[2023_03_11_04]原発めぐり岸田首相 “丁寧な説明続けたい” 東電前では抗議も(NHK2023年3月11日)
 
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原発めぐり岸田首相 “丁寧な説明続けたい” 東電前では抗議も

 原子力発電所の運転期間を実質的に延長する政府方針をめぐり、岸田総理大臣は訪問先の福島県で、安全性の確保などが最優先であることを丁寧に説明していく考えを示しました。
 政府は、最長60年とされている原発の運転期間を実質的に延長できるようにする法案を今の通常国会で成立させたいとしています。
 これについて岸田総理大臣は、福島県で、記者団に対し、「エネルギーの安定供給と脱炭素の両立は、わが国にとっても重要な国家課題だ。原発依存度を可能なかぎり低減しつつ、必要な規模を持続的に活用していく」と述べました。
 そのうえで「安全性と地元の理解が最優先であることは大前提だ。こうした政府の方針について被災3県の皆様を含め、今後も丁寧な説明を続けていきたい」と述べました。
 また、政府は、福島第一原発にたまる処理水を基準を下回った状態に薄めて海に放出する開始時期をことし春から夏ごろになるとしています。
 記者団から、こうした政府の方針に、被災地から風評を懸念する声が出ていると問われたのに対し、「処理水の処分は決して先送りができない課題だと考えている。関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないとの方針は順守し、漁業者をはじめ地元の方々の懸念に耳を傾け、政府を挙げて丁寧な説明と意見交換を重ねていく。今後も、科学的根拠に基づく情報発信を行い理解醸成に取り組んでいきたい」と述べました。

 東電本社前では抗議集会も

 一方、東京電力の本社前では、11日、全国の原発の再稼働や原発を最大限活用するという政府方針への反対を訴える集会が開かれました。
 東京電力の本社前での集会は、原発事故の翌年から毎年3月11日に開かれていて、ことしはおよそ300人が参加しました。
 ことしは、「原発推進を許さない」とか「未知の領域の60年超え運転はやめろ」などと書かれたプラカードや横断幕が掲げられ、政府がエネルギー安定供給や脱炭素社会の実現などを目的に先月閣議決定した、原発を最大限活用するという方針に対する抗議が目立ちました。
 参加者たちは「私たちは福島の事故を絶対に忘れない」とか「原発推進への転換は許さない」などとシュプレヒコールをあげていました。
 集会に参加していた20歳の男性は、福島県いわき市から事故のあと家族で東京都内に避難したということで、「『原子力緊急事態宣言』はいまも続いていて、事故も完全には収束していない中で、再稼働に進むということがどういうことか考えてもらいたい。ひとたび原発事故が起きれば、地域は元どおり復旧すらできなくなることを忘れないでほしい」と話していました。
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