[2025_06_19_05]目指そう、新潟県柏崎刈羽原発への依存からの脱却 首都圏全体が他県の原発への依存から脱却することを目指すべき 田中三彦(元新潟県技術委員会委員、元国会事故調委員)(たんぽぽ2025年6月19日)
 
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目指そう、新潟県柏崎刈羽原発への依存からの脱却 首都圏全体が他県の原発への依存から脱却することを目指すべき 田中三彦(元新潟県技術委員会委員、元国会事故調委員)

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 ◎ 東京都は電力をへらす(H)、つくる(T)、ためる(T)のHTTで気候変動対策に寄与しエネルギーの安定的確保を目指すという。
 しかし、だから今後は新潟県の原発からの電力は不要という話は聞かないし、国のエネルギー基本計画は新潟県柏崎刈羽原発を首都圏に電力を供給する重要な電源と位置づけている。
 首都圏が、それもとくに東京が柏崎刈羽原発を頼りにする限り、新潟県民の原発大事故への不安は解消されないし、原発由来の行き場のない大量の核のゴミ問題もますます深刻度を増していく。

 ◎ 問題は、こうしたことが都民にはけっして自分事としては見えていないことだ。
 首都圏の為政者たちは、福島第一原発以降、原発の安全性は独立性の高い原子力規制委員会により厳格に審査されているから、原発がさらなる大事故を起こすことは考えていないかもしれないが、それは大きな誤りだ。

 ◎ 規制委員会初代委員長の田中俊一氏は、「規制委員会は規制基準への適合性を審査しているのであり、原発が安全だとは申していない。国会でも何でも、何回もそう答えてきた。」(注1)と明言している。
 テロ対策施設が完成していない、大雪の際の事故時避難方法が定まらないなど、柏崎刈羽原発再稼働は問題山積で、花角知事は再稼働の判断に苦慮しており、近いうち、再稼働を巡る県民の意識調査を実施することを表明している。

 ◎ そんな中、県の主要紙『新潟日報』はこの4月、東電の営業範囲内の1都8県の知事へ再稼働が必要かなど14の質問に対する文書によるアンケート調査結果を公表した。(注2) これに対して小池東京都知事はほとんどの質問にたとえば「原子力政策は国レベルで議論、検討がなされものであり、回答を差し控えたい」といった血の通わぬ定型文で応じている。

 ◎ 柏崎刈羽原発問題はけっして国と新潟県だけの問題ではない。東京都の大問題でもある。静観ではなく、今こそ東京都がリーダーシップをとって首都圏全体が他県の原発への依存から段階的に脱却することを目指してほしい。

 (注1)2014年7月16日、川内原発1、2号機の規制基準適合性審査書案についての記者会見での発言から。

 (注2)新潟日報デジタルプラス2025年4月21日WEB配信記事<小池百合子都知事や黒岩祐治・神奈川県知事らに聞く「柏崎刈羽原発再稼働問題」首都圏トップの見解は?>

  (2025.6.1「生活者通信」No405、発行「東京・生活者ネットワーク」より了承を得て転載)
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