[2022_04_13_04]福島第1処理水放出決定1年 「海に県境ない」 茨城漁連、対応の差に不信感(茨城新聞2022年4月13日)
 
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福島第1処理水放出決定1年 「海に県境ない」 茨城漁連、対応の差に不信感

 政府が東京電力福島第1原発の処理水海洋放出の方針を決定してから1年が経過した。茨城県内の沿海10漁協などでつくる茨城沿海地区漁業協同組合連合会(茨城漁連)など関係団体は「海に県境はない」として、風評被害対策に関し福島県と同等の対応を繰り返し求めてきた。政府が策定した行動計画の中で、特に後継者対策は目立ったものがないままで要望との隔たりが大きく、政府への不信感につながっている。
 「放出が続けば後継者がいなくなり、漁業が成り立たなくなる」。茨城漁連の飛田正美会長は12日、方針決定1年を前に訴える。
 茨城漁連は一貫して後継者対策を政府に要望してきた。しかし、政府が昨年12月に策定した処理水に関する行動計画では、後継者の確保など支援策の一部が福島県に限定されていた。
 後継者対策は、新規就業者への長期研修や漁船や漁具のリース支援を掲げ、政府は本年度予算に3億8千万円を計上した。
 茨城漁連は、政府と東電との協議の場で「(福島県と)同様の対応を」と再三呼びかけてきた。行動計画には反映されないままで、「話し合いの意味がない」と怒りをあらわにする。
 茨城漁連幹部は、東日本大震災からの復興に向けた漁業用設備の導入支援などについては「福島県に必要」と理解を示す。ただ、処理水放出で懸念される風評被害は「海がつながっている以上、近隣県でも変わらない」として、同等の対策を求めている。
 飛田会長は、昨年の菅義偉前首相との面会で対策の必要性を訴え、今月5日の岸田文雄首相との面会でも国のトップに直接要望した。「1年前から同じことをずっと訴えている。これ以上何と言ったらいいのか分からない」と嘆く。
 福島県との差について大井川和彦知事も「十分納得のいく回答が提示されている状況にはなっていない」(8日の定例記者会見)と受け止める。
 経済産業省資源エネルギー庁の福田光紀・原子力発電所事故収束対応室長は、茨城新聞の取材に対し「福島と茨城それぞれの状況に応じた対策が必要になる」とした上で、「茨城の漁業者が必要としていることについて、真摯(しんし)に耳を傾けたい」と、今後も意見を聴取していく意向を示した。
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