[2022_03_30_09]原発の電気使い水素製造 新年度 嶺南で実証事業 敦賀で共創会議(中日新聞2022年3月30日)
 
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原発の電気使い水素製造 新年度 嶺南で実証事業 敦賀で共創会議

 国と原発が立地する市町、県、電力事業者が嶺南地域の将来像を話し合う「共創会議」が二十九日、敦賀市であった。各機関が二〇二二年度から始める新たな取り組みが四十項目近く示され、経済産業省は原子力で得た電気を活用する大規模な水素製造プラントの整備を始めると明かした。次世代燃料の水素の供給拠点を目指す全国初の実証事業といい、廃炉がさらに進む時代を見据えて地域産業の多様化を図る。 (浅井貴司)
 各機関の取り組みは、二十年〜三十年後の嶺南を温室効果ガスの排出を抑えた「ゼロカーボン」の先進地などとする基本方針を実現するのが狙い。方針案は当初二〇二一年度内に決定する予定だったが、さらに議論を深める必要があるとして、六月ごろに予定する次回会議に先送りされた。
 産業の多様化では他に、廃炉・リサイクルビジネスで「国内最大級の産業、人材拠点を目指す」とした。嶺南を情報関連産業の集積地とする案もあり、地元首長からは「ぜひ拠点施設を誘致したい」と歓迎の声が上がった。一方、個々の取り組みの今後十年間の流れを示した「工程表」について「あいまいだ」との指摘もあった。
 基本方針を実現するための柱の一つに「原子力の持続的な発展」も据えた。政府が高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)の廃炉後も続けるとしていた高速炉開発に関し、文部科学省などが具体化に向けた調査を始めるとの方針を示した。
 関西電力は、農業や水産業といった食の分野で、新たなビジネスを興そうとする動きを支援すると表明した。ノウハウを持つ企業を紹介する橋渡し役を務めるとし、ニーズの調査開始から一年以内に試験事業を始める案を示した。
 杉本達治知事は、関電案を歓迎し、県の機関も協力すると説明した。国が示した取り組みは「かなりスケールの大きなものがある」と評価しつつ、産業の多様化については「将来必要とされる原子力の規模によっては、産業の複線化をより強く進めないといけない」と指摘。前提として、現在の嶺南経済がどの程度原子力産業に依存しているかを正確に把握するよう提案した。
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