[2022_04_16_01]平和な時代の原子力は終わった 国の判断で、六ヶ所再処理工場を止めるという政治的な決断を 山田清彦(核燃を考える住民の会代表(三沢市在住))(たんぽぽ2022年4月16日)
 
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平和な時代の原子力は終わった 国の判断で、六ヶ所再処理工場を止めるという政治的な決断を 山田清彦(核燃を考える住民の会代表(三沢市在住))

 「Atoms for peace」は、1953年国際連合の第8回総会において、米国アイゼンハウワー大統領が行なった原子力の平和利用を提案した演説「原子力を平和のために」である。
 あれから、69年経過したが、まさかそれが覆されるとは、世界中が思っていなかったのではないかと思います。
 ところが、ロシア軍によるウクライナ侵攻で、あっさりと原子力発電所への武力攻撃が行われ、一時は占拠して、そこを拠点にして闘いを有利に進めようとしたというのだから、ビックリ仰天したというのが実態だと思う。
 なお、青森県で進められている核燃サイクル3点セットを当時の北村知事が受け入れ表明したのが1985年4月9日であった。
 ところが、当時の状況を知っている方から「2月には北村知事が受け入れ表明をしてもいいと考えていた」と聞き、青森県紙の東奥日報を検索したら、興味深い記事を見つけた。
 2月12日、イラク空軍機2機が、イランのペルシャ湾岸の都市部ブシュールにある建設中の原子力発電所を爆撃した。この時点で、核燃料物質が持ち込まれない状態で爆撃されたが、今は核燃料物質が入っている原子炉をロシア軍が攻撃したのである。
 ちなみに、北村青森県知事が「核燃」を事実上受け入れを表明したのは1985年2月25日の記者会見で、26日から開く定例県議会を前に事実上受け入れ表明した。
 電気事業連合会からの打診が前年の7月で、7ヶ月後の1月には六ヶ所村が合意し、8ヶ月後の2月には北村知事が合意したということになる。
 ちなみに県労の立地諾非の署名が、有権者の50分の1の2万2千名で足りるが、10万人を目標に2月2日にはスタートしたばかりで、この時には「核燃」諾否は6月かとされていた。
 だが青森県議会や国会議員の意見に押される形で、北村が年度内決定を急ぎ、結果的に4月9日に青森県議会全員協議会で「受け入れて然るべき」となった。
 なぜ自民党県議や国会議員らが年度内決定を急いだかと言えば、六ヶ所村が受け入れを表明しているのに、これを長引かせれば、その土台が崩れるんじゃないかという配慮があったそうだ。
 要するに、六ヶ所村内で立地諾否の署名運動が広がり、反対の声が高まるのを抑えたいということに尽きる。
 この頃運動に関わっていた方から以前聴いたことがあるが、署名した六ヶ所村民から署名を取り消すという手紙が来たらしい。
 こういう事は、核燃推進に関わる運動を広げる彼ら(電気事業連合会等)の得意技であろう。
 いずれにしろ、この時に核燃の受け入れに積極的に関わった人達に訊いてみたいが、核燃サイクル3点セットが事実上停止していると考えられませんか。
 ウラン濃縮工場は当初計画では1,500トンSWUまで増築し、毎年1工場を増設して1工場を閉止して行くはずだった。今は今年の9月に75トンを再スタートして、450トンSWUまで増設する計画。
 これが果たせるのかも疑問。まして、再処理工場は着工から29年経過して、今年度上期に竣工見込みとされていますが、もっと延期されそうだ。
 こんな状況を、1985年2月に予想できなかったにしろ、ここまで延びて来たことを考えれば、計画の見込みがなく進めてきたことを反省すべきではないかと思う。
 但し、このような延期がなく、もっと早くに再処理工場が操業していたら良かったかと言えば、もっと災難に見舞われていた可能性が高い。
 通常の運転でも、大量の放射性気体・液体が環境中に垂れ流され、海産物や農産物にそれらが集積され、青森県産というだけで、売れない食品の代名詞となっていたかもしれなし。
 そして、万が一に事故が起きていたら、村外とか県外に避難する人が多くなっていたかもしれない。そういう事故の可能性を絶えず抱えている状態にあったかもしれない。
 そういう意味においては、現在まで六ヶ所再処理工場が操業していなかったことは奇跡に近いが、残念ながらアクティブ試験で相当量の核のゴミを溜め込んでいる。
 特に高レベル放射性廃液約211立方mを貯蔵しているので、これを環境中に放出することなく、安全な状態にすべきだと思う。
 そのためには、六ヶ所再処理工場を操業させることなく、放射性物質の管理を厳重に進め、安全な状態に閉止して行くべきであろう。
 ただし、ならず者国家が軍事的攻撃の野心を持つことを控えさせるべきである。弾道ミサイルが飛んでくるとか、公海上を通る軍艦からミサイルが飛んでくるという可能性もあるわけだから、やはりここは一歩退くべきではないでしょうか。
 特に六ヶ所再処理工場については、使い道がないプルトニウムを取り出してどうするんだという話になるわけです。
 これは世界的な緊張を生むというだけの話ですから、ここは国の判断で、六ヶ所再処理工場を止めるという政治的な決断をすべきだと思う。
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