[2022_03_15_03]「全然違う 180度違う」 双葉町で準備宿泊を始めた男性の思い(福島)(福島放送2022年3月15日)
 
参照元
「全然違う 180度違う」 双葉町で準備宿泊を始めた男性の思い(福島)

 【準備宿泊を始めた 細沢靖さん】
 「1月20日から戻れるよっておれ、最初に申し込んだんだよ」
 「ここから避難した時から、帰りたいなっていつかは帰りたいと思っているのよ。」
 「思っているんだけど、帰って来た途端がっかりした。」

 双葉町の自宅の居間に座る細沢靖(ほそざわやすし)さん(77)。
 震災が起こるまでこの町で暮らしていました。
 これまで願い続けてきたふるさと双葉への帰還。
 しかし、実際に戻ってみるとその感想は、「がっかり」でした。

 Q戻ってきて、11年前と違うなと思ったことは?
 「全然違う。180度違う」「だってしゃべる相手がいないじゃん。おしゃべりする相手が。誰とも会わないよ」

 地震が起きた当時、7000人以上が暮らしていた双葉町。
 原発事故で、全町避難を余儀なくされ、11年が過ぎました。

 【渡邊萌々香記者】
 「ここ双葉町では今も避難指示が続いていて御覧の通り、家の前にはバリケードが貼られています。こちらの家は扉が開けっ放しの状態で、地震発生直後、住民の方が逃げていく姿が目に浮かびます」

 1月からの準備宿泊で戻った人は30人足らずです。
 細沢さんが町に戻った当初、自宅には水道も通っていませんでした。
 食べ物は毎日隣の浪江町まで買いに行きます。

 【細沢さん】
 「この裏切り者と思った。行政はこんなものかと」「こんな生活だったらどこでも出来るよ」「どうですかって言われたら最低だった。最低です。それしかない」「町に戻っても何の恩恵もなかったら、誰もこないじゃんこんな町には。」「働くところもない、学校もない、病院もない、そんな町に来る人いないよ。来るわけないよ。」

 戻りたいのは11年前のふるさと。
 しかし、目の前に広がるのはかつてとは全く違う町の姿です。
 帰還に向け、77歳で準備宿泊に踏み出した細沢さん。
 厳しい現実を目の当たりにしています。
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