[2022_12_25_02]原発に反対する10の理由! 核エネルギーは「緑」でも「平和」でもない ドイツの読者からのお便り紹介 濱口・クレナー牧子(ドイツ在住)(たんぽぽ2022年12月25日)
 
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原発に反対する10の理由! 核エネルギーは「緑」でも「平和」でもない ドイツの読者からのお便り紹介 濱口・クレナー牧子(ドイツ在住)

 たんぽぽ舎の皆さま、いつも大切な情報をお送りくださり、ありがとうございます。
 皆さまの絶え間ない活躍に何度も元気づけられています。

 私はドイツ全体の脱原発運動についてはあまり詳しくありませんが、私の住むノートライン・ヴェストファーレン州についての報告を少しいたします。
 私は2010年からブラジルのリオデジャネイロではじめて開催されてた「国際ウラン映画祭」(IUFF参照。脱原発をテーマにした世界中の映画を上演)と協力して、その何本かを上映する権利をもらって、デユッセルドルフの小さな映画館で2012年から一年に一度か二度上映しています。一つのテーマを選んで皆とそれについて話し合うことにしています。
 でも、今年はEUで原発が「緑のエネルギー」と正式に決まって以来、原発の危険性が軽んじられるようになり、(去年までIUFFを支持してくれた「緑の党」の財団も今年からはしてくれなくなりました)やはり実際に原爆の犠牲になった日本人がもっと表に出て、原発に反対しなければいけない、と思うようになり、今年の映画祭は小さな公文の教室を借りて日本人の集まりにしようと企画しました。(もっともベルリンの「国際ウラン映画祭」の組織を担当しているドイツ人とドイツ人の活動家も参加してくれましたが。)
 上映した映画は Unser Freund, das Atom: Das Zeitalter der Radioaktivitat (フランス2020年、 Kenichi Watanabe) ,Atomlos durch die Macht (オストリア2019年、Markus Kaiser-Muhlecker)と「100ばんめのサル」(日本1986年、尾崎眞吾)でした。
※aとuに・・ウムラルトが着いていると送れないので、外してあります。
 私の映画祭はほんの小さなイベントですが、日本人が中心に毎年ドルトムントで「3.11」,「4.26」,「8.6」に「核兵器に反対する医師の国際団体」IPPNWと協力してデモを行っています。ケルンでも日本人が中心に8.6にデモをしています。
 確かに、ドイツで脱原発を唱える人間が「常識者」から「危険の宣伝者」とみられるようになってきました。
 脱原発を一時決めたのに、今ではエネルギー確保に必要だ、と思う人がふえてきました。
 Fridays for Futureの若者でそう考えているものは少なくないです。
 そのなかで、そのような人たちと討論が始まった場合、脱原発の理由を簡単にまとめたのが下記のものでした。

○原発に反対する10の理由!

核エネルギーは「緑」でも「平和」でもない (2022年10月17日)

1.危険すぎる
 (放射性物質は人間にも環境にも害を及ぼす。ウラン採掘から始まり、原発内での仕事、(2022年は猛暑による冷却水のトラブルがあった)、事故が生じた時、修復作用、爆弾攻撃、メルトダウン後の処理、そして費用のかかる廃炉の除染と最終処分場所が見つかるまで、40年間ぐらいしか使われなかったエネルギーの放射能のゴミが何百万年もの将来まで地球上に残る。)

2.高すぎる
 (稼働中の費用はただその一部にしか及ばない。原発の建設は他のエネルギー源と比較して一番高い。これに加えて、廃炉解体の除染作業費、汚染水処理、中間置き場にかかる費用、最終処分地の建築費、また、避難者/被害者に対する補助金を換算すると、一番高いエネルギー源になる。)

3.社会的弱者が犠牲者になっている場合が多い
(ウラン鉱山の多くは土着住民が住んでいるところにある。また、ウラン鉱山は発展途上国に多い。
 福島においては、廃炉後の除染は、他の仕事が見つからず、やむをえなく、危ないと知りながら仕事に携わっているものが多い。)

4.最終的には爆弾が目的
(もともと軍事的用途として開発された原発だったが、しだいに「平和的利用」として宣伝されるようになった。
 現在にいたっては、欠かせない「緑のエネルギー」と言われるようになった。
 しかし、サウジアラビアの例を見ても、石油も太陽も豊富にありながら、原発を推進しており、原発は決してエネルギー源としてではなく、軍事的目的として開発されているのが明らかである。)

5.新しいエネルギー源の開発を阻止している
(EUが原発をCO2を削減する将来の「緑」のエネルギー源と公表してから、新しい再生可能なエネルギ―を開発する努力と研究がおろそかにされている。それらを促進する財政源も減少されることになった。)

6.CO2排出は必ずしも減少しない
(再生可能な新エネルギー源が促進されなくなれば、CO2の排出は減少しなくなる。
 なお、長くかかる原発の建設過程において既に多量のCO2が放出されており、ウランの精製工程においてもCO2は出ている。
 遠い他国の原発に運ぶウランの輸送にもCO2が排出されるし、最終処分地が決まったとしても、そこに至るまでの輸送にもCO2はでる。
 また、福島事故のように原子炉が爆発して燃え出すと、放射能以外に多量のCO2が排出される。)

7.エネルギー輸入による他国の依存
(ウランを輸出できる国は限られている。ウランを必要としている国はこれらの国に頼っており、政策や価格も操られる結果になる。自給自足のエネルギー政策が他の国からの依存を減少させる。)

8.大会社の権力を増加し、分権化を阻止する
(原発の大企業は巨大な組織であり、権力をますます伸ばし、小さな企業を弱化させていく。原発を阻止しようとする市民運動と放射能の広がりを止めようとするその目的は日増しに弱くなっていく。)

9.政治界の汚職
(原子力の大手企業はその経済力を利用して政治体制を汚職することができる。従って、エネルギー政策を変えることのできる国民投票などを実現する可能性が低くなる。)

10.医学的療法に必要な放射線は現存する原発の数で十分に足りている(放射性物質を使った医学療法は必要とされている。
 しかし、ほとんどの療法はウランが必要でなく、実験室で生産できる。
 しかし、現在まだ、ウラン、したがって原発を必要とする放射性同位元素が存在しているが、提供が確保されていないために、原発を使わない新しい生産方法が模索されている。)

 ウクライナーの戦争で武器の拡張が広まっていく中、これから世の中がどうなっていくのが心配になりますが、「将来」とは私たちが想像するように発展しないのが常で、それが希望に思えます。
 例えば、面白い話ですが、今年のリオデジャネイロにおける「国際ウラン映画祭」に、フランス、スペイン、ポーランドの大使館から参加者があり、映画祭を支持したというのです。
 この機会に、Merry Christmas and a Happy New Year!と言わせていただきたい。
 どうぞ、これからも懲りずに活動を続けて、私たちを励ましてください!ありがとうございます!
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