[2023_08_12_02]むつ・RFS 中間貯蔵 月内にも認可 審査9年半、終結へ(東奥日報2023年8月12日)
 
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むつ・RFS 中間貯蔵 月内にも認可 審査9年半、終結へ

 原子力規制委員会による使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)の審査で、最終段階に当たる「保安規定」の認可が8月中にも得られる見通しとなった。事業者のリサイクル燃料貯蔵(RFS)が新規制基準への対応のため2014年1月に申請して以降、9年半に及んでいる一連の審査が終結する。ただ、事業開始前の最終検査に使う核燃料を運び出す東京電力相崎刈羽原発(新潟県)は、規制委による核燃料の移動禁止命令がいまだ解かれていない。RFSは事業開始時期について、保安規定の認可段階で見極めるとしてきたが、「このタイミングで見通すのは難しい」(同社幹部)情勢だ。 (佐々木大輔)

 操業時期は見通せず

 保安規定は、原子力事業者が自ら定める施設の運転管理方法で、中間貯蔵施設は20年11月の安全審査の合格後も操業に向けた審査が続いている。
 RFSは今年7月末、保安規定の審査で認可の前提となる最終補正書を規制委に提出。主要な論点は解消済みで、関係者によると、早ければ8月中に認可される見通し。事業変更許可、設計・工事計画の変更認可を含め、新規制基準への適合を巡る審査にめどが立った。
 21年7月、RFSは事業開始見込みを2年延期し23年度とした一方、「あくまで暫定的」と留保。具体的な時期は「備安規定認可の見通しが得られた段階で見極める」とした。最終補正書の提出でその段階に入ったものの、当初は想定しなかった誤算も生じている。
 認可後は地元との安全協定の締結を経て、使用済み核燃料を入れたキャスク(貯蔵容器)1基を用いた最終検査を予定する。しかし搬出元の柏崎刈羽原発は、東電社員のIDカード不正利用や故障が相次ぎ、核燃料の移動を禁じる是正措置命令が出されたまま。RFSは既にキャスクを同原発へ送っているが、最終検査の実施は見通せない。
 さらに安全対策追加工事も継続中。保安規定の認可をめどに位置づけた当時から「いろいろ状況が変わってしまった」(同社幹部)ことで、具体的な目標時期の設定は難航が想定される。規制当局も「検査工程の組み方を含めて(柏崎刈羽原発の動向に)左右される形になるのではないか」(原子力規制庁関係者)とみる。
 最長50年の保管を終えた核燃料は、40年程度の操業を見込む日本原燃・六ヶ所再処理工場(六ヶ所村)に続く「第2再処理工場」に運び出すとされた。しかし現時点で第2工場の計画は白紙状態で、搬出先は「搬出時に稼働している再処理工場」(東電)としか示されていない。電力各社で共同利用する構想も宙に浮き、中間貯蔵施設を取り巻く情勢は不透明感が増している。

 使用済み核燃料中間貯蔵施設

 原発で使った核燃料を再処理するまでの間、空冷式のキャスク(貯蔵容器)に入れて一時保管する。東電、日本原子力発電の核燃料計5千トンを最長50年、貯蔵する計画。3千トン規模となる1棟目の建屋は完成している。
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