[2023_08_31_05]<東海第二原発 再考再稼働>(58)原電本店前で毎月反対集会 とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人・柳田真さん(83)(東京新聞2023年8月31日)
 
参照元
<東海第二原発 再考再稼働>(58)原電本店前で毎月反対集会 とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人・柳田真さん(83)

 2023年8月31日 07時54分
 世話人を務める「とめよう!東海第二原発首都圏連絡会」は、二〇一八年八月から毎月欠かさず、日本原子力発電本店(東京都台東区)前で東海第二原発(茨城県東海村)の再稼働に反対する集会を開いている。八月で六十一回目で、最近は毎回七十人ほどが参加している。どこの会社でもそうだが、やはり本社に直接訴えかけることが一番効果的だ。
 東海第二の再稼働に反対する理由は複数ある。営業運転開始から四十五年たつ老朽原発であることや、建屋の耐震性能が低く地盤が軟弱で地震に弱いことに加え、事故や故障などのトラブル件数が多いのも不安材料だ。運転期間中には計二百六十一件のトラブルが報告されており、これは日本でもトップクラス。最近は火災も非常に多い。
 電気代が高騰しているから原発の再稼働を求める人たちもいるが、再稼働しても電気代は安くならないと言いたい。東京電力の電気料金が高いのは、いまは一ワットも電気を生まない原発に対するこれまでの巨費の投資や、東海第二の安全対策工事にかかっている費用負担などが電気料金に含まれているからだ。トータルで見れば、原発は廃炉にした方が電気料金は下げられる。
 東海第二は来年九月には現在進めている工事を終え、再稼働を強行してくるだろう。東海第二で過酷事故が起これば、茨城だけでなく首都圏全体が放射能まみれになる。このことは随分と訴えてきたつもりだが、東海第二の危険性については東京圏ではまだ十分に浸透していない。よく知らない人が多いため、最近では「東京に一番近い原発」と紹介するようにしている。
 八月下旬には、東京から約五十人でバスに乗って東海村に現地見学に行った。東海第二や、日本原子力研究開発機構の核燃料サイクル工学研究所の前を通ったり、ジェー・シー・オー(JCO)の臨界事故が起きた建物を見たりした。半数くらいは初めて行くという人だった。こうした地道な活動は続けたい。
 毎月の原電本店前の集会では毎回、廃炉を求める申し入れ書を提出している。受け取ってはもらえるが、返事があったことは一度もない。集会は東電本店前でも毎月やっているが、東電からは毎回ではないが返事はある。各地の原発の反対運動にも携わっているので電力各社と関わってきたが、その中でも対応が一番よくないのが原電だ。
 原発を再稼働させないと会社を存続させられない原電の立場はわかっているつもりだ。私たちはこれまで「つぶれてしまえ」とか「社員の給料を下げろ」という類いのことを言ったことはない。私たちが提案しているのは、国内初の東海原発の廃炉のノウハウを生かし、廃炉専門の会社になってもらうことだ。
 十一月には、都内で八百人規模の会場を借りて再稼働に反対する大集会を予定している。廃炉を求める署名活動も進めており、現在四千筆ほど集まった。もっと集めた後、原電と茨城県、立地・周辺六市村長に提出したい。工事完了まで約一年と重要な時期になってきたので、小さな市民団体だが、多少無理してでも多くの人に訴えかけたい。(聞き手・長崎高大)

<やなぎだ・まこと> 1940年、愛知県瀬戸市出身。早稲田大法学部を卒業後、東京都庁に入庁し労働局(現産業労働局)などで勤務した。都職員労働組合の執行委員も務め、労働運動にも関わった。2000年に退職し、環境保護と原発廃止を目指す「たんぽぽ舎」を立ち上げる。現在は共同代表。
KEY_WORD:TOUKAI_GEN2_:TOUKAI_KAKU_: