[2021_05_13_02]浜岡原発と地元の今 停止10年 政府要請の裏側を証言(静岡県)(SBS静岡放送2021年5月13日)
 
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浜岡原発と地元の今 停止10年 政府要請の裏側を証言(静岡県)

 浜岡原発が運転を停止してから5月14日で10年です。オレンジでは13日と14日の2日間、浜岡原発と地元の「今」を特集します。1回目は、当時の政府が停止要請をした一番の理由は何だったのか、当事者の証言です。

 <菅直人元首相>「福島原発事故というのは、その後の浜岡原発停止も含めて、原発に対する私自身の考え方が180度変わった。変わらざるを得なかった」
 <(2011年5月6日)菅直人首相(当時)>「浜岡原子力発電所の全ての原子炉の運転停止を中部電力に対して要請しました」
 浜岡原発は当時の菅直人総理の一言で停止に追い込まれました。当時の判断理由を尋ねると真っ先にあげたのは経済産業大臣だった海江田万里衆議院議員の名前でした。
 <菅直人元首相>「海江田経産大臣が直前に浜岡を視察し中部電力の幹部と話しをされ、5月6日にやってきて『浜岡原発は停止すべきだ』と」
 <(2011年5月5日)海江田万里経済産業相(当時)>「国民に安全性を伝えねばならない立場として、しっかり見させていただきます」
 10年前のこどもの日、海江田大臣は福島第一原発の事故を受けて浜岡原発の安全対策を視察しました。
 当時は、定期点検中だった3号機の再稼働が一つの焦点でした。
 <(2011年5月5日)海江田万里経済産業相(当時)>「(Q.3号機の再稼働は延期される?)そんなに結論を急がないで下さい」
 <海江田万里元経済産業相>「最初私が菅総理の所に行きましたら、3号機のことかという反応が返ってきた。3号機だけではなくて4号機も5号機も止めるんだという話をしましたら最初はびっくりしていましたけど、菅総理もそこはすぐ『そうだ、自分もそう思う』と賛成してくれた」
 <(2011年5月9日)中部電力 水野明久社長(当時)>「内閣総理大臣からの要請は極めて重いと受け止めています」
 中部電力は政府の要請を受け10年前の5月14日、浜岡原発のすべての原子炉を停止しました。
 <海江田万里元経済産業相>「(Q.停止しなければならないと決断された決め手は?)当時はまだ防潮堤などなかった。もし波が来たら砂丘を一直線に駆け上がるんじゃないかと。データを事前に調べていましたが、最終的に今止めるしかないと思ったのは現地視察」
 停止から10年、浜岡原発には1.6キロにわたり海抜22mの防波壁がそびえたちました。この10年間、中部電力は安全対策に力を注いできました。
 <中部電力浜岡地域事務所 榊原浩之専門部長>「東日本大震災以降、津波対策、重大事故対策としてここに6台、非常用ガスタービン発電機を設置しました」
 防波壁や高台への非常用電源の設置、施設の耐震性の向上など中部電力が対策に費やした金額は4000億円にも上ります。
 <中部電力 林欣吾社長>「福島第一原発のような事故は二度と起こさないという決意を風化させることなく、ハード・ソフト両面での安全対策の徹底はもとより、我々の思いや取り組みを皆さまに分かりやすく丁寧にご説明していきたい」
 <菅直人元首相>「結果として止まったことは良かったし、現在まで止まっていることも、良かったというかいいことだと思っている」
 <海江田万里元経済産業相>「今現在の時点での評価で言えば、あの時の判断は間違っていなかったと思っています」
 政府の要請で浜岡原発が運転を停止してから10年。安全対策は着実に進んだものの再稼働の見通しはいまだ立っていません。

静岡放送(SBS)
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