[2024_07_01_08]志賀原発 電源復旧が長期化(東奥日報2024年7月1日)
 
参照元
志賀原発 電源復旧が長期化

 04:00
 北陸電力志賀原発(石川県志賀町)は能登半島地震でトラブルが相次いだ。建屋や設備の安全は確保できたが、外部から電力を受ける変圧器が損傷。復旧は長期化し、今も外部電源の一部が使えない。原発外では事故時の避難道路の寸断や屋内退避施設の損壊が多発し、国の指針を見直す動きにつながった。
 1月1日の地震で志賀町では震度7を、1号機地下では震度5強を観測。北陸電の解析では、揺れの加速度が、一部で設計上の想定をわずかに上回ったことが判明した。
 1、2号機原子炉建屋では、使用済み核燃料を貯蔵するプールの水が地震の影響でこぼれ、1号機は冷却のためのポンプが約40分間停止した。
 1、2号機は運転停止中で、燃料冷却などの電源を外部に頼っているが、2基の変圧器の配管接続部が一部破損し、外部電源は計5回線のうち、2回線が使えなくなった。変圧器からは放射性物質を含まない油が計約2万3400リットル漏れた。
 北陸電は変圧器の部品が地震の揺れと共振し、接続部に許容値を超える力が加わったと推定。補強材や、接続部に揺れを吸収する継手を施す対策を念頭に検討している。1号機の変圧器は仮復旧し8月に本格復旧を見込むが、2号機は補修方法を検討中で、復旧時期は見通しが立っていない。
 北陸電の情報発信にも課題が残った。当初、火災が発生したと原子力規制委員会に報告し、後に訂正。約3500リットルと説明した2号機からの油の漏えい量については、実際は5倍超で、一部は海に流出したことも分かった。担当者は「混乱を招き、反省、改善すべき点があった」と説明した。
 能登地震では、原発事故時の避難道路が寸断され、屋内退避に必要な家屋などの倒壊も起きた。東京電力福島第1原発事故を踏まえた避難計画の実効性に各地で懸念が広がり、規制委は2月、原子力災害対策指針の見直しに向け検討を始めた。
KEY_WORD:能登2024-変圧器の耐震性向上が必要_:FUKU1_:NOTOHANTO-2024_:SIKA_: