[2022_03_15_01]チェルノブイリ原発の現状…電源復旧 非常用ディーゼル発電機の燃料が輸送された ロシアはザポリージャ原発を接収…ロシア側は否定 3/12【IAEA第19報】抄訳 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2022年3月15日)
 
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チェルノブイリ原発の現状…電源復旧 非常用ディーゼル発電機の燃料が輸送された ロシアはザポリージャ原発を接収…ロシア側は否定 3/12【IAEA第19報】抄訳 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 3月12日の【IAEA第19報】を紹介します。
 日本時間12日土曜日の時点のIAEA声明から一部を紹介します。
 この段階では、チェルノブイリ原発に電力が戻り、それをIAEAが確認しています。
 ロシア側は現地に技術者を送ったとしていますが、接収したことについては否定しているようです。

☆ 3/12【IAEA第19報】抄訳

◎ ウクライナ規制当局は国際原子力機関に対して、ロシアが国営企業ロスアトムの管理のもとでザポリージャ原発の完全かつ恒久的な管理を行う計画であると伝えた、と、グロッシ事務局長は述べた。
 これについては、後にロシア政府が否定した。

◎ ウクライナの原発を運営するエネルゴアトムのペトロ・コティン社長は事務総長への書簡で、約400名のロシア兵が「敷地内に常時滞在している」と述べ、原発がロシア軍司令官の管理下にあることを確認した。
 その上、発電所の管理者は、技術的な問題を含む、運用上の問題については全てロシア軍と調整する必要があると述べた。原発の職員は定期的に交代していることが確認され、ロシアの技術者が数日前に現地の放射線状況を評価するために現地に到着したことを付け加えた。(中略)
 3月12日早朝に行われたグロッシ事務局長との電話会談で、ロスアトムのアレクセイ・リハチョフ最高経営責任者は、ザポリージャ原発に少数の同社専門家がいることを認めたが、ロスアトムが操業管理を行っていることも、発電所をロスアトムの「管理体制」の下に置くことを意図しているとの指摘も否定した。

◎ ウクライナ規制当局は、今日の定期的な技術的報告で、ザポリージャ原発の電力供給状況はここ数日変わっていないとIAEAに語った。
 ここには高圧送電線(750kV)の外部電源系統が4回線あり、さらに予備として1回線ある。4回線のうち2回線が破損している。
 事業者は、原発の外部電源として必要となる電力は、回線1本で供給できることをIAEAに報告した。ディーゼル発電機も予備電力を供給する準備が整い待機している。
 ロスアトムのリハチョフCEOは、現場の電力供給状況を確認し、停電した送電線を復旧する作業は行っているが、既存の電力供給を危険にさらすことにはならないため、予備ディーゼル発電機用の追加燃料供給が必要になった場合に備えて導入されると述べた。
 また、同工場の他の備品も納入されるだろうと付け加えた。

◎ なお、ロシア政府は、本日IAEAに対し、「ザポロジスカヤ(ザポリージャのこと)及びチェルノブイリ原発の管理及び運転は、ウクライナの運転要員が行っている。ロシアの専門家数名からなるグループが協議の上で支援を行っている。
 技術支援の枠組みの中で、原発の安全かつ安定した運転を確保する上で、発電所での最優先課題が決定されている。
 また、ロシアの専門家の協議の上で、チェルノブイリ原発の電力供給の復旧及びザポロジスカヤ原発の核物質防護システムの復旧が現在実施されている。
 ロシアは、ウクライナの原発の安全かつ安定した運転を確保するために行っている措置を実施する一方で、IAEAとの緊密な連携を維持している」と正式に通知した。(中略)

◎ ウクライナ規制当局は、チェルノブイリ原発の状況について、損傷した送電線を修復する努力は続けられているが3月9日以降、電力供給は停止したままだと述べた。
 1986年の事故現場の使用済み燃料貯蔵施設を含む安全に関連するシステムにディーゼル発電機が引き続きバックアップ電力を供給しており、3月11日に追加燃料の搬入があったという。

◎ 今日行われたグロッシ事務局長との電話会談の中で、ロスアトムのリハチョフCEOは新たなディーゼル燃料輸送に関する情報も提供し、近くのベラルーシからチェルノブイリ原発に電力線を延長することもできると述べた。ロスアトムの複数の専門家が現地にいるという。(中略)
 また保障措置に関しては、今週の数日間、IAEA本部に伝達することができなかったザポリージャ原発の全データを回収することができたことを確認した。
 チェルノブイリと南ウクライナの現場に関する新しい進展はない。

◎ 以下に、ウクライナ規制当局のツイッター情報も付け加えます。
 電力系統では、ザポリージャ原発の2基が稼働している。3月7日から、6号機が緊急修理を開始した。その理由は、ロシア軍による砲撃で損傷したこと。原発サイトおよび周辺地域の放射線の状況変化は
記録されていない。
 高圧送電線のうちザポリージャと南ドンパスを結ぶ回線は損傷により切断されたまま。
 原発に近接したエネルゴダールの町の店舗には食料を搬入することはできない。物資は1日分のみ残っているという。

 ※≪事故情報編集部≫より この文章は、3月15日受信です。4
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