[2022_08_03_08]原発「処理水」放出への工事、4日にも着手…福島県と双葉・大熊両町の了解受け(読売新聞2022年8月3日)
 
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原発「処理水」放出への工事、4日にも着手…福島県と双葉・大熊両町の了解受け

 東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」の海洋放出計画について、福島県と同原発が立地する双葉、大熊両町は2日、放出に必要な設備の着工を了解すると東電に伝えた。工事に向けた手続きは完了し、今後は地元漁業者らの理解を得られるかが焦点になる。東電は同原発から沖合1キロ・メートルの放出口まで続く海底トンネル建設などの工事を早ければ4日に始め、来年春頃の放出開始を目指す。
 福島県の内堀雅雄知事と双葉町の伊沢史朗町長、大熊町の吉田淳町長が、東電ホールディングスの小早川智明社長と県庁で面会し、それぞれ工事を了解する内容の回答書を手渡した。
 処理水は、2011年の事故で溶け落ちて固まった核燃料を冷却した後の汚染水から、トリチウム(三重水素)以外の大部分の放射性物質を除去したもの。同原発敷地内で約131万トンが1000基以上のタンクに保管され、廃炉作業の妨げになっている。
 回答書では、県と両町などがまとめた放出設備の保守管理徹底など8項目の安全対策を確実に実行した上で、新たに発生する汚染水の低減などを求める意見をつけた。
 処理水は放出前に海水で薄め、トリチウム濃度を国の排出基準の40分の1以下、世界保健機関(WHO)の飲料水基準の7分の1程度にする。ただ、風評被害の懸念から漁業者が一貫して反対しており、内堀知事は「県民や国民の十分な理解が得られているとは言えない状況だ」と東電側に理解醸成のさらなる努力を求めた。小早川社長は「様々な立場の皆様に説明を尽くしたい」と述べた。
 海底トンネルなどの工事には8か月半ほどかかる見通しだ。
 東電は既に、トンネルを掘るための掘削機を現場近くに配置し、最終点検を行ってきた。
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