[2018_07_31_01]日本原燃(株)六ケ所再処理工場からの質問状回答・説明会のまとめ報告(三陸の海・岩手の会2018年7月31日)
 
参照元
日本原燃(株)六ケ所再処理工場からの質問状回答・説明会のまとめ報告


日本原燃(株)六ケ所再処理工場からの質問状回答・説明会のまとめ報告 2018.7.31
 2018年6月1日青森県・岩手県・宮城県・北海道・茨城県の9市民団体で日本原燃へ「六ケ所再処理工場の重大事故防止対策等に関する質問要望書」を提出(賛同団体9市民団体)し7月13日文書で回答を得、7月19日の説明会において質問や要請を行ってきました。
 質問状(6/1提出)と回答(7/13FAXで受領)
 http://sanriku.my.coocan.jp/180601QJNFL.pdf
 http://sanriku.my.coocan.jp/180713JNFLAns.pdf
 市民の出席者は花とハーブの里:菊川さん、豊かな三陸の海を守る会:Kさん,Kさん,Hさん三陸の海を放射能から守る岩手の会:Kさん、Kさん、Kさん、Tさん,永田以上9名
 日本原燃は地域・業務本部広報部総括グループリーダー:K氏
          〃  広報部広聴・広報部総括グループ副長:S氏
         業務推進本部総務部総務グループリーダー:K氏
         他所属不明の関係職員とおぼしき人3名 以上6名
マスコミ2社 東奥日報社K記者、デーリー東北新聞社F記者

* 13日回答がFAXで届き、その内容を参加者で検討し質問事項等を確認し説明会に出席しました。
13時半から15時00分頃まで質疑応答が行われました。
 質問・回答・コメント
 http://sanriku.my.coocan.jp/180713JNFL.pdf
 説明会における追加質問事項については後日回答が出てから追加でHPへアップします。
 説明会のようすは以下のまとめでお知らせします。


      六ケ所再処理工場の重大事故防止対策等に関する質問要望書

【質問の趣旨】
 私たち市民団体は貴社六ケ所再処理工場の重大事故を非常に心配しております。3・11の福島第一原発事故(以下“福島原発事故”)以降,私たちは2011年4月26日に「再処理工場における想定外大地震による放射能環境放出事故防止に関わる緊急要請・質問状」,2014年7月31日に「再処理工場における重大事故防止に関わる要請・質問状」,2016年6月20日に「六ケ所再処理工場落雷による故障事故、その他に関する質問状」を提出し貴社から回答をいただいてきました。貴社の回答や原子力規制委員会への質問に係る答弁から六ケ所再処理工場には福島第一原発事故により大気に放出された量の約35倍ものセシウ137,約2600倍ものストロンチウム90を含む高レベル廃液が貯蔵されているものと推定しております。もし貴再処理工場で重大事故が発生すると福島原発事故とは比較にならない大量の放射能が環境へ放出される危険性があり、場合によってはこの国の存在を危うくする可能性があります。
 1957年旧ソ連時代に、マヤーク核兵器用再処理施設で高レベル廃液貯蔵タンクが大爆発を起こし内容物の約9割が施設とその周辺へ、約1割に当たる200万キュリーが300km先まで大地を汚染しました。現在も人が住めないエリアが広範囲に存在すると聞いております。福島原発事故と異なり、放射能のほとんど全てが放出されたということは再処理工場の大事故の特徴を示すものと考えられ、不安を増大させます。六ケ所再処理工場に貯蔵されている大量の高レベル廃液が停電やパイプ破断等により冷却できなくなれば、水素爆発や硝酸塩爆発により貯蔵タンクが破壊され放射能の全量が放出されることが予想されます。
 隣国の動向など国際諸情勢等を鑑みるとき,高レベル廃液に関わり重大事故の可能性は従来にもまして嵩じており,被害防止に向けた貴社の努力の必要性は格段に増しています。以上の観点から再処理工場の現状等について以下質問要望いたします。

【質問項目(概要)と原燃回答(7月19日説明会質疑を含む)のコメント】
 回答全文と詳しいコメントは→URL参照http://sanriku.my.coocan.jp/180713JNFL.pdf

I 新規制基準関連
1)【火砕流】火砕流が発生し、六ヶ所再処理工場に到達した場合、高レベル廃液やプールに貯蔵している使用済み核燃料をどう火砕流から守るのでしょうか。
2)【国家石油備蓄基地の火災】六ヶ所再処理工場近くにある国家石油備蓄基地で火災が発生した場合、六ヶ所再処理工場の電力引き込み線等への影響はないのでしょうか。
3)【700ガルでよいのか】岩手・宮城内陸直下地震では加速度4022ガル,中越沖地震では柏崎刈羽原発建屋で2058ガルを記録しています。六ケ所再処理工場の基準地震動を700ガルで済ませてよいのでしょうか。
4)【落雷対策】敷地で観測された雷撃電流の過去最大値は211kAであったのこと,ではなぜこれまで150kAで済ませてきたのでしょうか。国内の過去最大の雷撃電流は500kAとの報告があります。500kA以上の雷撃避雷針の設置が必要なのではないでしょうか。
5)【ヒューマンエラー】重大事故は現場の作業員のヒューマンエラーを始め,管理者が想定外のトラブルの対応に失敗し重大事故に発展していくように伺えます。ヒューマンエラーをも踏まえた安全策を講じなければいけないのではないでしょうか。
6)【深層防護】電源喪失し非常用電源も作動できずお手上げの状態になった場合,最後の手段として東海再2処理工場では,高レベル廃液貯槽設置セル内へ給水し水没させ外部から貯槽を冷却する方法を考え,実際に訓練しているとのことですが,貴社も行ってはどうでしょうか。

回答のコメント
1)火砕流到達時,ガラス固化や固化体の搬出先などなく現実的には対応できないはずだ。
2)原発外部火災影響評価ガイドにより評価とのこと。想定外のトラブルを再確認し対応をしてほしい。
3)老朽化による高レベル廃液内減肉など現実的には点検不可能な施設設備がある。400ガルで設計しており,強度の放射線下今更補強はできない施設が多々あるため700ガルで押さえたのではないか。
4)150kAで済ませてきた理由については再質問に答えず。270kAで500kAに耐える原理答えず。この工場の超危険性を考えると国内最大落雷電流に耐える,それ以上の耐雷施設が必要だ。
5)インターロックは当然のこと,これが機能しない場合や,機能した結果によるトラブル発生の場合などヒューマンエラー対策を講じなければいけないのではないか。
6)高レベル廃液セルを水没させ貯槽を冷却するとのことだが,その場合の冷却水の確保,水没させるには重力による落差を利用できるようにしておかなければならないのではないか。これは今までにない対応であり一定の評価に値するが実現可能の構造にしておかなければ意味なし。

*非現実的な対応,できないことをできるかのような回答が多々ある。安全に関する4)の質問には再質問にも答えず,低い耐電流で高い電流に耐える原理を答えない,このままでは危険だ1。深層防護については一定の評価はできるが,現実的に対応できるのか疑問が残る。

II 新規制基準対象外事象による重大事故防止関連
1)【米軍基地航空機の墜落など】再処理工場上空で米軍機の飛行がなされたことがありますか。「オスプレイ」は「米軍三沢対地射爆撃場」でも訓練を行うとしていますが、高レベル廃液や核燃料プールから数`も離れていませんが、どのような安全対策が検討されていますか。重大事故に進展させないためのマニュアル作成や訓練は行われているのでしょうか。
2)【巨大噴火】カルデラが出来るような巨大噴火では大量の火山灰が降下し高レベル廃液を沸騰,蒸発乾固爆発させ環境を回復不可能な放射能汚染させるものと推量されますが対策は可能ですか。
3)【ミサイル攻撃】某国では,我が国の原子力施設は軍事標的の一つだと公言しております。プルトニウムを抽出する貴社は真っ先に攻撃目標になるものと懸念されます。ミサイル攻撃を受けた場合重大事故に進展させない対応マニュアルなどは作成し訓練されているのでしょうか。
4)【EMP:電磁パルス攻撃】我が国の超上空における核爆発による電磁パルス攻撃対応マニュアルの作成や訓練はなされているのでしょうか。

回答のコメント
1)米軍機が工場上空を飛行した実績はないとのこと,しかし住民からは飛行を目撃したことがあるとの発言がある。航空法では米軍機の飛行についてどうなっているのか確認し回答するとのこと。戦闘機の墜落確率計算は分母のとり方が現実的ではない。マニュアルや訓練については答えなし。
2)噴火により前が見えないような灰が降って来た場合は対応できないのではないか。フィルタの清掃や交換を行うとの回答だが,そのような作業ができる部屋や装置はあるのか確認するとのこと。
3)ミサイルについては国家防衛の管轄により対処,Jアラートの情報に基づき対策本部を立ち上げ必要な活動を行うと回答,隣国からの場合は発射10分ほどで日本に到達する,要はミサイルに対処できないことがわかる。工場が保持する放射性物質の量とその危険性について国へ正確に知らせ,戦争は決してやってはいけないことを働きかける義務があるのではないか。
4)EMP対応も3)同様である。2015年夏の落雷で270カ所の機器の損傷など影響が出ている。攻撃を受けた場合は高レベル廃液の冷却や水素掃気の機器へ影響を与え沸騰爆発へと進展する可能性が強い。安全のためにはさまざまな可能性を想定し対応マニュアルを作成して備えることが大切だ,対応できないのならば,人々を守るため,国へ外交努力を申し入れなければいけないのではないか。
*高レベル廃液の貯蔵棟を直撃するような上記事故,災害,戦争が起こったなら,もうお手上げの状態になるのではないか。2)を除き,いずれも国任せで事業者として,人々への責任と義務の自覚があまりに希薄な回答で無責任である。国はこの工場の超危険性をしっかりと認識していないし,原子力施設の安全を検討する部署が明確ではないことは問題である。

III 高レベル廃液とガラス固化関連
1)【水素爆発濃度到達・沸騰到達時間と対応時間】高レベル廃液貯槽で一旦電源喪失や冷却系・掃気系のパイプの破断が起き掃気や冷却ができない事態になれば、約7時間で機器内の水素濃度が8%に達して水素爆発の可能性が発生し、15時間程度で廃液の沸騰が始まると予想されています。貴社は私達の質問に対して、そのような事態が生じた場合には16時間ほどで対応できると回答していますが、それでは水素爆発や沸騰の発生の時間に間に合わないことになりますが。
2)【水素爆発濃度は4%か8%か】日本原子力学会報告書によると「水素の爆発下限濃度(4vol%)」と指摘されている。貴社の主張する8vol%という数値とは異なっていますが、これはどちらが正しいのでしょうか,4vol%の機器内爆発濃度へ到達する時間をお知らせください。
3)【高レベル廃液の沸騰蒸発乾固後】高レベル廃液が沸騰し蒸発乾固した場合,その乾固生成物は硝酸塩になっているものと思われますが,貴社再処理工場における全ての高レベル廃液が蒸発乾固すると約何トンの固体が発生しますか。これは着火源があると硝酸塩爆発を起こすのではないでしょうか。TNT火薬何トンほどの威力になるのでしょうか。硝酸塩が生成しないならその理由は。
4)【高レベル廃液中のセシウム137の放射能量が2年経過しても変わらない理由が納得できない】再処理工場に貯蔵されている高レベル廃液について、2013年2月1日時点で高レベル廃液の貯蔵量は約202立方メートル、これに含まれるセシウム137の量は約520ペタベクレル、セシウム137の放射能濃度は約2600テラベクレル毎立方メートル、2015年3月4日時点で高レベル廃液の貯蔵量は約223立方メートル、これに含まれるセシウム137の放射能量は約520ペタベクレルとのことでした。約2年間で約23ペタベクレルが自然に減衰するはずです。自然減衰分に相当する約23ペタベクレルはどこから各何ベクレル供給されたのかお知らせください。
5)【ガラス固化体に取り込まれた高レベル廃液が理論量より少ない理由】2008年1月18日以降ガラス固化された廃液は95m3であり発生した固化体は289本なので1本当たり廃液は0.33m3含まれたことになります。固化体1本に含まれる廃液が本来当初予定約0.52m3(残廃液223m3から430本製造予定)より37%も少ないことは品質管理ができていないことを伺わせます。これはガラス固化が失敗し不良品が多数できたことになるのではないでしょうか。
6)【ガラス固化についてAVM法等を検討してはどうか】ガラス固化体の製造に当たっては、貴社採用のガラスと廃液を直接電極で加熱溶融するため白金族の析出がネックになっているLFCM法は止めて、英仏で行われているAVM法等を導入し、高レベル廃液を早期に安定化し大事故のリスクを低減させるべきではないでしょうか。
7)【不安定な高レベル廃液をそのままにしておいてよいのか】福島第一は電源が止まり24時間後に水素爆発が起きました,六ヶ所再処理工場は電源が喪失すると約七時間で水素爆発濃度に達し,15時間で廃液が沸騰する高レベル廃液貯槽があると貴社の報告にあります。不安定な廃液状態のまま国民へいつまでも潜在的脅威を与え続けてよいのでしょうか。

回答のコメント
1)圧縮空気貯槽を設置することにより水素爆発到達時間を延長できると回答,2時間以上の余裕を持って対応できるとしているがその程度の時間はすぐに経過するであろう。
2)8%以上になると比較的高い爆発圧力が生じることより設定したと回答。根拠資料を見たい。
3)高レベル廃液が蒸発乾固した場合析出する固体について硝酸塩で爆発の恐れがあるのではないかとの質問には,説明会で何度質問しても回答せず。廃液にはTBP等の抽出有機溶媒が一部含まれてくるため酸化剤の硝酸塩と有機物という固体が析出してくる,これは爆発性になるはずである。放射性物質の崩壊熱によりたちまち爆発するであろう。安全上重大な問題を厳正に審査していないことがわかった。
4)高レベル廃液中セシウム137濃度を2年前の値をそのまま報告したとは,これが超高濃度放射性物質を扱う専門機関の回答であろうか。分析専門員を多数抱えて肝心な廃液濃度を2年間も調べてないとはあまりに不自然である。国への質問主意書(189ー206)では「炉や槽から発生した気体状物質の洗浄排水によりもたらされたものだと聞いている」との答弁であった。これと今回の回答と違っていることがわかった。どちらが本当か確認するとのこと。
5)当初国会で固化体1本当たり0.52m3の廃液を含むと答弁していたが,その約4割も少ない廃液を含む固化体を多数発生させ「運転方法の改善により,定期的に模擬廃液を使用した洗浄運転方法に変更」したためと回答している。廃液が4割も少ない固化体では,完成された技術でないことがわかる,結局白金族元素の沈積問題が解決していないことがわかった。(東海工場の最新の固化で1本当たり0.58m3含まれている)
6)5)とも関連し,未完成の技術と決別し英仏方式もしくは東海再処理方式(スケールダウン)等検討し,廃液の危険リスクを低減させるようにするべきだ。
7)不安定な廃液状態のまま国民へいつまでも潜在的脅威を与え続けてよいのでしょうか。という疑問への回答はなかった。廃液のとてつもない危険性について真剣に考えていない。
*高レベル廃液蒸発乾固析出物が硝酸塩かどうかについては一切答えず。このことから高レベル廃液の危険性について蒸発乾固までの放射能放出を審査し,析出する有機溶媒を含む硝酸塩固化体については隠蔽し,廃液事故を過小に評価してきたことがわかった。また,高レベル廃液のガラス固化は東海再処理工場の規模の数倍(炉の容量で約4倍)にスケールアップをしたためであろうか,白金族対応がうまく行っていないことがはっきりとわかってきた。国民へ高レベル廃液の危険について真実を知らせず隠蔽している。

IV その他
1)【拡散シミュレーションに関わり】原発においては重大事故時の放射性物質拡散シミュレーションが公開されています。これにより原発のUPZ(緊急時防護措置準備区域)は30kmになっています。一方再処理工場では原発の何十倍もの放射能を貯蔵しているにかかわらずUPZは5kmと決定されています。現実離れのUPZではないでしょうか。再処理工場について原発同様の拡散シミュレーションをなぜ行わないのでしょうか。

2)【UPZ・PAZに関わり】UPZ(緊急時防護措置準備区域)を5kmとした事業者としての科学的根拠をお知らせください。UPZ5kmで本当に安全を確保できるのでしょうか。PAZ(予防的防護措置準備区域)は必要なのではないでしょうか。
3)【情報公開に関わり】私達には私達の安全に係る情報を知る権利があります。高レベル廃液の量,廃液の核種濃度等は運転情報,公開制限情報など商業機密とされ,私達の安全がなおざりにされています。貴社が商業機密とする内容の定義をお知らせください。
4)【特定核種の全量環境放出と環境基本法の精神】私達はトリチウムやクリプトン85等を除去せず全量環境へ放出することは見直ししてほしいと再三申し入れてきました。福島原発事故によるトリチウム汚染水について海洋放出が1500Bq/gもしくは原発放出基準60000Bq/gレベルのトリチウム含有廃水濃度が論議されています。しかるに貴社再処理工場からは1億6000万Bq/gものとてつもない高濃度の廃液が海洋へ放出されます。アクティブ試験では実際に放出されました。原子力施設も環境基本法の精神に厳密に従うべきではないでしょうか。人々と環境のため全量放出を見直してください。
5)【環境モニタリングに関わり】貴社は、下北沖海洋へトリチウムを2006年度に498兆ベクレル、2007年度に1321兆ベクレル、2008年度に360兆ベクレル放出しています。貴社と青森県は海洋放出口の直上やその南北各5キロメートル、20キロメートル先で分担し海水を50〜60回測定し、トリチウムは全て不検出(2Bq/gの検出限界)とはあまりに不自然です。このことは同じ海洋海域のトリチウムを調べている東北電力,環境科学研究所では同時期に同じ海域においてかなりの頻度で検出している事実,東海再処理工場,英仏再処理工場の海洋水データも同様であり貴社の調査結果を奇異に感じているところです。海水のサンプリングの日時はどのように決めて実施したのでしょうか。
6)【使用済核燃料の緊急時移送先】使用済み燃料プールの容量3000トンのうち昨年度中に2968トン(約99%)が埋まると聞いておりました。使用済燃料を移送させなければ危険な事態に直面した場合、使用済み燃料をどこに移動させるのですか、対応について示してください。
7)【条約に基づくIAEA報告に関わり】我が国からIAEAへの報告書「National Report of Japan for theFifth Review Meeting October,2014」百十頁において、六ヶ所再処理工場が貯蔵する高レベル廃液の量はゼロとされており、2018年報告書でも同様にゼロとされています。六ヶ所再処理工場が貯蔵する高レベル廃液の量約223m3(2015年3月時点)と異なるゼロとしているのはなぜですか。
8)【高レベル廃液の早期安定化に関わり国への申し入れについて】日本原子力研究開発機構(JAEA)は、「再処理施設に関するこれまでの検討チームにおける議論に対する意見」において「既に多くの高放射性廃液や、プルトニウム溶液を保有しており(中略)可能な限り早期にこれらの溶液を固化し、安定化を図ることで、施設の潜在的なハザードを低減し施設の安全性を高めることが重要であると認識している。」とし、2016年1月から高レベル廃液のガラス固化を開始しています。貴社においても新規制基準審査とは別に国へ廃液固化許可申請(新型炉の許可を含め)を提出し,高レベル廃液の早期安定化を図り貴社職員や青森県民,周辺在住国民へ安心安全を提供して頂きたいのですが。

回答のコメント
1)再処理工場においては,原子力災害事前対策等に関する検討チーム会合におけるハザード評価を行っておりシミュレーションは行わないとの回答。ハザード評価は
2)で指摘するように重大事故の評価とは言えないものだ。放射性物質の拡散がどうなのか実施し公開すべきである。2)指摘された検討チーム会合の資料によると,日本原燃と国は高レベル廃液が係る重大事故時,事故は廃液の蒸発乾固で収束するとした内容であり,乾固後の硝酸塩を主とする固体と混入抽出有機物の爆発について全く検討していないことがわかった。不都合な危険を評価せずUPZを5kmとしていたことがわかった。
3)不正競争防止法の「営業秘密の定義は(1)秘密として管理されていること(2)実際に利用されているかに関わらず,有益な情報であること(3)公然に知られていないこと以上の3つの要件全てを満たす必要があります。」と解説にあった。廃液中の核種濃度やガラス固化体に含まれるストロンチウムの量が事業者間で有益な情報やノウハウなのだろうか。そもそもこの法律が適用されない(競争がない)案件であろう。恣意的に解釈し情報公開をしない姿勢がわかった。
4)トリチウム,クリプトン85などの全量放出を「十分な拡散・希釈効果があり安全性からも最も妥当な方法だ。」と回答。このような環境基本法を蹂躙する言葉を発する商業者は今どきいないであろう。呆れ果てる強弁,平和を装う軍事産業であることがこの言葉の背景にあるのではないか。
5)海水のサンプリング日時はどのように決め測定したのかとの質問に対し「意図的に数値が不検出となるような環境試料の採取を行うことはありません」と過剰反応の回答があった。やはり意図的に採取したのではないか。そのようなことを問うていないサンプリングの日時をどう決めたのか聞いていると返答,確認し後で答えるとのこと。
6)使用済燃料を電力会社に送り返すということではなく緊急時の対処方法を尋ねたのだが・・・。やはり緊急時に移送し受け入れるプールはなく答えられないのであろう。このような安全に係る対応についてはなおざりにされている。
7)ことあるたびに「IAEAでは」と金科玉条であるのだが,高レベル廃液量についてそのIAEAへ国によりいい加減な報告が行われていることがわかった。原因は日本原燃が高レベル放射性廃棄物として高レベル廃液を国に報告していないことにある。なぜ,報告しないできたのか調べて回答するとのことだ。JAEA東海は報告している。
8)なぜJAEA東海再処理工場が行った安全策を,六ケ所でできないのか。一旦戦争によるミサイルや電磁パルス攻撃を受けたときや自然災害による火山灰火砕流などが到達した場合,高レベル廃液の安全管理ができないことがよくわかった。その廃液をより安定な固化することが最上の安全策であるのだが「適切な管理,重大事故の対応」の回答で済ませようとしている。ウラルの核惨事(マヤーク事故)や旧西ドイツ政府の重大事故シミュレーション(人口の半数死亡)を見る時貯蔵する高レベル廃液を固化安定化しゼロにすることがなんとしても最優先し実施されるべきことである。そして,再処理から撤退することだ。

【おわりに】
 六ケ所再処理工場に貯蔵されている高レベル廃液により,私達の安全が脅かされていることが,今回の質問要望書の回答と7月19日に行われたその説明会でよくわかりました。高レベル廃液が蒸発乾固後析出する硝酸塩と抽出有機物の混合固化物が爆発する可能性について全く評価せずにUPZを5kmと定めたことは非常に重大な国民への背信行為だと思います。10基の貯槽に入っている高レベル廃液全量には福一原発事故時大気放出量の約35倍のセシウム137,約2600倍のストロンチウム90が含まれていると想定しています。なぜJAEA東海再処理工場が行った高レベル廃液の早期安定化安全策を,六ケ所再処理工場でできないのでしょうか。一旦戦争によるミサイルや電磁パルス攻撃を受けた場合や自然災害による火山灰火砕流などが到達した場合,高レベル廃液の安全管理ができないことがよくわかりました。その廃液をより安定に固化し減らすことがより良い安全策なのですが日本原燃は「適切な管理,重大事故の対応」との回答で済ませようとしています。ウラルの核惨事(マヤーク事故)や旧西ドイツ政府の重大事故シミュレーション(人口の半数死亡)を見る時安全管理できない高レベル廃液を固化安定化し廃液をゼロにすることがなんとしても私達の安全上最優先し実施されるべきことだと思います。
 7月19日の説明会は時間が1時間と制限され,24項目の質問の一つ一つについて細かい質問はできず仕舞いで終わりました(30分延長)。私達はこの高レベル廃液の早期安定化を再三訴えました。今後も訴え続けていかなければいけないと思っています。福一原発事故当時4号機のプールの使用済燃料が全てメルトダウンした場合,官邸は事故炉半径170km圏強制避難,250km圏は避難対象地域指定との最悪のシナリオを試算していました。六ケ所再処理工場が貯蔵する約3000トンの使用済燃料にはこの福一原発4号機使用済燃料中セシウム137の約10倍のセシウム137が含まれていると推定しております。このように保管貯蔵されている放射性物質は高レベル廃液ばかりではありませんが,さしあたって最も危険な高レベル廃液の対処を求めております。
 今回の質問要望行動では,さまざまな問題点がわかってきました。トリチウム,クリプトン85などの全量放出を「十分な拡散・希釈効果があり安全性からも最も妥当な方法だ。」と呆れ果てる強弁回答に驚きました。このような環境基本法を蹂躙する言葉を発する商業者は今どきいません。平和を装う軍事産業であることがこの言葉でよくわかります。日本原燃が高レベル廃液の量を国へ報告していなかったことは奇妙なことです。このような人々の安全に係る最も基本的で大事なデータを示さず,そのことを国が了承しIAEAへ報告するのもおかしなことです。IAEA報告書では六ケ所再処理工場には高レベル廃液はゼロとされ,事実と異なる統計が出ています。
 ガラス固化がうまくいっていないこと,海水モニタリングのトリチウム濃度が操作されたのではないかということ。ミサイルや電磁パルス攻撃には工場は対応できずお手上げ状態になること。落雷対策は不備であること,緊急時にガラス固化体や使用済燃料,高レベル廃液の移送先はないことを私達は覚悟しなければいけないこともわかりました。
 ガラス固化の報告書が評価審議未了になっていることとも合わせ,これらは次に原子力規制委員会(規制庁)や防衛省等への要請行動の際に訴え対策を求め,活かすようにしていくつもりです。
 回答により私達の安全を保証する日本原燃の姿勢の欠如,具体的な重大事故対策の不備がよくわかりました。日本原燃を再処理から撤退させることがこの国の安全を守る最も良い具体的な方策だということがわかりました。

*日本原燃の広報部総務部のみなさんにはご多忙のところ説明の場と時間を設けていただきました。質問で確認するとの項目について文書回答をお願いします。
 会社の方針もあろうかと思いますが,今後とも貴社職員家族や人々の安全のため説明を丁寧に十分に行っていただきたくお願いします。

(三陸の海・岩手の会永田)

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