[2024_01_01_26]【石川・能登に津波警報】「日本海で発生する地震としては最大級」京都大学・西村卓也教授が解説(TBS2024年1月1日)
 
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【石川・能登に津波警報】「日本海で発生する地震としては最大級」京都大学・西村卓也教授が解説

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 石川県沖で発生した地震について、京都大学防災研究所の西村卓也教授の解説です。(1日19:30ごろの放送より)

 ■地震のエネルギーはこれまで最大だったものに比べても30倍以上

 ーー気象庁の発表によりますと、これまでも同じ場所で3年以上、地震活動が継続していましたが、今回の地震はそれまでのに比べて広範囲であったということですが、どのように受け止めればいいのでしょうか。

 京都大学防災研究所 西村卓也教授:
 地震活動自体は3年くらい前から長期間、続いていました。
 2023年5月5日に発生した地震のマグニチュードが6.5で、これが今までで最大だったのですが、今回のマグニチュードは7.6で、1.1の違いですけれども、地震のエネルギーにすると30倍以上の違いがあります。
 今回は今まで起こってきた地震よりもはるかに大きい規模の地震が発生したということが言えると思います。

 ーー最大震度7を観測した地震から、3時間以上が経っても今なお、ずっと震度4、5レベルの地震が続いてますね

 西村教授:
 やはり本震の規模が大きいと、それだけ余震といいますか、その周辺で誘発するような地震も多いということで、これは時間が経つと徐々に少なくなってはくるんですけれども、やはりまだしばらく大きい地震が続いてしまうと思います。

 ■東西にして100キロ以上の範囲が、今回の震源域になった可能性も

 ーー1週間程度、特に2、3日程度はその規模の大きな地震、強い揺れを伴う地震が発生する可能性が高いということです。一連の地震活動の原因として、この1年程度言われてきた水とみられるような「流体」の存在ですね。
 深いところから浅いところに移動している、あるいは北側に向かって移動している。これが今回の地震とどういう関連があるか、どう見ていますか?

 西村教授:
 今回の地震もですね、今までの一連の地震とメカニズムとしては基本的には同じようなもので、水が入ってきたことを原因として起こったものと言ってもいいと思います。
 ただ、今回、規模が今までよりも大きく、その水が今まで入ってきたような領域よりも遥かに広い範囲で、東西にすると100キロ以上の範囲が、今回の地震の震源域となったと思われるんですね。
 ですので、水が入ってきた、流体が入ってきたことは地震のきっかけにはなっていますが、それだけでは地震を起こせずに、元々この辺りに溜まっていた、長期間溜まっていたひずみを解消するということで、今回の地震が発生したと思われます。

 ■日本海地域で発生するような地震としては最大級の地震

 ーーこれまでも断続的に起きていた地震は、「水の溜まり」が誘発しているのではないか。しかし、今回の地震は、より広範囲になっている。今までの最大マグニチュードは6.5。それが今回マグニチュード7.6。今後どうなると予測されていますか?

 西村教授:
 今回の地震は、日本海地域で発生するような地震としてはもうほぼ最大級の地震だと考えていただいていいと思います。
 今後も同じ規模くらいの地震が、まだ1週間くらいは発生するかもしれないと注意をしなければいけませんが、徐々に落ち着いていくと思います。
 ただ、大きい地震があると、その周辺でも大きい地震が活発化されることがあります。我々が思い出すのは2004年の新潟県中越地震です。
 この地震も、本震と同じぐらいの規模の地震が、1週間くらいの間に3回、4回起こったというようなことがありまして、日本海側の地震は、割と地震を誘発したり、余震が活発な傾向が多い地震が多いので、今回の地震についても、まだしばらくの間は十分、地震の揺れに対し警戒が必要だと思います。

 ーー日本海側は特にそのタイプの地震が統計的に多い?

 西村教授:
 そうですね。日本海側の断層はかなり複雑に入り組んで、複雑な形状をしています。
 太平洋側は、比較的断層がまっすぐ一枚になってるんですけれども、日本海側は断層が複雑に絡んでおりますので、今回の地震とはちょっと違ったタイプの地震がまた誘発したりというようなことがあって、1か所だけではなく、その周辺にも、地震による影響、その力のストレスがかかって、さらに他の地震を誘発することもあると思います。

 ■今後起こる地震についても、津波の警戒が必要

 ーー流体の存在だけではなく、能登半島に非常に多いと言われている、活断層や断層、こういったものと一体化して動くような形で今回の大きな地震になったという考えはお持ちでしょうか?

 西村教諭:
 その通りですね。流体だけでこれだけの規模の地震は、起こせないんですね。流体が貫入した範囲というのは、ある程度今までの調査によっても、ある程度場所がわかっています。
 が、それは能登半島の北東部の大体20キロぐらいの範囲の領域だけで、今回の地震は能登半島の北半分から、さらに東側の佐渡島の方まで、東西100キロぐらいの範囲が震源域となっているので、流体が入った領域だけでは今回の規模の地震を起こすのは難しいので、元々このあたりにあった活断層とかが連鎖して、これだけ大きい地震があったというふうに考えられますね。

 ーー気象庁は今の時点で、震源の深さを「ごく浅い」と表現しています。おそらく、ごく浅いと気象庁が言うときは10キロに満たない、非常に地表に近いところで起きた場合に使う表現です。
 それから、震源としては能登地方となっていますが、地図上を見ると、かなり海域とギリギリのポイントで起きているので、規模の大きい地震が今後もあるのであれば、津波への警戒や注意というのは引き続き、油断ならないような状況の地震になるのでしょうか?

 西村教授:
 今回の地震自体でも、能登地方と言っても、海域も含んだその周辺も含めて、地震の震源域となっていますので、そのために今回、大きな津波も来ているわけですね
 この後さらに周辺で発生する地震というのは当然海域に含まれますので、そうなってきますと、今後起こる地震についても、津波の警戒が必要だということになります。

 ーー大津波警報も出続けていますが、解除までにかなり時間がかかるとみていいでしょうか?

 西村教授:
 そうですね。日本海側で発生する津波というのは、一度その津波が発生して、陸側に押し寄せてもですね、日本海ってのは、内海になってまして、大陸側ですねロシアとか朝鮮半島の方から、こういった津波がまた跳ね返ってきて今度また日本列島に押し寄せるようなこともありますので、その関係で、一度発生した津波が長時間、日本海の中でずっと続いている、継続するっということも、今までの過去の地震でもありました。
 ですので、まだ一両日中ぐらいはですね、普段に比べるとそういう海岸付近の方は、十分注意しなきゃいけないなと思います。
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