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[2025_09_26_08]<社説>泊再稼働の審議 多角的検討尽くさねば(北海道新聞2025年9月26日) | ![]() |
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参照元
04:00 開会中の定例北海道議会は、北海道電力泊原発3号機の再稼働の是非を巡る鈴木直道知事の姿勢が焦点となっている。 北電は2027年早期の再稼働を目指す。道と立地4町村の同意が最低条件となる。知事と道議会は結論を急がず多角的に検討し尽くさねばならない。 知事は各会派の代表質問の答弁で「再稼働の判断時期を申し上げる状況にない」とし、「道議会や関係自治体、道民の声などを踏まえ、総合的に判断したい」と繰り返した。 事故への懸念や不安については「原子力防災対策に終わりはないとの認識の下、その一層の充実を図る」と述べるにとどまり、具体策には触れなかった。 一連の答弁は踏み込み不足だと言わざるをえない。道民の命と暮らしを守るリーダーとして、泊原発を巡る国の説明や北電の主張に対し、懐疑的な視点を交えつつ審議に臨み、質問に具体的に答える責務がある。 知事は原発の安全性や必要性について、エネルギー政策に責任を持つ国が丁寧に説明することが重要だと答弁した。国も出席する道主催の住民説明会が、11月まで各地で開かれている。 泊1〜3号機の新設を審議した当時と決定的に異なるのは、東京電力福島第1原発事故で原発の安全神話が崩れたことだ。 北海道に原発は必要なのか、想定外の事故が起こるリスクはないのかなど、道が主体的にあらゆる疑問を俎上(そじょう)に載せ、全道民的な議論を行うべきである。 道には原発を過渡的エネルギーと位置付け、脱原発の理念を明記した省エネルギー・新エネルギー促進条例がある。道議会は条例と再稼働の整合性を含めて知事の認識をただし、知事は明確に語ってもらいたい。 何より問題なのは、事故時の避難だ。住民説明会でも「バスが確保できるのか」など不安の声が上がった。バスの運転手は平時でも不足している。大地震と原発事故が同時に起きる複合災害では、道路が寸断されて避難はさらに困難となる。 原発から30キロ圏内の自治体には避難計画の策定が義務付けられている。これらの実効性の有無は、知事が再稼働を判断する上で最も重要な点となろう。 核燃料輸送船の新港や、新港と発電所を結ぶ専用道路の詳細はまだ不明だ。安全性が担保されているとは到底言えない。 泊3号機の安全対策費は膨らんでいる。再稼働による電気料金の値下げは小幅になるとも指摘されている。原発は安価なエネルギーだとの前提に立った議論は成り立たない。 |
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