[2023_03_12_01]経済プレミア・トピックス 金子勝氏「岸田政権の原発回帰で電力会社はボロもうけ」 川口雅浩・経済プレミア編集長(毎日新聞2023年3月12日)
 
参照元
経済プレミア・トピックス 金子勝氏「岸田政権の原発回帰で電力会社はボロもうけ」 川口雅浩・経済プレミア編集長

 
 超党派「原発ゼロの会」の指摘(上)

 「この法案は根本的に欠陥がある。電力会社に60年を超え、原発を限りなく動かすインセンティブ(誘因)を与えることになる」。岸田政権が今国会で成立を目指す「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」について、金子勝慶応大名誉教授(財政学)はこう指摘する。一体どういうことなのか。
 超党派の国会議員らで作る議員連盟「原発ゼロ・再エネ100の会」が3月2日、岸田政権が進める原発政策の見直しについて衆院第2議員会館で議論した。この中で金子氏は有識者代表として、国会議員や官僚らを前に法案の問題点を指摘した。
 岸田政権は法案の中で、2033年度から電力会社に対する「排出量取引制度」の導入を目指している。この制度は政府が電力会社の二酸化炭素(CO2)排出量に応じて排出枠を割り当て、電力会社がその量に応じて「特定事業者負担金」を支払う仕組みだ。
 電力会社はCO2を排出しない再生可能エネルギーや原発で発電すれば負担金を支払わなくてすむ。政府は負担金をペナルティーとして用い、電力会社が火力発電から脱炭素電源に切り替えることを狙っている。
 ところが、電力会社にとっては初期コストのかかる再エネを導入するより、既存の原発を再稼働させ、長く使う方が負担金を免れるには都合がよい。

 内閣官房と議論かみ合わず

 冒頭の金子氏の発言は、この点を指摘したものだ。「60年超の原発の運転は電力会社が最もやりたがっている。新たな負担金を発生させないため、原発を動かし、火力を減らすのが最適な行動となるからだ。老朽原発を全部稼働させれば、電力会社は(負担金を払わなくてすむので)ボロもうけになる。政府はそれを誘導しようとしている」というのだ。
 これに対して、内閣官房のGX実行推進室の担当者は「これはCO2の排出量に着目した制度で、33年度以降に導入していく。原子力の稼働条件に応じて何かを低減させるというもので(後略)
KEY_WORD:原発_運転期間_延長_:岸田首相_次世代-原発_検討指示_:再生エネルギー_: