[2022_03_30_08]柏崎刈羽原発 テロ対策の設備費に200億円 今後3年で 東電(毎日新聞2022年3月30日)
 
参照元
柏崎刈羽原発 テロ対策の設備費に200億円 今後3年で 東電

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)でテロ対策の不備が相次いで発覚した問題で、東電は30日、改革の進捗(しんちょく)状況を発表した。原発敷地内の出入りを監視するシステムの更新や侵入検知器の改良などテロ対策の設備を整備するため、今後3年間で約200億円をかける。
 テロ対策の担当者は、約60人から約90人に増やし、警察や自衛隊出身の専門家8人を登用する。東電出身で、原子力損害賠償・廃炉等支援機構上席執行役員の福田俊彦氏を新たに原子力・立地本部長に任用し、原子力部門全体の指揮に当たらせる。同本部長を兼任していた稲垣武之・柏崎刈羽原発所長は、現場の改革に注力する。
 さらに、関係する役員がテロ対策の状況を把握するため、一部の役員に原子炉等規制法に基づく社内の資格を取らせることにした。資格の取得により、一部の担当者しか取り扱えなかったテロ対策に関する秘密情報を共有できるようになり、小早川智明社長は2021年11月に取得した。
 一方、東電はこの問題を受けて失った地元の信頼の回復と、柏崎刈羽原発と東京本社の連携を強化させるため、本社機能の原子力部門の一部を原発が建つ新潟県柏崎市へ順次移転させる方針も明らかにした。
 設備の状態の確認や工程の管理などの担当者ら約70人を今年4月以降に移転させ、最終的には300人規模を配置する。原発事故が起きた時の後方支援や国との連絡に当たる部署なども移す。詳細な時期などは9月末までに決める。小早川社長はこの日の記者会見で「(テロ対策については)資金や人材を惜しみなく投入する」と述べた。
 柏崎刈羽原発を巡っては、21年に入ってから敷地内への侵入者を検知する機器の不備や、発電所員による同僚のIDカードを使った中央制御室への不正入室などの問題が相次いで明らかになった。原子力規制委員会は21年4月、7号機の再稼働へ向けた手続きを凍結し、現在、東電が示した再発防止策の実効性などを検査している。【吉田卓矢】
KEY_WORD:柏崎_核セキュリティー違反_:KASHIWA_:廃炉_: