[2023_10_31_02]次世代原子炉「高速炉」の建設計画、米企業との連携強化を正式発表…最新知見を日米で共有 (読売新聞2023年10月31日)
 
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次世代原子炉「高速炉」の建設計画、米企業との連携強化を正式発表…最新知見を日米で共有

 19:01
 日本原子力研究開発機構は31日、次世代原子炉「高速炉」の開発計画で、米原子力企業テラパワー社と連携を強化することで合意したと正式発表した。高速炉の実用化で先行するテラパワー社が、原子力機構などに技術支援をする。重大事故対策や、原子炉を大型化した際の設計などでも連携する。
 原子力機構とテラパワー社などが2022年1月に締結した覚書を改定した。これまでの覚書では核燃料の取り扱い装置の共同開発などを決めていた。
 高速炉は、高速の中性子の性質を利用して、通常の原子力発電所よりもプルトニウムなどを効率的に燃やす原子炉だ。強い放射線を長期間出す放射性廃棄物の量も減らせる。発電用の熱を取り出すための冷却材に液体ナトリウムを使う。
 日本では、使用済み燃料に含まれるプルトニウムを取り出して再利用する「核燃料サイクル」の中核施設に位置付けられている。〈1〉発電施設がない基礎段階の「実験炉」〈2〉発電ができる「原型炉」〈3〉経済性を検証する「実証炉」〈4〉実用炉(商用炉)――の4段階で開発が進む。日本は40年代に国内で実証炉の運転を始めることを目標にしている。
 一方、米政府から支援を受けるテラパワー社は、28年以降に米ワイオミング州で実証炉の稼働を計画している。原型炉の「もんじゅ」(福井県)が廃炉になるなど、高速炉開発で停滞する日本はテラパワー社の計画に参入し、人材育成などを進める方針だ。ただ、日本が蓄積した技術を一方的に米側に提供する形になることへの懸念も指摘されていた。
 今回の覚書改定によって、日本より早く実証炉を稼働させる予定のテラパワー社の最新知見を、日米で共有できるようになった。
 原子力機構の小口正範理事長は31日、「国際協力は開発を効率的に進めるうえで重要であり、日米間の高速炉開発協力を発展していきたい」とするコメントを出した。
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