[2022_04_06_06]政府、数十年かけ風評対策 処理水海洋放出方針、基金積み増しも(福島民友2022年4月6日)
 
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政府、数十年かけ風評対策 処理水海洋放出方針、基金積み増しも

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針を巡り、政府は数十年の長期にわたる風評対策の実施や漁業継続を支援する方針を固めた。既に予算化した水産物の風評被害に対応する300億円規模の基金の積み増しに加え、別の枠組みでの新たな基金の創設も検討する。来春をめどとする海洋放出に向け、全国漁業協同組合連合会(全漁連)は「断固反対」との立場を崩しておらず、長期的な対策を掲げることで理解醸成につなげたい意向だ。
 萩生田光一経済産業相が5日、東京都内の全漁連を訪れ、岸宏会長や福島県漁連の野崎哲会長らと会談した。昨年4月に全漁連から申し入れのあった説明責任や風評対策など5項目に対する政府の回答を示し、長期的な対策の実施を盛り込んだ。政府が昨年4月に海洋放出の方針を決定して以降、経産相が全漁連へ説明に出向いたのは初めて。
 回答文書では、本県を含め全国の漁業関係者が将来にわたり漁業を継続できるよう「今後数十年の長期にわたろうとも必要な対策を講じ続ける」と明記。300億円規模の基金を「超大型の基金の創設」と位置付けたが、漁業関係者の要望や風評の影響調査を踏まえ、機動的に追加対策を実施する姿勢を強調した。
 冒頭のみ公開された会談後、萩生田氏は報道陣の取材に対し「福島県に限らず全国で後継者についての不安がある。若い人が漁業に誇りを持てる枠組みを考える」とし、人材育成面でも新たな支援策を打ち出す考えを示した。
 岸会長は海洋放出に「いささかも反対の立場に変わりはない」と強調した上で「今回の回答を踏まえて国民の理解と漁業者への丁寧で誠実な説明を継続してほしい」と求めた。
 会談には青森、宮城、茨城、千葉の各県漁連幹部も同席した。
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