[2021_05_14_04]浜岡原発全炉停止10年 技術系社員「運転未経験」4割(静岡新聞2021年5月14日)
 
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浜岡原発全炉停止10年 技術系社員「運転未経験」4割

 東日本大震災による東京電力福島第1原発事故後の政府要請に基づき、2011年5月に全炉停止した中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)で、運転経験のない技術系社員の割合が約4割に上っていることが13日までの中電への取材で分かった。同原発は14日で停止から丸10年。将来的な再稼働も目指す上で、停止の長期化に伴う安全管理の技術力の維持・向上が課題となっている。
 中電によると、同原発で発電や保修、放射線管理、燃料管理などに携わる技術系社員は4月15日時点で574人。このうち、福島第1原発事故後の11年4月以降に入社した211人(36・7%)が運転プラントの状態を経験していないという。
 発電を担う当直運転員では、現場の責任者に当たる発電指令課長や副長を除き、運転未経験者の割合が約55%と半数を超えている。
 福島の事故の影響もあって原子力業界全体で人材不足が指摘されるが、浜岡原発に新規配属される技術系社員は採用計画の通り毎年25人程度と一定水準で推移する。中電は「説明会やインターンシップを通じ、電力会社で働く意義や社会的使命を学生らに伝え、優秀な人材の獲得に努めている」と強調する。
 当面は運転プラント未経験の若手が増えていく中、必要な知識・技能の習得に向け、社内教育や実践的な訓練に力を入れていると説明。運転状態の緊張感を養うため、自社の火力発電所などを活用した研修にも取り組む。
 林欣吾社長は4月の原子力規制委員会との意見交換で、長期の停止により「リアリティー(現実感)がだんだんなくなっていく」と危機感を示した。現場対応力の強化に全力を挙げる姿勢を強調するとともに、社員のモチベーションを保つため「浜岡の位置付け、役割をしっかり共有することが大事だと考えている」と述べた。
静岡新聞社
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