[2025_03_31_05]使用済み核燃料県外搬出の新工程 福井知事容認「軽い」の声 再処理(六ヶ所)稼働時期巡り懸念(東奥日報2025年3月31日)
 
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使用済み核燃料県外搬出の新工程 福井知事容認「軽い」の声 再処理(六ヶ所)稼働時期巡り懸念

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 福井県の杉本達治知事は、関西電力が再提示した使用済み核燃料の県外搬出の工程表を認めた。日本原燃の燃料再処理工場(六ヶ所村)の完成目標延期を受け関電が見直していた。福井県内の3原発の燃料プールは逼迫するが、主な搬出先とする工場が27回も完成を延期しており、予定通り稼働するかは見通せない。県内からは「軽過ぎる決断だ」と非難の声も上がる。

 「今後も運転については問題ない」。杉本知事は24日、県庁で関電の森望社長らと面談した後、40年超原発3基の運転継続に理解を示した。今年2月に示された新工程表を実効性のある計画≠ニ認めた。
 関電は2023年に工程表を提示したが、24年8月、燃料の搬出先としていた再処理工場の完成が2年半延期に。森社長は県外搬出に向けた計画を再び示せなければ、3基を運転しないとしていた。関電は新工程表で新たに、28年度から3年間で計198トンを再処理工場に運び出す計画を示し、工場全体の処理量の6割を確保したことを強調した。

 「われわれの8番目の発電所」。2月の県議会で、関電の水田仁原子力事業本部長は工場をこう呼び、県内の原発7基(高浜1〜4号機、大飯3、4号機、美浜3号機)の再稼働に携わった社員を六ヶ所村に多数投入し力を注いでいることをアピールした。工程表の進捗状況を適宜、県と共有することも約束した。
 県の容認には立地自治体の地域振興策も少なからず作用した。関電の工程表再提示の3日前、県内の原発立地地域の将来像を議論する定例会合が開かれ、国は原発事故時の避難道路を複数整備する方針を示した。調査費用として、15億円の交付金も用意した。
 あるベテラン県議は「原発で働いている人がいて、経済への影響を甚大に被るのは立地町だ。地元が原発停止を望まないのに県や県議会が求めることはできない」と打ち明ける。
 一方で、完成延期を繰り返してきた再処理工場への懐疑的な見方は強い。別の県議は「工程表の見直しが必要になるのではないかという懸念はぬぐえない」と話す。
 美浜原発が立地する美浜町では2月の町議会で「延期を繰り返してきた中で、計画全体が絵に描いた餅としか思えない」と追及が相次いだ。他の立地町議会でも懸念の声が多く出たが、各町長に一任する予定調和の流れに落ち着いた。
 疑問は立地自治体以外からも。美浜町に隣接する若狭町の農業石地優さん(72)は工程表判断に県内の全17市町の意見を反映させることや、県民向け説明会の開催を県に求めたが、実現しなかった。「使用済み燃料は世代を超えて続く重い問題なのに、知事の決断はあまりに軽過ぎる」と声を落とした。
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