[2024_01_23_08]能登地震7階ビル倒壊 くい、基礎からぬけたか 一部損傷で連鎖的に 専門家「他でも起こりうる」(東奥日報2024年1月23日)
 
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能登地震7階ビル倒壊 くい、基礎からぬけたか 一部損傷で連鎖的に 専門家「他でも起こりうる」

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 能登半島地震で多数の建物被害が出た石川県輪島市では、7階建てのビルも倒壊した。現場を調べた東京大地震研究所の楠浩一教授(耐震工学)らのチームは、地下の岩盤に打ち込まれた一部のくいが損傷して傾いた結果、その他のくいが建物の基礎部分から抜けたと推定。「今回だけの特殊な事例ではない」と注意を呼びかける。
 建築基準法の耐震基準は、1978年の宮城県沖地震による建物被害を受け、81年に厳格化された。ただ、楠氏らによると、新しい耐震基準は、基本的には建物本体が強化の対象で、くいの強度に関しては巨大地震を明確には想定していないという。楠氏は「他の地域で巨大地震があれば同様の事態が起こり得る」と強調する。
 チームは5〜8日に調査を実施。地上7階建てのビルは片側が大きく沈み込む形で横倒しになり、3カ所の基礎部分が露出していた。基礎にはそれぞれ4、5カ所の穴があったが、くいはなかった。抜けて地下に残されているとみられる。
 こうした状況から、チームは片側のくいが激しい揺れで折れるなどして損傷し、建物の沈み込みが発生したと推定。建物が傾き、地面に向かって回転するように倒れたことで、引っ張る力を受けたもう一方の側のくいが耐えきれず、基礎から抜けたと分析した。
 楠氏は、くいの損傷要因として、揺れが極めて強かったことのほか、揺れの周期が幅広くパワーがあり、中層程度の建物にも大きな影響を与えるものだったことを挙げた。所有する会社のホームページによると、ビルは72年に建てられた。古い耐震基準だったことも影響したとみている。
 現地調査では、周囲の複数の建物も傾いているのが確認された。楠氏は、傾いている建物はくいが損傷している可能性が高いと指摘。「倒壊する恐れもあり、今後も状況を継続的に確認して、場合によっては建物に近づかないなどの対策が必要だ」としている。
 石川県のまとめによると、22日午後2時現在、県内で3万7千棟超、うち輪島市では1100棟を超える住宅被害が確認されている。

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