[2023_06_05_07]山菜のセシウム汚染の現状は? 福島第一原発事故から12年 飯舘村、楢葉町で定点調査 2023年春【動画】(東京新聞2023年6月5日)
 
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山菜のセシウム汚染の現状は? 福島第一原発事故から12年 飯舘村、楢葉町で定点調査 2023年春【動画】

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 除染されることもなく福島県浜通りの山野には、今も東京電力福島第一原発事故による放射能汚染の影響が残る。本紙は2017年以降に飯舘村と楢葉町で、山菜に含まれる放射性セシウムの定点調査を続けてきた。事故から12年後の現状を報告する。(山川剛史)

 ◆徐々に濃度が下がる傾向

 これまでの調査結果の推移を見ると、徐々にセシウム濃度が下がる傾向にある。楢葉町では、セシウムをため込みやすいコシアブラを除けば、食品基準(1キログラム当たり100ベクレル)を下回る。飯舘村でも、タラの芽やシドキなど土壌は汚染されていても、セシウムの移行度合いは小さい山菜もある。
 ワラビやゼンマイなどは食べる前にあく抜きをするので、濃度はさらに低くなる。塩漬けした後に塩を抜けば、ほぼセシウムが抜けることは、本紙のこれまでの調査で確かめられている。
 ただし愛好者の多いコシアブラは、天ぷらやまぜご飯にすることが多く、セシウムはほとんど抜けない。本紙の採取中に出会った人たちが「最近はあまり気にせず食べている」と話していたのが気になった。
 記者は、30ベクレル程度までは受け入れて食しているが、いずれも測定して濃度を確かめた後。同じ地域でもセシウムは均一に分布しておらず、土壌の質で移行の度合いも大きく異なるためだ。

 ◆同じゼンマイ畑でも濃度に差

 山菜をこよなく愛し、本紙調査の協力者でもある飯舘村の伊藤延由さん(79)は今年、ゼンマイ畑の所有者の好意で、ゼンマイ計86キロを収穫。
 傾斜した畑を上、中、下段に分け、計20回以上に分けてセシウム濃度を測定した。その結果が上の表。
 畑上段の方が濃度は低めだが、これだけ大きな濃度差がある理由はよく分からない。伊藤さんは「表土ははぎ取っていない畑。『測ってみないと分からない』を再認識した」と話している。
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