[2023_12_02_02]<東海第二原発 再考再稼働>(60)東海村議編 原子力は必要 まず避難計画を 新政とうかい・吉田充宏さん(63)(東京新聞2023年12月2日)
 
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<東海第二原発 再考再稼働>(60)東海村議編 原子力は必要 まず避難計画を 新政とうかい・吉田充宏さん(63)

 07時57分
 東海第2原発の事故に備えた安全性は、現在進められている安全対策工事が終われば確認されると考えているので、会派としては再稼働すべきだと言い続けている。私は原子力関係の仕事をしてきたこともあって、原子力エネルギーの有効活用は絶対に必要だと訴えてきた。国が原子力を最大限活用する方針を打ち出したことも、再稼働するべき大きな理由だ。
 もちろん再生エネルギーも増やさないといけないが、どうしても不安定だ。それを何でカバーするのかといえば、これから技術開発が進めば蓄電池という方法もあるかもしれないが、現時点で安定的に電力を供給できるのは原子力だ。
 当然、30キロ圏内の14市町村の広域避難計画策定は、再稼働の前提だ。全国で広域避難計画の策定義務がある市町村は130〜140カ所ほどあるが、県外ではほとんどが既に策定を終えている。他県の議員と話をすると、なんでできていないのかといつも驚かれる。
 そもそも、避難計画は再稼働するためにつくるわけではない。原子力施設があるからつくらないといけないものだ。実効性という部分で慎重派がよく言うのは、バスの確保など県や国が担う部分で、東海村が背負っている部分ではない。
 だが、まずは東海村が計画をつくらないと、県だって緊急時対応をまとめられない。実効性を上げるためにも、深掘りする議論に入るためにも、早く計画を策定するべきだ。「バスが足りていないから村の避難計画をつくってはいけない」という理屈は、私には理解できない。
 最近は電気代の高騰も厳しい。私は皆さんに理解してもらうために、自宅の電気使用量と料金をずっと記録している。2021年と22年の12月の電気料金を比べると、22年の方が使用量が少ないのに電気代は1・5倍近かった。本当に驚いている。
 企業はもっと苦しい。電気代が数千万円、場所によっては数億円という世界だ。鉄鋼業なんかでも海外の方がコストが安いから高炉を止めるという話もある。製造業がどんどん日本から手を引いている。日本は本当にそれでいいのだろうか。もはや技術大国とは呼べなくなってきている。
 電気代の高騰もあって、村民からも最近では「やっぱり運転は必要だね」と言われることが増えた。東海村は原子力と共存共栄している。予算を見てもかなりの割合が原子力関係で、福祉や教育が充実しているのは、そういう事情がある。いま再稼働を目指すと言えば、理解していただける村民は多いと思う。
 東日本大震災以降、村議選で東海第2原発の再稼働を明確に訴えてきた候補者は、私を除けばほとんどいなかった。しかし来年1月の村議選では初めて、会派全員が再稼働を明確に訴えていこうという話になっている。ただ再稼働と言うだけじゃなく、なぜ再稼働なんだという話もしっかりする。これまでの村議選では他に大事な課題もあったが、次の選挙は再稼働の問題が一番重要になってくる。(聞き手・長崎高大)

<よしだ・みちひろ> 1960年生まれ。名古屋市出身。茨城大工業短期大学部卒。日本原子力研究開発機構の職員となり東海村で勤務し、安全管理業務に携わる。2012年の東海村議選で初当選し、3期目。定数18のうち10議席を有する最大会派「新政とうかい」に所属。現在は副議長を務める。
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