[2022_04_04_05]米国の核ごみ処分地はどこに? 中間貯蔵の候補地2カ所とも反対(東京新聞2022年4月4日)
 
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米国の核ごみ処分地はどこに? 中間貯蔵の候補地2カ所とも反対

 世界最大の原発大国・米国で、高レベルの核ごみである使用済み核燃料の中間貯蔵施設計画が、地元州や議会などの強い反対に直面している。米国の使用済み核燃料は日本の3倍以上あり、なし崩しで最終処分地になりかねないとの懸念からだ。気候変動対策で原発活用を求める声はあるが、東京電力福島第一原発事故から11年となる日本と同様、核のごみ問題は解決できていない。(金杉貴雄)
 候補地に挙がっているのはテキサス州アンドルーズ郡と、隣接するニューメキシコ州リー郡の2カ所。それぞれ別の民間業者が申請し、米原子力規制委員会(NRC)はテキサスの施設を昨年9月に許可、ニューメキシコの施設でも審査を進めている。
 だがテキサス州ではアボット知事(共和党)が反対を表明。州議会も同州での高レベル放射性廃棄物の保管を禁止する法案を可決し、NRC許可の4日前に成立した。ニューメキシコ州でもルハングリシャム知事(民主党)をはじめ州内12以上の自治体や酪農、石油業界などが反対。州議会にはテキサス州と同様の禁止法案が提出されている。
 米国では使用済み核燃料の最終処分地は決まっておらず、全米の稼働中または停止中の発電所でたまり続けている。このため中間貯蔵施設の必要性が指摘されているが、地元州などは核のごみをいったん受け入れればそのまま最終処分地として留め置かれるのではないかと反発している。
 米スタンフォード大のロドニー・ユーイング教授は「最終処分地が決まらない中での中間貯蔵は無期限の貯蔵となり、私には『永久貯蔵』になるように見える」と指摘している。

 米国の原発と使用済み核燃料 米国の原発は2010年当時に104基が稼働していたが、日本の福島第一原発事故などの影響もあり、現在は94基で全電力の約20%を占める。米議会は1982年に原発から出る使用済み核燃料の処分の責任を連邦政府とし、98年までに最終処分を開始すると定めたが現在も約束を果たせず、連邦政府は各原発で保管する電力会社に賠償金を支払っている。
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