[2020_06_06_03]日本原電資料改ざん問題 規制委「一番重要な部分を隠しているようにしか見えない」 今回の報告書であらためて「意図的」であることが明らかになった。 日本原電という会社には倫理も社会常識もない 大石光伸(東海第2原発運転差止訴訟原告団共同代表)(たんぽぽ舎2020年6月6日)
 
参照元
日本原電資料改ざん問題 規制委「一番重要な部分を隠しているようにしか見えない」 今回の報告書であらためて「意図的」であることが明らかになった。 日本原電という会社には倫理も社会常識もない 大石光伸(東海第2原発運転差止訴訟原告団共同代表)

 6月4日、日本原電が敦賀2号機の資料を80箇所にわたって書き換えた問題で、規制委員会は原電の報告書に対しデータの一部が不開示で内容不十分として再提出を要求した。
 報告書の内容もあまりに表面的で規制委が求めていることに答えていないとし、規制委の担当者は「一番重要な部分を隠しているようにしか見えない」と断じた。
 規制委が「原発直下に活断層」の可能性を指摘し再稼働が絶望的な敦賀原発2号機。追い詰められた窮鼠は、昨年末、過去に規制委に出した地質データをこっそり書き替えて審査資料として提出した。書き換えは、まさに活断層の可能性が指摘されていた敷地内のK断層のボーリング調査結果。しかし、日本原電は「こういうやり方もあるんだ」と居直った。
 「生データを書き換えることは絶対にやってはいけない。倫理上の問題だ」と指弾された。和智副社長は2月の会合で「悪意はなく意図的ではない」と釈明したが、今回の報告書であらためて「意図的」であることが明らかになった。
 そう、日本原電という会社は倫理も社会常識もない会社であることがあらゆるところで露呈している。
 市民社会における常識においても同様である。首都圏の市民が集めた7万超の署名を「社の方針と違う意見は受け取れない」と受け取りを拒否した。新型コロナ対策でも川内原発の工事現場でコロナ感染が発生したことを受けて、毎日狭い敷地と狭い原子炉内に1700名もの作業員が密集して作業をする東海第二原発の工事は「不要不急」で中止すべきと多くの市民から要請されたにもかかわらず、本社業務は業務縮小しておきながら最も密集する現場工事は「事業継続計画に必要な業務」として強行した。
 周辺自治体に対しても、6市町村と新協定を結んでいながら「協定には拒否権などという言葉はどこにも書いてない」公言して、周辺自治体は「信頼関係はすでにない」とされた。住民が運転差止めを求めている水戸地裁での裁判でも白塗りの資料ばかりを提出して根拠を説明せずに追及されると「およそ考えられない」を連発するばかりである。
 市民や自治体や裁判ではこの非常識な傲慢さと騙しで居直っているが、再稼働の前提条件である規制委の許可に対しては追い詰められてとうとうデータ改ざんに手を染めた。
 敦賀2号機敷地直下の活断層の可能性という専門家チームの報告書と規制委判断をめぐっては、「規制委を訴える」と公然と脅し、「公開質問状」を発し、規制庁職員に対しても個別に工作を仕掛けた。もう「ヤクザ」同然である。過去にも敦賀1号機の冷却水漏れの事故隠し、子会社ぐるみで使用済み燃料キャスクの試験データ改ざんや、敦賀2号格納容器の空気漏れも不正を行って定期検査を通した。
 今回もこうした常習で瞞そうとしたのであろうが、この体質は会社に染みついている。
 会社ぐるみでこういうことをやっている以上、東海第二原発でそのようなことをしていないとは誰も信じない。おそらく再稼働のためにはデータも書き替えて事実を隠して、規制委も、茨城県も、地元自治体も、住民もウソで瞞すことは平気で行われているであろう。敦賀2号の活断層をめぐるデータ改ざんは、追い詰められたネズミが犯した犯罪である。
 市民社会にこのような反社会的会社は存在を許されない。規制委はこのようなネズミを放置してはならない。なぜならウソを平気でつく会社が原発という危険なものを動かしたら凶器となって住民の安全、くらしを破壊するからである。
KEY_WORD:敦賀2号審査_日本原電_断層データを無断書き換え_:TSURUGA_:TOUKAI_GEN2_:SENDAI_: