[2023_06_05_08]【震度6強 珠洲】海底断層の地震 警戒を 金大・平松教授 シンポで報告(中日新聞2023年6月5日)
 
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【震度6強 珠洲】海底断層の地震 警戒を 金大・平松教授 シンポで報告

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 石川県珠洲市など能登半島で続く群発地震について、金沢大の平松良浩教授(地震学)は4日、原因と考えられている地下の流体の移動速度を他の群発地震と比較すると、継続期間は3年程度と推測できるという調査結果を明らかにした。一方、5月5日の最大震度6強の地震が、海底にある別の断層での大地震につながる可能性もあるとして、注意を呼びかけた。

 「群発地震 3年程度と推測」

 昨年7月に始まった研究者による地震調査の成果報告会として市内で開かれたシンポジウムで報告した。
 平松教授は震源の移動から、地下から上がってきた流体の広がる速さは、1秒あたり0.1平方メートルと求められると紹介。世界の群発地震を見ると流体の進む速度が遅いほど地震の続く期間が長く、流体の速度が同程度の群発地震では平均3年ほどで収束していると説明した。ただ同程度の流体速度の群発地震で10年近く続いた例もあるという。
 地震活動の分析から、2021年11月より後は、地下からの流体の新たな供給がないとみられることも示し「平均的に考えると、地震活動は、そろそろ終わりに向かってくれてもいいのではないかというデータではある」と語った。
 シンポジウムではこのほか衛星による精密な位置情報(GNSS)や地下の電磁気など、大きく分けて7種類の手段で調べた結果を研究者5人が報告した。
 5月5日の地震は午後2時42分ごろに発生。震源の深さは約12キロで、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.5。20年末ごろから活発化した群発地震の一つで、地下深くの流体の移動が関係しているとされる。震源が珠洲市沖の海底にある大きな活断層に近いため、影響を与える可能性があると注意を促した。
 万が一、海底活断層が動いた場合はマグニチュード7クラスの地震が起き、津波の可能性もあるという。地殻変動を研究する京大防災研究所の西村卓也教授は市民からの質問に答え「(今回の地震の震源の)近くに活断層があるということは、隣で火事が起こるのと同じような状態。燃え移るかは分からないが、何もない状態に比べれば、警戒が必要だ」と語った。(上井啓太郎)
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