[2022_04_16_04]小型原発、高まる関心と懸念 先端の開発現場、英国の現状探る(北海道新聞2022年4月16日)
 
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小型原発、高まる関心と懸念 先端の開発現場、英国の現状探る

 小型モジュール炉(SMR)や、次世代技術を用いた先進モジュール炉(AMR)と呼ばれる新しい小型原発が注目されている。
 背景は喫緊の課題となっている気候変動だ。原発は発電時に温室効果ガスを排出せず、小型炉は大型炉に比べて1基当たりの建設費が安いことなどから、英米などで導入を目指す動きが活発化。政府も民間の研究開発に巨額の資金を提供して手厚く支援する。
 現在の一般的な軽水炉原発の出力が、1基当たり100万キロワット前後なのに対し、同30万キロワット以下と小さい。現地で建設するのではなく、工場で部品を製造して組み立て、トラックなどで運んで建設地に据え付けるモジュール式が特徴だ。原子力業界は、工場での大量生産でコストを抑え、工期も短縮できると期待する。
 英国でAMRの開発を進める企業の一つ、ウラン濃縮会社ウレンコの子会社Uバッテリーは英中部レスター市郊外の関連企業工場に実物大模型を設置し、2月には海外メディアに公開した。投資リスクの低さや安全性をアピールし、「2028年までの1号機建設を目指す」と意気込む。
 日本も小型炉に関心を寄せる。11年の東京電力福島第1原発事故後、「原発の新増設は想定していない」としてきたが、今月にも経済産業省の審議会が専門の作業部会を設置し、研究開発のあり方について検討を始めることになった。岸田文雄首相も今年1月の参院代表質問で「開発を着実に進める」と述べた。
 だが、これまでロシアを除き、先行する米国でも小型炉は建設に至っていない。事業を進める段階で設計の問題が見つかって計画が見直されるなどし、スケジュールがずれ込んでいるからだ。建設費が当初見込みから大幅に膨らむケースもあって価格競争力への疑問がつきまとい、実際の需要がどれくらいあるかは見通せていない。(後略)
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