[2025_06_27_13]白亜紀後期の海は「イカだらけ」 北海道大学、微小化石見る技術で判明(日経新聞2025年6月27日)
 
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白亜紀後期の海は「イカだらけ」 北海道大学、微小化石見る技術で判明

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 1億〜7000万年ほど前の白亜紀後期の海はアンモナイトや魚が主役だと考えられてきたが、実は「イカだらけ」だったとする研究結果を、北海道大の伊庭靖弘准教授(進化古生物学)らのチームが26日付で科学誌サイエンスに発表した。
 殻や骨を持たないイカは化石として見つかりにくく、これまで白亜紀の海のイメージには登場していなかった。
 チームは、岩石を100分の1ミリという薄さで削りながら撮影を繰り返し、内部の化石を小さなものまで全てデジタルで立体的に再現する技術を開発。北海道各地にある白亜紀の岩石から、イカの「くちばし」という硬い組織の化石を約260個特定した。大きさは平均で約4ミリだった。
 見つかったくちばしの形からイカはおよそ40種に分類でき、現生のイカに近いものもあった。年代の異なる岩石の観察から、イカは1億年前ごろ現れ、600万年ほどの間に急速に多様化したと推定された。個体数は、繁栄を誇ったアンモナイトを上回るほどいたらしい。
 イカは同じ頭足類のアンモナイトが持つような殻を捨てた代わりに、えさを取るのに有利な高い遊泳能力を獲得し、機敏に動き回るための知能も発達させたと考えられる。白亜紀末に生物が大量絶滅した後に多様化した魚やクジラより一足早く海の生態系で地位を築き、現在まで中心的な存在で居続けているという。〔共同〕
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