[2023_07_04_08]「核汚染水」「核廃水」 原発処理水の海洋放出に中国や韓国が反発(東京新聞2023年7月4日)
 
参照元
「核汚染水」「核廃水」 原発処理水の海洋放出に中国や韓国が反発


 ◆中国メディアでは「日本政府がIAEAに献金」という怪文書も

 【北京=石井宏樹】東京電力福島第一原発の処理水について中国は「核汚染水」とし、海洋放出への反発を強めている。中国外務省の毛寧副報道局長は4日の定例会見で、国際原子力機関(IAEA)の報告書に関し「報告書は日本の放出計画の『通行証』にはならない」と主張した。
 IAEAの調査を巡っては「日本は当初から調査チームの権限を制限し、ほかの処理案の評価を認めなかった」と指摘。「報告書では計画の正当性や合法性を証明できず、日本は道義的責任や国際法上の義務を免れない」と報告書の内容にに疑義を投げかけた。
 呉江浩駐日大使も4日、東京都内で記者会見し、「国際社会と真剣に協議すべきだ」と述べ、何らかの対抗措置を示唆した。
 4日付の中国紙・環球時報は、傘下の調査機関が周辺11カ国で実施したとされる世論調査の結果を掲載し「9割近くが放出を懸念し、憤りを抱いている」と批判し、放出計画に反対する国際世論づくりを進める。また、中国メディアは「日本政府がIAEAに政治献金をした」という出所不明の文書に基づく報道を繰り返しており、海洋放出を「外交カード」に使おうとする動きもみられる。

 ◆韓国与党「結果を謙虚に受け止め」の一方、野党は「批判と遺憾」

 【ソウル=上野実輝彦】処理水放出の妥当性を認めたIAEAの報告書を巡り、韓国内では冷静な対応を呼びかける与党と反発を繰り返す野党の反応が分かれた。与党「国民の力」の報道官は報告書が発表された後「今まで以上に冷静な対応が必要になる」と表明。「最高の専門家で構成されたIAEAの作業チームが2年間調査した結果であり、謙虚に受け止めねばならない」と求めた。
 処理水を「核廃水」と呼び、放出に反対する野党「共に民主党」に対し、与党側は「科学的根拠なく政争のために扇動しても国際的に恥をかくだけだ」と批判し、「『怪談政治』をやめて国民の安全のため知恵を絞るべきだ」と主張した。
 一方、共に民主党はIAEAが「多核種除去設備(ALPS)」の性能を検証していないとし、「責任を事実上放棄した」と非難。報告書は「日本政府と東京電力の立場で書かれたもので、世界と韓国の懸念解消にはならなかった」と反発した。革新系の少数野党「正義党」も「科学的確実性より政治的偏向の懸念が強い。拙速な報告に批判と遺憾の意を表明する」との声明を発表した。
KEY_WORD:汚染水_:FUKU1_: