点でまとめており、安全規制の内容は含まれていないので問題ない」と説明し、今後も関連法の改正など手続きを進める意向を示した。

( 14 ) 日テレ 2023/02/13 原発「60年超」改正案、“異例”の多数決で了承 規制委
 また賛成した委員からも「急かされて議論してきた」「他省庁との関係もあるのだろうが我々は外のペースに巻き込まれずに議論すべきだった」などの意見が出されました。

( 15 ) 日経新聞 2023/02/13 原発60年超運転、規制委が新制度了承 委員1人反対残す
 事務局を担う原子力規制庁が13日の臨時委員会に、原子炉等規制法の改正案を提示し、山中委員長と4人の委員で協議した。石渡氏が8日の定例委員会で反対を表明したため、結論を持ち越していた。
 杉山智之委員も会合で、新制度案に同意した上で「締め切りを守らないといけないとせかされて議論してきた。規制委は独立した機関であり、われわれのなかでじっくり議論すべきだった」との考えを示した。
 議論が本格化した当初は運転期間の上限を撤廃する案が浮上したが、与党などの慎重意見をふまえて見送った。政府は10日に閣議決定したGX(グリーントランスフォーメーション)基本方針で運転期間に現行と同様の制限を設けた上で、限定的に追加の延長を認めるとした。

( 16 ) 共同通信 2023/02/13 原発60年超、異例の多数決 原子力規制委、石渡氏反対
 制度見直しは、東京電力福島第1原発事故を踏まえた従来政策からの大転換。だが規制委内で意思統一できなかったことは、関連法改正案の国会審議に影響を与えそうだ。
 政府は、再稼働に向けた審査で停止した期間などを運転期間から除外し、60年超運転を可能にする関連法の改正案を今国会に提出する。

( 17 ) 東京新聞 2023/02/13 「規制委は役割を果たせ」 原発運転60年超の多数決容認で市民ら抗議
 ネットワークメンバーの木村雅英さん(75)は規制庁職員の前で、反対の申し入れ書を読み上げた。8日の定例委員会で唯一、60年超運転を容認する制度に反対した石渡明委員の意見を支持すると強調した上で、「意見公募で多くが方針に反対しており、老朽原発のトラブルも絶えない。原子力規制庁と(原発推進の)資源エネルギー庁の秘密会合も明らかになっており、推進側に取り込まれている」と述べた。

( 18 ) 東京新聞 2023/02/13 原発運転60年超を石渡委員反対のまま多数決で決定 規制委 独立性はどこへ…
 臨時会で、石渡委員は2020年に規制委が示した「原発の運転期間は利用政策側(推進側)が判断する事柄で、規制委は意見を言う立場にない」とする見解について、「当時の委員会で、しっかりと議論されたとは言えない」と指摘。当時は、電力業界団体からの意見に対して示した見解であり、今回のように、運転期間を延長する法改正を前提につくられた見解ではないと説明した。ほかの委員らは見解の妥当性を強調。議論は平行線となったため山中伸介委員長が、委員一人一人に賛否を確認した。

( 19 ) たんぽぽ 2023/02/14 規制委「原発60年超運転容認」多数決? 松元成一
◎ こんないい加減な決め方は絶対に容認できません。
 私たち住民の命の問題です。廃炉が決定した原発以外の殆どの原発は、欠陥が見つかったり重要部品の交換もままならないまま、再稼働か審査待ち、放置なのです。
 科学的・技術的に審査すると、田中委員以外は主張。論議不十分なまま「閣議決定」へ持ち込むという大変に姑息な運営でした。
 苦しくも、「論議・説明が足りない」「違和感がある」と言う意見は本音でしょう。
 閣議決定ではなく、衆参の本会議に委員を呼び規制委員会の運営について問い正すべきです。

( 20 ) FNN 2023/02/14 原発の運転期間延長に突然の「待った!」異例の“多数決”決定のワケ
 それによれば、7月27日に政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で原発の推進政策が打ち出され、翌日から経産省担当者と規制庁担当者の間で資料や必要な法改正の在り方のイメージ共有が始まったというもの。面談の回数は7回にもおよんだ。
 “事前相談”“とも言える行為で、「規制委の独立制を揺るがすものではないのか?」と記者からも指摘が相次いだ。
 規制庁担当者は「面談したことは確かだが、事前相談にあたるとは考えていない」と、規制委としての考え方に影響を与えるものではなかったと説明する。山中委員長も「担当者の頭の体操」だとして「特段の問題を感じていない」と話した。
 法改正を作るにあたり、規制委は12月から1月の間に一般から意見を募集した。約2000件の意見が寄せられたが、そのほとんどがこの事前面談に対する批判など、反対意見だった。

( 21 ) 東京新聞 2023/02/14 「法案の締め切りがあるので仕方ない」と山中伸介委員長
 石渡委員は、審査による停止期間を運転年数から除外する政府方針が、審査が長期化した原発の延命策につながることに対し「審査する側として耐えられない」と吐露。ほかの委員が規制案の妥当性を説明すると、時折、顔をしかめながら聞いていた。
 伴信彦委員は、60年超の原発の審査について詳細が決まっていない段階での決定に対し「制度論ばかりが先行し、60年超をどう規制するのかが後回しになっていることに違和感がある」と懸念を示した。
 臨時会後の記者会見で、性急さを問われた山中伸介委員長は「法案のデッドライン(締め切り)があるので仕方ない」と釈明した。

( 22 ) NHK 2023/02/14 原発老朽化対策の新制度 1人が反対 多数決で決定 規制委
 また、運転期間の延長は安全性を高める変更ではないと指摘されたことについて「高経年化に適したルールを作るのがわれわれの任務であり、運転期間の制限は安全規制ではないと思っている

( 23 ) 京都新聞 2023/02/15 社説:原子力規制委 国民の信頼失う追随だ
 結論ありきの進め方は原発事故前と変わらず、「安全神話」の復活そのものである。岸田首相は「国民の声を聞く」と言いながら、最後まで聞きもしていない。こうした政権の姿勢と規制委のふるまいは通底しているのではないか。
 福島原発の廃炉作業や被災者の避難生活は今も続いている。ウクライナ危機は原発が攻撃対象となる危うさを浮き彫りにした。
 安全に絶対はなく、問題があれば必ず安全の側に軸足を置くのが事故の教訓だったはずだ。規制委は推進側と距離を置いた原点に立ち返らなければならない。

( 24 ) 東京新聞 2023/02/15 <発言詳報>原発運転60年超を容認した規制委で、各委員は何を語ったのか
 石渡委員 特にこの「規制委が関わるべき事柄ではない」ということについて、当時によく議論をしてこれを決めたかというと、私はそうではなかったのではないかと思う。規制委全体の意思として確固として決定されたというものではないと考える。
 山中伸介委員長 さまざまな場での意見交換も含めて議論されたことをまとめた見解だ。
 石渡委員 これを根拠に40年ルールをなくしていいという根拠にはならない。

 石渡委員 電力業界団体は、60年もたつと部品が調達できなくなると資料に記載している。実際にそういう障害が起きることは避けられない。同じような審査手法でいいのか。
 杉山委員 古い設計のものをふるい落とす仕組みを設ける必要がある。
 石渡委員 (首をかしげる)

( 25 ) 東京新聞 2023/02/15 「厳格に審査するほど運転期間が延びる」60年超運転 政府方針が抱える矛盾
 13日の規制委の臨時会で石渡委員は「(60年超の審査内容を)決めずに『しっかり規制する』と言っても具体的ではない。少なくとも見通しは決めるべきだ」と主張。ほかの委員らは「慎重な議論が必要」と応じなかった。
 石渡委員は「当時の委員会では、十分に議論していない。この文書をあたかも金科玉条のように使い、40年ルールをなくしていいという議論にはならない」と指摘。田中知委員は「十分に議論したかというと、少なかったかもしれない」と認めた。

( 26 ) 東京新聞 2023/02/15 「規制委は意見を言わない」…検討チーム設置 また多数決で反対論置き去り
 原子力規制委員会は15日、定例会合を開き、原発の60年超運転に向けた新たな規制制度の詳細を決めるための検討チームを設置するかどうかについて議論した。13日の臨時会で制度変更に反対した石渡明委員は、チームの設置にも反対を貫いた。ただ、石渡委員以外の4人が賛成し、設置が決まった。

( 27 ) NHK 2023/02/15 原発老朽化対応 具体的基準検討チーム設置 多数決で了承
 検討チームでは、現行の制度では想定していない60年を超える原発の安全性をどのように判断するかについても議論することにしていて、石渡委員も議論には参加する考えを示しました。

( 28 ) 東京新聞 2023/02/16 <社説>原発60年超容認 規制委の独立性を疑う
 “強行採決”の後、性急さを問われた山中伸介委員長は「法案のデッドライン(締め切り)があるので仕方がない」と釈明した。地震担当の委員の警告を十分に検討するいとまもないとは、熟議より、政府の都合を優先させたと認めているようなものであろう。
 福島第一原発事故以前の原子力規制は、原発を推進する経済産業省が所管していた。原子力規制委は事故の反省の上に立ち、「規制と推進の分離」を図って設立された、その名の通り「規制」のための独立機関であるはずだ。
 その規制委が経産省主導の推進策に寄り添い、事故の教訓を踏まえて定めた原発の運転寿命を覆すというのは3・11以前への逆戻りだ。十二回目のその日が間もなくやって来る。規制委には、いま一度こう問いたい。フクシマを「なかったことにする」のか、と。

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