[2025_03_25_11]再処理工場稼働しなければ「絵に描いた餅」 容認の関電新工程表、使用済み核燃料を搬出(産経新聞2025年3月25日)
 
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再処理工場稼働しなければ「絵に描いた餅」 容認の関電新工程表、使用済み核燃料を搬出

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 福井県内にある関西電力の原発から出る使用済み核燃料の県外搬出を巡り、関電が示した新たな工程表を同県の杉本達治知事が24日、容認する方針を示した。これにより原発運転継続に向けた懸念は解消されたが、搬出先である日本原燃の使用済み燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の完成は延期を重ねてきた経緯がある。さらに延期になれば原発稼働に一層深刻な影響を及ぼすことは必至で、厳しい状況は続いている。
 「さらに遅れるということは考えていない。考えたくない」
 福井県庁で関電の森望社長と面談後、新たな工程表を容認すると発表した杉本知事は、再処理工場の完成がさらに延期となった場合について問われると、言葉少なに語った。
 関電は新たな工程表で再処理工場に従来の計画より2年遅れの2028年度から計198トンを3年間で運び出し、その後も必要な量を搬出するとした。また27〜29年度に高浜原発から約200トンをフランスに搬出する従来の計画に加え、30年度以降に計約200トンを運び出すとした。
 関電が同県内で再稼働させた原発7基で、使用済み燃料を保管している燃料貯蔵プールは、燃料の搬出がなければ数年で満杯になる計算だ。

 ■2032年度以降、貯蔵量減少

 関電は他の電力会社に協力を呼びかけ、再処理工場の当初3年間の受け入れ枠のうち6割を占有することで搬出量の確保にこぎつけた。関電によると、32年度に使用済み燃料貯蔵量はプールの容量の約97%に達するが、その後減少する見通し。
 だが、そもそも再処理工場が稼働しなければ工程表は「絵に描いた餅」になる。再処理工場は1997年の完成予定が度重なるトラブルで延期を繰り返している。
 原燃が昨年8月に表明した27回目の延期は原子力規制委員会の審査への対応が難航していることが原因。関電は従来40人体制で人員を派遣していたが、新たに検査対応や工程管理の「エース級」の人材を投入しており、森社長は「日本原燃と一体となって順調に進んでいる」と自信を見せる。
 しかし、福井県内では「計画通りに進む担保はない」と懐疑的な見方も少なくない。杉本知事は武藤容治経済産業相とのオンライン面談で「県議会からは厳しい意見があった。(再処理工場の)竣工(しゅんこう)の進捗(しんちょく)管理などは国が責任を持って対応してほしい」と要望。武藤氏は「国も事業者とともに責任を持って取り組む」と応じた。
 使用済み核燃料問題に終止符を打つには、国や事業者が一体となって取り組む必要がある。(桑島浩任)
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