[2022_02_08_04]元首相ら5人が大臣、知事に逆抗議 「脱原発」市民団体が意見集約 福島原発事故EU書簡問題(夕刊フジ2022年2月8日)
 
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元首相ら5人が大臣、知事に逆抗議 「脱原発」市民団体が意見集約 福島原発事故EU書簡問題

 小泉純一郎、菅直人両氏ら5人の首相経験者が先月、東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県内の多くの子供たちが甲状腺がんに苦しんでいるという書簡をEU(欧州連合)欧州委員会に送った問題で、新たな展開だ。山口壮環境相と福島県の内堀雅雄知事は今月初め、元首相5人に「誤った情報」などとして抗議文書をそれぞれ出していたが、5人は「脱原発」運動に取り組む市民団体を通じ、逆抗議と質問状を送り付けていた。
 「(県や国連の専門家による調査で)現時点では放射線の影響とは考えにくいという趣旨の評価がされている」「いわれのない差別や偏見を助長することが懸念される」(山口環境相)「福島復興のためには、科学的知見に基づいた情報発信が極めて重要」「客観的な発信をお願い申し上げます」(内堀知事)小泉、菅、細川護熙、村山富市、鳩山由紀夫という元首相5人による書簡に対し、国と自治体のトップはこのような抗議文書を出した。
 その際、5人の自宅や個人事務所ではなく、小泉、細川両氏が顧問を務める市民団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が窓口となって受け取り、5人に内容が伝えられた。
 5人は昨年3月11日、この市民団体が主催した「脱原発イベント」で、「我々は原発という不条理と闘う」という内容の「共同宣言」に署名するなど、関係を深めてきた。
 このため、市民団体が今回、「元首相5人の意見の取りまとめ役を務める事務局」となり、山口環境相と内堀知事に先週、「抗議兼質問書」を送ったという。
 山口環境相への「抗議兼質問書」には、「この10年で266人の発症者中、222人が甲状腺摘出手術を受けた。これでも多くの子供が甲状腺がんに苦しんでいるとの事実を否定するのか」「環境省は266人の小児甲状腺がんの原因は何だと主張・立証するのか」と記されていた。
 市民団体幹部は「抗議文はこちらでつくった。そのうえで、元首相5人から『国や福島県の抗議は、遺憾だ』といった意見も聞き、了解を得てから送った」と、夕刊フジの取材に語った。
 市民団体は、山口環境相は10日、内堀知事は15日を回答期限とし、回答内容は公開予定という。
 双方の見解は、まったく食い違うようだ。
 岸田文雄首相は7日の衆院予算委員会で、元首相5人の書簡について、「被災地の多くの方が復興に向けて努力し、風評被害の払拭が進んだことを忘れてはならない」と語った。
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