[2024_05_31_09]令和6年能登半島地震以降の志賀原子力発電所の現況について(5月31日現在)(北陸電力2024年5月31日)
 
参照元
令和6年能登半島地震以降の志賀原子力発電所の現況について(5月31日現在)

 04:00
   令和6年能登半島地震以降の志賀原子力発電所の現況について(5月31日現在)

 2024年5月31日
 北陸電力株式会社
 北陸電力送配電株式会社

 志賀原子力発電所は、1、2号機(定期検査により停止中)とも、外部電源や必要な監視設備、冷却設備および非常用電源等の機能を確保しており、原子炉施設の安全確保に問題は生じておりません。また、発電所に設置しているモニタリングポストの数値に変化はなく、外部への放射能の影響はありません。

 令和6年能登半島地震に伴う1号機起動変圧器および2号機主変圧器からの絶縁油の漏えい等の事象における現場調査等の結果について、原子力発電工作物に係る電気関係報告規則第3条に基づき、原子力規制委員会および経済産業大臣に電気関係事故報告を提出しております(1月30日にお知らせ済)。
 その後、損傷した変圧器の破面観察や構造解析を行い、本日、当該事象の原因および対策について取りまとめた電気関係事故報告を原子力規制委員会および経済産業大臣に提出しましたので、お知らせいたします。(添付資料)

 また、令和6年能登半島地震以降の志賀原子力発電所の現況について、これまでお知らせした内容を別紙1、2のとおり更新しました。

 引き続き発電所設備全般の詳細な点検を継続し、発電所の安全確保に努めてまいります。
 今後、詳細な点検の過程で新たな不具合が確認された場合は、お知らせしてまいります。

添付資料 電気関係事故報告の概要
別紙1   令和6年能登半島地震以降の志賀原子力発電所の現況について(5月31日現在)
別紙2   発生事象および現時点までの対応状況

以 上

添付資料

         電気関係事故報告の概要

1.志賀1号機起動変圧器からの絶縁油漏えい
<要旨>
 絶縁油の漏えいが確認されたNo.4放熱器について上部配管接続部の損傷(約 60mm)及び補強板とフィン溶接部の割れを確認。これらについて、破面観察及び構造解析を実施。
 損傷した原因は、放熱器が地震動と共振したため、放熱器上部配管接続部に対して設計時に考慮した静的水平加速度 0.5G を上回る加速度が発生し、部材に許容値を超える過大な応力が発生したことによるものと推定。

<破面観察結果>
 No.4放熱器上部配管接続部及び補強板において、主に「延性破壊※1」を確認。
 (延性のある金属材料が過大な荷重を受けた時に発生するディンプルと呼ばれるくぼみを多数確認。)

 ※1 「延性破壊」:材料に引張力を加えた時に大きな塑性変形を起こし、最終破断までに材料の著しい伸びや絞りを伴う破壊現象。

1.志賀1号機起動変圧器からの絶縁油漏えい(つづき)
<構造解析結果>
(1)固有値解析
  ・変圧器本体(タンク部)が剛構造であることを確認
  ・放熱器が共振しやすい構造であることを確認
(2)動的解析
  ・損傷箇所に静的水平加速度0.5Gを上回る加速度が発生したことを確認
  ・損傷箇所に許容値を上回る応力が発生したことを確認


1.志賀1号機起動変圧器からの絶縁油漏えい(つづき)
<事象進展メカニズム>
@ 地震発生に伴い、放熱器が共振
A フィン−補強板溶接部の応力が許容値を超過し破断
B No.4放熱器の補強板−補強板溶接部にき裂が進展し破断
C No.4放熱器の補強板が破断することにより放熱器の揺れが増大
D No.4放熱


2.志賀2号機主変圧器からの絶縁油漏えい
<要旨>
 絶縁油の漏えいが確認されたNo.11 冷却器について上部配管接続部の損傷(約 130mm)を確認。これらについて、破面観察及び構造解析を実施。
 損傷した原因は、冷却器が地震動と共振したため、冷却器上部配管接続部に対して設計時に考慮した静的水平加速度 0.5G を上回る加速度が発生し、部材に許容値を超える繰り返し応力が発生したことによるものと推定。

<破面観察結果>
 上部配管接続部において、主に低サイクルの「疲労破壊※2」を確認。
 (低サイクルの疲労破壊時に発生する亀裂進展幅の大きいストライエーション状の模様を確認。

※2「疲労破壊」:材料に繰返し応力がかかることで、表面または内部の欠陥や割れなどを起点として小さい割れが徐々に進行し、最終的に構造物が破壊する現象。

2.志賀2号機主変圧器からの絶縁油漏えい(つづき)
<構造解析結果>
(1)固有値解析
 ・変圧器全体で共振しやすい構造であることを確認
(2)動的解析
  ・損傷箇所に静的水平加速度0.5Gを上回る加速度が発生したことを確認
  ・損傷箇所に許容値を上回る応力が発生したことを確認
  ・繰返し応力の回数が許容値(地震動の波形から評価)を超過したことを確認

<動的解析の結果(概要)>


2.志賀2号機主変圧器からの絶縁油漏えい(つづき)
<事象進展メカニズム>
 @ 地震に伴い、冷却器が共振
 A 共振状態が継続し、上部配管接続部に繰返し応力が発生
 B No.11 冷却器上部配管接続部に繰返し応力の回数が許容値を超えたことにより疲労破壊が発生し損傷
(その他のNo.1〜10 冷却器の上部配管接続部についても損傷を確認)


3.地震対策
 今回損傷した変圧器について補修等を行う。
 また、地震発生に伴い、変圧器の一部部品に共振が発生したことが原因であることから、更なる信頼性向上のため、共振を抑制する等により、今回の地震動を踏まえた地震対策をすすめる。

以 上

【まとめ】令和6年能登半島地震以降の志賀原子力発電所の現況について(5月31日現在)
 (中略)

令和6年能登半島地震以降の志賀原子力発電所の現況について(5月31日現在)別紙1_参考(1/2)
 (中略)

令和6年能登半島地震以降の志賀原子力発電所の現況について(5月31日現在)別紙1_参考(2/2)
 (中略)

発生事象および現時点までの対応状況 別紙2 2024年5月31日現在
 (後略)
KEY_WORD:能登2024-変圧器の耐震性向上が必要_:NOTOHANTO-2024_:SIKA_: