[2025_06_29_01]米原発 冷却水4トン超漏れ 23年 手順無視し虚偽報告(共同通信2025年6月29日)
 
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米原発 冷却水4トン超漏れ 23年 手順無視し虚偽報告

 04:00
 【ワシントン共同】米中西部イリノイ州のクアッドシティーズ原発で2023年、原子炉の停止作業中に運転員が手順書を無視して弁が閉じているか確認せず、冷却水約4500リットルが漏れて炉の水位が低下するトラブルがあったことが28日、原子力規制委員会(NRC)の報告書で分かった。NRCは今年5月、現場責任者が上司の叱責を恐れ「ホースの損傷が原因」と虚偽報告するなど6件の違反があったと通知、処分を検討している。
 個人にとどまらず組織として安全を軽視する体質が露呈した形。こうした姿勢は東京電力福島第1原発事故でも指摘された。
 漏れは6分後に止まったが、あと9分続けば冷却水が核燃料の上端まで低下する恐れがあった。科学者らでつくる米団体「憂慮する科学者同盟」は「炉心損傷や放射性物質の放出の可能性がある大事故の前兆だった」と批判している。
 クアッドシティーズ原発は電力大手コンステレーション・エナジーが運用。福島第1と同じ沸騰水型が2基あり、1973年に運転開始した。
 報告書によると、2023年3月28日、燃料交換のため1号機の原子炉を停止中、運転員が手順書を無視し、177個の弁が閉じているか確認しないまま制御棒を挿入。冷却水が原子炉建屋内に漏れ、炉の水位が約15センチ低下した。制御室で低下に気付き給水量を増やした後、現場から水漏れの報告を受け、漏れを止めた。
 このほか燃料上端まで水位低下するのに1〜8時間かかると事態を過小評価していたほか、作業員2人が顔に冷却水を浴びたが、除染などの適切な措置を取らなかった。
 コンステレーション・エナジーは、1979年に2号機が炉心溶融事故を起こしたスリーマイルアイランド原発(現クレーン・クリーン・エナジー・センター)を運営している。2号機の廃炉を進める一方、2019年に閉鎖した1号機を27年にも運転再開させる方針。
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