[2023_08_30_13]東海第二原発事故時の放射性物質拡散シミュレーションをなぜ公開しないのか 避難計画の重大な前提となる拡散シミュレーションが公開されないのは不可解 新潟県でできることが茨城県でできない理由は考えられない 上岡直見(環境経済研究所代表)(たんぽぽ2023年8月30日)
 
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東海第二原発事故時の放射性物質拡散シミュレーションをなぜ公開しないのか 避難計画の重大な前提となる拡散シミュレーションが公開されないのは不可解 新潟県でできることが茨城県でできない理由は考えられない 上岡直見(環境経済研究所代表)

 各社報道によると2023年8月21日に、東海第二原発の30km圏内の15市町村でつくる「東海第二原発安全対策首長会議」が、コロナでの中断を経て約4年半ぶりに水戸市役所で開かれた。(※1)
 ここで、茨城県の依頼で日本原電が作成した事故時の放射性物質の拡散シミュレーション結果が討議されたが、座長の高橋水戸市長は会議後に「公表段階にない」として公表されなかった。
 拡散シミュレーションはすでに原電から昨年末に提出されており、専門機関が検証した後に公表するとしていた。関係者によると、首長会議で資料が配られたが、会議終了後に回収され結果は残っていないという。
 しかし日本原電が来年の再稼働を表明しているときに、避難計画の重大な前提となる拡散シミュレーションが公開されないのは不可解である。
 高橋市長は「公表で住民の不安をあおることにならないか」と発言しているが、これは全く逆効果である。
 社会心理学の研究によればデマや風評は[結果の重大性]×[不確実性]の掛け算で決まるとされている。
 再稼働を目前に控えて「不安をあおるから公表しない」というのでは、何か再稼働に都合の悪い結果が出ているのではないかという推測を招いて当然である。
 これに対して新潟県では、いくつかの事故ケースを想定したシミュレーションで「どの地域で、どのくらい被ばくするか」という結果が具体的な数値で示されている。(※2)
 新潟県でできることが茨城県でできない理由は考えられない。住民の間では情報公開請求が検討されていると聞いているが、速やかに公開すべきである。
 (※1)『東京新聞』2023年8月22日
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/271750
 (※2)新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会
 「放射性物質拡散シミュレーション結果」2015年12月17日
 https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/genshiryoku/1356828270087.html
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