[2022_04_16_03]電力需給、制御難しく 再エネ、出力制御相次ぐ 燃料高で法人の新規契約停止(時事通信2022年4月16日)
 
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電力需給、制御難しく 再エネ、出力制御相次ぐ 燃料高で法人の新規契約停止

 送配電会社が再生可能エネルギーの受け入れを一時停止する「出力制御」が続出している。晴天で太陽光による発電量が増え、電気を使い切れないためだ。半面、来冬には冷え込みが厳しいと多くの地域で電力が逼迫(ひっぱく)する恐れがある。一方、燃料高で大手電力が法人向け新規契約を事実上停止する事態が起きている。

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 四国電力が9日、九州電力以外では初となる出力制御を実施した。10日には東北電力管内でもあり、16日には中国電力が出力制御を実施する可能性がある。
 冬は電力確保が困難になりつつある。経済産業省がまとめた来年1〜2月の電力需給見通しでは、需要に対する供給力の余裕を示す「予備率」が、厳しい寒さを想定すると、暖房需要が拡大し、東京電力管内でマイナス1.7〜マイナス1.5%に低下。中部から九州までの6地域は2.2〜2.5%で、安定供給に最低限必要な3%を下回る。
 電力は需要と供給を均衡させないと、大規模停電につながる恐れがある。需給バランスの維持が難しくなっているのは、天候による発電量の振れ幅が大きい太陽光発電の急速な普及が一因だ。東北電管内では、太陽光の出力は2013年3月の38万キロワットから21年12月には725万キロワットと約19倍に急増した。大手電力関係者は「天候次第で原発数基分程度、出力が変動する」と指摘する。
 萩生田光一経産相は15日の閣議後記者会見で、出力制御を減らすため「大型の蓄電池の開発など(電力を)ためる技術を持たないといけない」と強調した。
 一方、燃料価格高騰で電力調達価格が上昇し、発電設備を持たない「新電力」の経営破綻が相次ぐ。新電力と契約していた企業は大手電力に切り替えたいが、北海道・沖縄電力を除く大手8社は法人向け新規契約の受け付けを事実上停止。各社は標準的な料金に比べ相当割高なプランを提案せざるを得ないという。
 企業は、利用者保護の仕組みとして設けられている送配電会社を通じた電力供給を受けた方が割安になる。ただ、この制度の利用が増えれば適切な競争や価格形成を阻害するとの声も上がっており、経産省は制度改正の検討を始めた。
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