[2024_10_11_04]経団連、原発の最大限活用を要請 「エネルギー基本計画」改定に向け政府に提言(産経新聞2024年10月11日)
 
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経団連、原発の最大限活用を要請 「エネルギー基本計画」改定に向け政府に提言

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 経団連は11日、政府が令和6年度内をめどに策定する第7次エネルギー基本計画に向けた提言を発表した。原子力発電に関して、現行の第6次計画で示された「可能な限り依存度を低減する」方向を改め、脱炭素効果が高い電源として最大限活用すると位置付けるよう求めた。岸田文雄前政権が4年にまとめた「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」では原発を最大限活用する方針に転換。6次計画と齟齬が生じており、7次計画での解消を強く要請した格好だ。

 ロシアによるウクライナ侵略や緊迫化する中東情勢でエネルギーを取り巻く環境は一変し、エネルギー安全保障の重要性が一段と高まっている。経団連は現状を「石油危機以来のエネルギー危機」と分析。AI(人工知能)の普及などによって今後、電力需要の増大も見込まれている。2050(令和32)年にカーボンニュートラル(温室効果ガス実質排出ゼロ)を実現するためには、大量の電気を安定的に供給できる原発の活用拡大の道筋を明確に示すことが不可欠とした。
 提言では、既存の原発を全て再稼働しても40年代から順次、運転期間が終了することから、原発の建て替えや新増設がなければエネルギーの安定供給ができなくなる可能性があると指摘。原発の新設には十数年から20年の時間がかかるため、今から計画を作成するよう進言した。

 経団連は提言策定にあたり、加盟企業の役員クラスを対象に電力問題に関するアンケートを実施。約9割が電力供給に課題を感じているとの回答を得た。経団連の担当者は将来の電力供給に対する懸念がぬぐえなければ「製造業を中心に設備投資を抑制せざるを得ない状況に追い込まれ、大規模な産業の空洞化が生じる可能性がある」と話した。提言は太陽光など再生可能エネルギーの主力電源化も必要だとして「さらなる導入を図ることが不可欠だ」と強調した。
 エネルギー基本計画は、国のエネルギー政策の指針で、おおよそ3年に1度、見直しが行われている。(佐藤克史)
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